知り合いからの紹介だと言いながら空魚と鳥子の前に現れた女は、かつて裏世界で出会った肋戸の妻・美智子と名乗っていた。失踪した夫を探してほしいと涙ながらに訴える美智子だったが、ふたりは戸惑いを隠せない――なぜならふたりが出会った「肋戸」は、失踪した妻を探して裏世界に迷い込んだはずだったからだ。しかも美智子が「夫から届いた」として出してきた絵葉書に写っていたのは、肋戸が八尺様に襲われ、消えていった廃墟だったのだから……。(「ファイル19 八尺様リバイバル」)
2021年1月からアニメ放送も始まる、ネットロアに満ちた謎の「裏世界」を探検するふたりの女子を描く百合SFシリーズ第5巻。
1巻に登場した「八尺様」と再び遭遇する表題作が置かれているのは、実は今巻のラスト。ここではどちらかというと肋戸夫妻にまつわる謎&八尺様のその後(?)について語られているのだが、一方でそれまでに置かれている3編を通して、空魚と鳥子の微妙な関係の進展具合が描かれていく。空魚も鳥子も他人と接することに対するハードルがわりと高いようなのだが、こと鳥子から空魚に対する距離感はあからさまに近い。今巻では、その好意に空魚がようやく向き合おうとする様子が描かれていく。まるでそれは初恋のようで(まあ実際にも「そう」なのかもしれないが)、どうにも甘酸っぱく、あるいはじれったく、ついつい「もっとがんばれ!」と叱咤激励したくなってしまう(笑)。ふたりを取り巻く状況――主に裏世界について――はますます深刻になっているような気がしないでもないが、ふたりにはぜひ力を合わせて頑張っていただきたい。
◇前巻→「裏世界ピクニック4 裏世界夜行」

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