大学3年生の有象くんと無象くんはある日、以前所属していたテニス系サークルのイケメンくんを見かける。しかしかつてのモテオーラはすっかり消え去り、髪はボサボサ、心ここにあらずといった足取りでふらふらと歩いているかと思うと、突然道端を這っているミミズをつかみ上げ、大事そうに松の木の根元へと放してやるのだった。あまりの変貌ぶりに驚くふたりの前に、同じサークルメンバーの二番手くんが現れ、真相を語り出すのだった――二番手くんは女子メンバーのひとり・本命ちゃんを狙っており、イケメンくんと熾烈なライバル争いを繰り広げていた。そんなある日、イケメンくんと二番手くん、そして本命ちゃんとその友人である引き立て役ちゃんの4人でドライブデートをすることになる。イケメン君が運転する高級外車で海へ向かい、本命ちゃんはすっかりイケメンくんに夢中になっていた。なんとか挽回したい二番手くんは、イケメンくんが怖がりであることを思い出し、有名な心霊スポットに行ってみようと提案。無類のオカルト好きである本命ちゃんは見事に食いつき、4人は犬鳴峠へ向かうことになるが……。(「あの娘が本命」)
モテない&さえない大学生の有象くん&無象くんが、周囲で起きる様々な男女の恋愛トラブルを目の当たりにしているうちに気付いたら1年経っていた(笑)、青春コメディ連作集。
主人公(?)であるふたりをはじめとして、本作の登場人物には名前が存在しない。どこにでもいるような普通の大学生であるふたりは「有象無象」だし、ふたりが見聞きする他の男女たちも「イケメンくん」「本命ちゃん」など、そのエピソードにおける属性が名前になっているので、わかりやすいといえばわかりやすい(笑)。しかし繰り出される様々なエピソードはなかなか複雑怪奇な男女の関係を描き出しており、帯に書かれている「涙あり、笑いありの青春ストーリー」という惹句には納得させられる。
個人的に一番面白かったのは「女王陛下のダンベル」。ひ弱な男子学生「ダンベル」が、たくましい男性が好みらしい「女王ちゃん」に一目惚れし、彼女のために必死で肉体改造をしたものの、外見は清楚なゆるふわ系だが中身が酒乱ドSの彼女からはいつまで経っても下僕的な扱いしかしてもらえない。しかし、ダンベルが女王ちゃんのせいであるトラブルを起こしてしまい、もはや退学するしかないという状況に陥ってしまう。これを知った女王ちゃんはどうするか……という展開なのだが、ここで女王ちゃんが見せた行動がとにかくかっこいい。これひとつとっても、男女の関係って……と、有象無象コンビと共にまぶしく見つめてしまうのは仕方ないのかもしれない(笑)。








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