妊娠してもう10 年になるが、お腹の中の我が子(息子であることは分かっている)はいまだ生まれてこない。けれど彼はお腹の中で元気にやっているようで、ガールフレンドとおぼしき女の子たちがひっきりなしにやって来るあたり、かなりの女たらしとして成長しているようではある。カウンセリングを受けてはいるが、母体・息子ともども大した問題はなく、双方首をかしげている状態。するとそのうち、ガールフレンドのひとりが息子の子どもを妊娠したと言い出して……。(「つじつま」)
河出文庫から刊行されている日本SF書き下ろしアンソロジー「NOVA」発表作を中心とした短編集。10作品が収録されている。
「NOVA」シリーズを最新刊以外は読んでいることもあり、10作中7作が既読。今回初めて読んだのは、前掲の「つじつま」、プログラムされたリスの様子から自己を振り返る「リスを実装する」、印刷や翻訳といった様々な手法による《複製》がテーマの「Printable」の3作。説明するのは相変わらず難しく、理解できたかと言われても頷きがたいいつもの円城節ではあるが、個人的には少しずつ位相をずらしながら、時には裏表すら逆にしながら、ぐるぐると回る環というイメージがつきまとう。思考実験といっても差し支えない。「だからなんでそうなった」と言いたくなるようなオチのものもあれば、実はこれは恋愛ものなのではないかというようなセンチメンタルな印象を受けるものもある。一方、実はこれは派手なアクションものなのかな、とか、コメディなのかな、というようなものも。その多様性がなんとも楽しい。











