メソポタミア神話における半神半人、ビルガメスと木藤・円――エンキドゥと相対することになったのは、神道によるテラフォーミングに協力している北欧神のトールとシフ――雷同・徹と紫布・咲。壮絶な戦いの末、徹・咲ペアが勝利した。敗北を認めつつ、ビルガメスたちは神道への亡命を願い出る。事情を聞こうとする住良木たちだったが、そこに現れたのはビルガメスたちの「上役」である江下・伊奈々。彼女は神委の一員として神道によるテラフォームの遅れを弾劾しつつ、メソポタミアにおける神話再現のため、エンキドゥを殺すためにやってきたのだというが……。

唯一のヒトと神々による創世神話、「EDGEシリーズ」1−下巻。

同じ世界観だから当たり前なのかもしれないが、軸となるのは「惑星クラフト」としつつ、このシリーズでも過去シリーズと同じモチーフが繰り返される。特にこの本シリーズの次の世代となる「GENESISシリーズ」における《歴史》が本シリーズでは《神話》となり、改めて顕現した神々が惑星という「世界」を改めて創っていくことになるのだ。そしてもうひとつ、自分の存在を否定するヒロインを、ヒーロー(というには多少アレなところもあるが・笑)は全肯定し、受け止めていく。「先輩」はその権能や立ち位置から自分の存在をどうしても肯定しきれず、後ろ向きになってしまう。けれどそんな彼女を選んだ住良木は、自ら離れていこうとする先輩を、言葉を尽くして引き留める。何度ロールバックしても先輩を選ぶという彼の言葉は、自分で自分を失わせようとしたホライゾンを引き戻したトーリの姿とよく似ている。歴史は繰り返すと、そういうことなのかもしれない。

先輩の「最弱にして最強」の所以が分かり、メソポタミアの面々とも(一応?)和解というかお引き取りいただくことに成功した住良木たち。今後現れるであろう別の神話体系の神々は、さてどう出るか、気になるところ。


◇前巻→「EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉」