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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

カテゴリ: あざの耕平

東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2011-10-20
売り上げランキング : 761

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実技合宿以来、消えた北斗の正体が夏目なのでは?という疑念にかられたままの春虎は、夏目に対してうまく会話ができないでいた。夏目も当然そんな春虎の態度を感じ取っていて、ふたりの関係はぎくしゃくするばかり。一方、陰陽庁に「D」――蘆屋道満からの予告状が届いたことが判明。陰陽庁に封じられている呪具「鴉羽」を奪うという宣言に対策を練る陰陽師たちだったが、そんな中で祓魔官のひとり・木暮は、「鴉羽」は本庁ではなく陰陽塾にあるという噂を思い出し……。

シリーズ6巻は今までになく陰陽術バトル色の濃い内容。
木暮の懸念通り、蘆屋道満の手は本庁だけでなく陰陽塾へも伸びる。ほとんどの陰陽師が本庁に詰めている状況の中、春虎たちは襲い来る蘆屋道満の式神たちを相手に孤軍奮闘。そんな彼らを救ったのが、かつて呪捜官だった教師・大友だったからまあびっくり。しかも大友先生、かなり強い。蘆屋道満と大友との戦闘シーンはかなり熱いというか、読み応えありな展開だった。

で、戦闘はさておき、微妙すぎて困りものなのが春虎と夏目。北斗への恋心を自覚してしまった春虎だったが、そんな矢先に北斗の正体に気付きかけてしまったからさあ大変。北斗と夏目、ふたりへの想いの間で揺れる様子はまさに恋する乙女……って、なぜかヒロイン化してしまう春虎が面白いやら気の毒やら。この悩み、次巻で少しは進展するのかどうかといったところ。


◇前巻→「東京レイヴンズ5 days in nest 2 & GIRL AGAIN」

東京レイヴンズ5  days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2011-07-20
売り上げランキング : 494

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2年生に進級した春虎と夏目のクラスは、3年生との合同実技合宿に向かうことになる。夏目の正体を知ってしまった鈴鹿から逃げられる絶好の機会!と喜んでいたふたりだったが、大友の差し金で鈴鹿も特別に参加することに。その合宿のさなか、自身の裡に封じられている「鬼」の再封印と調整を行っていた冬児は、夜光信者たちから夏目を守るため、自身の身上を明かしたうえで、鈴鹿に協力してくれるよう頼み込み……。

シリーズ5巻は前巻に引き続き短編&長編の2部構成。
前半の短編はやっぱり夏目がメインになって空回り&大暴走。冬休みの里帰りのエピソードのようなシリアスなものがあったかと思えば、鍋&酒宴で大変なことになったり、コンに嫉妬した夏目が一計を講じたり、風邪をひいた春虎に過去のトラウマ(もちろん夏目絡み)がよみがえったり。とりあえず寮母の富士野さん(腐女子)、赤飯はやめておこうか(笑)。

後半は2年生になった春虎たちの合宿風景を描く本編。
ハードな合宿の中で進行していくのは、春虎を巡る女子たちのひそかな戦い。夜光信者に対抗するため、エリート陰陽師である鈴鹿へ協力を求める冬児。その話し合いの中で鈴鹿の「素」を見た京子は、彼女が春虎に対して抱いている想いに感づいてしまう。対人スキルが限りなく低い鈴鹿はあっと言う間にその恋心を京子に見抜かれ、つっこまれてしまうわけだが、そんなふたりのガールズトーク(?)をこっそり聞いてしまっていたのが夏目。春虎のことが好きなのは彼女も同じであるだけに、焦燥感を抱くようになってしまう。
だというのに、女子ふたりを知らず知らず翻弄してしまっている春虎ときたら、なんというバカ虎……(苦笑)。そんなふたりの前に立ちはだかる巨大な壁はやっぱりあの「北斗」。いったい、いつになったら春虎は気付くことやら。

……とかいう平和(?)な展開の裏で、少しずつ不穏な状況も進行しつつあるようで。
意図的に陰陽塾に集められているようにしか見えないいくつかのカード――夜光の生まれ変わりと言われる夏目、その夜光に関する研究をしている鈴鹿、かつての「十二神将」のひとりである大友などなど……この状況を創り出したのは何者なのか。そして夏目は本当に「生まれ変わり」なのか?という疑問が再浮上してきたところで、続く。微妙な四角関係も含め、まだまだ謎は尽きそうにない感じ。


◇前巻→「東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest 1」

東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest  (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest  (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2011-05-20
売り上げランキング : 1040

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なんとか無事に進級し、夏目や冬児と共に陰陽塾の2年生になった春虎。そんな彼の前に現れたのは、「十二神将」と呼ばれるエリート陰陽師の一員であり、春虎が「北斗」を失うきっかけとなった事件を起こした少女・大連寺鈴鹿だった。その彼女はあろうことか全生徒の前で春虎を「先輩」と呼び、あたかも彼女であるかのように振る舞い始めたからさあ大変。春虎は一気に全生徒の注目の的となってしまい……。

シリーズ4巻は2部構成。
まず前半は本編の続き。2年生になった春虎たちに訪れた「春の嵐」――鈴鹿を交えた波乱の日々の幕開けが描かれる。
1巻で起こした事件に対する処罰として、霊力を封じられた状態で陰陽塾にやってきた鈴鹿。アイドル的な存在として有名な彼女は、そのプライドの高さもあいまって、周囲とは打ち解けることができない。そんな鈴鹿が唯一、本音をぶつけることができる相手が春虎。毎日のように春虎につっかかってくる鈴鹿だが、春虎は彼女が以前の夏目に似ていることに気付き始める。
高飛車さや気位の高さが目立つものの、先の事件で北斗が「消えて」しまったことを悔やんでいるという面も持っている鈴鹿。意外とイイ子かも……とか思ったりもするが、でもやっぱりひねくれ者の彼女を、春虎がどこまで手なずける(笑)ことができるかが見もの。

後半はドラゴンマガジンに掲載されている、春虎たちのゆるくもおかしな日々を描く短編を収録。だいたい春虎か、あるいは夏目が騒動を起こすという展開。春虎はまあいいとして、真面目でおカタく、けれど春虎のせいか妙な性格になりつつある夏目がイイ味出している。どちらかというと彼女の方がトラブルメーカーになりつつあるような気がして、それはそれで面白い。
あととにかくGJ(笑)なのが男子寮の寮母、富士野さん(腐女子)。女子寮の寮母である木府さん(同じく腐女子)と共に春虎と夏目の関係をあれこれ詮索するふたりが事態をより悪化させてたりして。
このふたりだけでなく、コンも大友先生もみんなして暴走するものだから、春虎たちが起こす騒動はだんだんエスカレートしているような……こちらの短編の今後の展開も楽しみだったり。


◇前巻→「東京レイヴンズ3 cHImAirA DanCE」

東京レイヴンズ3  cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ3 cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2010-12-18
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陰陽塾ではまさに進級試験の季節。筆記試験が壊滅的だった春虎は、めげずに実技試験に挑むことに。だがその試験のさなか、都内各地で霊災が発生。その影響で、かつて霊災に遭遇した冬児に異変が起こる。さらにそんな彼らの前に「十二神将」のひとり、「鬼喰い」と呼ばれる最凶の陰陽師・鏡が現れて……。

シリーズ3巻、今回はこれまで詳しく語られなかった、かつて冬児が遭遇した霊災――その「後遺症」が明らかに。そして冬児の抱える「闇」についても。

これまで春虎を支えてきた冬児だが、彼こそが春虎に支えられていたのだということが今回のエピソードで語られる。霊災により、その身に「後遺症」を抱えたまま生きてきた冬児。その「後遺症」に食い潰されなかったのは、ひとえに春虎がいたからこそ。しかしここでその「後遺症」が顕在化したことで、再び冬児はその闇に支配されそうになってしまう。そこを救ったのが春虎なのだが、まさに「男の友情!」な展開。それをうらやましがる夏目の気持ちはよくわかる気も。

一方で、今回少しずつ明らかになってきたのが、今回の霊災を仕掛けた双角会、そして「蘆屋道満」の存在。春虎たちの前に姿を現したのは本物の「蘆屋道満」なのか? 事件の陰で暗躍する、「ひと房のみ朱色の髪を持つ黒髪の陰陽師」は本当に「彼」なのか?
……とまあ、新たな謎が提示されつつ、続く。今後の展開がますます楽しみ。


◇前巻→「東京レイヴンズ2 RAVEN"S NEST」

東京レイヴンズ2  RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫 あ 2-5-2)東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫 あ 2-5-2)
あざの 耕平

富士見書房 2010-09-18
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おすすめ平均

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猛勉強の末、東京にある陰陽師養成機関「陰陽塾」への転入を果たした春虎と冬児。だがクラスメイトたちは、土御門夜光の転生だと言われる夏目、その式神である春虎に対して冷ややかな態度。特に夏目のことを目の敵にする女生徒・倉橋京子に「特別扱いだ」といきなりつっかかられてしまう。さらに夏目も最初は春虎の転入を喜んでいたものの、彼の無知っぷりに呆れて怒り出す。しかも上京前に父親から託された護法式・コンの存在を知った京子と戦うはめになってしまい……。

シリーズ2巻からはいよいよタイトル通りに舞台を東京に移し、学園編(?)がスタート。
新しい環境、新しいクラスメイト、新しい出会い……というようにさわやかな新生活とはいかないのが春虎の運命。その出自と噂のせいで周囲から孤立する夏目のおかげで、春虎も同類と見なされてしまう。それどころか受験勉強は単なる付け焼刃だったことが判明し、夏目もかんかん。最初はそんな彼女の怒りを流していた春虎だったが、次第にそれを彼女の癇癪としか思えなくなってしまい、ついには喧嘩までしてしまう。

そのひとつの原因となったのがクラスメイトの倉橋京子。土御門家の傍流の娘であり、春虎たちの通う陰陽塾の塾長の孫でもあり、本人もなかなかの実力を持つ存在。それゆえに本家の跡取りである夏目のことが気に食わない(のは別の理由もあったりするのだが)様子。今巻を通じてなんとか打ち解けてきたかな?という感じではあるが、今後の春虎と夏目の関係にとっての台風の目となりそうな感じ(笑)。

そんなこんなで喧嘩しつつも仲の良い(?)ふたり。今回の喧嘩や、塾での夏目の姿、そして終盤で起こった事件のことも含め、春虎は夏目の抱える問題、そして孤独を知ることになる。彼女が押し隠そうとする本当の気持ちに、回り道をしながらも春虎は気付き、支えてやろうとする。そんな関係が初々しくもかわいらしい。

ラストには安倍晴明と言えばこの人!な人物も出てきたということで、今後の展開がますます楽しみ。


◇前巻→ 「東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN」

東京レイヴンズ1  SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)
あざの耕平

富士見書房 2010-05-20
売り上げランキング : 73
おすすめ平均

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戦時中の大規模呪術の失敗により霊気の流れが歪み、以降、霊的災害――〈霊災〉が頻発するようになった現代。安倍晴明の流れをくむ土御門家の分家に生まれた高校生・春虎にはしかし陰陽師としての素養がなく、地元で悪友たちと普通の生活を送っていた。そんな夏のある日、幼なじみであり、土御門家次期当主である少女・夏目と再会。だが春虎と夏目の間には深い溝があって……。

待望の新シリーズ!は、BBB最終巻のあとがきの予告通り「陰陽師」もの。

分家の人間は本家の陰陽師の式神になる――そんな「しきたり」を知ってか知らずか、幼い頃に約束を交わしていたふたり。けれど霊気を視ることのできない春虎は陰陽師になることを諦め、夏目との約束も反故にしてしまっていた。そのせいで再会したふたりの間はぎくしゃくしっぱなし。裏切られたと思い、春虎を恨む夏目の気持ちもわかるが、陰陽師の家系に生まれながら能力に恵まれなかった春虎の立場もまたわかる。だから紆余曲折を経て、とりあえずは関係修復できてほっとしたりして。

そしてそんなふたりの関係もさることながら、もうひとつ気になるのは春虎の「友人」である少女・北斗のこと。素性が全く分からず神出鬼没、やたらと春虎を陰陽師にしたがるこの少女はいったい何者なのか――というのは今巻を最後まで読めば分かるのだが、その正体にはかなりびっくり。1巻からいろいろとトばしてくれる(笑)。

〈霊災〉が起こるようになったそもそもの原因と土御門家の関係、戦時中の大陰陽師・土御門夜光の存在、夏目にまつわる噂、陰陽術の体系……などなど、いろいろと意味深な設定も多いので、今後の展開が楽しみ。

BLACK BLOOD BROTHERS11  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2009-05-20
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お待ちしています――そのジローの言葉に導かれ、ミミコは特区に降り立ち、サユカやコタロウと合流する。ジローもまた、ジャネットと共に特区へ向かう。さらに多くの仲間たちもまた特区を目指す。一方、「九龍の血統」たちもまた、特区脱出計画を練り直していた。そうしてついにジローたちと「九龍の血統」の最後の戦いが始まる……。

ついにシリーズ完結の11巻。
ようやく再開したジローとミミコ。切って落とされる戦いの火蓋。そしてジローとカーサの最後の戦い。「九龍の血統」の生き様が、その死の間際まできっちり描かれる。彼らが何者だったのか、そして単なる「悪」ではないのだということが、物語に深みを持たせてくれる。そしてその先に待っていたのは――「賢者」の血の運命。

シリーズ開始時から提示されていた結末は、わかっていてもなおショック。でもそれは悲しいだけではなく、新しい物語の始まりを予感させる。最後の「兄弟」のやりとりには、思わず頬が綻んでしまう。その結末は「吸血鬼の物語」ではなく、まさに「吸血鬼と人の物語」。ひととひととの、繋がりの物語だった。

BLACK BLOOD BROTHERS10  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS10 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平

富士見書房 2009-04-20
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1997年、香港。他の吸血鬼たちから「混血児」と忌み嫌われるカーサは、彼女を受け入れてくれる「賢者」アリスたちと共に過ごしながらも、何か言いようのない衝動にとらわれていた。そんな中でカーサは、彼女の運命を変えることになる、ふたりの男女と出会う。ひとりは自分と同じ「血」を持つ吸血鬼、リズ。そしてもうひとりは、何者かに誘拐されたはずの華僑の風水師、アダム・王だった――。
そして現在、シンガポール。特区奪還のための計画は着々と進み、ミミコたちはいよいよXデーを決めるという段階まで来ていた。だがその頃、ミミコは不審な噂を耳にする。なんでも全世界から、吸血鬼たちが廃墟となった香港に集まっている、というもので……。

クライマックス2か月連続刊行!の10巻。前半は「香港聖戦」勃発の端緒となった出会いの物語で、後半はサブタイそのまま「銀刀出陣」――いわば「特区聖戦」とも名づけるべき戦いの幕開け。

始祖「導主アダム」誕生のきっかけとなったのが、彼とカーサとの出会い。なぜ彼女が「九龍の血統」となったかが明らかにされるのが前半のエピソード。すべては香港から始まっていた。カーサの出自が「九龍の血統」を生んだと言っても過言ではない展開には思わず息をのむ。

そして後半、現在の物語では、ついにジロー登場。再会を約して、すべての流れは特区に集まっていく。ジローもミミコも、そしてカーサも。その中心にいるのは「賢者」の血統――アリス・イヴの転生した姿であるコタロウ。「賢者」の血が動く時、世界はどうなるのか――そして、事態の中心にいるたったひとりの「人間」、ミミコはどう動くのだろうか。

BLACK BLOOD BROTHERS(S)6  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫 (あ-2-4-6))BLACK BLOOD BROTHERS(S)6 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫 (あ-2-4-6))
あざの 耕平

富士見書房 2008-10-20
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BBB短編集、最終6巻。
「月匠ゴーバン」の古血のひとりでジローの知人であるエリーゼの特区来訪と、彼女を追って現れた「老牙ニザリ」の暗殺者たちとの攻防を描く連作6回分と、短編最終回となるお月見の話を収録。書き下ろしの過去編は、聖域滞在中にマジギレしたアリスをあの手この手でなだめる「聖域の嵐」。

連作といい、ほぼオールキャストのお月見編といい、さすが最終巻という感じに豪華かつ読みごたえのある内容。シリアスな話の後にコメディ寄りな書き下ろし作を持ってくる構成もよい。さらにその話のオチが、本作の根幹――「吸血鬼」たちの存在意義にも関わるような展開になっているのもよい。

物語はここから本編6巻へと続いていく。本編は、といえば、これからさらに怒涛の展開が予想されて期待大。

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 あ 4-1)神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 あ 4-1)
あざの 耕平

ソフトバンククリエイティブ 2008-09-16
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新進気鋭の音楽家にして神曲楽士のダン・サリエルは、ある演奏会の夜に、美しい白銀の毛並みをもつ虎型の上級精霊コジと出会う。その見栄えから、サリエルはコジと契約を結ぼうと考えるが、当のコジはそれを拒否。なんでもコジは他に心に決めた楽士がいるのだという。サリエルが自分の契約精霊モモに探らせた結果、その楽士は名門キーラ家のご令嬢キーラ・アマディアであることが判明。アマディアの演奏を聴くため彼女の住む田舎町に向かったサリエルは、そのへたくそな演奏に驚愕して……。

あざの耕平の新作は「ポリフォニカ」シリーズのシェアードワールドノベル。

大衆受けするその演奏ぶりから「楽界の革命児」として人気を得ているサリエルだが、彼の音楽に対する情熱は本物――ただし、俺様的性格に隠れて、なかなか周囲には伝わらないのが現実。
そんな彼を慕うのは契約精霊のモモ。サリエルに虐げられ、振り回されて、それでも達観しつつ彼に付き従う。そのけなげさが可愛いし、真剣さがかなりの確率で笑いを誘う。……そう、意外と本作はコメディよりで、「BBB(s)」に似たテイスト。

サリエルに出会って以来、なぜか彼の家に押しかけてくるようになったアマディアの演奏の下手さ加減の理由が何に由来するのかが書かれていなかったので、次巻はそのエピソードにも期待。

BLACK BLOOD BROTHERS9  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 黒蛇接近― (富士見ファンタジア文庫 96-15)BLACK BLOOD BROTHERS9 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 黒蛇接近― (富士見ファンタジア文庫 96-15)
あざの 耕平

富士見書房 2008-06-20
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世界を揺るがした「乙女」の演説から数ヶ月――ミミコはカンパニー、そして十字軍の看板として忙殺される日々を送っていた。寝食を削ってまで働き続けるミミコを支えているのは、再びジローたちに会いたいという想い、ただそれだけ。一方、特区のザザはミミコの影響力を危惧し、彼女を九龍化しようと提案。ケインがシンガポールを離れ、戦力が手薄である現状に乗じ、カーサとナブロ、ラウを送り込む。しかし時を同じくして、ロンドンからシンガポールへ古血のひとりが到着する。彼女こそ≪魔女モーガン≫の血をひく3姉妹の長姉、アンヌ・ウォーロックその人であり、カーサの因縁の相手でもあった……。

8巻と対をなすシリーズ9巻。前巻でミミコが人間たちを動かしたように、今巻はジローが吸血鬼たちを動かそうとする。言葉と想いで通じるものもある、そんな展開。
吸血鬼たちが動きはじめ、ジローも血を制御しつつある現在、ついに舞台は整いつつある。

そんな中、状況は目まぐるしく変化を続ける。特区内ではサユカが孤立無援で(とはいえ、妙なアドバイザー(笑)が付いているが……)戦いを続けているし、閉じ込められた人間たちもレジスタンスとして立て直しを図っている。そして≪九龍の血統≫の姉弟たちの間にも問題が――次巻ではついに「香港聖戦」の真実が語られる模様。九龍の末娘・ワインの正体、ウォーロック家とカーサの確執、そしてカーサの裏切りの理由――すべての原因がこの「香港聖戦」に端を発しているのか……。

Dクラッカーズ+プラス―世界-after kingdom- (富士見ファンタジア文庫 (96-30))Dクラッカーズ+プラス―世界-after kingdom- (富士見ファンタジア文庫 (96-30))
あざの 耕平

富士見書房 2007-12
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富士見ファンタジア文庫にて連続再刊行されていた「Dクラ」、その最後を飾ったのはなんと新作。
前半は1巻以前、景と梓の再会前後と、梓が巻き込まれた最初の事件の幕開けまでを双方の視点から描く。
後半はシリーズのその後――梓たちが高校を卒業した後の物語で、「カプセル」が消えたのも束の間、葛根市で再び流行り始めたドラッグ「アロマ」をめぐる戦いを描く。弟が「アロマ」にハマってしまった女子高生・蘭子は、親友の歩美と共に、かつての「カプセル」事件に関わっていたという「実践捜査研究会」の元メンバーとともに「パーティー」に潜入するが……。

とにかく懐かしい!の一言。結局本編の再読はできずじまいだったけど……(汗)。
「その後を描く新作」と銘打たれていたのに、結局前半はイントロダクションも含めた過去編だったのは少々残念。もっと「その後の景と梓」を見たかったのだが……けれど、十分続編も書けそうな含みのあるラストだったので、期待してもいいだろうか?

とりあえずその後の景と梓に何が(というかどの程度の進展が)あったのか教えてくれ水原ー!(笑)

BLACK BLOOD BROTHERS S 5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5) (富士見ファンタジア文庫 96-14)BLACK BLOOD BROTHERS S 5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5) (富士見ファンタジア文庫 96-14)
あざの 耕平

富士見書房 2008-02-20
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「クイーンM」をきっぱり廃業(笑)し、改めてフリーの「調停屋」としてスタートを切ったミミコ。とはいえ持ち込まれるのは日常のいざこざレベルの依頼ばかりで、しかもほとんど無報酬。けれど次第に周囲の信頼を勝ち取っていくように……。

そんなわけで短編集5巻はミミコの輝かしい再々スタートの日々を描く4本を収録。アニメ化の時期と重なっていたせいもあり、それまでの話を知らなくても読めるような、イントロダクション的色合いの強い短編群。

短編集恒例の過去編書き下ろしもそんな感じで、1900年代という長いスパンで、各地の吸血鬼たちの様子をSS的に描いていく。各地のトップやら、新しい血の誕生やら、転化前の≪九龍の血統≫の面々やら、そしてへっぽこ4人組(もちろんジロー・アリス・カーサ・ケイン)がテレビやPCと格闘する話やら。

どの話もさっくり読めるので、5巻とはいえど入門編に適しているかも。

BLACK BLOOD BROTHERS 8 (8) (富士見ファンタジア文庫 96-13)BLACK BLOOD BROTHERS 8 (8) (富士見ファンタジア文庫 96-13)
あざの 耕平

富士見書房 2007-10
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九龍王が復活した悪夢の夜――いわゆる「特区インパクト」から数日。特区からの脱出に成功したミミコたちカンパニーの面々はシンガポールへと渡っていた。シンガポールは対吸血鬼組織「十字軍」の本拠地。そこでミミコはカンパニー上層部から、カンパニーの代表就任を打診される。陣内の秘蔵っ子であり、先の戦いの折には吸血鬼たちと共に人命救助に当たっていたミミコは、今や英雄的存在となっていたのだ。カンパニーのため、そして再び特区に戻るためにも、ミミコはその話を受けたのだが、日に日にその重責に耐えられなくなり……。

第3部スタートの8巻は、ミミコが自分の心と、そして覚悟と向き合って歩き出すまでの物語。ミミコも大きくなったわね……(しみじみ)。
心機一転、ここからがスタート。さらに面白くなりそうです。

BLACK BLOOD BROTHERS S 4―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (4) (富士見ファンタジア文庫 96-12)BLACK BLOOD BROTHERS S 4―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (4) (富士見ファンタジア文庫 96-12)
あざの 耕平

富士見書房 2007-07
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短編4巻は本編5〜6巻の間に位置する、ミミコがカンパニーをクビになった直後の話。転落、失望、再起、成功、そしてまた……。

ミミコ……ふびんな娘……(笑)。

書き下ろしはいつもの過去編。第二次大戦中のドイツでカーサ暴走。カーサとジローたちの間に少しずつ見えない亀裂が……。ああーなんかなんとなくいやな感じ。

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