大学を卒業し、外資系の高級ホテルに就職した高橋治真。だが本当になりたかったのは父親と同じ、NAL(ニッポンエアライン)のパイロットだった。そんなある日、NALからCA中途採用の募集が出ていることを知る。2年後には他部署への異動も可能という条件を目にした治真は悩んだ末に受験し、見事に合格する。実は治真の父はある航空事故を起こし、責任を取ってパイロットを辞めていた。治真はその素性を隠し、父の起こしたとされる事件の真相も探ろうとするが……。
2019〜2020年にかけて「文芸カドカワ」「カドブンノベル」に掲載された1〜5話に、書き下ろしとなる6話を加えた、男性客室乗務員の奮闘を描くお仕事小説。
父親の起こした「事故」の真相を調べたいと考えている治真だが、それとパイロットになりたいという夢とはまた別物。しかも直接パイロットになるための道を選ぶのではなく、まずCAになるところから始める。外資系高級ホテル勤務という高給取りの前職を捨ててまで――というのは本人にとってはなんてことのない行動なのだが、周囲(特に女性)から見るとちぐはぐなものとして映るらしく、あらぬ誤解を受けることも。しかし音信不通になっていた大学時代の友人が冤罪で逮捕されるあたりから、なにやらきな臭いものが漂い始める。そしてラストは現在のコロナ禍も影響する展開に。
あとがきによると、6話は現実の状況も踏まえて書き直したというが(なにせ航空業界はコロナ禍に大きく影響を受けた業界のひとつなので)、もしコロナがなければどんなラストになっていたのかも気になる。そして治真がこの先、本当にパイロットになれるのかどうかも。















