phantasmagoria

読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

カテゴリ: *さ行の作家


2.5次元舞台「オメガスマッシュ」の初日公演を観に行ったのは、この作品のオーディションに落ちた青年・麦倉。同じ事務所に所属する売れっ子役者・水口の演技を見上げていた麦倉だったが、クライマックス直前、ステージが暗転したたった15秒の間に、キャストのひとり・柳がステージ上から忽然と消えてしまうのだった。主役である水口の機転でなんとかこの日の公演は終えたものの、やはり柳はどこにもおらず、連絡も取れなくなってしまう。ことのあらましを聞いた引きこもりの友人・鹿間は、柳の行方を追おうとする麦倉にいくつかの調査を命じて……。

「小説屋sari-sari」にて2016〜2017年にかけて発表されていた作品が書籍化。2.5次元舞台の世界で、売れない役者である麦倉が、その裏側で起きた事件を解決してゆく青春ミステリ連作。

漫画やアニメ、ゲームといった2次元媒体の作品を原作とする「2.5次元舞台」の世界で、役者を目指すもオーディションに落ちてばかりの麦倉。しかしなぜか舞台にまつわる事件に遭遇してしまい、そのたびに引きこもりの友人・鹿間の助言を得て謎を解いていくことになる。ステージ上で役者仲間が消えた理由、オーディションと称して集められた雪の山荘で役者たちが次々と消えていく謎、そして麦倉の過去――演劇にのめり込んでいた兄の自殺――にまつわる脚本「猫の首」と、役者たちが次々と負傷する劇に秘められた真相。そしてその謎に迫る中で麦倉が目の当たりにするのは、「演劇」というものにとらわれた人々の苦悩だった。

麦倉自身もまた役者を志してはいるものの、オーディションには落ちるばかりで、なぜ――あるいはなんのために役者を目指していたのかを見失いかけている状態。ライバルである水口が2.5次元舞台の世界でスター役者となっていくのを苦々しく見つめる一方、どこかで2.5次元舞台という演劇の形態そのものを軽侮しているかのようなふるまいを見せる麦倉。しかしそれはおそらく負け惜しみのようなもので、いくつかの事件を経る中で麦倉は演劇に対する自分の想いを見つめ直すことに。「舞台には魔物が棲んでいる」とはよく言ったもので、結局のところ麦倉もまたその魔物に囚われていることを自覚できたのだろう。そしてその「自覚」は、麦倉いわく「最近はわかりやすい演技ばかり」な水口の意識をもきっと変えていったに違いない。「やりたいこと」を見出して前へと歩き出した麦倉はきっといい役者になるだろうと、そう思う。

翼の帰る処 番外編 ―君に捧ぐ、花の冠―
妹尾 ゆふ子
幻冬舎コミックス
2018-01-25

ヤエトを頼り《黒狼公》領に滞在していたタナーギンに遭遇した皇妹は、《白羊公》の縁者である彼の存在に違和感を得て一計を講じることに――すなわち、まず本人が希望している金品を与え、なおかつスーリヤを彼の元に送り込むのだった。身の回りの世話をすると申し出るスーリヤを追い返そうとするタナーギンだったが、彼女を送り込んできたのが皇妹であるため無碍にもできず、翌日からは条件付きでしぶしぶ受け入れることに。それもそのはず、彼は皇帝が追放したセンヴェーラ妃を匿っていたのだから……。(「君に捧ぐ、花の冠」)

先日完結したファンタジー長編「翼の帰る処」の番外編。とはいっても本編のその後ではなく、あくまでも本編中に、ヤエトの知りえぬところで起きていたエピソードを描く短編集となっている。

やはり一番読み応えがあるのは、サブタイトルにもなっている「君に捧ぐ、花の冠」と、その後日談である「黄昏の底の国」。ヤエトが自失状態にあるさなかに起きた出来事を、前者はタナーギン・スーリヤ・エイギルの視点から、後者は皇妹の視点から描いていく。ひとが思いもよらぬ理由で心を壊し、あるいは簡単に命を失うような世界で、それをまっすぐに見つめるというのはどんなにか難しいことだろうか。タナーギンは、あるいはスーリヤは実際にそんな絶望を見て、しかしそれでも前を向く力を得ることができた。人を絶望に至らしめるのは人だが、そんな人を癒し支えるのもまた、人なのだろう。

一方でそんな素振りを一切見せない皇妹だが、スーリヤが彼女と心を繋げたことで知った、その裡に渦巻く激情というのはいかほどのものだっただろうか。また、初めて彼女を視点に据えることで見えてきたものもあった。すべてを超越し、まるでなにもかもをお見通しといった顔でその力を振るう皇妹だが、しかしそれは力ゆえにそう振る舞わざるを――あるいはそんな役回りを演じざるを――得なかったということなのかもしれない(まあもちろん本人が好んでやっている部分は多分にあるだろうが)。いつか自分が向かう場所を「黄昏の底」と称する皇妹の姿が、彼女という存在の本質を物語っているよう気がした。


◇前巻→「翼の帰る処5−蒼穹の果てへ−(下)」


大学を卒業したもののに就職できず途方に暮れていた夏芽勇作が拾われたのは、呪いを招く特殊な文化財を調査する民間業者「STCセンター」だった。その日、神祇鑑定人だという九鬼隗一郎と共に向かったのは、とあるヤクザの親分・田頭の家。3か月前にある刀を失って以来、田頭は体調を崩し、さらには「喰われる」悪夢に悩まされているのだという。彼が奪われたと語るのは、アイルランドの詩人・イェイツが所有していたとされる日本刀だった。「器に足りない者は喰われる」と言い伝えられるその刀の行方を追うふたりは、有名なオカルティスト・室見千鶴子が田頭と親交があったことを突き止めるが、彼女は半年前に病死しており……。

神祇を鑑定する「ジンカン」の活躍を描くオカルトミステリ。

落ちこぼれを自覚する新人・勇作と、隻眼の壮漢・九鬼という見た目的にもギャップがありすぎるコンビが、呪いをもたらす特殊文化財絡みのトラブルを瞬時に解決!という話かと思ったら思いのほかそうではなかったりする本作。見た目通りにベテランな九鬼はともかくとして、たまたまこういう仕事に就くハメになった素人かと思いきや、実は勇作の方も大きな「問題」を抱えていることがわかる。そしてそれが次第に、ふたりの関係にも大きく影響していくという展開に。

詩人であり魔術結社の一員であったとされるイェイツの「日本刀」、持ち主をことごとく死に至らしめるという「キプロスの女神」、そして秀吉から家康に渡ったとされる「月の小面」という3つの特殊文化財に触れる中で、勇作は自分の抱える問題、そして九鬼との関係を改めて考えることに。トクブンに対して異様なまでの執着を見せる九鬼の、その真意はどこにあるのか。そしてそんな九鬼を「鑑定」すると誓う勇作が、いったいどんな結果を示してくれるのか気になる。加えて取り上げられるトクブンの来歴や蘊蓄がなかなか興味深いので、ぜひ続編希望ということで。


王宮からの逃亡に失敗し、そのまま倒れてしまった遊圭。玄月の計らいで拒否権が執行されたものの、体調がよくなり次第、逃亡を企てたことに対して皇帝・陽元に直接説明をするよう命じられてしまう。玄月が呼び寄せた宦官医・馬延の鍼治療のおかげもあって回復しつつあった遊圭だったが、そんな折に彼が身を寄せていた養生院で火事が発生。とはいえ、からくも逃げ延びた遊圭は玄月の屋敷に匿われ、その後予定通り陽元に謁見することに。逃亡のことも厳しく追及されることなく、和やかに進みそうだったのも束の間、明々が医師になりたいと言った途端、陽元は女が医生官試験を突破するのは族滅法を廃するくらい不可能なことだと一蹴。かっとなった遊圭は、自分たちが試験に合格すれば族滅法を廃止するよう、陽元に要求し……。

法により家族を皆殺しにされた少年が、一族の復興を夢見て後宮に潜伏する中華風ファンタジーシリーズ3巻。今回で後宮編完結ということで。

病弱なわりには(あるいはだからこそ、か)かっとなりやすい性質を周囲から指摘され、自覚もしていたにも関わらず、一番かっとなってはいけない場面――皇帝との謁見時――でやらかしてしまった遊圭。皇帝に族滅法を廃止させるため、女官仲間たちと医生官試験に合格するため猛勉強を始める遊圭だったが、元々男性社会である金椛国において、女性が男性と共に学び、試験を受け、職に就き……ということは夢物語に等しく、勅命により始められた試みであるにも関わらず、講義初日から前途多難。生徒だけでなく講師たちからも嫌がらせを受ける遊圭たちを見ていると、なんだか現代の日本にも通じる部分がなきにしもあらずでなんとも腹立たしい気分に。

一方、そんな受験編の裏側で動いていたのは、前巻で遊圭が暴いた疑獄事件のその続き。連座されられるはずの公主や皇子が姿を消し、さらには囚われていたはずの永氏が脱獄したことで事態は急展開。彼らの標的となってしまったヒロイン(※男だけど)・遊圭の運命やいかに!という展開にはハラハラさせられっぱなしで一気に最後まで読んでしまった。

というわけで、いったんキリはついたものの、どうやらまだ続いてくれるらしいこのシリーズ。晴れて王宮から出られることになった遊圭のその後が描かれるのだろうが、結局玄月が何を思って遊圭たちを利用したり助けたりしていたのかははっきりせずじまいなので、玄月サイドのエピソードも並行していただけたらなーと思ったり。


◇前巻→「後宮に月は満ちる 金椛国春秋」


高校生の弟・翔が突然、駿のアパートへ押しかけて来た。駿の代わりに実家の神社を継ぐ予定の翔は、実家に内緒でオカルト雑誌の編集部のバイトをしている駿を心配してきたらしい。しかし都合よく(?)駿は編集部の取材を兼ねた慰安旅行でとある旅館へと向かうことになっていたのだった。読者からの投稿では、その旅館で怪しい人影が現れたり、夜中に金縛りに遭ったりしたというのだ。さっそく編集部員4人全員で宿へと向かったが、壁際ぎりぎりに置かれたソファの向こう側に女の足が見えたり、荒れ果てた宴会場からにぎやかな声がしたり、女湯の脱衣場に泥だらけの浴衣が置かれていたり……と次々と怪しすぎる場面に遭遇し……。(「戦慄!心霊さまよう温泉旅館」)

オカルト雑誌「トワイライト」編集部でバイトする霊感(?)青年・駿が遭遇した奇妙な事件をゆるーく綴る連作シリーズ第2弾。

今回は心霊現象が起きるという旅館で取材旅行!な「戦慄!心霊さまよう温泉旅館」と、謎のオカルト作家・薔薇王院が巻き起こす騒動に編集部が巻き込まれる「激闘!狙われた編集部」の2本立て。前者は温泉旅館で怪奇現象といういかにもなエピソードだが、追いかけてくる幽霊たちを撃退する方法には笑ってしまった。ある意味いまでないと書けないオチのような気も。

一方、後者では「トワイライト」編集部に恨みを持つ「薔薇王院ジャン」なる人物(中二病的オカルトライターだか作家だからしい)が登場し、ぬいぐるみを動かしたり自殺した女性の霊を操ったりして編集部を攻撃。その中で臨時バイトに来ていた駿の幼馴染・千夏まで被害に遭うという展開に。かんぜんなるもらいじこではあるが、さらに昔、故郷で千夏を狙っていた蛇神までもが再び現れたことで事態は急展開。……と思いのほか深刻な内容なのにやっぱりオチは微妙にゆるくて、このシリーズ、好きだなあとしみじみ思ってしまった。

そんな感じで、今回もわりとガチな心霊現象が起きているにも関わらず、どこかゆるーい感じで解決したりやりすごしたり。ただ、これは「トワイライト」がオカルトを扱っているがために誘発されているだけなのか(類は友を呼ぶ的な)、あるいは駿のオカルト引き寄せ体質のせいなのか……たぶん両方なのだろうが、後半の「激闘!〜」はどちらかというと編集部のせいのはず(笑)。とはいえここで登場した薔薇王院氏の能力は彼の実力なのか、それとも標的の中に駿がいたせいで底上げされてしまったのかはイマイチ不明。次巻があれば彼の活躍に期待したい(笑)。


◇前巻→「怪奇編集部『トワイライト』」


交通事故で両親を亡くし、自身も大怪我を負った少女・深瀬綾乃は、伯父夫婦に引き取られて岡山で暮らしていた。不自由ない暮らしではあるが、恩のある伯父夫婦の勧め――例えば、ゆくゆくは伯父の勧める人物と結婚するというような――になんとなく息苦しさを感じるように。そんな彼女の心の支えとなっていたのが、幼い頃に洞窟で見つけた白蛇の「雨太郎」ことアロウ。今や立派な大蛇となった――さらには人間にも変身できるようになったアロウが何度となく囁く「結婚しよう」という言葉に、喜びながらも戸惑いを隠せない綾乃。そんな折、村祭りの舞手に選ばれた綾乃だったが、祭りの当日、近くのサーカスから逃げ出したアナコンダに襲われてしまう。明らかに綾乃を狙っているそのアナコンダから彼女を救ったのはアロウ、そして研究のため村にやってきていた民俗学者の大原先生だった。アナコンダを撃退した後、どさくさに紛れて村を出た綾乃は、大原先生の勧めで魔女を養成しているというディアーヌ学院へ転入することを決め……。

第2回創元ファンタジイ新人賞・優秀賞受賞作となる本作は、大蛇を婚約者とした少女が魔女修行をする中で数奇な運命を導き出すことになるボーイ・ミーツ・ガールな成長譚。

目次などに明確に描かれているわけではないが、本作は大きく3つの章に分かれている。岡山県北の村を舞台に綾乃とアロウの関係、そして旅立ちを描くイントロダクション的な内容の第1章、妖魅たちが魔女を目指して学ぶ「ディアーヌ学院」での学園生活を描く第2章、そしてひょんなことから故郷に戻った綾乃が過去へと跳ぶ第3章。本作の帯に「横溝正史×ハリー・ポッター!?」と書かれているのだが、前者は1・3章、後者は2章のことを指しているのだろう。とはいえ横溝正史的な感じは「部隊が岡山県北部の山村」「過去編が明治〜大正あたり」というくらいしかないような気もするがまあそれはさておき。

1章では、のちに綾乃が「しらたまおろち」と呼ぶようになる白蛇・アロウが登場。人間の姿にも変身し、綾乃に求婚するアロウだが、その出自は不明なまま。一方、2章からは大原先生の弟である雪之丞という少年が登場するのだが、彼は雪女と大蛇のハーフということで、黒い大蛇に変身できるのだという。最初は反発し合っていたものの、共通の趣味のせいもあってか徐々に距離を縮めてゆく綾乃と雪之丞。しかし綾乃の中にはアロウとの結婚の約束がある。なのでこの三角関係は早々に決着がつくだろうな……と思っていたところでまさかのどんでん返しが。まさに大団円!な結末がとても良かった。


源平の争乱が終わり、まだ落ち着き切らない平安京にあって、和歌にしか興味を持たず日々研鑽に努める青年貴族の希家。物騒だと周囲が止めるのも聞かず、夜更けに吟行していたある日、卯の花畑で死んでいる女性を発見してしまう。その情景に目を奪われているところを検非違使に捕らえられてしまう希家だったが、女性の夫と名乗る男が現れたことで事態は急展開。希家の他意のない言葉に恐れをなした男は犯行を自白し、希家は無事解放されるのだった。しかしその出来事に尾ひれがついて宮中で流行。広めたのは中宮の下っ端女房である少女・陽羽だった。主のために怪異譚を集めているという陽羽だったが、その後、宮中では怪異が立て続けに起こるようになり……。

作者の講談社タイガ初作品となる本作は、青年歌人と下っ端女房が宮中に潜む怪異に挑む?ミステリ長編。

最初はとある夫婦のいさかいに端を発した殺人事件で、それに希家が巻き込まれるかたちとなるのたが、これが広まったことで妙な騒ぎを誘発する(?)ことに。宮中で聞こえたという謎の声、そして殺された公達――それらを人々は「鵼」の仕業とし、怯え惑い始める。もちろん現代人である私たちから見れば、おそらくこれは怪異ではなく、それを隠れ蓑にした殺人事件だろうと考えることができるが、この頃の人々ではそうはいかない。しかしそれを突き止めようとするのが、希家と陽羽のでこぼこコンビということになる。好奇心旺盛な陽羽が、歌にしか興味のない希家を振り回すという関係がなんとも微笑ましい。

とはいえ本作では表向きにしかオチがつかずに終わる。真犯人は読者にのみわかる仕掛けとなっているが、その動機はまったくもって不明のまま。犯人が何を考え、どのような狙いでこの犯行に及んだのか。そして黒幕は誰なのか……というわけでぜひ続編希望。


巨大なオリハルト鉱石の中から現れた謎の少女・アリス。そしてオリハルトに引き寄せられるかのように現れる移動天体ラジーブ。これらを繋ぐのが、MTシステムの開発者でもある「ケイン・アリスガワ」なる人物だった。彼について調査を進めた結果、オリハルトは人類とは別の知的生命体が生み出した廃棄物であり、ラジーブはそれを回収するための装置であること、よってオリハルトを使い続ける人類はラジーブによってもろとも滅ぼされてしまう可能性があること、そしてそれをケインが予見していたことが判明する。カーラが軍の情報衛星から取得した情報を元に「ケイン・アリスガワ」がいるという研究施設に向かったイドたち。しかしそれは「ケイン・アリスガワ」の罠でもあった。イドたちの前に現れた仮面の男「ケイン・アリスガワ」は、イドこそがケイン本人であると告げ……。

同名SFアニメのノベライズ、完結編。Iマシンと呼ばれるロボットに意識を封じられた主人公・イドが、失われた自身の正体に迫る中で、人類の存亡を賭けた事態に巻き込まれることに。

前巻はアニメのストーリーを追いつつ、主人公である天涯孤独の少女・マヤの内面に迫ってゆく展開となっていたが、今回はもうひとりの主人公であるイドの内面の変化が描かれてゆく。天才科学者ケイン・アリスガワが身体も記憶も奪われてIマシンに封じられ、やがて現在の仲間たち、そしてマヤと出会ったことで、「イド」という新たな人格を形成してゆく過程。かつての「ケイン」は感情であるとか思いやりの心とかいうような情緒面が未発達な人物で、すべてにおいて合理性を優先させるような人物だった。しかしイドはそうではない――最初は記憶も存在意義もすべてを持たない虚無の状態ではあったが、仲間たちと過ごす中でそうではなくなりつつあるというその変化が、周囲にも、そしてイド自身にも目に見えてわかるような状態。だからこそ、彼は常に「ケイン」ではなく「イド」であることを――もちろんかつては「ケイン」であったことを前提にして、ではあるが――選択することができたのだろう。そして、ラジーブを止めて人類を救うことも。そんな彼の大きな変化がとても印象に残った。


◇前巻→「ID-0 1 Cognosce te ipsum.――汝自身を知れ」

まるまるの毬 (講談社文庫)
西條 奈加
講談社
2017-06-15

麹町のなかほどにある菓子屋「南星屋」は、諸国をめぐり修行してきた店主・治兵衛が各地の名菓を日替わりで作ることで知られている、毎日売り切れ続きの繁盛店。出戻りの娘・お永とその娘であるお君の3人で切り盛りするこの店に、ある日突然同心が現れる。なんでも治兵衛が先日作った「印籠カステラ」が、平戸藩の門外不出の南蛮菓子「カスドース」とまったく同じ味だという訴えがあったというのだ。しかし平戸には行っていないこと、さらに治兵衛の弟でもある相典寺の住職・石海の口添えもあってその日は解放された治兵衛だったが、翌日からも取り調べは続いていた。そこで治兵衛は、同心たちの前で印籠カステラを実際に作り、その製法を平戸藩に送って、カスドースのそれと同じかどうか確認してほしいと訴えて……。(「カスドース」)

第36回吉川英治文学新人賞受賞作の文庫化。その出自に秘密のある菓子職人・治兵衛が作る様々な名菓をめぐる連作時代小説。

そもそも表紙の大判焼の絵につい惹かれて買ってしまったのだが(笑)、とにかく治兵衛の作る菓子はどれもおいしそうで、読んでいるとなんだか口の中が甘くなってくるような気さえする本作。しかしそんな菓子の描写だけでなく、治兵衛一家の穏やかな日々の風景にもほっこりとさせられる。

しかし、お永の秘密に迫る表題作「まるまるの毬」、さらに「カスドース」で登場した若き武家の青年・河路と、治兵衛の孫娘・お君とのロマンスなど、物語が進むにつれ、治兵衛の周辺にも否応なく変化が。やがて治兵衛の出自に関わる問題が、彼だけでなくその周囲の人々にも問題をもたらし始める展開にははらはらさせられたが、そんな問題を解決したのもまた、治兵衛が作った菓子の力。どうにもならないこともあったけれど、最後の最後まで人情味にあふれた温かな物語だった。


時空転移するという性質を持つ未知の鉱石「オリハルト」によって、人類は宇宙進出を可能とした。その技術を応用して作られたのが「MT(マインドトランス)システム」。人類はIマシンと呼ばれる巨大ロボットに自らの意識をコピーすることで、肉体を危険にさらすことなく宇宙船外での活動も可能にしたのだ。天涯孤独の苦学生ミクリ・マヤは、宇宙地質学の知識を見込まれ、尊敬する教授の調査チームメンバーとしてとある天体の掘削調査へと向かうことに。しかしIマシンでの作業中、事故に巻き込まれ宇宙空間に投げ出されてしまう。そんな彼女を救ったのが、民間の掘削業者「エスカベイト社」の一員であるイドだった。教授たちが自分を見捨てて帰ってしまったことを知ったマヤは、エスカベイト社の面々に依頼し、別の天体での掘削作業の手伝いと引き換えにステーションへと送ってもらうことに。そこで彼らが向かったのは、マヤが以前調べたことのある天体「デルタ9」。しかしそこにはフジマ組という別の業者がおり、しかも彼らが掘削に使用していたデータは、明らかにマヤが教授に提出したものと同じだったのだ。最終的にはイドの活躍により、エスカベイト社はオリハルトの回収に成功。しかしその中でマヤが知ったのは、フジマ組にデータを売った教授が、その犯人をマヤだとして訴え、指名手配犯に仕立て上げていたこと。そしてもうひとつ、イドたちエスカベイト社の面々は、Iマシンに意識を移したままの違法存在「エバートランサー」であり、さらにイドは人間だった頃のIDも記憶も何もない、正体不明の人物ということだった……。

2017年4〜6月にかけて放送された同名アニメの公式ノベライズ。遠い未来の宇宙を舞台に、「IDがゼロ」――つまり過去も正体もまったくわからない存在・イドを軸にした、魂の実在と在処を巡るSF長編となっている。

ひょんなことから掘削業者の一員となり、オリハルト回収業務に従事することになったマヤ。感情を表に出さず、どこかとっつきにくいイドとは衝突することもしばしばだったが、いくつかの仕事をこなすうち、次第に距離も縮まっていく。しかしやはりネックとなるのはイドの正体。どこの誰かもわからないイドは、果たして「人間」と呼べるのかどうか――その問いは常に彼の中に横たわっているが、一方で「自分は自分だ」と確固たる意志を意識的に持ち続けてもいる。そんな彼の前に、ある時その過去の一端と思われる少女が現れるのだ。

巨大なオリハルト鉱石の中から現れた正体不明の少女。彼女に触れた時にマヤとイドが幻視したビジョンは、少女が「アリス」という名前であること、そして「アリス」と、人間だった頃のイドにはかかわりがあることがわかり、ここから物語は一変する。「アリス」を狙う組織、そして「アリス」を追って現れては周囲に甚大な被害を巻き起こす「移動天体」。目まぐるしく変わっていく状況の中で、イドは自分の過去を追う決心をし、マヤもまたそれに賛同してゆく。孤児ということもあり、これまでずっと周囲の状況に流されて生きてきたマヤにとっては、「本当の自分」という寄る辺がないにも関わらずまっすぐ前へ進んでいくイドの存在が救いになっているのかもしれない。だから願わくは、イドにとってもマヤの存在が救いになってくれればいいと思ったりして。


一族出身の娘が皇后となったことで、法により一族殉死を命じられた名門・星家。その唯一の生き残りである病弱な少年・遊圭は、ひょんなことから女性と偽って後宮勤めをする羽目になっていたのだが、皇帝の側近でもある美貌の宦官・玄月に正体を見破られ、彼の手駒として今度は皇帝の妹・麗華公主の宮へ潜入することになってしまう。表向きの目的は引きこもりで体調不良の公主の治療だが、実際はその母親にして現皇帝の養母である皇太后の身辺を探ること。皇太后は先だっての星皇后暗殺未遂事件、さらにさかのぼっては現皇帝の実母である当時の皇后暗殺にも関わっている可能性があり……。

後宮で生き抜く少年女官の活躍を描く中華ファンタジー第2弾。

今回は皇族にまつわる陰謀を暴け!ということで、玄月に弱みを握られている遊圭はしぶしぶ女官勤めを継続中。しかもそのために(というだけではもちろんないのだが)、医者の資格を得て「女医生(見習い)」として、引きこもりで不摂生がたたりまくっている公主の治療を命じられるのだからさあ大変。もちろん相手は気位の高いお姫様だからして一筋縄でいくわけもないし、そもそも本来の仕事は諜報活動ということになるのだから、まだ10代の、しかも素直で世慣れていない少年には荷が重すぎるとしか言いようがない。しかし後ろ盾もなければ、存在がバレれば殺されることが確定しているということで、遊圭は懸命に任務に当たってゆく。しかしここで単なる義務感のみで動くのではなく、公主や偶然知り合った最下層の宦官、また体調の悪い女官たちの相談を親身になって受け止め考える遊圭の姿からは、彼の生来のやさしさが垣間見える。

とはいえやっぱりまだ10代男子ということで、いろいろと見誤ることもあれば、焦りから失敗することも。そんな彼をフォローするのが完璧すぎる宦官・玄月だが、今回の彼の「作戦」や、その中で遊圭が見聞きした彼の来歴などを考えると、彼の本意がどこにあるのかますますわからなくなってくる。私心なき忠実な官吏なのか、それとも何か企みをその美しい顔の下に隠していたりするのか……遊圭でなくとも簡単に信じられないというか、まだなにかあるんじゃないかとつい疑ってしまったりして。


◇前巻→「後宮に星は宿る 金椛国春秋」


事務所へ向かう途中、具合の悪そうな少年を見かけた莉莉。靫正と名乗るその少年の行先は十六夜ビル1階の喫茶店――つまりあやかし専門の医師・晴と嵐の事務所の階下にある「エリュシオン」だった。靫正の叔父でもある喫茶店のマスターと共に話を聞くところによると、かつて靫正は烏天狗のあやかし・サクヤと「ゆびきり」による契約を交わしたが、最近になってサクヤの具合が悪く、さらにそれが靫正にも影響を及ぼしているのだという。晴たちの見立てによれば、サクヤの不調は病ではなく呪いによるものらしいが、それをかけた相手だけでなく、理由すらサクヤにはわからないようで……。

あやかし専門のお医者さんな双子(うち片方は幽霊)と、その弟子になった女子高生が織りなす癒し系シリーズ第3弾。

今回やってきたのは呪いを受けた烏天狗と妖狐。どちらのケースも呪った張本人はわからなかったものの、呪いそのものがそれぞれのあやかしを指定して直接狙ったものではなく、無差別な犯行的な感じだったので大事には至らなかったが、前巻で双子が示唆していた、反あやかしを掲げるだけでなく実行する人物が確実に存在しているということがなんともうすら寒い。そしてその中で莉莉が直面したのが、リヒトとの関係そのものだった。

ヒトとあやかしが死ぬまで一緒にいるという契約を意味する「ゆびきり」――式神との契約とは異なるこの関係を結んでいた莉莉とリヒトだが、リヒトの方は思うところがあった模様。それは今回登場した烏天狗のサクヤも同じだった――つまるところ、そばにいるだけではなく、相手のためになにかしたいのだということ。莉莉も靫正も「そばにいてくれるだけでいい」というが、相手の気によって自分の存在を保っていられるリヒトやサクヤにしてみれば、捨てられたくないから役に立ちたいと思ってしまうのは当然のことかもしれない。

そんなふたりに晴は告げるのだ――「そばにいてくれるだけでいい」というのはつまり、「絶対に離れないでいてほしい」ということではないか、と。だから莉莉は怒るのだ。こんなにもやさしいあやかしたちを呪おうとする人物に。そして自分のもとから黙って離れようとするリヒトに。莉莉とリヒトは同じ種族ではないし、関係性も人間同士のそれとは違うから、今回のようにすれ違ってしまうことはあるかもしれない。けれどこうして互いのことを思いやるという点では、種族の違いなど問題ではない。そんな当たり前のことに気付かせてくれる結末がとても良かった。


◇前巻→「あやかし双子のお医者さん二 付喪神と千羽鶴の願い」

不死探偵事務所 (WINGS NOVEL)
縞田 理理
新書館
2017-03-28

「魔の法(セレマ)」の素質がなく、唯一の取柄である美貌を活かしたエスコート・サービス業で細々と食いつないでいたシモン・セラフィン。そんな彼が散々考えた末の転職先が、この魔都ホワイトヘヴンの裏社会を牛耳るスカンデュラ一家の殺し屋になることだった。そんなシモンにテストも兼ねて命じられた初任務は、もぐりの魔導師ながら高級住宅街に探偵事務所を開いているというアンブローズ・ネロを殺すことだった。組織から与えられた魔弾をネロに撃ち込むことに成功したシモンだったが、なぜかネロは血まみれになりながらも死ぬ気配はなく、どころか着られなくなったスーツの弁償をシモンに迫ってくる。かくして主に逆らうと首が締まる「奴隷首輪」を付けられ、ネロの従僕にされてしまったシモン。しかし翌日から彼に命じられたのは事務仕事で、さらに豪華な食事や給料まできっちり与えられ……。

「小説Wings」で2016年に発表された、顔だけがとりえの天然お人好し青年と、謎だらけの探偵という奇妙なコンビによるバディもの連作。

「魔の法」という能力が存在し、これによって職業選択にも影響が出たりする世界の中で、しかし主人公であるシモンはなぜかこれがまったく使えない。一方、不幸な事故(?)からシモンの主ということになったネロは最強レベルを通り越して測定不能という域に達する魔導師だという。しかも外見は20〜40歳という幅の広さだったり、しかして実年齢は100歳を越えている噂があるだとかで、同業者からは畏怖の象徴というかできる限り関わりたくないと考えられているような人物。そんな人物に特攻を仕掛けるシモンの世間知らずさとか軽さとかにはびっくりしたが、物語が進むにつれ、とにかく根がいいひとすぎるゆえの鉄砲玉気質なんだなあ、と納得させられた(笑)。

一方でネロの方はといえば、シモンが同居を始めてからというもの、その素性には謎は深まるばかり。冷酷そうな人物に見えたけど、シモンの面倒をしっかりみていたり、事件が起きれば(自分の都合があるにせよ)最終的には被害者に対して最も良い解決を導いたりと、実は悪い人ではないのでは……?という疑惑が浮上。しかもそんな態度や振る舞いも、天然シモンにかかれば「心根の優しい男だけどシャイだから表にそれを出せないだけ」という、言われる側としては悶絶必至の表現になってしまうものだからさあ大変(笑)。やがて明かされるネロの正体、そしてシモンにも隠されていた事実が発覚していろいろ驚きはしたけれど、最終的にはシモンフィルターのおかげでほのぼのとした読後感に落ち着いてしまうという、なかなか不思議な物語だった。


すみれ屋の常連客である知穂が、すみれと紙野に聞いてほしいことがあるのだという。それはずばり「恋の悩み」。「ほろ酔い姉さん読書中」というブログで読書感想を綴っている知穂は、そこで松下という独身男性と知り合った。ブログの愛読者である彼とネット上で交流を続けるうちに意気投合した知穂は、ついに彼と会うことになる。周囲からのアドバイスを受けて身なりもきちんとし、当日もとても和やかにかつ楽しく過ごすことができていた。しかし後日、知穂がお礼のメールを送ったのに、松下からは返信が一切ないのだという。女子高育ちのうえ「女性らしさ」というものに背を向けて生きてきたうえ、これまで男性と交際した経験がない知穂は、自分がなにか粗相をしたに違いないが、どの部分が相手の気に障ったのかまったく見当がつかないという。そんな知穂に、紙野は「長屋の花見」という噺が収録された古典落語の本を差し出して……。

古書カフェ「すみれ屋」を舞台に、客たちの悩みを美味しいごはんと1冊の本でほぐし解決してゆくライトミステリ連作集、第2弾。

今回、すみれと紙野のもとに持ち込まれた相談は「いい感じになっていた男性からメールの返信がこない理由」、「夏目漱石の『イイン』という本がわからない、なおかつ書店員としての仕事に行き詰まりを感じている……というふたつの悩み」、「母親が食べたという『ジョーさんのハンバーガー』の正体」、そして「結婚を約束した相手が突然心変わりをした理由」の4本立て。古書カフェという場所柄もあってか、本と食べ物の両方が絡んでくる悩みばかりというのも興味深い。そして毎回、的確に本を勧めてゆく紙野の手腕も。特にふたつめの「夏目漱石の『イイン』」の正体には驚かされた。

一方で、すみれ屋には大きな転機が訪れる。ひとつはホットドッグを新メニューとする決断、そしてもうひとつはバイトを入れるということ。どちらもすみれにとってのこだわり、あるいは経営的な判断から見送ってきた事柄だったが、前者は信頼できるグルメ雑誌の企画をきっかけに、そして後者は店の経営状態と紙野の負担を考えて受け入れることに。オープンから1年以上経ち、すみれ屋も変わってゆく。そしてすみれと紙野の関係も。ビジネスパートナーから、お互い心を許せる間柄にだいぶ近付いてきたような気もするので、続刊があればふたり関係の進展にぜひ期待したい。


◇前巻→「古書カフェすみれ屋と本のソムリエ」


住宅街の中に位置する古い木造家屋の1階で「古書カフェすみれ屋」は営業している。オーナーシェフである玉川すみれがカフェスペースをひとりで取り仕切り、奥にある古書スペースは、開業前のバイト先で知り合った紙原頁が担当しているが、古書店に客がいない間はカフェの手伝いをすることになっている。カフェの手伝いの代わりに、すみれは紙野にまかないとコーヒーを提供する――そんな紙野からの好条件の提案もあって始めた店は、常連客もつき、それなりにうまく回る日々が続いていた。そんなある日、常連のひとりでシンガーソングライターを目指す高原から相談を受けたすみれ。クリスマスを間近に控えたこの時期に高原が悩んでいたのは、3歳年上の彼女である美幸との関係についてだった。自身の経験から、結婚したら専業主婦になって家庭を守りたいという美幸は、先の見えない高原の夢を不安視し、付き合う際に条件を付けたのだという。それは「美幸が30歳になるまでに結婚する」というもの。しかし現在29歳の美幸に対し、高原がプロデビューして安定した生活を送れそうな目途は立っていない状態。そもそもプロポーズしようにも、指輪を買う金さえないのだという。そんな高原に、紙野は少し前に出ていたギター雑誌を読むよう勧めるのだった。さらに後日、高原同様ひとりで来店し、同じ悩みをすみれに打ち明ける美幸に対し、紙野はまたしてもある文庫本を差し出し、これを買って読むよう勧め……。

古書店併設型のカフェ「すみれ屋」を舞台に、「本のソムリエ」紙野が客たちにぴったりの本を勧めて彼らの悩みを解決してゆくライトミステリ連作集1巻。

主人公というか語り手はあくまでも「すみれ屋」オーナーシェフのすみれだが、物語を動かしてゆくのは古書スペースを担当する青年・紙野。常連客がすみれに相談したり、あるいはすみれが接客の中で気にかけていたことを、相手がどんな本に興味を示していたかをヒントに、紙野がたちどころに見抜いてゆく。最初は強引に客に本を買わせる紙野のやり方に憤っていたすみれだったが、そのおかげで高原と美幸の仲が元に戻ったところを見ると考えを改め、以後は紙野の好きなようにやらせることに。その信頼関係もさることながら、毎回紙野が渡した本の内容について語り合ったり、紙野が勧めた本をすみれも読むことで内容を紹介してくれたりするうち、目には見えないがなんとなくふたりの距離が縮まっているように見えてくるのがなんともいい。

ライトミステリ、あるいは日常の謎系といったジャンルに本作も入るのだろうが、起きている事柄は結構ディープな人間関係の顛末。高原と美幸の関係もそうだが、他にも「待ち合わせ」と言いながら待ち人がやってこない老人だとか、行き詰った結婚生活を解決するために不倫を推奨しているかのような会話をする男性ふたり組だとか、再婚相手の義父に懐かない子供の理由だとか、なかなか重い内容が目立つ。しかしそれを解決する紙野の手際の良さ、そしてすみれが供する、ちょっと変わったおいしそうな料理の数々が、それらの重苦しさを消して有り余る軽快さを見せる。こんなカフェが近くにあったらな、と思わずにはいられなかった。

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