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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。 (当ブログは全文無断転載禁止です)

カテゴリ: 藤原祐

ロストウィッチ・ブライドマジカル 2 (電撃文庫)ロストウィッチ・ブライドマジカル 2 (電撃文庫)
藤原祐

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-01-10
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水奈たちの通う雉子野中学で、最近まことしやかにささやかれる「おまじない」の噂があった――いわく、呪いたい相手の名前を書いた紙片を硝子玉と一緒に桜の木の下に埋めると、「硝子玉の魔女」がその相手を不幸にしてくれるのだ、と。その噂話に『魔女』が関与していると見た水奈たちは調査を開始するが、その翌日、水奈の友人がその呪いと思われるような唐突さで事故に遭ってしまう。一方、水奈の『魔女』仲間である耶麻音は、自らそのおまじないを実行し、硝子玉と紙片を回収しにくる「硝子玉の魔女」との遭遇に成功する。だがその「硝子玉の魔女」――庵子が耶麻音と遭遇したその前日に、『魔女』たちの中でも過激な狂信者集団『バーバ・ヤーガの小屋』に所属する『魔女』とも接触していたことを知り……。

シリーズ2巻。今回は鍛冶目山市の『魔女』たちの組織として前巻でも名前の出ていた『バーガ・ヤーガの小屋』のメンバーが登場。この組織の異様さを浮き彫りにすると同時に、『魔法』という人の身に過ぎる、途方もない力を得た少女たちが陥ってしまったメンタリティの特殊さが描かれてゆく。

でもって今回は、前巻ではあまり前に出てこなかった水奈の仲間である『魔女』、関姉妹が登場。関総合病院なる大病院の娘であるが、その生まれのせいもあり、微妙な関係なのがこの姉妹。正妻の娘である妹の栞は元々病弱で、今も病院内に住んでいるというツンデレ引きこもり娘。姉の耶麻音は愛人の娘で、それゆえに父親からも疎んじられているが、頭の回転がいいし、面倒見も人当たりも良いしで、仲間内ではみんなのお姉さん的ポジション。よって一見すると姉妹仲はあまり良くないというか、からかう姉にキレる妹という感じではあるが、実際は互いを認め合っているという複雑さ。今回の事件では「硝子玉の魔女」が栞の知人であったことから、事態がよりややこしいことになっていくのだが、それを挽回したのもまたこの複雑な姉妹愛だったりするのがなんというかもう。

ということで市内の『魔女』たちの現状がおおむね語られたところで、次は水奈たちの探している人物――蓮の姉・人魚がその姿を現し始めるという展開に。彼女の目的は何なのか、そしてその能力は――『魔女』としてありえないスペックを持つその理由は何なのか、いろいろと疑問だらけ。水奈たちと敵対したいというわけではなく、水奈と蓮のために暗躍しているようなふしもあるのだが、さて。


◇前巻→「ロストウィッチ・ブライドマジカル」

ロストウィッチ・ブライドマジカル (電撃文庫)ロストウィッチ・ブライドマジカル (電撃文庫)
藤原祐

アスキー・メディアワークス 2013-09-10
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今から約15年前、ここではない別の世界――『魔法の国』の女王が死に、その力ある『器』はばらばらになって『魔法の国』からは消えてしまった。その『器の欠片』は鍛冶目山市の少女たちの裡に宿り、それを追いかけて『魔法の国』の住人たちもやってきた。その欠片を集めてひとつにし、新たな女王を生み出すために。そして一見すると普通の女子中学生にすぎない咲森水奈もまた、その『欠片』を宿す『魔女』のひとり。ある日、魔力を使って万引きをしようとする少女・四十万薫を発見した水奈はそれを止めようとするが、逆恨みしてきた薫に襲いかかられる。応戦する水奈だったが、そこに現れたのはクラスメイトの市来柊。一般人には見えるはずのない『魔女』姿のふたりを、柊はどうやら視認できているようで……。

椋本夏夜と「アカイロ/ロマンス」以降久々にタッグを組んだ新シリーズは、罪科たる『魔法』を狙って少女たちが殺し合うという、まことに殺伐とした(けれどまあ作者としては平常運転な)美少女バトルロイヤルもの。

異世界である『魔法の国』からやってきた住人――『体現者』たちは、現実世界のなにかしらを依代として現れ、『女王の器の欠片』を宿す少女と契約――『婚姻』を交わす。そうすることで少女たちは『魔女』となり、『体現者』の有する固有の魔法を使用できるようになる。『体現者』たちの目的は、散り散りになった『欠片』をひとつにまとめること。ゆえに『魔女』たちは殺し合い、勝者が敗者の『欠片』を吸収していくというシステム――それが『女王のための統合戦争』。そんな殺伐とした状況の中、水奈は幼なじみの早良坂蓮と一緒に、この『戦争』絡みで行方不明になっている蓮の姉・人魚を探しているのだという。

とまあこんな感じで、今回は世界観の説明、そして水奈と蓮の関係や目的が語られてゆく。現時点では某まどマギと作者の過去作である「レジンキャストミルク」を足して2で割ったような印象なのだが、それにしても蓮が目立たないこと。前線に出て戦うのは水奈たち『魔女』なので、現時点で唯一の男子レギュラーキャラで、水奈の『体現者』であるはずの蓮の存在が薄すぎてしばらく「???」となったのだが、でもまあ最後の最後で彼の正体が明かされて、やっとなるほど!と納得。蓮と水奈の関係、そして人魚の行方と目論みなど、いろいろと気になる点もたくさんあるので次巻も楽しみ。

煉獄姫 六幕 (電撃文庫)煉獄姫 六幕 (電撃文庫)
藤原祐

アスキー・メディアワークス 2013-01-10
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ユヴィオールに「消失点」を奪われ敗北し、大怪我を負ったフォグは、キリエと共にレキュリィの屋敷に向かう。カルブルックいわく、レキュリィの屋敷はもともとフォグたちの「父親」であるローレンの持ち物であり、レキュリィにも開けることのできなかった「開かずの間」があるのだと。そこにローレンが何らかの研究結果を残しているのでは、と考えたフォグたちは、意識を失ったままのレキュリィを伴い、その部屋を訪れる。フォグが触れると開かれたその扉の向こうで、3人はローレンの精神体のようなものと対峙することに。一方その頃、ユヴィオールはアルトを再び塔に幽閉したうえ、王弟リチャードに国王夫妻とマーガレット姫殺害の罪を被せ、処刑しようとしていて……。

というわけで完結編。
アルトだけでなく、人造人間としての能力も奪われ、詰んだとしか言いようのなかったフォグたちだったが、そんな彼らを救ったのははからずも「父親」であるローレンだった。ユヴィオールは、ローレンはのちに自分が復活するためにフォグたちを作ったのだと言っていたが、それは彼らの思い込みにすぎなかったことが明かされる。フォグたちは確かに望まれて――愛されて生まれてきたのだと。ただローレンの考え方が常人のそれとは大きく異なっていたために誤解が生じたのだと。

その生を望まれていたフォグと、望まれなかったユヴィオール。たったひとつの、けれども決定的な違いが、ふたりの明暗を分け、勝敗を決する。そしてアルトもまた、「エルザ」を自主的に起動させることで、母親の愛情を再確認する。生きることは戦うことであり、愛し愛されることでもあるのだと、フォグとアルトの姿から改めて考えさせられた。たとえ多くのものを失っても、いつかひとりになる日がくるとしても、それでも。


◇前巻→「煉獄姫 五幕」

煉獄姫 五幕 (電撃文庫)煉獄姫 五幕 (電撃文庫)
藤原 祐

アスキー・メディアワークス 2012-05-10
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フォグとアルトの前に姿を現したのは、行方をくらましていたトリエラ。彼女が従えている龍に立ち向かうふたりだったが、その強大さに苦戦を強いられる。同じ頃、匍都中にトリエラの創り出した幻獣が出現。レキュリィはカルブルック、リチャードと共に王城へ向かうが、王城の結界はユヴィオールの部下によって破壊され、国王はすでに殺された後だった。ユヴィオールはティ・キに命じてキリエ、そしてマーガレットとキアスをも玉座に呼び寄せ、自身が人造人間であることを明かす。それを聞いたレキュリィは、ユヴィオールこそ自分たち「ローレンの雛」の4人目であると断じるが……。

瑩国崩壊の第5巻。
ユヴィオールによる匍都の混乱、そして王の殺害。激しい戦闘を経て満身創痍のフォグとアルトに提示されたのは、あまりにも残酷な真実だった。「ローレンの雛」第四円の正体、そして4人の雛たちが集まったことで引き起こされた事態。ユヴィオールが自身の過去とコンプレックスを吐露したことで、彼の狙いが明らかになり、なおかつその願いが成就されようとする現状はどこまでも救いがなく、読んでいてつらい気持ちになってくる。

フォグはアルトと共に生きることで、自身の存在を肯定されていたとも言える。けれどユヴィオールにはそれがなかった。生まれながらにして失敗作と呼ばれたことが、彼の心に深い傷となって残り続ける。その傷こそが、彼がこれまで生きてきた原動力となっていた。けれど彼がこれからやろうとしていることは、果たして彼の傷を埋めて消してしまうことができるのだろうか。そしてフォグはそんなユヴィオールを止めることができるのだろうか。


◇前巻→「煉獄姫 四幕」

煉獄姫〈4幕〉 (電撃文庫)煉獄姫〈4幕〉 (電撃文庫)
藤原 祐

アスキーメディアワークス 2011-11-10
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ユヴィオールの反逆と時を同じくして、正統丁字教が瑩国転覆のために本格的に動き始める。奇跡認定局の実行部隊「使徒」によって瑩国の無差別暗殺計画が進められ、瑩国は混迷を極めてゆく。だが敵も目的も分からない以上動くことのできないアルトとフォグは、ただ鍛錬に励んでいた。そんな中、買い出しに出かけたイオはアイリス=デーンとおぼしき女性と出会う。しかし彼女は「アイリス=キャリエル」と名乗り、イオを拉致しようとして……。

シリーズ4巻はどちらかといえば助走編というか。ユヴィオール一派、そして正統丁字教の動向をメインに描きつつ、新たな戦いの始まりまでが描かれていく。

先の事件でアルトの「切り札」を使うしかなかった自分の無力を嘆くフォグは、もうあの「切り札」を使うことのないよう、アルトと鍛錬することに。アルトもまた、先の事件を経て何か思うことがあったのか、戦うことに対する意識が変わったよう。まあこれについては事件だけではなく、フォグのおかげなのかもしれないが。そんな成長ぶりが垣間見えたのも束の間、またふたりは戦地に駆り出されることになる。そしてそこに再び立ちふさがるのはユヴィオールたち。なんともいやーな場面で「つづく」となってしまったので、今後の展開が気になる。


◇前巻→「煉獄姫 三幕」

煉獄姫〈3幕〉 (電撃文庫)煉獄姫〈3幕〉 (電撃文庫)
藤原 祐

アスキーメディアワークス 2011-05-10
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アルトの妹でもある瑩国の第1王女・マーガレットと、悳国の王子・ディードの婚約話が水面下で進む中、そのディードが瑩国を訪れることに。瑩国王家は厳戒態勢を敷くために「レキュリィの宴」に協力を要請。さらにフォグとアルトも王宮の警備に当たることになる。一方、王属軍所属の煉術師・ユヴィオールはディード来訪の機を狙って暗躍し……。

いいことなしな気がするのは通常運転としか言いようがない(?)シリーズ3巻。
王家、レキュリィ、そしてフォグたちが協力体制を取る中、アルトは妹姫・マーガレットに遭遇してしまう。

姉妹でありながら、まったく違うふたりの姫君。アルトはその存在そのものを消され、幽閉される日々。一方マーガレットは蝶よ花よと育てられ、望むものがなんでも手に入る、輝かしい存在。しかしそんなマーガレットにも手に入れられないものがあった――それは人の心。フォグを慕っているマーガレットだったが、アルトに対するマーガレットの態度をフォグは許せず、自分にその気はないことを断言してしまう。
そんなフォグの発言に動揺していたのはマーガレットだけではなかった。マーガレットと話すフォグに対して不安を覚え、「大事な人」と呼ばれたことに戸惑うアルト。自身の境遇に疑問を抱きながらも、同時に芽生えたのはフォグへの恋心。ああもうなんてかわいらしいの!

……と思ったのも束の間、やっぱりアルトたちに待っているのは血なまぐさくもどこか甘い煉獄の香り。ユヴィオールの目論みが世界に、そしてふたりにもたらすものは一体何なのか。アルトの秘めた――というよりは制御不能な煉術の存在、さらにユヴィオールの元に現れた「アイリス」。不安要素ばかりが増えていく。


◇前巻→「煉獄姫 二幕」

煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)
藤原祐

アスキー・メディアワークス 2011-01-06
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瑩国随一の商人組合「レキュリィの宴」に召喚されたフォグは、そこで彼の妹だと名乗る代表者に出会う。そして同じ頃、地下の牢獄で、アルテミシアは先の事件で喪ったはずの友人――キリエと再会する。煉禁術によって生み出された子供たちは再会を果たし、そうして再び事件が引き起こされる。先の事件で生き延びたイパーシが起こした連続殺人事件に、フォグとアルトは関わることになり……。

どこまでも重く、救いのないシリーズ2巻。
「ローレンの雛」と呼ばれる、煉禁術によって創られた存在。煉獄の毒性を吸収して自身の力に変換するフォグ。無数の身体でひとつの意識を共有する「群生」として、死を克服したキリエ。そして、生まれながらにして、自身の裡に煉獄を持つアルト。異能の子供たちはどこまでも殺し合うのが運命――と言わんばかりに、次々とアルトとフォグには神経を擦り減らすだけの、過酷な戦いが迫ってくる。一難去ってまた一難。

ふたりをとりまく状況もさることながら、今回もっとも恐ろしかったのは辺獄院の女性研究者・トリエラの存在。倫理なんてそっちのけで、目の前にある研究対象に迫っていく。その彼女が今後の火種になりそうな結末には思わず嘆息。今後の展開がまたこわい……。


◇前巻→「煉獄姫」

煉獄姫 (電撃文庫 ふ 7-22)煉獄姫 (電撃文庫 ふ 7-22)
藤原 祐

アスキー・メディアワークス 2010-08-10
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現世のひとつ下の階層に存在する異世界「煉獄」。人の身体にとっては毒でしかない煉獄の大気は、使う者が使えばあらゆる状態に変化させることができるが、そのたびに「鍵器」と呼ばれる特殊な道具を使い、煉獄に繋がる扉を開く必要があった。「煉獄姫」と呼ばれる瑩国の第1王女・アルテミシアは、生まれながらにしてその身の裡に煉獄への扉を有し、なおかつ煉獄の毒気に耐えられる特殊体質の持ち主。ゆえに表向きは死んだものとされ、城内の塔に幽閉されていた。ただし、煉術絡みの事件が発生した際には王属煉術師として出動させられることにもなっていた。たったひとりの従者である少年騎士・フォグと共に……。

ついに始動の新シリーズはまたしても重たい話。そして意外にも作者初となる、異世界を舞台としたファンタジー。
その出自と体質ゆえに存在をなかったことにされるアルテミシアは、まだほんの14歳ほどの少女。煉獄の扉に通じるがゆえに、常に煉獄の毒気をふりまき続ける彼女は、たとえ相手が煉術師であっても、人と接することができない。その身に背負わされたものはあまりにも重いが、彼女はただ、会うこともかなわない父王に喜んで欲しい一心で、その手を血に染めていく。

そんな彼女に付き従う少年騎士・フォグもまた、煉獄の毒気に対してまったく影響を受けないという特異体質の持ち主。だからこそ彼は唯一、アルテミシアと直接触れ合え、側近くにいることのできる存在。初めて会った瞬間からアルテミシアに忠誠を誓う彼だからこそ、アルテミシアもわがままを言いつつ心を許している様子。そんなふたりの関係がなんとも可愛らしい。

そんな微笑ましいふたりだが、彼女たちに課せられる任務は常に人死にがつきまとう。煉術絡みの事件は後を絶たないどころか威力が増してゆき、ついにはこれまでの倍以上の煉術使用が可能になる物質が、他国で極秘裏に開発されてしまったところから物語は動き始める。フォグの抱える「秘密」のことも含め、ふたりがこれから進む道の険しさを思うだに、心が重くなってくる。でも気になって読んでしまうんだろうけど。

アカイロ/ロマンス〈6〉舞いて散れ、宵の枯葉 (電撃文庫)アカイロ/ロマンス〈6〉舞いて散れ、宵の枯葉 (電撃文庫)

アスキーメディアワークス 2009-12
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景介たちの前に現れたのは、死んだはずの枯葉の姉にして、鈴鹿の正当な頭首・木春だった。景介が幼い頃出会った「和服の少女」も枯葉ではなく木春であり、木春はその初恋のために、そして自身の抱える病のために、鈴鹿を滅ぼそうとしていたのだ。すべての元凶が自分にあることを悟った上、はからずも秋津依紗子を手にかけてしまった景介は、自棄的に枯葉たちと距離を置こうとする。さらに、一族殺しの宝刀「つうれん」だけでなく、蔵物をおさめた「くらい墓穴」ごと棺奈を失ってしまった枯葉たちには打つ手がなく……。

シリーズ6巻、最終巻。
姉の失踪、鈴鹿の里での反乱、秋津の死――どうしようもない現状の元凶は自分だと、自分を責める景介。そして、姉の登場によりすべてを失ってしまった枯葉。それぞれが絶望を抱えて立ち止まってしまうが、状況はそれを許してくれない。けれど棗のおかげで――そして吉乃のおかげで、ふたりはもう一度立ち上がることに。いつだって景介と枯葉のふたりを支えてくれるのは吉乃の存在であり、3人の絆でもある。そして、枯葉についていこうとする棗や型羽、檻江との絆でもある。たとえ枯葉の立場が偽りのものだったとしても、これまでに築いてきたものは偽りではないから――そんな少女たちの絆が胸を突く。

そして木春や、彼女に従う棺奈、歩摘、供子とその妹の血香・血沙、さらには病に伏す夭とその夫――それぞれにも絆があり、愛情がある。すべてを繋ぎ、縛っているのは「愛」そのもの。その強い想いはたやすく道を見失わせ、あるいは正しい道を指し示す。そんな物語の結末、残された人々に与えられた救いの姿に、読んでいたこちらも救われるような、そんな気がした。

アカイロ/ロマンス〈5〉枯れて舞え、小夜の椿 (電撃文庫)アカイロ/ロマンス〈5〉枯れて舞え、小夜の椿 (電撃文庫)

アスキーメディアワークス 2009-08-10
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鈴鹿殺しの宝刀「つうれん」を奪われ、親友であった歩摘も敵となり、意気消沈する枯葉。景介はそんな彼女をデートに誘って励まそうとしていた。だが幸せな時間も束の間、繁栄派の面々は一気に攻撃に転じてくる。夭の夫・篠田医師に何らかの取引を持ちかけた供子。過去に起きたある事件のせいで人間すべてを激しく憎む巳代。そして自分が人間であることを隠したまま、一族トップの戦闘力を誇る歩摘を従え、繁栄派のリーダー格として行動する依紗子――それぞれがそれぞれの目的を果たすため、枯葉たちに襲いかかる。そしてこの時、ついに鈴鹿の里で起きた内乱の真相が明らかになり……。

急転直下、クライマックス目前のシリーズ5巻。今までいまいち目的のつかみにくかった繁栄派の面々が、なぜ「人間を滅ぼす」などという大それて、かつ真実味に乏しいお題目を掲げていたのか、その一端が明らかにされる。そして枯葉が今まで「忘れていた」――というよりは、信じたくなかった真実までもがあらわになる。それはあまりにも残酷で絶望的。

さらにそれは、景介の失踪した姉・雅の消息にも繋がってくるうえ、彼の存在自体が現在の状況に大きく関わっていたことを示唆。今までは「人外の戦いに巻き込まれてしまった」と思っていた景介だけに、この事実も、そして明らかにされた依紗子の目的もまた残酷としか言いようがない。

ここに来て最悪の、まさに救いのない展開。次巻がおそらく最終巻のはずだが、いったいどのような結末が用意されているのだろうか。
それにしても前シリーズの時といい、最後の最後でなんでここまでの鬱展開なのだろうか……。

アカイロ/ロマンス〈4〉白日ひそかに、忘却の (電撃文庫)アカイロ/ロマンス〈4〉白日ひそかに、忘却の (電撃文庫)
藤原 祐

アスキーメディアワークス 2009-07-10
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白州高校の理事であり、鈴鹿一族の分家「ひじり」当主、砂姫が帰国。彼女が景介や枯葉にもたらしたのは、突如現れた「一族の娘」、秋津依紗子に関する情報だった。ひとまず景介と枯葉、棗は依紗子の家へと向かうが、そこにあったのは依紗子とは似ても似つかぬ少女の写真。さらにそこに枯葉たちを追って巳代と通夜子が現れる。一方、焼け落ちた鈴鹿の里へ向かった型羽、檻江、そして砂姫の前には、依紗子と供子が現れて……。

シリーズ4巻では、今までどちらかといえば防戦一方だった枯葉たちが、ついに攻勢に!?……と思いきや、ここにきて依紗子やその「母」神楽の正体など、「繁栄派」にまつわる事実が浮き彫りになる新展開。

前巻で、幼馴染みを守るために繁栄派に属する通夜子のスタンスに動揺していた景介。しかし景介以上に、通夜子のことを慕っていた棗の方が衝撃が大きかったようで、今回は棗が戦う理由について悩み始める。そんな彼女が下した決断も見どころのひとつだが、それ以上に面白いのが砂姫や棗の両親などの親世代・大人たちの活躍ぶり。

特に棗の両親は、母親は「鈴鹿」だが父親は普通の人間。けれどかつての「内乱」を戦い抜いたふたりを見て、景介も枯葉のために何ができるのかを考えていく。身体能力では「鈴鹿」に明らかに劣る人間である景介。でも、だからこそできることがある――それはまさに彼のあだ名「性悪メガネ」の本領。それでもって依紗子を追い詰めんとするが、ここにきてまたしても問題が発生。ある意味最大の窮地に陥った枯葉と景介は、いかにして次の手を打つのか。

作者によると全6巻の予定だという本シリーズ。だとしたらあと2冊。それでどこまで収拾がつけられるのか気になるところ。

アカイロ/ロマンス〈3〉薄闇さやかに、箱庭の (電撃文庫)アカイロ/ロマンス〈3〉薄闇さやかに、箱庭の (電撃文庫)
藤原 祐

アスキーメディアワークス 2009-03-10
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学校帰りに景介が遭遇したのは、鈴鹿の一族でも繁栄派に属するという少女・檻江。彼女が口ずさんでいた詩は、景介の失踪した姉・雅がよく口にしていたものと同じだった。姉への手掛かりを得たと思った景介は彼女を追うが、たどり着いたのは、鈴鹿の一族が利用するという病院。そこで景介は本家側に属する女性・夭と出会う。たまたま見舞いにやってきた枯葉と合流した景介だったが、そこに繁栄派に属するという供子と、まだ年端もいかない双子の少女が現れ……。

シリーズ3巻では鈴鹿という一族が抱える闇、そして景介の姉の居場所の手掛かりが少しずつ明らかになる。意志も感情も抜け落ちたかのような檻江が、なぜ雅の好んでいた詩を知っているのか。そもそもそんな檻江がなぜ繁栄派に属しているのか――これらが今回の事態の鍵となっている。

とはいえインパクトがあるのは、表紙にもなっている繁栄派の3人――同じ繁栄派の巳代とはまた違った残虐性を秘める供子と、双子の血沙&血香。彼女たちと戦うために、枯葉は「つうれん」の形をさらに変化させていくのだが、前回に引き続き、その発想にはなかなか驚かされる。

次第に激化していく繁栄派との抗争。前回の戦いの時に自分を助けてくれた通夜子を説得しようとした景介は、彼女の強い意志に――繁栄派に属するその理由を聞かされ、心が揺らぐ。人外の一族と接することで生じる矛盾。自らの分をわきまえるべきという彼女の理念は正しいし、間違ってもいる。その難しい問題を、景介と枯葉が今後どのように乗り越えていくのかが見どころ。

アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (2)  (電撃文庫 ふ 7-17)アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (電撃文庫 ふ 7-17)
椋本 夏夜

アスキーメディアワークス 2008-12-05
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枯葉との出会いから1週間。「迷い家」に招待された景介は、本家守護役「きしみ」の当主だという少女・型羽を紹介される。人間に対して強い不信感を抱く型羽と、景介はなかなか打ち解けられない。だが翌日、「迷い家」からの帰り道で景介と型羽は「繁栄派」のふたり、巳代と通夜子に遭遇。型羽の善戦もむなしく、景介はふたりに連れ去られてしまう。さらに巳代たちは枯葉に、同族殺しの宝刀「つうれん」と景介の身柄を引き換えにする、と通達して……。

シリーズ2巻は、主人公が男なのにお姫様よろしく人質にされる編(笑)。救いに来るのはもちろん、ヒロインの枯葉。

「喪着」により、かつて景介を慕っていた少女・吉乃の身体を持つことになった枯葉に対して、景介は悩み続ける。彼を慕う枯葉の気持ちの中には吉乃の気持ちもわずかながら混じっている。そして景介はやはり吉乃のことを忘れることはできない。枯葉を「枯葉」として見るのか、それとも「吉乃」として見るのか――その板挟みに苦しむことに。そしてそれはそのまま、鈴鹿の一族の戦いに自分が関わるかどうかの選択と同義になる。
また、枯葉としても、吉乃の身体と想い、そのふたつに折り合いをつけねばならない。吉乃を理解し、共存すること――ふたりとも「吉乃」に対してどうやって折り合いをつけ、納得するかが今回の焦点であり見どころ。

さらに気になるのは繁栄派に属する少女・通夜子の存在。人間を根絶したいという繁栄派にいながら、人間に対する生殺与奪の権利を持ち、景介を殺そうとする巳代を止める彼女の目的はいったい何だろうか。棗の友人であり、さらに景介の友人の幼なじみの可能性が高い彼女は、なぜ繁栄派にいるのか。今後は通夜子の動向も気になるところ。

アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫 ふ 7-16)アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫 ふ 7-16)
藤原 祐

アスキー・メディアワークス 2008-08-10
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友人たちに「性悪メガネ」と揶揄されることをのぞけばごく普通の高校生・霧沢景介は、かつて姉を「失踪」というかたちで失っていた。だからこそ、引っ込み思案で、無二の親友だった尾ノ上を同じ理由で失ったクラスメイト・灰原のことを気にかけていた。ひょんなことから携帯の番号を交換し合ったその夜、彼女が何者かに襲われ、助けを求める電話がかかってくる。しかし景介が急いで向かった美術室に犯人の姿はなく、すでに事切れた灰原と、無機質な和装の美女がいるだけだった。そして彼女が手にしている鳥籠の中にあったのは、黒髪の美しい娘の首で……。

「レジンキャストミルク」コンビが送る新シリーズは和風伝奇ファンタジー。

黒髪の少女・枯葉の一族の内輪もめ――と言ってしまえばそれまでだが、主人公・景介は、彼女の種族の存亡をかけた戦いに巻き込まれ、ついには自ら身を投じていくことになる。次巻からは本格的に伝奇アクションものとなるか。枯葉の境遇や、彼女につき従う和服美人・棺奈の正体などの「鬱」な感じや、世間ずれした登場人物たちの天然発言などの展開はいつも通りで面白い。

れじみる。Junk (電撃文庫 ふ 7-15)れじみる。Junk (電撃文庫 ふ 7-15)
藤原 祐

メディアワークス 2007-12-10
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先日完結したほのぼの×ダークな学園アクション「レジンキャストミルク」最後の短編集。

本編の後日譚として設定されたプロローグ・インターミッション・短編「ありがと、ばいばい」・エピローグは、挟間学園の文化祭が舞台。先の戦いでできた傷も癒えつつある中、蜜と佐伯先生は自らの欠落と決別し、硝子と晶も未来に向かって歩き出す。
その他にも、文化祭と絡めた過去の話や、電撃文庫のパロディ本に掲載された、本編にまったく関係のないネタ話などを収録。

得てしまった傷を消すことはできないけれど、癒し、糧にすることはできる――そんな再生の1冊。

それにしてもこれで本当に完結。さみしいなあ。

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