槐帝国の公主であるにも関わらず、とある事情でおんぼろ離宮に暮らし続ける雛花。そんな彼女の夢は、皇帝に宿る神と対になる女神「女媧」をその身に降ろす「天后」となり、長年想いを寄せている幼馴染・志紅の助けとなることだった。しかしある時、それまで彼女を応援してくれていたはずの志紅が、急にその夢を全否定。怒って飛び出した雛花は魔物に襲われてしまうが、そこで「天后」としての力を発動してしまうのだった。後日、その祝いと称して志紅、そして現皇帝である異母兄・黒煉との宴席に参加した雛花。しかしそこで志紅は黒煉を殺して帝位を簒奪したうえ、雛花を後宮に閉じ込めて自身の妻にすると宣言し……。
「(仮)花嫁」シリーズ作者の新作は中華風ファンタジー。創世神の力を振るうことのできる「皇帝」と「天后」をめぐり、簒奪帝となった幼馴染とそれに抗おうとするヒロインの攻防を描くラブコメ(?)ということで。
ヒロインが片想い相手に兄を殺された挙句自分も軟禁され……と、出だしも展開もなかなかハードな本作。しかし帯には「後宮脱出ラブコメ」「安心してください。ラブコメです!!!」などと書かれているのでいったいどういうこと?……と思いつつ読んだところ、ラブコメとシリアスの配分は前シリーズと同じくらい(つまり半々といったところ)なのでひと安心。自虐癖が半端ないものの向上心も人一倍な雛花と、ヤンデレと優しいお兄さんを行ったり来たりする志紅との掛け合いが楽しかったり、あるいはドキリとさせられたり。
最後の最後で志紅の思惑と簒奪の真相が描かれるのだが、このことについて雛花はまだすべてを知らぬまま。人ならざる超常の存在にひとりで抗おうとする志紅の決意は悲壮そのものだが、雛花が彼のためになげうってきたものを考えれば、志紅が彼女を犠牲にすることを厭うのも仕方のないこと。けれどここはやはり、ふたりで手に手を取って立ち向かってほしいと思う。例えば雛花が女媧を召喚したときに得た違和感が何かの鍵になってくれればいいのだが。















