先日の「事件」の後、「望月晶」の遺体を探すために北海道にやってきた杏とヴィクトール。果たして目的は達成され、追ってやってくる峰雄を待つため、ふたりは予約してあった宿に向かった……はずだったが、雪路とヴィクトールが予約したはずの宿とは連絡が取れず、ホームページすら消え去ってしまっていたため、ふたりは急遽、別の宿を探す羽目に。キャンセルのために2部屋空いているという「ホテル三日月館」にたどりついたのだが、杏はそこで色違いでおそろいのゴスロリワンピースを着た少女たちに出くわす。アンナと里江子と名乗ったふたりは親友同時だが、近く里江子が引っ越してしまうのだという。離れ離れになることを恐れたふたりは心中を目論んでおり、そのために入手したという毒薬をしばらく杏に預かっていてほしいと言い出した。ふたりから託されたピンク色の粉を手に途方に暮れた杏は、とりあえずヴィクトールに相談しに行くが……。
霊感体質の女子高生・杏と、霊感ゼロ……と言いたいところだが最近はそれも微妙になってきた感のある椅子職人・ヴィクトールが、様々なオカルト現象に巻き込まれるシリーズ3巻。今回の舞台はヴィクトールの店を遠く離れた北海道の地ではあるが、いつも以上に怪異に襲われるという展開に。
予約していた宿が実在していないという背筋がざわざわしてきそうな事案から始まり、妙な電話、鍵穴から覗く目、心中を目論む美少女ふたり、過去に宿の近くで起きたという玉突き事故……等々、大小さまざまな怪異が杏たちを襲う。こんなこともあろうかと杏のバッグには塩が入っているが、旅の途中で使い果たしてしまうくらいの勢いに、読んでいるこちらも茫然とさせられる。このシリーズ、帯に「ふんわりオカルティック・ラブ」と書かれているが、そろそろ「ふんわり」を消した方がいいのでは……と思ってしまったのは私だけではないと思う(笑)。
ちなみに帯と言えば、今回は「二番目の男になるなんて嫌だ。俺が君に全部教える」とあるのだが、もちろんこのヴィクトールの台詞は見たままの色っぽい意味合いではなく(残念……)、椅子作りにまつわるもの。しかし部屋が別とはいえふたりで旅に出たり、(ひとりきりになるのが怖いという理由ではあるが)接近する場面も多いしで、ふたりの距離もほんの少しは縮まったようなそうでもないような……? その執着心の向かう先が今後どう変化していくのか、気になるところ。
◇前巻→「椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録2 カンパネルラの恋路の果てに」















