ある骨董市で2枚の青銅鏡を競り落とした陶子だったが、帰宅して箱を開けると、そのうちの1枚が競りで見た時とは異なるものにすり替えわっていた。三角縁神獣鏡のレプリカのようなその鏡の佇まいにすっかり魅了されてしまう陶子。しかし後日、その神獣鏡の本来の持ち主と名乗る人物が現れ、返却せざるを得なくなってしまう。その持ち主から挨拶とお詫びがてら会食に誘われた陶子は、帰る前に酔い覚ましとして車内で仮眠をとっていたはずが、目覚めると見知らぬ病室に寝かされていた。そこに現れた警官いわく、陶子は泥酔状態で運転し、自損事故を起こしたのだ、と。身に覚えのない陶子は必死に抵抗するが、その判定は覆らず、運転免許は取り消されてしまう。さらに時同じくして、少し前に陶子が入手した絵画が何者かに盗まれていたため被害届を出していたのだが、事故した車のトランクにその絵が隠されていたことが判明。また、同時期にその絵の贋作のようなものが発見されていたことから、警察は陶子が詐欺を目論んでいたものとして、骨董業者の鑑札まで剥奪されてしまうのだった……。
古美術×ミステリーシリーズ、復刊第2弾。またしても何者かの罠にはめられ、骨董業者としての資格を失ってしまった主人公・宇佐見陶子が、犯人の狙いを探るため、そして自身のプライドをかけて、強大な歴史の闇に立ち向かっていく長編作となっている。
前回の敵は(一応)いち個人ではあったが、今回の敵はその正体も目的も知れないという、想像以上に深い闇に覆われた相手。そんな陶子をサポートしてくれるのは、前巻にも登場したカメラマンの硝子だけでなく、骨董商仲間の越名集治、民俗学者の蓮丈那智、そして越名の知人で「古代技術研究家」の滝隆一朗の3人。しかしそれぞれの知恵を集約させてもなお、最後の最後まで見通しが立たないというのだから恐ろしい。もちろん最終的に真相は解き明かされるのだが、それでもなにか釈然としないものが残る。それこそが「歴史の闇」そのものなのかもしれない。
◇前巻→「旗師・冬狐堂 一 狐罠」















