保険のセールスレディとして働いているめぐみは、最近何者かに狙われていた。まずはマンション近くのゴミ置き場に閉じ込められたのだ。扉の外には犯人からと思しき手紙が残されていた――「監禁の後は、理科の実験」と。そして今度は彼氏が街頭でもらったというボディミストを使ったところ、中身は塩酸で、吹きかけた左手にやけどを負ってしまったのだ。度重なる事態に恐怖を感じためぐみは自宅に帰らず、衝動的に湘南まで逃げてきたものの、途中で財布を盗まれてしまい、帰る手段を失ってしまう。途方に暮れるめぐみは、交通費を出してくれそうな男性を探そうと、たまたま駅の近くで開催されていた婚活パーティーに参加することに。そこで若くして准教授になったというエリート男性・山本と出会っためぐみは、彼と付き合うことに。現在同時進行で付き合っている3人の彼氏のことは隠しつつ、ストーカー被害のことを打ち明けると、山本は親身になって相談に乗ってくれたうえ、犯人捜しを手伝ってくれるという。実はめぐみには犯人に心当たりがあった――手紙に書かれていた内容は、めぐみがかつていじめの標的にしていた同級生・真木に対して行った仕打ちをなぞっていたのだから……。
男を手玉にとる「悪女」光岡めぐみが、自身を狙う何者かの正体を暴こうと奮闘するミステリ長編。
父親は大手携帯キャリア会社のトップ、母親は有名な女優ということで、何不自由ない生活を送っていためぐみ。しかし子供のころから、両親から与えられる金を湯水のごとく使い、周囲を操っていじめを繰り返していたというのだから恐れ入る。しかも長じては、かつての同級生にしていじめ仲間だった3人の男性――医者の秋庭、麻布一番の大地主の息子である玉山、そしてIT企業社長の樋口と同時進行で付き合って貢がせているという状況。まともな友人はほとんどおらず、周囲を利用しながら贅沢三昧の暮らしを送るめぐみには、恨まれる理由など山ほどあるからして、犯人が誰なのかは全くわからない。もちろんめぐみ本人は反省などするはずもなく、どうにか反撃に出ようとするのだから面白い。
とはいえめぐみだけでは犯人に迫る能力も知恵もなく、婚活パーティーで知り合った大学准教授・山本と手を組むのだが、この人物の正体が判明してから、事態はますます混迷を極めていく。タイトルにもなっている「悪女の品格」とは何を指すのか――そして犯人の狙いは何なのか。めぐみのしたことは決して許されることではないが、最後まで読むとなんとなく憎めないような気持ちになってくるのが不思議。彼女の行く末を見届けたくて、一気に読み終えてしまった。
















