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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

カテゴリ: 本宮ことは

我が呼ぶ声を聞いて 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート)我が呼ぶ声を聞いて 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート)
本宮 ことは

講談社 2011-12-05
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なんとかアランダム島での「虚無の果て」の暴動を鎮圧させたアリアは、シェナンを伴い王都ベルデタールへと向かう。だが王都でふたりが目にしたのは、国王崩御を知らせる旗だった。一方その頃アランダム騎士団は、シュータン帝国との停戦を受けて島へ戻ろうとしていた。しかしそこをシュータン帝国軍が襲撃。騎士団は苦戦を強いられることとなり……。

シリーズ本編19巻、ついに完結。
せっかく戦争が終わったと思ったのも束の間、アリアたち、そして騎士団はそれぞれ大変な事実に直面することに。最後の最後まで気の抜けない展開ではあったが、これまでアリアが触れ合ってきた騎士団の面々が何をどう考えて戦いに臨んでいったかが丁寧に描かれていた。さらに同じ頃、アリアたちは王都で黒幕の正体を知ることとなる。そしてその人物がいかにしてその責任をとろうしていたのかも。それしか方法はなかったのか、と絶望させられる一方で、それを収めるかたちでシェナンがとった行動にはなんとも言えず驚かされた。女だけが幻獣や精霊と契約してその力を使うという、そんな世界は正しいものか否か――その問いの答えはアリアを含めた女性たちの願いそのものであり、同時にシェナンの願いともなって結実する。光焔という強大な力の存在もあるにはあるが、なによりたったひとりの少女の真摯な願いが世界を変えた、そんなラストがとても清々しいと思う。


◇前巻→「捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚」

鋼鉄の都市と十三月の旅人 ダイヤモンド・スカイ CD付初回限定版 (ルルル文庫)鋼鉄の都市と十三月の旅人 ダイヤモンド・スカイ CD付初回限定版 (ルルル文庫)
本宮 ことは

小学館 2011-08-26
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ペンドラゴン号に潜んでいた「黒い羊」に拉致され、レオニデスに引き渡されたディアは、皇帝が住むというエルアイオン星系へと連れて行かれることに。初めて目にした未来都市に驚いたのも束の間、彼女がたどり着いたのは、かつて暮らしていた「薔薇の館」によく似た古い洋館だった。ただ違うのは、周囲にいるのが〈人形〉ではなく人間で、そしてフォースがいないこと。ペンドラゴン号へ戻りたいと願う、そんなディアの前に現れたのは、現皇帝であるラウ・カイエンだった。彼は自分こそがフォースであると名乗り、ディアとの思い出を寸分違わず語り始める。カイエンがフォースそのものであると認めたディアは、この館に残ることを決めるが……。

4巻は皇帝のターンということで、皇帝がディアに拘泥する理由、そしてその重く歪んだ、けれどとても純粋な愛情が語られていくという展開。ひとりの女性としてディアを愛しているという純粋な気持ちと、前帝の遺児を支配し蹂躙したいという復讐心――この矛盾したふたつを両立させ、縒り合わさっているのがカイエンの想い。それは深く重い愛情となり、ディアの枷となってゆく。

ディアはフォースのことが忘れられず、カイエンがフォースであることに喜びを得たけれど、エルディックと出会い、外の世界を知ってしまったことがその想いにブレーキをかける。フォースとエルディックのどちらを選ぶか――つきつめればその選択になってしまうということで、今回はディアの運命の選択の回、とも言える。まあ結果は予想通りという感じだが。

結果のことはともかく、ラストで起こったある問題――治療方法が分からない疫病の蔓延と、エルディックとの間にどんな関係があるのか? そしてディアの選択が何をもたらすことになるのか? 早くも続きが楽しみ。


◇前巻→「夢見る宝石と銀色の恋人 ダイヤモンド・スカイ」

聖鐘の乙女 雪の聖画と氷の首飾り (一迅社文庫アイリス)聖鐘の乙女 雪の聖画と氷の首飾り (一迅社文庫アイリス)
本宮 ことは

一迅社 2011-08-20
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メルエルの実家から学院に連れ戻されたアティーシャは、とある修道院に住む大叔母を訪ねるというサリアンに、彼の侍女見習いということにして同行することに。サリアンは日々立ち働くアティーシャを何かと気にかけてくるが、アティーシャ、そしてネイトはそれぞれ心中穏やかではない。そんなある日、この修道院に伝わる「一角獣と雪の乙女」の伝説を聞いたアティーシャのために、サリアンはそれをモチーフにした絵画を見せてくれる。その伝説と絵が「フィスハの願い」に関係があるのでは、と考えるアティーシャに、サリアンは楽譜探しを手伝いたいと申し出て……。

いつの間にかシリーズ10巻。
ついにサリアン様の猛攻撃スタート……ということで、アティーシャ、ネイト、サリアンの三角関係がどんどんこじれていくという流れに。

前巻でネイトにアティーシャへの想いを吐露したサリアンは、とにかく有言実行と言わんばかりにアティーシャに迫る。ついでにネイトの忠誠心を盾にして牽制するのも忘れないものだから、またなんとも厄介な王子さまだったりする。ネイトは主と自身の恋の間で悩んだあげく身を引く気満々だし、そんなふたりを横目にアティーシャがついにネイトへの恋心を自覚したようだからさあ大変。サリアン以外誰も幸せになれない、とネイトが評したサリアンの願いが叶うとしたら、アティーシャとネイトはどうなってしまうのか。

一方でややこしいことになりそうなのが今回の「フィスハの願い」への手掛かり――「一角獣と雪の乙女」のこと。そして年越しの直前に行方をくらました修道女のこと。こちらの結末は次巻に持ち越しということで。修道院にジェッツもエルシオンもやって来ているということで、さらに事態は面倒なことになりそうな……。


◇前巻→「聖鐘の乙女 水晶の笛と闇の時計」

茨姫は嘘をつく。 (一迅社文庫アイリス)茨姫は嘘をつく。 (一迅社文庫アイリス)
本宮 ことは

一迅社 2011-05-20
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相棒とその恋人をふたりきりにするべく、とある貴族の輿入れ旅の護衛役という仕事を請け負った傭兵のセルツァ。だが隣国へ婚礼に向かうというデグダスター家の令嬢・ディンドゥルには、その弟だという少年が付き添っているのみ。護衛も自分とヤワン、そしてデグタスター家の従者・ブレンダス以外は胡乱な連中ばかりだった。そのディンドゥルの弟・ティサに遭遇したセルツァはいろいろと探りを入れてみるが、ティサは自分も姉も、婚礼に向かおうとしていることを知らないという。そんなティサが、実は少女であることにセルツァは気付いてしまい……。

「宝石姫は微笑まない。」の続編というか姉妹編というか。
明るく軽く、でも何事も外側から突き放した目で見ているような、どこか空虚なところのある青年傭兵・セルツァ。そのセルツァが出会ったのは、少年に身をやつしたまっすぐな少女・ティサだった。故郷を追われ、奴隷や召使としていろいろな屋敷を転々としてきたディンドゥルとティサだったが、そのふたりの出自には秘密があり、それゆえにティサは少年のふりをしているのだという。

自分を守ってくれる「姉」の存在が嬉しいと思いつつも、守られてばかりの自分の立場を歯がゆく思い、そして自分もそんな姉を守りたいと思うからこそ、ティサはセルツァにつっかかるような態度を見せる。そんなティサがセルツァに気を許し、いちどきになつきはじめるあたりはもう可愛い!のひとこと。常に他人とは一定の距離を置いて生きているセルツァにとって、いきなり懐に飛び込んでこられたら拒めるわけがないというか、拒みようがないというか(笑)。そんなふたりの関係がとても楽しい。だからこそ、ふたりのその後ももう少し読みたかったかも。


◇前巻→「宝石姫は微笑まない。」

夢見る宝石と銀色の恋人 ダイヤモンド・スカイ (ルルル文庫)夢見る宝石と銀色の恋人 ダイヤモンド・スカイ (ルルル文庫)
本宮 ことは

小学館 2011-02-25
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《失われた皇帝の秘宝》、ダイヤモンドに隠された何かの手がかりと、それを取りだすための《鍵》の存在、亡きフォースと彼にそっくりな皇帝――様々な謎を解き明かすべく、ディアレンシアは海賊エルディックの手を取り、旅に出ることを決意する。ひとまず一行は、ディアの実母・ブランディットの故郷へ向かうことに。そこでディアとエルディックはディアの祖母・ディースと出会い、亡き母の話を、そしてディア本人は知らなかった、前皇帝の末路を聞くことになり……。

シリーズ3巻は、作者が後書きでも書いている通り、なんとなくSF色が強くなってきた展開に。
前皇帝が現皇帝・カイエンに討たれた理由。そのカイエンにそっくりなクローンたちがいる理由。ディアに仕える美しい人形・ダイヤモンドの「生みの親」の存在と、その裡に隠されているはずの何らかのデータ。そして皇帝がディアに執着する理由……。様々な謎が浮かんでは絡まり合い、手掛かりが見えるような見えないような。

そんな中、ついにエルディックにスイッチが入った模様。ようやくディアへの想いを自覚したようだが(……やっと!?)、けれど同時に、ディアの心の中には未だ、亡きフォースがいることにも気付かされてしまう。亡くなった人には――失われた美しい思い出に勝つのはとても難しい。というわけでエルディックがんばれ。
ついでに言うと、なぜか(?)「男の娘(実際はそうじゃなかったりするが……)」サザンラディヤーの様子も気になる感じだったり。マリルとフーファのことといい、ペンドラゴン号の中での人間関係も気になるところ。

そんな感じで次に向かうのは、ダイヤモンドの「生みの親」ダガードがかつて暮らしていた星。けれどそれを追うのは皇帝軍提督レオニデス。彼が言う、ペンドラゴン号に乗っている「黒い羊」とはいったい……?

◇前巻→「不敗の海賊と不死の帝王 ダイヤモンド・スカイ」

狼と勾玉 〜夜空に月の舟浮かべ〜 (狼と勾玉シリーズ) (コバルト文庫)狼と勾玉 〜夜空に月の舟浮かべ〜 (狼と勾玉シリーズ) (コバルト文庫)
本宮 ことは

集英社 2011-03-01
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神流を狙う禍津日の呪いにより、豊城は神流が眠っている間は人の姿に、そして神流が目覚めている間は狼の姿となってしまうように。神流が責任を感じぬようにその事実を伏せたまま、豊城は病ということにして神流と館に閉じこもる一方で、側近である雷と、実妹にして巫女姫の台与を呼び寄せる。台与は豊城にかけられた呪いと、彼がいかに神流を愛しているかを理解するものの、雷は神流に対して良い感情を持たず、彼女をなんとか排除しようとするが……。

シリーズ2巻。
両想いになったのも束の間、人の姿では会うことができなくなった神流と豊城。そんなふたりの間をあの手この手で裂こうとするのが、豊城の側近である雷。有能ではあるのだろうが、まあこれがいやなやつで、あからさまな侮蔑と嫌みをあらわにするだけでなく、神流に男をけしかけて誘惑させたり、挙句の果てには彼女の命まで狙おうとする。それもこれもすべては、主である豊城のため。豊城はそんな雷の危険さに気付くものの、雷の巧妙さはある意味純粋な豊城の上をいっており、ついには神流の恋心を逆手に取った行動に出ることに。ああもう!なんてむかつく男!としか言えなくなってくる(苦笑)。

まあそんな感じの第1試練、なんとか乗り越えたふたりは、遂に呪いを解くための旅に出ることに。これからどうなるのか、そして豊城はどこまで我慢できるのか(笑)、いろいろと気になるところ。


◇前巻→「狼と勾玉〜今宵、三日月を弓にして〜」

聖鐘の乙女 水晶の笛と闇の時計 (一迅社文庫アイリス)聖鐘の乙女 水晶の笛と闇の時計 (一迅社文庫アイリス)
本宮 ことは

一迅社 2011-02-19
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学院祭でネイトにドレス姿を褒められて以来、アティーシャはネイトのことを意識し過ぎるあまり、うまく接することができずに喧嘩状態に。そんな中、クラスメイトのメルエルの父・テオドールが現れる。考古学者であるテオドールの依頼で、メルエルとリキシスは彼の故郷にある遺跡に向かうことに。さらにリキシスの論文にアティーシャが協力していたことを知っていたテオドールは、ぜひ彼女にも同行してほしいと言い始める。最初は渋っていたアティーシャだったが、その遺跡にまつわる伝説に「フィスハの願い」が関わっていることを知り、先の事件で何者かに襲われて眠り続けるジェッツの元へ向かう。目を覚ましたジェッツと相談するアティーシャだったが、戻ってきたところをネイトに見つかり、誤解されてしまう。手酷く責められたアティーシャは、失意のまま旅に出ることに……。

シリーズ9巻、アティーシャ争奪戦が激しさを増す中、ついに彼女本人がそのうちのひとり、ネイトを意識し始めた!……というのがメインではないはずなのだが、どうしてもそっちが気になって仕方ないという(笑)。

ネイトはアティーシャの様子がおかしいことに気付くものの、その理由が分からず戸惑ったり、ジェッツに会いに行ったアティーシャに、嫉妬からか冷たく当たったり。そしてそのせいで落ち込んだあげく旅に出てしまったアティーシャを見て、サリアン様はご不満の様子。そんな主の態度にこれまた戸惑うネイトに対し、サリアンはアティーシャへの想いを告げる。その決意にはこちらも驚き、の一言。そこまで思いつめていたとは……。
そんなふたりもさることながら、ジェッツもリキシスも、みんなしてアティーシャの一挙一動に振り回されっぱなし。その光景がなんとも楽しい。というか、もう、みんなかわいすぎる……!

一方、アティーシャとジェッツが探し求める「フィスハの願い」について。奇妙な形の遺跡、そして遺跡に残されていた、吹くことのできない透明な笛――これらは「フィスハの願い」に関係があるという。世界を動かす力を持つという「フィスハの願い」とは一体何なのか……手掛かりは増えても、謎は深まるばかり。こちらの進展も気になるところ。


◇前巻→「聖鐘の乙女 月の聖女と夜の怪人」

狼と勾玉 〜今宵、三日月を弓にして〜 (コバルト文庫)狼と勾玉 〜今宵、三日月を弓にして〜 (コバルト文庫)
本宮 ことは

集英社 2010-12-01
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女だてらに里一番の弓の使い手である神流には、その出自――赤ん坊の時、無傷で川に流されていた――と弓の腕前から、神の加護があると言われていた。そんな彼女が命じられたのは奉り田の見張り。そのさなか、神流の前に現れたのは鹿の姿をした禍津日で、しかもそれは神流に求婚し始めるのだが、そこを救ったのは真っ白な毛並みの美しい狼だった。数日後、神流の里の近くに、大王の第一王子が逗留しているとの報せが入る。奉り田の作物を禍津日に荒らされたために貢物ができなくなった里は、代わりに侍女を差し出すことに。親友が差し出されそうになったことを知った神流は、自分にも責任があると言い、代わりに侍女としてその第一王子の館に向かうことになり……。

ホワイトハート、アイリス、幻狼ファンタジア、ルルルときて、ついにコバルトにも上陸した作者の新シリーズは、古代日本とおぼしき舞台で繰り広げられるラブロマンス。
暴虐と噂される王子・豊城に仕えることになった神流だったが、出会い頭にいきなり口説かれてしまう。動揺して彼を拒むと、今度は「色目を使ったら叩き出す」的な釘を刺されることに。もとよりその気のなかった神流は素直に従うのだが、その態度が逆に豊城の興味を引くことになってしまう。

なんというかツンデレ気味な豊城は、神流に優しくしたり、かと思えばつらく当たったりと極端な態度を取る。それは彼が抱える孤独――父王に東国に追いやられたことだとか、ひとりの人間ではなく「王子」としか周囲から見られないこととか――によるもの。けれど神流は豊城に他意を抱かず、どころか無意識に彼の望むものに気付くことに。そんなふたりだから惹かれ合うのは時間の問題だったのだが、そこでまた現れるのが先の悪神――大鹿の姿の禍津日。豊城の正体を逆手に取った呪いのせいで、ふたりは側にいるのに触れ合えないという状況に陥ってしまう。なんというロマンス的(?)展開。

というわけで今後はこの呪いを解くことが主眼になりそうなので、しばらくはラブロマンスというよりサバイバルアクションになるやも……。とりあえず続きも楽しみ。

捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 23 ホワイトハート)捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 23 ホワイトハート 幻獣降臨譚)
本宮 ことは

講談社 2010-12-25
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シュータン帝国との戦いを終え、アランダム島へ向かったアリアを出迎えたのはシェナンだった。「虚無の果て」にアランダム島が占拠されていることを知ったアリアは、光焔と共に単身アランダム島へ乗り込んでいく、そこで彼女を待ち受けていたのは、以前のとまったく様子の違ってしまったディクスだった。「虚無の果て」の最高司祭になった、と告げるディクスは、アリアのために幻獣のいない世界を作りたいと語る。そのために人を殺しうる武器を作っているのだと知ったアリアはディクスを説得しようと試みるが……。

いよいよクライマックス直前!のシリーズ本編18巻。
まずはシェナンのターン。ライル負傷&ディクスがあんなことになった今、気付けばシェナンが最有力候補になっている模様。ついに聖従者にもなったし、戦を前に騎士団を出奔したせいで他の騎士たちに責められたアリアを、シェナンは毅然とした態度で庇ってくれるし。その姿を見たアリアは、知らぬうちにシェナンが成長したことを知り、シェナンもまた、戻ってきたアリアを見て、彼女の成長ぶりに目を瞠ることに。そうやって改めて互いを認め合ったふたりがどうなるのか気になる。気になる、のだが……状況はふたりが恋愛モードにさせてはくれない。

ディクスの狂気、パジャンの――ひいては「虚無の果て」の目的。その中でアリアは「禁じられた秘庫」に収められた真実、そして自分がなぜ光焔に選ばれ、何を望まれているのかを知ることになる。それはひとりの少女の手にはあまる、恐ろしくも大きな事実。けれどそれを知らされてもなお、アリアの姿勢がぶれることはない。ただ純粋に周囲のことを想い、何が大切かという問いに自分で答えを出すことができる。だからこそ光焔は彼女を選んだのだし、周囲の人々は知らず知らずのうちに彼女に惹かれてゆくのだろう。

さて、次はいよいよ最終巻(の予定)とのこと。
「虚無の果て」の最終司祭、最後のひとりを探して、アリアはシェナンと王都に向かうことになりそう。最終司祭は一体誰なのか、そして世界はどうなるのか――今までに増して続きが楽しみ。


◇前巻→「轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴」

不敗の海賊と不死の帝王 ダイヤモンド・スカイ (ルルル文庫)不敗の海賊と不死の帝王 ダイヤモンド・スカイ (ルルル文庫)
本宮 ことは

小学館 2010-11-26
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亡きフォースの「本体」を探すため、エルディックの手を取ったディア。初めてだらけの生活にもなんとか慣れ、曲者ぞろいの乗組員たちとも打ち解けてゆく。だがそんな彼女たちを追って現れたのは、皇帝直属の海軍提督レオニデス。なんとか逃げ切ったものの、船の修理に訪れた街でついにディアは捕まってしまい……。

物語が動き始めるシリーズ2巻。
エルディックの海賊船に乗り込んだディアは、その純粋培養な天然っぷりで周囲を翻弄しまくることに。船長のエルディックやその副官であるカルを始めとして、故郷の風習にのっとって太ることを止められない美女・フーファや、ゴス系「男の娘」・サザンラディヤー、パンク系船医マリルといったひとくせもふたくせもある船員たちを、どんどん自分のペースに巻き込んでいくのがなんともおかしい。

だがそんな平穏な日々を打ち破るのが皇帝の思惑。フォースにそっくりな美しき皇帝は、《鳥籠の姫》であるディアを手に入れようと画策する。皇帝がディアに執着するのは、彼女が《鳥籠の姫》であること以外にも意味があるのか、それとも……。その意図が全く読めないので、ディアが彼に遭遇するシーンも手放しには喜べなかったり。

さらに気になることがもうひとつ――街で出会った《人形師》の少年・カズサが明かした、ディアに従う人形・ダイヤモンドの秘密。ディアを取り巻く謎はますます深まってゆくばかり。いったいどうなる?


◇前巻→「人形の館と鳥籠の姫 ダイヤモンド・スカイ」

聖鐘の乙女 月の聖女と夜の怪人 (一迅社文庫アイリス)聖鐘の乙女 月の聖女と夜の怪人 (一迅社文庫アイリス)
本宮 ことは

一迅社 2010-10-20
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学院祭での歌劇の練習中、相手役のジェッツにキスされてショックを受けるアティーシャ。しかしそんな彼女をネイトになぐさめられて以来、無意識のうちにネイトのことが気になるように。さらに、元気のない彼女を見たサリアンにも優しくされ、アティーシャは動揺しっぱなし。そんな中、ついに学院祭当日がやってくる。クラス展示のプリンカフェの準備、そして歌劇本番に大慌てのアティーシャだったが……。

シリーズ8巻は学院祭・本番編。
本当は女の子だけど、男子校である聖楽学院に男装して入学したアティーシャ。だというのにここにきて、歌劇で女装(!?)するはめになってしまう。けれどもともと女の子らしい振る舞いが得意ではなく、なおかつ最近はすっかり男子としての生活が板についてしまったせいか、歌劇の関係者たちだけでなく、彼女の正体を知っているネイトやサリアンにまでダメ出しされる始末(笑)。

そんな女子力の足りない(笑)アティーシャをあくまでも女の子として――「サディ」ではなく「アティーシャ」として扱い、甘い言葉をかけてくれるのがサリアン。いやもうここは私も思わず「サリアンさま」と言いたくなるくらい、完璧な王子さまぶりでアティーシャを動揺させまくる。あまりにも大胆なサリアンさまにこちらも動揺を隠せない(笑)。
けれどネイトも黙っておらず、サリアンをさりげなく牽制しようとしたり、アティーシャとふたりきりになると、時折ものすごく優しくなったり。ふたりの行動がどんどんエスカレートしていく感じで目が離せなくなってしまう。

周囲にはさらに、「サディ」を男だと知っていても惹かれるのを止められないリキシス先輩だとか、実は「サディ」の性別を疑い始めているジェッツだとかがいて、もうなんというかアティーシャモテ期、ここに極まれり、という感じ(笑)。

とまあこんな感じで、当初の目的――「楽譜探し?なにそれ?」的な雰囲気が漂ってきていたのだが……終盤にきて事態は急展開。何者かに――王族関係者らしい――依頼され、楽譜探しをしていたジェッツが大ピンチ。いったいどうなる?という、またとてつもない引きで続くことに。楽譜探しに秘められた危険とは一体……そしてアティーシャの恋路はどうなってしまうのか?


◇前巻→「聖鐘の乙女 恋の歌劇と薔薇のドレス」

轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 22 ホワイトハート)轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 22 ホワイトハート 幻獣降臨譚)
本宮 ことは

講談社 2010-09-03
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捕虜となっていたシュータンの神官がアリアに託したのは、シュータンの守護獣バシリスクの「契約の門」だった。これを切り札にバシリスクを使役する巫女「涙なきイティス」との対話を試みようと、アリアは単身で戦場へ向かう。そこでアリアはイティスから彼女の過去、そしてバシリスクの巫女に課せられる哀しい運命を聞かされ……。

シリーズ本編17巻。
今まで後書きでバシリスクと光焔の衝突について「怪獣大戦争」と語られていたが、その真相は……まあ、いいとして。
これまでの経験を通し、人間として大きく成長したアリア。そんな彼女だからこそ、どうしようもなくアレな第2王子を論破し、さらにはイティスとの対話を成功させる。誰も傷ついてほしくないという切なる願いは、アリアだけではなくイティスも持っていたもの。血に酔い功を焦る男たちに、彼女たちは毅然とした態度で冷や水を浴びせてゆく。

けれどそんな願いもむなしくなるような出来事が勃発。本当にもう、あの第2王子だけは……!という展開にぎりぎりしつつも、これにてシュータンとの戦いもひと段落。ようやくアリアもアランダム島に到着。真の戦いはこれから!?というところで続く。さて、ディクスとの対決はどうなることやら……。


◇前巻→「叫べ、涙溢るるこの心」

人形の館と鳥籠の姫 ダイヤモンド・スカイ (小学館ルルル文庫 も 1-1)人形の館と鳥籠の姫 ダイヤモンド・スカイ (小学館ルルル文庫 も 1-1)
本宮 ことは

小学館 2010-08-26
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薔薇に囲まれた古い洋館で、教育係兼従者である青年・フォースとふたりきりで暮らす美しい少女・ディア。《魔術師》であるというフォースが操る《人形》たちにかしずかれて健やかに成長してきたディアだったが、いつしかフォースに対して淡い恋心を抱くようになっていた。だがフォースは必要以上に彼女が近づいてくることを拒み、それがディアには気がかりでならない。だが彼女の誕生日、謎の地震が発生。ディアはフォースによって地下室に閉じ込められ、自分の帰りを待つよう命じられる。しかし何日経ってもフォースは戻ってこず……。

ルルル文庫では初となる新作は、文字通り箱入りな少女・ディアの運命が大きく動き出す、激動のファンタジー作品。

色恋沙汰に関することを知ることなく成長してきたディアだが、それでも自然と芽生えるフォースへの想いは止めることができない。フォースもディアに対してそれらしいそぶりは見せるものの、なぜかかたくなにディアの想いを拒もうとする。ようやく受け入れてくれかけたかと思えば、今度は行方不明。ディアと同様、読んでいるこちらもどうしようもなくじりじりさせられる展開なのだが、そこに現れるのは海賊と名乗る青年・エルディック。彼らが現れたことで、ディアの世界に文字通り大きく穴が開けられ、外の世界が姿を現す。

フォースの正体、そしてディア本人の正体。エルディックたちの探し求める「失われた皇帝の秘宝」。いろいろな謎が絡み合って、ディアはエルディックの手を取り、外の世界へと一歩踏み出すことに。外へ出た彼女がどうなってしまうのか非常に気になるので、ぜひ続編希望。

花迷宮 (幻狼ファンタジアノベルス)花迷宮 (幻狼ファンタジアノベルス)
本宮 ことは

幻冬舎コミックス 2010-04
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仲間たちとはぐれてしまった孤児の少女が出会ったのは、15歳年上の菖莉という衛士だった。菖莉に拾われた少女は帰蝶と名付けられ、彼の友人の家に預けられることに。大きくなったら菖莉と結婚する――という幼い頃の約束を信じながら美しく育った帰蝶だったが、菖莉はいつまでたっても彼女を子ども扱いし、恋愛対象としては見てくれない。そんなある日、菖莉の遠方への転勤が決まってしまい……。

「雪迷宮」と同じ世界観で綴られる物語は、15歳年の差カップルのせつないラブストーリー。
刷りこみというのもあろうが、とにかく菖莉のことを一途に想い続けてきた帰蝶。しかし向こうはあくまでも養い親としての態度を崩さず、そのことを歯がゆく思う日々が続く。しかも帰蝶を引き取り、育ててくれた女性・紅葵と菖莉の深い絆を見てきた帰蝶は、どうしても紅葵に遠慮してしまったり。
で、菖莉はと言えば、帰蝶の想いにうすうす気づいていながら、それでも親として暖かく見守ることに徹していて、これでは帰蝶でなくとも歯がゆくて仕方ない。

作者も後書きに書いているとおり、本作の中には「雪迷宮」のネタバレが含まれているし、「雪迷宮」を読んでいれば、結末のオチがなんとなく予想できてしまうのは確か。けれど予想できているからといって、ふたりが迎えた結末が色褪せるわけではない。むしろ余計にぐっとくる。「雪迷宮」といい、最新作「宝石姫は微笑まない。」といい、単発のラブロマンスが得意な人なんだなあ、としみじみ思ったり。

宝石姫は微笑まない。 (一迅社文庫アイリス)宝石姫は微笑まない。 (一迅社文庫アイリス)
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一迅社 2010-07-17
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ルディーン王国の片隅に暮らす村娘のファーラは、実は殺された前国王一家の唯一の生き残り。追手をかわすために姿を変えていたファーラを見出したのは、ファーラの叔母である隣国の王妃が遣わしたふたりの傭兵、ダリオンとセルツァだった。ふたりに連れられ、ファーラは姫君としての、そして前国王の遺児としての責務を全うするため、隣国ランディスケリアに向かうことになるが……。

というわけで新作は、石の声を聴き、操る能力を持つ姫君・ファーラと、彼女を迎えに来た傭兵・ダリウスとのラブロマンス。
姫君だった頃にかわされていた、ランディスケリアの王子との婚約のために、そして両親を殺した現国王に対しての牽制力となるため、ファーラは旅立つことになる。姫君として誇り高く、毅然とした態度を崩さないファーラだったが、そんな彼女の無理をさりげなく察してくれるのがダリウス。ぶっきらぼうながらもファーラを気遣う姿は騎士そのもの――とか思ってたら、彼の過去もいろいろあって、というお話。

つらい過去とままならない現実を抱えて、それでもふたりはいつしか惹かれ合うことになる。けれどそれぞれ、自分の立場をわきまえすぎるあまり、なかなか素直になれない。そんなふたりの関係にはらはらしたりきゅんとしたり。ここでキレイには終わっているが、自分の想いに素直になったふたりのこの先も見てみたかったり。

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