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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。 (当ブログは全文無断転載禁止です)

カテゴリ: まとめ

遅ればせながら、2019年上半期が終了しましたので恒例のまとめをば。1〜6月に読んだ本で特によかった10作とひとこと感想です。なお前回はこちらです。


◇高野和「七姫物語 東和国秘抄〜四季姫語り、言紡ぎの空〜」(メディアワークス文庫/KADOKAWA)
日本と中国を混ぜ合わせたような世界観で紡がれる、7人の姫君たちの国盗り物語。末の姫として擁立された主人公・空澄の、その名の通り透徹したまなざしがなんとも印象的です。


◇渡辺優「自由なサメと人間たちの夢」(集英社文庫/集英社)
短編集。ぶっ飛んでいるのに、どこかリアルな物語たち。なんとなく自分の中にも彼女たちのような存在がいるような気がする。


◇小川一水「天冥の標10 青葉よ、豊かなれ PART3」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
ついに完結した大河SF小説。つまりは愛なんですよ。


◇織守きょうや「響野怪談」(角川ホラー文庫/KADOKAWA)
人ならざるモノに好かれやすい体質の少年・響野春希の周辺で起きる奇妙な出来事の数々。最終エピソードにはなんとも肝が冷える。まさに「怪談」。


◇木皿泉「カゲロボ」(新潮社)
「カゲロボ」なる都市伝説的な存在をめぐる短編集。いるかいないか、それは実際に箱のふたを開けてみなければ誰にもわからない。


◇糸森環「欺けるダンテスカの恋 椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録1」(ウィングス文庫/新書館)
人間嫌いで椅子を偏愛する椅子職人ヴィクトールの周辺で起こる霊的な現象(ただし当人には霊感なし)を、霊感アリの女子高生・杏がはからずも解決してゆく連作ライトミステリ。微妙にエキセントリックな感のあるヴィクトールの発言がなんとも楽しい(笑)。


◇雪乃紗衣「エンド オブ スカイ」(講談社)
それはきっと、命懸けにして運命の恋。すれ違いながらも育まれる絆がなんとも眩しい作品でした。


◇柴田勝家「ヒト夜の永い夢」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
粘菌で動くヒトガタは果たして神たりえるか。南方熊楠という実在の学者を主人公に、虚実織り交ぜて綴られる、ヒトのみる一夜の夢。


◇宮内悠介「偶然の聖地」(講談社)
幻の山「イシュクト」を目指す人々を描くロードノベル。その山にたどり着いた時に視える景色はいったいなんだったのだろうか。


◇結城充考「捜査一課殺人班イルマ オーバードライヴ」(祥伝社文庫/祥伝社)
自身の信じる正義を貫く孤高の女刑事・イルマの活躍を描くシリーズ4巻。過去最大のピンチに見舞われつつもブレないその姿がかっこいい。

2018年も終わってしまいましたので、下半期のまとめに入りたいと思います。7〜12月に読んだ本で特によかった12作とひとこと感想です。なお上半期はこちらです。


◇柚木麻子「ねじまき片想い」(創元推理文庫/東京創元社)
おもちゃメーカーのデザイナーである主人公が、片想いの彼のために奮闘!しかし空回り!という短編連作集。しかし振り回されっぱなしではなく、自分の足で、自分のために歩き出すラストはとても清々しいです。


◇岩城裕明「呪いに首はありますか」(実業之日本社)
代々30歳で死ぬ呪いにかけられている主人公が、その呪いの「治療」のために幽霊を探す物語(ただ主人公に霊感はない)。タイトルの意味がわかるラストにはなんだか切なくなってしまいます。


◇小野不由美「屍鬼 全5巻」(新潮文庫/新潮社)
小野不由美のホラー大作を夏に再読。特殊な状況下に置かれた人間の心理――特に集団心理――があぶり出される終盤は、ただ恐ろしいの一言に尽きます。


◇東堂燦「ガーデン・オブ・フェアリーテイル 造園家と花を枯らす少女」(集英社オレンジ文庫/集英社)
触れた植物を枯らしてしまう呪いに蝕まれた天涯孤独の少女と、そんな彼女を見守る「許嫁」の不思議な関係を描くラブストーリー。ふたりが出会えて本当に良かったと思います。


◇嬉野君「異人街シネマの料理人4」(新書館)
祖父の遺したミニシネマを守るために女子高生が奮闘!……のはずが、気付けば世界を股にかけた復讐劇に巻き込まれることとなったシリーズ完結編。ある意味「才能」とはいえ、海千山千な兄たちを手玉にとったヒロインの強さがたまりません。


◇壁井ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部 春高編」(集英社)
男子バレーボール小説シリーズ、第3シーズン。弱小バレー部がついに全国大会「春高」へ!ということですが、全国の壁は高かった……。しかしこれまで以上に熱い戦いと、意外な展開にぐいぐい引き込まれます。


◇藤井太洋「ハロー・ワールド」(講談社)
少し先の未来に実現しそうな世界を舞台に、新たな技術とその「正しい」使い方を模索するエンジニアの姿を描く短編連作集。


◇尾崎世界観・千早茜「犬も食わない」(新潮社)
1組のカップルの日々を、尾崎世界観が男性側、千早茜が女性側から描く合作小説。なぜ付き合っているのか、という理由を見失いつつあるふたりが、その時になって初めてきちんと向き合うようになっていくという流れが、フィクションのはずなのにどこかリアルに感じられます。


◇佐藤究「QJKJQ」(講談社文庫/講談社)
家族全員殺人鬼という一家で起きた殺人事件。兄を殺した犯人を探すうち、意識の陥穽に嵌まり込んでしまう妹の末路が描かれていきます。「平成のドグラ・マグラ」とは言いえて妙。


◇川上稔「GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン11〈下〉」(電撃文庫/KADOKAWA)
学園戦国ファンタジーシリーズ、10年の年月をかけてついに完結!ということで。何も失わせない、完璧なラストでした。


◇森晶麿「黒猫のいない夜のディストピア」(東京創元社)
黒猫シリーズ、第2期のスタートにして第1期のエピローグといったところ。新キャラも登場し、ふたりの立場も変わっていくけれど、関係性はきっと変わらない――または良い方向に変わっていくのだろうと予感させる展開にひと安心。


◇野梨原花南「ちょー東ゥ京〜カンラン先生とクジ君〜」(eコバルト文庫/集英社)
久しぶりのちょーシリーズ新作は、タロットワーク一族のカンラン先生と、魔力を帯びない特殊体質の持ち主であるクジ君と共に様々な事件に巻き込まれるというお話。ぜひ2巻とセットで読んでほしいです。

2018年上半期が終了しましたので恒例のまとめをば。1〜6月に読んだ本で特によかった11作とひとこと感想です。なお前回はこちらで。

翼の帰る処 番外編 ―君に捧ぐ、花の冠―
◇妹尾ゆふ子「翼の帰る処 番外編−君に捧ぐ、花の冠−」(幻冬舎)
本編の裏側で起きていたエピソード集。完璧超人に見える皇妹の意外な一面(シリアスな意味ですが)が垣間見えます。

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)
◇草野原々「最後にして最初のアイドル」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
「会いに行けるアイドル」から「会いに来るアイドル」、そしてさらなる進化を遂げる主人公の姿には落涙を禁じえません(笑)。

ゲームの王国 上 ゲームの王国 下
◇小川哲「ゲームの王国(上)(下)」(早川書房)
各所でも言及されていますが、上巻と下巻のギャップがなかなか激しい。しかしそれゆえに読み始めたら止まりませんでした。

超動く家にて 宮内悠介短編集 (創元日本SF叢書)
◇宮内悠介「超動く家にて 宮内悠介短編集」(東京創元社)
バカSF短編集(褒め言葉ですもちろん)。表題作が一番好きなんですが、この脱力感がたまりません。あ、もちろんシリアスな話もありますのでご安心ください(笑)。

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)
◇辻村七子「マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年」(集英社オレンジ文庫/集英社)
少年型アンドロイドを巡るライトSF。「リチャード氏」シリーズも大好きですが、デビュー作も含め、こういったSF系の話もお得意のようですので、今後も期待大です。

星を墜とすボクに降る、ましろの雨 (ハヤカワ文庫JA)
◇藍内友紀「星を墜とすボクに降る、ましろの雨」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
これは究極の愛の物語といっても差し支えないのかもしれない。

さざなみのよる
◇木皿泉「さざなみのよる」(河出書房新社)
彼女が生きていた、そのことはいつまでも残り続ける。喪失を受けとめる人々の物語。

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)
◇紅玉いづき「悪魔の孤独と水銀糖の少女」(電撃文庫/KADOKAWA)
世界の終わり――その始まり。「孤独」と「孤独」が出会ったときにうまれるもの。

飛ぶ孔雀
◇山尾悠子「飛ぶ孔雀」(文藝春秋)
火と水と、誰も見たことのない、いつかのどこかの世界の物語。

紅霞後宮物語 第八幕 (富士見L文庫)
◇雪村花菜「紅霞後宮物語 第八幕」(富士見L文庫/KADOKAWA)
第1部完結。小玉が「伝説の皇后」となる、その瞬間に立ち会っているのだというのがよくわかるエピソードだったような気がする。

さよならクリームソーダ (文春文庫)
◇額賀澪「さよならクリームソーダ」(文春文庫/文藝春秋)
青春というのはソーダ水の泡のようなものなのかもしれない。

2017年が終了しました……ということで、恒例のまとめです。7〜12月に読んだ本の中で、特によかった12作品&ひとことです。なお上半期のまとめはこちらで。

天盆 (中公文庫)
◇王城夕紀「天盆」(中公文庫/中央公論新社)
架空の盤上ゲーム「天盆」にすべてを懸けた少年の物語。その一途さに引き込まれます。

永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか? (講談社タイガ)
◇若木未生「永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか?」(講談社タイガ/講談社)
人嫌いの偏屈青年&哲学青年が繰り広げる超常現象ミステリ。それぞれが抱える問題のせいで、どこか危ういバランスを保つふたりの関係が気になります。

怪物 (集英社文庫)
◇福田和代「怪物」(集英社文庫/集英社)
定年間近の老刑事が出会った青年研究者は何者なのか……というサイコパスミステリ。最後まで読むと、タイトルの「怪物」とはいったい誰のことだったのか、いろいろ考えさせられます。

機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
◇月村了衛「機龍警察」シリーズ(早川書房)
(感想:1巻/2巻/3巻/4巻/5巻/6巻
近未来ならぬ「至近未来」の日本を舞台にしたハイブリッド警察小説シリーズ。犯罪者との攻防、警察内部での権力闘争、そして近寄りつつある破滅の足音……ハードボイルドな展開と息つく暇もない密度の物語がたまりません。

ひみつの小説家の偽装結婚 恋の始まりは遺言状!? (集英社コバルト文庫)
◇仲村つばき「ひみつの小説家の偽装結婚 恋の始まりは遺言状!?」(コバルト文庫/集英社)
偽名で作家活動をしているヒロインと、その作家の大ファンである青年騎士とがまさかの偽装結婚!?という恋愛ファンタジー。ふたりのその後もぜひ読んでみたいのですが……。

金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)
◇彩坂美月「金木犀と彼女の時間」(東京創元社)
文化祭中のある時間帯を繰り返してしまうタイムリープ現象に巻き込まれた主人公が、1周目で自分に告白してくれたのに、2周目以降で死んでしまうクラスメイトを救おうとする青春ミステリ。同じ時間を繰り返す中で成長していく主人公がいい。

錬金術師と異端審問官はあいいれない (集英社コバルト文庫)
◇藍川竜樹「錬金術師と異端審問官はあいいれない」(コバルト文庫/集英社)
平民出身の異端審問官の青年と、貴族令嬢である錬金術師というでこぼこコンビが、とある貴族の罪を暴こうと奮闘するファンタジー。衝突を繰り返しながらも歩み寄ってゆくふたりの関係が好きです。

カラヴィンカ (角川文庫)
◇遠田潤子「カラヴィンカ」(角川文庫/KADOKAWA)
小さな村を支配し反目しあうふたつの家と、その「家」そのものに人生を狂わされてゆく男女を描くミステリ長編(「鳴いて血を吐く」改題)。魔性の女として忌避されていたヒロイン・実菓子が隠し続けた本当の想いには思わず涙が。

応えろ生きてる星 (文春文庫)
◇竹宮ゆゆこ「応えろ生きてる星」(文春文庫/文藝春秋)
結婚直前に婚約者に逃げられた男と、そんな男に復讐を持ち掛ける謎の女との1週間。ノンストップかつハイスピードで駆け抜けていく、それはきっと恋なのだろう。

心中探偵 蜜約または闇夜の解釈 (幻冬舎文庫)
◇森晶麿「心中探偵 蜜約あるいは闇夜の解釈」(幻冬舎文庫/幻冬舎)
運命の女と共に死ぬことを夢見る作家・華影忍が巻き込まれた殺人事件の真相とは。女というものは、いつだって謎に満ちた存在なのかもしれない。

バビロン 3 ―終― (講談社タイガ)
◇野崎まど「バビロン3−終−」(講談社タイガ/講談社)
舞台をアメリカに移した3巻では、「自殺法」が世界を変えてゆく様が描かれます。ひたすらに絶望を撒き散らす曲世愛の目的はいったいどこにあるのでしょうか。

レアリアIII(前篇): 運命の石 (新潮文庫nex) レアリアIII(後篇): 運命の石 (新潮文庫nex)
◇雪乃紗衣「レアリア3 運命の石 前後篇」(新潮文庫nex/新潮社)
絶望へ向かって加速してゆく大河ファンタジー3巻。小さな希望の灯さえも取り上げられそうな展開にはひたすら胸が痛くなります。ちなみに約2年半ぶりの新刊だったので、次はもう少し早めに読みたいですねーと……。

2017年も半分終わってしまったということで(いつの間に……)、恒例のまとめをしてみました。1〜6月に読んだ本の中で、特によかった14作品&ひとことです。なお前回はこちらで。

KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻
◇暁佳奈「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 全2巻」(KAエスマ文庫/京都アニメーション)
(感想:上巻/下巻
「自動書記人形サービス」として様々な人の縁を繋いでゆく美女・ヴァイオレットの過去と現在をめぐる物語。ヴァイオレットの壮絶な半生は涙なしには読めません。

ひとごろしのうた (ハヤカワ文庫JA)
◇松浦千恵美「ひとごろしのうた」 (ハヤカワ文庫JA/早川書房)
元バンドマンの新米音楽ディレクターが惚れ込んだ謎の新人の曲が、過去の陰惨な事件を解き明かしてゆくミステリ長編。スピーディな展開から目が離せません。

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
◇宮澤伊織「裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル」 (ハヤカワ文庫JA/早川書房)
〈裏側〉という世界で女子大生コンビが都市伝説に遭遇するSFホラー。ふたりそろって何が起こるかわからない世界にどんどん足を踏み入れていくその豪胆さがすごい。そして都市伝説ネタがこわすぎる……。

飛べない鍵姫と解けない飛行士 その箱、開けるべからず (コバルト文庫)
◇山本瑤「飛べない鍵姫と解けない飛行士 その箱、開けるべからず」 (コバルト文庫/集英社)
錠前師の少女と鉄道王の青年による、謎を秘めた箱をめぐるスチームパンク・ミステリ。ヒロイン・マージのまっすぐさがなんとも眩しい。

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)
◇中村ふみ「天空の翼 地上の星」 (講談社ホワイトハート/講談社)
元・王族のやさぐれ青年と、そんな彼を一度は王と認めたもののその現状を見かねて撤回しに来た天の使いとの奇妙な関係を描く中華風ファンタジー。なんだかんだ言って面倒見のいい主人公と、最初は冷たい態度を取りつつ、だんだん主人公にほだされていく天令がなかなかいいコンビです。

あとは野となれ大和撫子
◇宮内悠介「あとは野となれ大和撫子」 (KADOKAWA)
クーデターが起き、政治家たちが逃げ出した中央アジアの小国で、官僚候補として教育されてきた少女たちが国を建てなおそうとする冒険系小説。タイトルにもなっている、主人公・ナツキたちのスタンスがとても清々しい。

霊感検定 (講談社文庫)
◇織守きょうや「霊感検定1〜3」(講談社文庫/講談社)
(感想:1巻/2巻/3巻
霊感がどの程度のものかをはかる「霊感検定」でその能力を可視化しつつ、周囲で起きる霊的事件を解決していく高校生たちの物語。人と違う能力があるというのはいいことばかりではないけれど、だからこそそれを「特別」にしないためにあるのがこの「検定」だ……というエピソードにぐっときた。

冬雷
◇遠田潤子「冬雷」 (東京創元社)
閉鎖的な小さな町で起きた殺人事件――鷹匠と巫女の禁じられた恋の顛末がなんとも物悲しい。願わくはこのふたりが幸せになりますように。

捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター
◇結城充考「捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター」 (祥伝社)
狙った獲物(犯人)は逃がさない「狼のような」女刑事・イルマが、陸の孤島的な施設でたったひとり爆弾魔を追うというハードすぎる展開。イルマさんかっこよすぎです。

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)
◇井上真偽「探偵が早すぎる(上)」 (講談社タイガ/講談社)
遺産目当ての親族から命を狙われる女子高生を守るために現れたのは、事件を未然に防ぐ探偵でした……というまさかの展開。完全犯罪が計画の時点でどんどん暴かれていくという内容にはスカッとさせられます。ちなみに下巻は今月発売予定。

2 (メディアワークス文庫)
◇野崎まど「2」 (メディアワークス文庫/KADOKAWA)
今更ながら作者のメディアワークス文庫作品を読んでみたのですが、どれもこれもすごい。中でも集大成となる本作は特に。この作者にとって、世界はどんな風に見えているのだろうかと思ってしまう。

ガーデン
◇千早茜「ガーデン」 (文藝春秋)
植物を偏愛するフラットすぎる男性編集者・羽野と、彼を取り巻く女性たちの物語。彼に変化をもたらしたのは一体何だったのか――そして彼の変化は何をもたらすのか。

おいしいベランダ。 3月の桜を待つテーブル (富士見L文庫)
◇竹岡葉月「おいしいベランダ。3月の桜を待つテーブル」 (富士見L文庫/KADOKAWA)
ベランダ菜園男子とうっかり女子大生の園芸ライフ・ラブストーリーももう3巻。まもりのことが思いのほか好きすぎる亜潟さんが可愛すぎる件。

鳩子さんとあやかし暮らし (富士見L文庫)
◇野梨原花南「鳩子さんとあやかし暮らし」 (富士見L文庫/KADOKAWA)
ひょんなことからあやかしの相談役になってしまった鳩子さんの田舎暮らし。文句言いつつもあやかしたちをあたたかく見守る鳩子さんが素敵です。

2016年下半期のよかった本まとめのお時間です。
おかげさまで上半期に引き続き読書熱が継続中だったので、悩みに悩んだ12作&ひとこと感想です。いつもの通り読了順です。ちなみに上半期はこちら


ハルコナ (新潮文庫nex)
◇秋田禎信「ハルコナ」(新潮文庫nex/新潮社)
あの秋田禎信が純愛小説!?というだけで手に取るしかない。花粉症が蔓延する世界で、存在するだけで他者のその症状を和らげる代わりに、本人にとっては猛毒である花粉から身を守るために防護スーツを着て生活せざるを得ないヒロイン・ハルコと、その彼女の介助役を自ら買って出たクラスメイト・遠夜との関係が描かれてゆきます。そう、つまり愛は世界を変える。

魔導書の姫と愛しき眷属 大いなる鍵と虚の書 (ビーズログ文庫)
◇夏野ちより「魔導書の姫と愛しき眷属 大いなる鍵と虚の書」(ビーズログ文庫/KADOKAWA)
力ある魔導書と契約した11人の王たちに支配される世界で、最強の魔導書に選ばれた主人公・シルヴィアの運命を描くファンタジー。魔導書を拒み続けるシルヴィアを「強欲」と称し契約を迫るアルス・ノヴァ、そしてその中でシルヴィアが本当の望みを見出してゆくという流れがたまりません。

バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)
◇野崎まど「バビロン2−死−」(講談社タイガ/講談社)
1巻もすごかったが2巻はさらにすごかった。ただひたすらに絶望しか生み出さない展開がなんとも恐ろしい。

子羊寮の夢見る狼と苺姫 (一迅社文庫アイリス)
◇平子雅野「子羊寮の夢見る狼と苺姫」(一迅社文庫アイリス/一迅社)
恋に恋するお年頃ヒロイン・アチカと、そんな彼女になぜかキスを迫る青年・オズマリアとの攻防を描くラブコメファンタジー。アチカに好かれようという下心が見え見えすぎるオズマリアの行動と、わかっているけどついキュンとして、そのあとでがっかりするアチカ、という展開がなんとも可愛らしい。そしてそんな流れの後で思いがけない真相が待ち構えているというギャップも。

スペース金融道
◇宮内悠介「スペース金融道」(河出書房新社)
アンドロイドだろうがなんだろうが返済するなら金を貸し、最終的には宇宙の果てまで追ってゆく――そんな「新星金融」の回収員である「ぼく」(プログラマー)と上司のユーセフ(量子金融工学者)の奮闘(?)を描く、血も涙もないSF連作集。ユーセフのパワハラ極まりない言動および行動に「ぼく」が振り回される様子や、借主であるアンドロイドたちの巧妙な借金逃れぶりがなんとも面白い。

翼の帰る処 5 ―蒼穹の果てへ― 下
◇妹尾ゆふ子「翼の帰る処5−蒼穹の果てへ(下)−」(幻冬舎)
ついにシリーズ完結。世界の存亡がその病弱な肩にかかってしまった主人公・ヤエトの行く末やいかに、ということで。託されたものの重さがいまさらになって理解させられるという展開はつらいものもありましたが、それでも彼が新たな道を選んでくれて本当に良かった。あと生きて戻って皇女に折れてくれて本当に良かった(笑)。

空への助走 福蜂工業高校運動部
◇壁井ユカコ「空への助走 福蜂工業運動部」(集英社)
男子高校バレー小説「2.43」シリーズのスピンオフとなる運動部小説集。スポ根あり、甘酸っぱい青春系恋愛ものもあり、とバリエーション豊かな作品集です。陸上部の後輩との微妙な関係を描く表題作と、「2.43」シリーズにも登場するバレー部メンバーの前日譚が特にいい。

上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部 上流階級 富久丸百貨店外商部II
◇高殿円「上流階級 富久丸百貨店外商部 1〜2」(光文社)
(感想:1巻 / 2巻
初の女性外商部員に抜擢された主人公・静緒が、悩みながらも「外商」という仕事に打ち込んでゆく姿を描くお仕事小説。このたび2巻が出たのでまとめ読みです。物語が進むにつれ、仕事面だけでなく、彼女に否応なしに貼られる「バツイチの独身アラフォー女性」というレッテルとの向き合い方についても描かれるように。周囲の旧弊なものの見方にも敢然と立ち向かってゆく姿がまたかっこいい。

青の数学 (新潮文庫nex) 青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)
◇王城夕紀「青の数学 1〜2」(新潮文庫nex/新潮社)
(感想:1巻 /2巻
数学に青春をかける少年少女たちの日々。数学とはなにか、という問いにいつしかまっすぐ向き合っていく主人公、そしてその周囲の人々がもがきながらもそれぞれの答えを見出してゆく姿は、どれもいとおしく感じられます。

ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェルト (角川ビーンズ文庫)
◇永瀬さらさ「ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェルト」(ビーンズ文庫/KADOKAWA)
毒舌系天才指揮者と新米ヴァイオリニストが、それぞれが目指す音楽の道を守るために偽装婚約!?という音楽系ラブストーリー。口も態度も悪いけど面倒見のいいヒーロー・アルベルトがなんとも微笑ましいです。

湖城の魔王と異界の少女 睡蓮の花嫁 (コバルト文庫)
◇東堂燦「湖城の魔王と異界の少女 睡蓮の花嫁」(コバルト文庫/集英社)
異世界召喚(?)系ラブストーリー。あまりにも孤独なふたりが惹かれ合うさまが、なんとも繊細に描かれてゆきます。

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)
◇ゆきた志旗「Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防」(集英社オレンジ文庫/集英社)
自他ともに認める「ブス」なブライダルプランナーに求婚してきたのは、「絶世の美男子」なブス専の上司でした……というお仕事ラブコメ。どこまでも意識の高い上司・久世の言動がひどすぎるけど、それを内心でこきおろす主人公・香澄のタフさがなんとも頼もしい。

というわけでいつの間にか6月が終わってしまったので、恒例の良かった本まとめをしたいと思います。今回は計13作品で、以下読んだ順にひとことずつ。ちなみに前回(2015年下半期)はこちらで。

空と鏡界の守護者 (ビーズログ文庫) 空と鏡界の守護者 2 (ビーズログ文庫) 空と鏡界の守護者 3 (ビーズログ文庫)
◇小椋春歌「空と鏡界の守護者」全3巻(ビーズログ文庫/KADOKAWA)
(感想:1巻/2巻/3巻
落ちこぼれなヒロインが実はすごい力を秘めていて……という展開は王道ですが、本作でご注目いただきたいのは、そのヒロインに一目惚れして猛烈アタックをしてくる年下くんです。とにかく可愛すぎる青少年です(笑)。あとヒロインを溺愛する親友との友情パートも見逃せません。

チョコレート・ダンディ 〜可愛い恋人にはご用心〜 (コバルト文庫) チョコレート・ダンディ ~君の瞳は甘い罠~ (コバルト文庫)
◇我鳥彩子「チョコレート・ダンディ」シリーズ(コバルト文庫/集英社)
(感想:1巻「可愛い恋人にはご用心」
(感想:2巻「君の瞳は甘い罠」
女性不信に陥っていた青年貴族が好きになったのは、まだ恋も知らない10歳も下の女学生でした……ということで、ヒロインのアデルに振り回されるオスカーの姿がなんとも楽しい「新釈・あしながおじさん」。

西洋菓子店プティ・フール
◇千早茜「西洋菓子店プティ・フール」(文藝春秋)
とある商店街の洋菓子店を舞台にした連作群像劇。極端なことを言えば生きていく上で必要ではない「菓子」を軸に据えながら、登場人物たちの生き方が変化していく様が丁寧に描かれていきます。

レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち (講談社タイガ)
◇篠田真由美「レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち」 (講談社タイガ/講談社)
風変りな未亡人ヴィタと、謎すぎるメイド・シーモアが、持ちこまれる奇妙な事件を解決してゆくヴィクトリアン・ミステリ。訳アリそうなふたりの過去にも注目ということで。

英国幻視の少年たち (ポプラ文庫ピュアフル) (P[ふ]4-2)英国幻視の少年たち2: ミッドサマー・イヴ (ポプラ文庫ピュアフル)
◇深沢仁「英国幻視の少年たち」シリーズ(ポプラ文庫ピュアフル/ポプラ文庫)
(感想:1巻「ファンタズニック」
(感想:2巻「ミッドサマー・イヴ」
霊感のある大学生・カイが、留学先のイギリスで出会ったランスと共に、妖精をはじめとする「幻想的生命体」とのトラブルに巻き込まれていくという現代ファンタジー。ともすれば妖精たちに肩入れしすぎるランスの危うさから目が離せません。

バー・スクウェアの邂逅 (創元推理文庫) バー・スクウェアの矜持 (創元推理文庫)
◇福田和代「バー・スクウェアの邂逅」 「バー・スクウェアの矜持」 (創元推理文庫/東京創元社)
大阪府警に所属する刑事・三田が出会ったのは、バー「スクウェア」のバーテンダーである謎の美青年・リュウと、元ボクサーの宇多島だった……ということで、訳アリなふたりとベテラン刑事との攻防が描かれるハードボイルド・ミステリ連作。本来であれば出会うことのなかったであろうこの3人の微妙な関係がなんとも楽しいです。

彼女がエスパーだったころ
◇宮内悠介「彼女がエスパーだったころ」 (講談社)
とあるライターが、自身が取材した様々な「超常現象」について語っていく連作集。表題作のエスパー彼女が一番気になります。

おいしいベランダ。 午前1時のお隣ごはん (富士見L文庫)
◇竹岡葉月「おいしいベランダ。午前1時のお隣ごはん」 (富士見L文庫/KADOKAWA)
ひとり暮らしを始めた女子大生の、隣の部屋に住んでいるイケメンはベランダ菜園男子でした……というふたりの関係の変化を描いてゆく恋愛小説。最後の最後でやってくれましたよ!ぜひふたりのその後を見てみたいものです。

メサイア 警備局特別公安五係 (講談社文庫)
◇高殿円「メサイア 警備局特別公安五係」 (講談社文庫/講談社)
警察にあって極秘のエージェントである「サクラ」たちの攻防を描くスパイ・ミステリ。絶望を心の奥底に隠したまま過酷な任務にその身を投じ、しかしその中で確かな絆を育んでいくふたりの姿がただ切なくて。

血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)
◇多崎礼「血と霧1 常闇の王子」 (ハヤカワ文庫JA/早川書房)
その身に流れる「血」の特殊性によって地位が決められる世界で、失踪した娘を追い続ける主人公・ロイスの活躍を描くスチームパンク探偵譚。ひょんなことからロイスに懐くようになった王子・ルークとの関係がなんとも微笑ましいです。

シグザール警察特命官 まるで愛おしくない君とふたり (コバルト文庫)
◇御永真幸「シグザール警察特命官 まるで愛おしくない君とふたり」 (コバルト文庫/集英社)
ひょんなことからエリート街道を外れてしまった警官・ジークと、訳アリすぎるあまり警察の雑用係を任じられている女性警官・イリスとの出会いと絆を描くバディもの。イリスの背後に控えている黒幕のことだとか、ふたりの微妙な関係だとか気になるところがたくさんあるので、ぜひ続編を希望。

三の隣は五号室
◇長嶋有「三の隣は五号室」 (中央公論新社)
間取りが変な「第一藤岡荘」の5号室を舞台に、その部屋を出入りする住人たちを描いてゆく年代記的群像劇。部屋の使われ方や住人たちの暮らしぶりなど、その時々の世相を反映しているのも面白い。

烏に単は似合わない (文春文庫) 烏は主を選ばない (文春文庫) 黄金の烏 (文春文庫) 空棺の烏
◇阿部智里「八咫烏シリーズ」1〜4巻(文藝春秋)
(感想:1巻「烏に単は似合わない」
(感想:2巻「烏は主を選ばない」
(感想:3巻「黄金の烏」
(感想:4巻「空棺の烏」
人のかたちをとれる3本足の烏「八咫烏」の世界を舞台にした和風ファンタジーシリーズ。1巻は後宮小説かと思えばまさかのミステリー、2巻では1巻の裏側で起きていたことを描き、3巻からはこの世界そのものの成り立ちや謎が提示されていきます。その作り込まれた世界観に、あっと言う間に引きずり込まれてしまいました。

2015年下半期のまとめです。この期間(7〜12月)に読んだ作品のうち、特に面白かったものをまとめてみました。ちなみに面白い順ではなく読んだ順です。あと上半期のまとめはこちらです。

五龍世界 WOOLONG WORLD: I霧廟に臥す龍 (ポプラ文庫ピュアフル) (P[か]5-2)五龍世界 WOOLONG WORLD II: 雲谷を駈ける龍 (ポプラ文庫ピュアフル) (P[か]5-3)五龍世界 WOOLONG WORLD III: 天鏡に映る龍 (ポプラ文庫ピュアフル)
◇壁井ユカコ「五龍世界1〜3」(ポプラ文庫ピュアフル/ポプラ社)
(感想:1巻/2巻/3巻
運命に翻弄されつつ抗い続ける少女たち+αが主人公の本格中華ファンタジー。私が読んだ当初は2巻まで文庫化されていましたが、11月に3巻も文庫化されました(文庫版には書き下ろし掌編つき)。道士見習いの少女・ユギが奮闘する1巻と3巻、ユギの友人で千里眼の能力を持つ妓女・碧耀が自分の殻を破る2巻が現在刊行されています。あとめんどくさい王子サマに目をつけられ苦労しっぱなしの異国人・イルラックもそれぞれにちょっかい出したり出されたりしつつ活躍(?)中。この3人が大変な目に遭いながら成長していくという流れもいいのですが、ほんのり芽生えつつある3人の恋模様的な部分も気になります。ただ、今のところ「私たちの戦いはこれからよ!」的ないいところでストップしているのがとても残念。続編待ってます。

王とサーカス
米澤穂信「王とサーカス」(東京創元社)
言わずと知れた、2015年ミステリーベストでまたしても3冠に輝いた最新長編。主人公の記者・太刀洗万智が異国でのスクープ取材をするなかで、はからずもとある殺人事件の謎解きをすることに。と同時に、彼女自身が「記者」としての覚悟を問われるという物語にもなっています。なお、12月に同じく太刀洗を主人公とした短編集「真実の10メートル手前」も刊行されているので、あわせてどうぞ。

嘘つきたちの輪舞 (コバルト文庫)
一原みう「嘘つきたちの輪舞」(コバルト文庫/集英社)
報われない恋を描く短編集。ロマンス、SF、ミステリといずれもテイストは異なるのですが、その結末はどれも切ない。ちなみに作品によってイラストレーターが違うという試みも面白いというか、なんだか得した気分(笑)。

レアリアII: 仮面の皇子 (新潮文庫nex)
雪乃紗衣「レアリア2 仮面の皇子」(新潮文庫nex/新潮社)
待ってましたの2巻。まさに嵐の前の静けさ。綱渡りにしか見えないような、ぎりぎりの状態でそれでも互いを信頼しようとするミレディアとアリルの行く末がただただ心配。

紅霞後宮物語 (富士見L文庫) 紅霞後宮物語 第二幕 (富士見L文庫)
◇雪村花菜「紅霞後宮物語1〜2」(富士見L文庫/KADOKAWA)
(感想:1巻/2巻
ひょんなことから一国の皇后となってしまった女軍人が、後宮や朝廷のどろどろした思惑をあっさりとかわしながら暮らしてゆくという中華ファンタジー。さばさばしすぎな主人公には、他の側室たちと同じく「お、お姉さまっ!」と言わざるを得ません(笑)。

屍者の帝国 (河出文庫)
伊藤計劃・円城塔「屍者の帝国」(河出文庫/河出書房新社)
伊藤計劃の遺作を、序章や構想メモを元に円城塔が書き継いだ……というのはもはや説明するまでもないのでしょうが。屍者を労働力とする技術が確立されている世界で、主人公はその「屍者」という存在そのものの謎を追ってゆくことになるのですが、どんどんスケールが大きくなっていくのがなんとも楽しかったです。そしてラストの寂寥感たるや。

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)
野崎まど「バビロン1−女−」(講談社タイガ/講談社)
タイトルの通り、謎の女を巡るクライムサスペンスであり、「正義」の在り方をめぐる物語でもあります。最後の最後で判明した「女」の存在がただ恐ろしいとしか言えません。この先どうなるんだろう……。

喉の奥なら傷ついてもばれない
宮木あや子「喉の奥なら傷ついてもばれない」(講談社)
愛情に縛られ、少しずつ歪んでゆく女たちを描く短編集。彼女たちは果たして本当にこの状態が正しいと思っているのか、それとも必死にそう思おうとしているのか……どちらにせよ、救いのない話だとは思います。けれど同時に、これはきっと誰にだって起こりうることだろうな、とも。

雪の鉄樹
遠田潤子「雪の鉄樹」(光文社)
14年前に起きた事件に心身ともに苦しめられながらも、その時から続く「約束」だけをよすがに生きてきた男の姿を描くサスペンス長編。終盤までつらい展開がこれでもかというくらい続くのですが、最終的には「報われる」というのはこういうことなんだなと言えるラストに落ち付いて本当に良かったです。

仮面師は微笑(わら)う―レプリカ・アリス (コスミック文庫α)
鷹守諫也「仮面師は微笑う〜レプリカ・アリス〜」(コスミック文庫α/コスミック出版)
人々が仮面をつけて生きる街〈煉獄〉を舞台に、美貌の仮面師レイヴンとその仲間たちが繰り広げる騒動を描いた連作集。謎多き主人公・レイヴンの存在がものすごく気になります。作者の過去作「Tears Roll Down」1巻の改稿版(書き下ろし含む)らしいので、ぜひ続きも刊行してほしいのですが……。

愛のようだ
長嶋有「愛のようだ」 (リトルモア)
この作者にしては珍しいくらいストレートな「愛」の物語。周囲の恋愛譚(ただしそれも断片ばかり)を語ることで、主人公・戸倉が「愛」とは何かを自覚してゆくという展開がとても良いです。タイトルで「ようだ」と断言しないのも作者らしいなと。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)
辻村七子「宝石商リチャード氏の謎鑑定」(集英社オレンジ文庫/集英社)
タイムトラベルミステリ「螺旋時空のラビリンス」の作者による2作目は、超絶美貌の宝石商・リチャード氏と、おひとよしな大学生・正義のコンビが、お客様の抱える問題をはからずも解決してゆくライトミステリ連作。リチャードが語る宝石についての知識はかなり興味深いです。あとふたりの微妙すぎる関係がたまりません(笑)。

異人街シネマの料理人(1) (ウィングス・ノヴェル)
嬉野君「異人街シネマの料理人1」(新書館)
謎めいた兄たちと暮らすことになった少女が、祖父の遺した映画館再建に向けて奮闘するお話。クセの強いふたりの兄が果たして何者なのか、そして主人公の出生に何が隠されているのか、気になることがもりだくさんです。

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)
青崎有吾「アンデッドガール・マーダーファルス1」(講談社タイガ/講談社)
吸血鬼や人造人間、果ては有名な小説の登場人物といった、架空の存在が実在する19世紀末の欧州を舞台に、「怪物専門の探偵」と名乗るふたりのワケあり男女が、自分たちの身体を作り変えた「杖をついた老人」を探しながら探偵業を営むというシリーズ1巻。このどこか歪んだ、あるいは壊れた感じの退廃的な雰囲気がたまりません。


以上、14作でした。
2015年は読書がだいぶはかどった1年だったなーと思います。あと富士見L文庫、集英社オレンジ文庫、講談社タイガといった、昨今流行りのライト文芸レーベルにちょこちょこ手を出してたような気がします。完全に釣られてますね(笑)。来年もこの手のレーベルが増えそうなので楽しみにしています。

それでは本年も本ブログにお越しくださいましてありがとうございました。良いお年を。

大変久しぶりですが「好きなライトノベルを投票しよう!」に参加させていただきます。とはいえ当ブログは今のラノベ業界のメインストリームにほとんど引っかかっていないので、意味があるかと言われると微妙ですが……まあいいか、投票することに意義があるんですヨ(笑)。
あと、先日の「2015年上半期のまとめ」とややかぶる部分もありますがあしからず。


独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑) (電撃文庫)
野崎まど「独創短編シリーズ2 野崎まど劇場」 (電撃文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784048692694】
一番好きなのは「ワイワイ書籍」です(笑)。


エスケヱプ・スピヰド/異譚集 (電撃文庫)
九岡望「エスケヱプ・スピヰド/異譚集」 (電撃文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784048650724】
本編の後日談がやっぱり一番の見どころですが、学園編も捨てがたい。


亜夜子と時計塔のガーディアン 約束のチョコレート (角川ビーンズ文庫)
喜多みどり「亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のチョコレート」 (ビーンズ文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784041017180】
こういうヒロインは微妙に鈍感と相場が決まっておりまして……だがそこがいい。


赤と黒の針騎士 茨に誓う彼の名は (角川ビーンズ文庫)
永瀬さらさ「赤と黒の針騎士 茨に誓う彼の名は」 (ビーンズ文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784041029534】
ジゼラに対してふたりの騎士がどう思っているのかが個人的な懸案事項でありまして。


恋と悪魔と黙示録 身代わり聖女と不思議なお茶会 (一迅社文庫アイリス)
糸森環「恋と悪魔と黙示録 身代わり聖女と不思議なお茶会」 (一迅社文庫アイリス/一迅社)
【15上期ラノベ投票/9784758047067】
アガルは相変わらず乙女。


マルタ・サギーは探偵ですか? (3) 〜ドクトル・バーチ被毒事件〜 (富士見L文庫)
野梨原花南「マルタ・サギーは探偵ですか?3〜ドクトル・バーチ被毒事件〜」 (富士見L文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784040705675】
影は濃いがそのぶん光も強い。なんてうつくしい1日。


王女コクランと願いの悪魔 (2) (富士見L文庫)
入江君人「王女コクランと願いの悪魔2」 (富士見L文庫/KADOKAWA)
【15上期ラノベ投票/9784040706153】
願いを叶えた、その代償はあまりにも大きくて。


螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)
辻村七子「螺旋時空のラビリンス」 (集英社オレンジ文庫/集英社)
【15上期ラノベ投票/9784086800099】
時間は有限にして無限、閉じているようで開かれている。


黒猫の薔薇あるいは時間飛行 (ハヤカワ文庫JA)
森晶麿「黒猫の薔薇あるいは時間飛行」 (ハヤカワ文庫JA/早川書房)
【15上期ラノベ投票/9784150311810】
たとえ遠く離れていても、この空は繋がっているのだと。


初恋時 - クリムゾン・ヴァンパイア (C・NOVELSファンタジア)
夏目翠「初恋時 クリムゾン・ヴァンパイア」 (C・NOVELSファンタジア/中央公論新社)
【15上期ラノベ投票/9784125013251】
一歩くらいは前進?

2015年ももう半分が終わってしまったので、恒例のまとめ・上半期編です。
2015年1〜6月に読んだ本のうち、特によかった作品10作です。以下、良かった順ではなく読んだ順で並べております。タイトルは感想記事にリンクしてますのでご参考まで(シリーズものは1巻のみ)。ちなみに前回分(2014年下半期)はこちらで。

亜夜子と時計塔のガーディアン 約束のチョコレート (角川ビーンズ文庫)
喜多みどり「亜夜子と時計塔のガーディアン 約束のチョコレート」(ビーンズ文庫/KADOKAWA)
前回のまとめには1巻を選びましたが、今回は2巻です。そして残念ながら完結巻。英国留学中の日本人・亜夜子が「切り裂きジャック」とあだ名される監督生・レイと共に事件に巻き込まれるライトミステリです。今回は本物の「切り裂きジャック」が現れてさあ大変!という波乱の展開に。そしてふたりの微妙すぎる関係もたまりません。最後のあたりに今後への伏線とおぼしき設定が出てきたりもしていて、返す返すなぜここで完結なのかと小1時間(以下略)。

独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑) (電撃文庫)
野崎まど「独創短編シリーズ2 野崎まど劇場(笑)」(電撃文庫/KADOKAWA)
まさかの第2弾です。あまりにも独創すぎて笑いが止まりません。今回も文章だけでなく写真、画像、表、なんでもありです。しかも本文、カバー裏だけでなく、既刊案内ページにまで小説が。ここまでくると本当に脱帽です。


秘密同盟アライアンス(上): パラディンの予言篇 (ハヤカワ文庫SF) 秘密同盟アライアンス(下): パラディンの予言篇 (ハヤカワ文庫SF)
マーク・フロスト「秘密同盟アライアンス パラディンの予言篇(上)(下)」(ハヤカワ文庫SF/早川書房)
すでに映像化も決まっているというジュブナイルSF小説。両親から目立たないように生きるよう育てられた主人公には実は秘められた能力があって……というのは王道パターンですが、そんな主人公・ウィルにこれでもかと襲いかかる試練がなんとなくハリウッド的です。そんな息つく暇がない怒涛の展開もさることながら、ウィルに初めて仲間というか友だちができていく過程がなんとも微笑ましくていいです。

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)
辻村七子「螺旋時空のラビリンス」(集英社オレンジ文庫/集英社)
タイムリープを繰り返しては絶望を重ねてゆくふたりの男女を描く近未来SF。もう後がないと思わせる展開から導き出された結末がなんともロマンチック。

鳴夜 (講談社BOX)
柴村仁「鳴夜」(講談社BOX/講談社)
あらゆるものが手に入ると言われる、この世ならざる異形の市「細蟹の市」を舞台にした幻想小説、完結編。すべてと引き換えに叶えられたとしか思えないこの結末は、いったい誰の願いだったのだろうか。

四季彩のサロメまたは背徳の省察
森晶麿「四季彩のサロメまたは背徳の省察」(早川書房)
女性関係が派手すぎる男子高生・忍を翻弄し捕らえるのは、たったひとりの運命の女。あらゆる男を魅了するサロメの真意は奈辺にありや。……ええただのミステリですとも(意味深)。同じ作者の黒猫シリーズが好きな方は必読です。

煉獄ふたり 優しい幽霊はコンビニにいる (講談社BOX)
岩城裕明「煉獄ふたり 優しい幽霊はコンビニにいる」(講談社BOX/講談社)
未練を残してこの世に留まる幽霊を成仏させるのは、アオバとキリンと名乗るふたりの幽霊だった――そんな彼らの目的は、ふたりの過去へと繋がってゆく。明かされた真実がなんとも切ない物語。

2.43 清陰高校男子バレー部 1 (集英社文庫) 2.43 清陰高校男子バレー部 2 (集英社文庫) 2.43 清陰高校男子バレー部 second season
壁井ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部1〜2」 「2.43 清陰高校男子バレー部 second season」(集英社)
都会からやってきた天才セッター・灰島(ただし性格に難あり)と、身体能力は高いのにメンタルが弱い黒羽が、何度もぶつかりながらそれでも互いを信じあい、春高大会を目指す青春小説。ふたりの、そして彼らを取り巻く面々の絆がまぶしすぎて涙が出そう。


波の手紙が響くとき (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
オキシタケヒコ「波の手紙が響くとき」(早川書房)
音声関連のあらゆる業務を請け負う「武佐音響研究所」を舞台に、音にまつわる事件が次々と舞い込んでは解決されてゆくSF連作集。人を狂わせる音楽というモチーフが恐ろしくも魅力的。ついでに言うと登場人物たちが曲者揃いなのもまたいい。


エクソダス症候群 (創元日本SF叢書)
宮内悠介「エクソダス症候群」(東京創元社)
精神医療史をテーマとした作者の初長編作。精神疾患とは、そして精神医療とはなにか、という命題に様々な角度からアプローチされているのがなんとも興味深い。


……以上、10作でした。

さて、恒例のまとめです。今回は2014年7〜12月の間に読んだ中で、特によかった作品10作です(読んだ順に並んでいます)。タイトルは感想記事にリンクしています(シリーズものについては1巻のみ)。
ちなみに上半期のまとめもありますので、よろしければこちらもどうぞ。

精霊歌士と夢見る野菜 (角川ビーンズ文庫)
永瀬さらさ「精霊歌士と夢見る野菜」全3巻(ビーンズ文庫/KADOKAWA)
歌でのみ植物を育てることが出来る世界で、野菜しか育てられない落ちこぼれの少女・メロウが奮闘するファンタジー。天才少年エイディとの良きライバルぶり&カップルぶりも楽しいです。

エスケヱプ・スピヰド (電撃文庫)
九岡望「エスケヱプ・スピヰド」全7巻(電撃文庫/KADOKAWA)
天涯孤独の少女・叶葉と、先の戦争で兵器となった少年軍人・九曜の出会いが世界を動かすボーイ・ミーツ・ガール&SFバトルアクション。熱さと儚さを併せ持つ、不思議な雰囲気の物語でもありました。

レアリアI (新潮文庫)
雪乃紗衣「レアリア1」(新潮文庫nex/新潮社)
勝ち目のない戦いを目前にして、それでもあがき続けるふたりの魔女の姿を描く本格ファンタジー。美しく繊細なのにどこかドライな感じがたまりません。はやく2巻を!

王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫)
入江君人「王女コクランと願いの悪魔」(富士見L文庫/KADOKAWA)
何の願いも望みもないという孤高の王女コクランと、彼女の願いを何としても聞きだそうとする謎の悪魔が織りなすおとぎ話。コクランの抱える孤独の深さが胸に刺さります。

亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会 (角川ビーンズ文庫)
喜多みどり「亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会」(ビーンズ文庫/KADOKAWA)
19世紀末、日本から英国へと留学した少女・亜夜子が、「切り裂きジャック」とあだ名される美貌の監督生・レイと共に、学園で起きる事件を解決するライトミステリ。まだ読めていないのですが、先日発売の2巻で残念ながら完結してしまいました(泣)。基本上からと見せかけて、だんだん亜夜子に弱くなりつつあるレイがかわいらしすぎます。

ノクチルカ笑う (講談社文庫)
柴村仁「ノクチルカ笑う」(講談社文庫/講談社)
電撃文庫、メディアワークス文庫を経て、なぜか講談社文庫に移籍(?)した「由良シリーズ」最新刊。といっても由良はほとんど登場していないので、これ単体でも読めます。傷を抱えた少年たちが笑えないその理由。なんともいえない読後感を味わえます。

こちら、郵政省特別配達課(1) (新潮文庫) こちら、郵政省特別配達課(2) (新潮文庫)
小川一水「こちら、郵政省特別配達課」全2巻(新潮文庫nex/新潮社)
新潮文庫nexにて復刊された旧作。どんなものでも運んでしまう「特配課」のふたりの活躍を描くお仕事(?)小説。話が進むにつれてだんだんスケールがでかくなるのですが、それでもふたりの根底にあるものは変わりません。

マルタ・サギーは探偵ですか? (1) ~レド・ビァ事件~ (富士見L文庫) マルタ・サギーは探偵ですか? (2)  ~名探偵と助手と犬・春から秋までの事件簿~ (富士見L文庫)
野梨原花南「マルタ・サギーは探偵ですか?」1〜2巻(富士見L文庫/KADOKAWA)
富士見ミステリー文庫で刊行されていた同作品が全面改稿で復活です。おかえりマルタ!
「カード戦争」に巻き込まれ、あらゆる事件を一瞬に解決してしまう「名探偵」のカードを手に入れた少年・丸太は、ひょんなことからオスタスと呼ばれる異世界の都市で「名探偵」業を営むことに。マルタのライバルである怪盗ドクトル・バーチもいい味出してます。

満願
米澤穂信「満願」(新潮社)
言わずもがな2014年のミステリ小説系ランキングでいくつも高得点を叩き出した短編集。どの話も全然違う系統のストーリーで、意外な結末が待ち構えており、最後まで気を抜けません。

筺底のエルピス (ガガガ文庫)
オキシタケヒコ「筺底のエルピス−絶滅前線−」(ガガガ文庫/小学館)
人間に憑依して人間を殺す存在「鬼」と、それを倒す組織《門部》の終わりなき戦いを描くSFバトルアクション。すでに確定された未来と、それらに抗い続ける主人公たちの戦いから目が離せません。続巻希望。

……以上、10作でした。

2014年上半期のまとめです。この期間、長期休暇を取ったこともあり、わりと読書量が増えております。時間に余裕があるっていいですねー。
というわけで、今回は2014年1〜6月に読んだ小説から13作品・20冊を選んでみました。配列は面白い順とかではなく、読んだ順です。ちなみに2013年下半期はこちら

オーダーは探偵に―謎解き薫る喫茶店 (メディアワークス文庫) オーダーは探偵に 砂糖とミルクとスプーン一杯の謎解きを (メディアワークス文庫)
オーダーは探偵に グラスにたゆたう琥珀色の謎解き (メディアワークス文庫) オーダーは探偵に 謎解き満ちるティーパーティー (メディアワークス文庫)
近江泉美「オーダーは探偵に」シリーズ 1〜4巻(メディアワークス文庫/KADOKAWA)
喫茶店を舞台にしたライトミステリ連作。頭脳明晰な毒舌高校生探偵・悠貴と、ちょっとおバカな女子大生助手(一応)・美久のラブコメ的関係がとにかく楽しいです。なお、サブタイでは巻数がわかりにくいですが、「謎解き薫る喫茶店」「砂糖とミルクとスプーン一杯の謎解きを」「グラスにたゆたう琥珀色の謎解き」「謎解き満ちるティーパーティー」の順です。

ウィザーズ・ブレイン (8) 落日の都 (下) (電撃文庫)
三枝零一「ウィザーズ・ブレイン8 落日の都〈下〉」(電撃文庫/KADOKAWA)
前巻から何年ぶり……というのはさておき、ようやく「落日の都」編が完結しました。もうまったくもっていいことありません。最悪のケースしか見えてこない展開になりましたので続きを早く……!

人形姫オペレッタ 魔王様からの挑戦状 (一迅社文庫アイリス)
朝戸麻央「人形姫オペレッタ 魔王様からの挑戦状」(一迅社文庫アイリス/一迅社)
魔王の娘・マリーゼが、自身の将来を賭けて父親の指令――人間界に散らばる魔物絡みの物品を盗み出してゆくという物語。魔物を憎む青年・ソロンとの出会いと、その後の微妙な関係がたまりません。

大正空想魔術夜話 墜落乙女ジヱノサヰド (電撃文庫)
岬鷺宮「大正空想魔術夜話 墜落乙女ジヱノヰイド」(電撃文庫/KADOKAWA)
大正時代で洋装の乙女で魔術(というかSFというか)で鏖殺で、と素晴らしすぎる要素てんこもりです。大正浪漫風味はさほどではないですが、ヒロインの「墜落乙女」サヱカのツンデレ(ただしツン95%)ぶりがなんというかもう。

神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (講談社X文庫―ホワイトハート)
石和仙衣「神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら」(講談社ホワイトハート/講談社)
古事記を下敷きにした神代の恋物語。ふたりの神様に翻弄されながらも健気に生き抜こうとするヒロイン・雪荷がいじらしい。でもって、そんな彼女に惹かれて変わってゆく若神・炬がこれまたいじらしい。つまり初々しいカップル万歳!ということで。

断罪の微笑 (ソーニャ文庫)
宇奈月香「断罪の微笑」(ソーニャ文庫/イースト・プレス)
最近TL小説を読むようになりましたが、その中でも特に面白かったのがこの作家さんの作品でした。TLといえばびっくりするくらいのすれ違いで誤解しまくって嫉妬やら苛立ちのあまり無理矢理……という展開がおなじみで、これもまさにすれ違いの連続なのですが、すれ違いのレベルがなんというか悲惨すぎます。命懸けのすれ違いです。でもそこがせつなくていい。姉であるヒロイン・ライラに対し、ヒーロー以上に激しい執着心を見せる妹・マレイカの行動もポイント高いです(笑)。

天冥の標VIII ジャイアント・アークPART1 (ハヤカワ文庫JA)
小川一水「天冥の標8 ジャイアント・アークPART1」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
シリーズ8巻ということで、ここでまた一気にシリーズの核心を突く展開。今回は〈救世群〉イサリの視点で7巻のその後が語られます。そしてその流れで彼女が見たのは「メニー・メニー・シープ」の光景――つまり1巻の冒頭。ここで1巻の語り直しが行われるわけです。すごい!

炎と茨の王女 (創元推理文庫) 白金の王冠 (創元推理文庫)
レイ・カーソン「炎と茨の王女」「白金の王冠」(創元推理文庫/東京創元社)
現在刊行中のファンタジー3部作、1〜2巻。小国の姫君ではあり、なおかつ神からの授けもの「ゴッド・ストーン」をその身に帯びているという特別な存在ではあるものの、できすぎる姉のせいで常に劣等感を抱き、なおかつ容姿にも(体型を含め)自信の持てないヒロイン・エリサ。彼女が隣の大国に嫁がされて以来、様々な苦難に見舞われるという物語です。神に選ばれた娘が波乱万丈な運命に必死で立ち向かう……という展開は、須賀しのぶ「流血女神伝」やジャクリーン・ケアリーの「クシエル」シリーズを思い出します。このシリーズがお好きな方にお勧めです。

ハーフ・クラウン 秘め公爵といばらの輪舞 (コバルト文庫) 氷の王女と緋色の約束 ハーフ・クラウン (コバルト文庫)
御永真幸「ハーフ・クラウン 秘め公爵といばらの輪舞」「氷の王女と緋色の約束」(コバルト文庫/集英社)
性別を偽り、男として公爵を務めるヒロイン・ユーフェミアと、幼少時に彼女に一目惚れしてしまった青年公爵ヴィンセントとのちょっとズレた恋愛もの。公の場では誰よりも男前なのに、その実フリルやリボンなどの可愛いものも大好きというユーフェミアのギャップと、そんなユーフェミアにいちいちメロメロになってしまうヴィンセントの様子が面白すぎます。ついでに言うとユーフェミアの家令・ロイドの敏腕さだとか不遜さだとかも意味不明すぎて楽しいです(笑)。

巡ル結魂者1 (講談社ラノベ文庫) 巡ル結魂者2 (講談社ラノベ文庫)
秋田禎信「巡ル結魂者」(講談社ラノベ文庫/講談社)
久々のシリーズものです。魔法とはちょっと違う、特殊な生物とリンクすることによって、その生物の特殊能力を使える「リンカ」たち(ただしリンカになれるのは女のみ)が存在する世界に、男子高生のカズトが引きこまれて……という異世界召喚&ハーレムもの。とはいえいつもの秋田節だからしてまったくそういう感じがしないのはなにゆえか(笑)。不思議な言語感覚はいつもの通りですが、とりあえずカズトを異世界に引き込んだ張本人・メイの肩書が「超聖女」ってすごい(笑)。

斯くして歌姫はかたる (ビーズログ文庫)  斯くして歌姫はかたる 恋うる愚者に贖罪を (ビーズログ文庫)
朝前みちる「斯くして歌姫はかたる」「斯くして歌姫はかたる 恋うる愚者に贖罪を」(ビーズログ文庫/KADOKAWA)
歌によって自然現象を操れるという世界で、最高位の「歌姫」であったはずのヒロインが、魔物との攻防でその能力を失った上にあらぬ疑いまでかけられてしまい、やむなく音楽学校に潜伏することで巻き起こる騒動を描いたラブコメファンタジー学園風味。ヒロインが破滅的な音痴になってしまったことや、その高飛車かつ上から目線な性格のせいでいらぬトラブルを引き起こし続ける展開もさることながら、彼女に反発しまくる同級生・リュクシオルとの関係がまたたまらないのです。

砂子のなかより青き草
宮木あや子「砂子のなかより青き草」(平凡社)
清少納言と中宮定子の物語。不遇をかこちつつも健気な中宮の姿と、それを母親のように見つめる清少納言の優しいまなざし。そして暗躍する紫式部の影。どこまでもせつない物語でした。

愛されすぎた嫌われ姫 囚われの王子の脅迫 (一迅社文庫アイリス)
小野上明夜「愛されすぎた嫌われ姫 囚われの王子の脅迫」(一迅社文庫アイリス/一迅社)
何度も言うようですが、「呪われた姫君」と「幽閉された王子」というロマンチックな題材なのになんでこんな話に(褒め言葉)。努力家すぎて逆にウザいヒーローという新機軸が生まれた瞬間でした(笑)。

2013年下半期も、上半期に劣らず読書量が減ったままなのですが、とりあえず。
2013年7〜12月に読んだ小説から10作品を選んでみました。配列は面白い順とかではなく、読んだ順です。ちなみに上半期はこちら

海賊女王(上) 海賊女王(下)
皆川博子「海賊女王(上)(下)」(光文社)
16世紀に実在したアイルランドの女海賊グラニュエル・オマリーの生涯を描く歴史長編。女として、海賊として、時に母として走り続けるグローニャの生き様が鮮烈です。

クレイとフィンと夢見た手紙 (MF文庫J)
友野詳「クレイとフィンと夢見た手紙」(MF文庫J/メディアファクトリー)
「届かなかった手紙」を届ける郵便屋の少年ふたりが織り成すファンタジー連作。……というとハートウォーミングな内容っぽいのですが、それだけではないのがイイ。

宵鳴 (講談社BOX)
柴村仁「宵鳴」(講談社BOX/講談社)
「細蟹の市」を舞台にしたダークファンタジー連作、第2弾。サザに起きつつある異変がいったい何なのか気になるのでぜひ続編を!

すいか 1 (河出文庫) すいか 2 (河出文庫)
木皿泉「すいか」全2巻(河出文庫/河出書房新社)
同名ドラマの脚本集。ありふれた日々の中にこそ幸せはあるんだと、そう思わせてくれる物語。

誰に見しょとて (Jコレクション)
菅浩江「誰に見しょとて」(早川書房)
医療と美容の融合を謳う新興企業が、やがて人間の生き方そのものを変えてゆくSF連作。ありえないとはとても言えない、遠くて近い未来の物語なのかもしれない。

金星特急・外伝 (ウィングス文庫)
嬉野君「金星特急・外伝」(ウィングス文庫/新書館)
同名シリーズの番外編にして後日談となる短編集。これで終わりというのは寂しいけれど、でも彼らの「その後」が見られて良かったです。

know (ハヤカワ文庫JA)
野崎まど「know」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
脳にコンピューター状のものを埋め込んで云々というSF小説は多々あれど、これはそのまた先をいくような物語。「知る」ということの意味が変容するとき、ヒトは何を得られるのだろうか。

影を買う店
皆川博子「影を買う店」(河出書房新社)
最新幻想短篇集。短いながらも強い引力を持つ物語ばかりで、底なしの場所へどんどん引きずり込まれます。

かがやく月の宮
宇月原晴明「かがやく月の宮」(新潮社)
ある貴族の子女が父親から託されたのは、帝の視点から描かれた、現在流布しているものとは内容の異なる「竹取物語」だった――という、まさに「竹取物語異聞」な物語。まさかそう来るか! ついでにこの「貴族の子女」の正体がまたふるっていたりして。

アリス殺し (創元クライム・クラブ)
小林泰三「アリス殺し」(東京創元社)
現実世界と、夢の世界――「不思議の国」で起きたことがリンクしてゆくSFミステリ。胡蝶の夢ではないけれど、一体「現実」なのはどちらなのか、そして殺意の発露はいったいどちらで起きているのか。表裏一体となってゆく展開にはくらくらさせられます。


というわけで、10作品12冊でした。さて、読書量が戻るのはいつのことやら……。

というわけで気付けば7月。2013年も半分終わってしまいました。
この半年は何やってたかと言うと……悲しいくらいに病院通いくらいしか思い出せません。
まあさておき、相変わらず読書量もめっきり減っている今日この頃ですが、僭越ながらこの上半期に読んだ本の中で特に良かった10作を選ばせて頂きました。いつもの通り、面白かった順ではなくて読んだ順です。
(ちなみに前回はこちら

とにかくうちに帰ります
津村記久子「とにかくうちに帰ります」(新潮社)
ゲリラ豪雨に見舞われたうえにバスも逃してしまった中で、それでも家に帰りたい人々が奇妙な縁で出会い、力を合わせて家路につく。人の縁の素晴らしさを感じさせられる物語。

恋と悪魔と黙示録 契約の獣と身代わりの花嫁 (一迅社文庫アイリス) 恋と悪魔と黙示録 身代わり王女と百年の虚無 (一迅社文庫アイリス)
糸森環「恋と悪魔と黙示録 契約の獣と身代わりの花嫁」
「恋と悪魔と黙示録 身代わり王女と百年の虚無」(以上、一迅社文庫アイリス/一迅社)
兄を殺した「名もなき悪魔」を追う少女・レジナと、ひょんなことから彼女が召喚してしまった神魔・アガルが織り成す恋愛ファンタジー。お互いに惹かれ合っているはずなのに、種族の差に悩むレジナと、レジナを想う自身の気持ちが「恋心」であることがわからず苛立つアガルとの、どこかズレたすれ違いっぷりにニヤニヤが止まりません。

天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)
小川一水「天冥の標6 宿怨PART3」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
「宿怨」編もこれにて完結。膠着状態に陥った人類は、救世群はいったいどうなってしまうのか。

廻旋する夏空: クロニクル・アラウンド・ザ・クロックII (新潮文庫)
津原泰水「廻旋する夏空 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック2」(新潮文庫/新潮社)
ヴォーカルを亡くした伝説のロックバンド「爛漫」の、その後を描く3部作、第2弾。1巻でニッチの死に決着がついたと思っていたのに、この2巻ではものの見事に覆されてしまう。真犯人は誰なのか、そして「爛漫」はどうなってしまうのか。次巻がとても気になる。

その花束は少年で出来ている (講談社BOX)
岩城裕明「その花束は少年で出来ている」(講談社BOX/講談社)
世界樹のその下で世界を統べているのは、最も美しい少年だった――そんな不思議な世界で、「少年皇」を目指す少年たちの日々と結末を描く青春小説。あまりにも現実離れし過ぎていて、あまりにも眩しくて、あまりにも残酷で、そしてあまりにもうつくしい物語。

翼の帰る処 4 ―時の階梯― 上
妹尾ゆふ子「翼の帰る処4−時の階梯(上)−」(幻冬舎)
久々の新刊では、ついにヤエトが隠居達成!?……とはいえ問題はますます山積み。でもって皇女はなにやら不穏な動きを(笑)。

世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫)
西崎憲「世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ」(創元SF文庫/東京創元社)
作家のリコと日本文学研究者のスマイスの関係。若返る母親を見つめ続ける娘。江戸時代の人斬り。パズルのような文章。どことも知れぬ駅と果てのないプラットフォーム。そして理想の庭園――ゆるやかに繋がっているようで、けれどその繋ぎ目はとても曖昧。遠くから見たらそれこそが、ひとつの庭になっているのかもしれない。

リリーベリー―イチゴショートのない洋菓子店 (メディアワークス文庫)
大平しおり「リリーベリー イチゴショートのない洋菓子店」(メディアワークス文庫/アスキー・メディアワークス)
無愛想な青年パティシエが山奥に1年限定で開いた洋菓子店には、なぜかイチゴショートが置かれていなかった――ひょんなことからその洋菓子店で働くことになった女子大生・明海と、パティシエの青年・望が、互いに反発しながらも洋菓子店を切り盛りしてゆくラブストーリー。ありふれた話かもしれませんが、このふたりの関係がとてもかわいらしい。

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
宮内悠介「ヨハネスブルグの天使たち」(早川書房)
世界のあちこちで起こる戦争――それは文字通りの紛争であるかもしれないし、一見平和そうな日常生活の暗喩かもしれない。そして歌うためにつくられたはずの「歌姫」DX9――兵器として、あるいは日々に倦んだ人々の依代として、本来の用途とは異なる運命をたどる彼女たち。一体この世界で、何が起こっているのか。

ハル (WIT NOVEL)
木皿泉「ハル」(マッグガーデン)
恋人を失った少女と、その恋人そっくりのロボットが紡ぐ、やわらかな再生の物語。生きるということ――生き続けるということの持つ意味を考えさせられる。


以上、10作品11冊でした。
読む量が減っても「これはいい!」と思う冊数がだいたい同じなのはいったい……。

2012年下半期のまとめです。
この下半期は、情けないことですが読書量が減っていたため、選びやすいといえば選びやすかったです(苦笑)。
というわけで今回は2012年7〜12月に読んだ中でよかった本11作品です。配列としては読んだ順となっています。
ちなみに上半期分(1〜6月分)はこちらです。

トッカン―特別国税徴収官― トッカンvs勤労商工会 トッカン the 3rd: おばけなんてないさ
高殿円「トッカン−特別国税徴収官−」
「トッカンvs勤労商工会」
「トッカン the 3rd おばけなんてないさ」(以上、早川書房)
ドラマ化もされて話題となった、税務署の特別国税徴収官(の補佐)を主人公に据えた人気シリーズ。ここにきて初めて読みました(苦笑)。悲喜こもごもな事例の数々にぐー子が立ち向かうお仕事小説であり、人情小説でもあり。そしてぐー子とその上司・鏡の微妙な関係も気になります。

私は歌い、亡き王は踊る (C・NOVELSファンタジア)
岡野めぐみ「私は歌い、亡き王は踊る」(C・NOVELSファンタジア/中央公論新社)
新人さんのデビュー作。一夜にして家族を失った少女・リセと、彼女を救った主従との関係がとても優しくてほほえましい、そんなファンタジーです。次の作品はもう決まっているとのことですが、リセたちのその後を見てみたい気も。

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンV<上> (電撃文庫) GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンV<下> (電撃文庫)
川上稔「GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン5〈上〉」
「同〈下〉」(電撃文庫/アスキー・メディアワークス)
たった2冊ですが分量的には約6冊分(1冊=300ページ弱として換算)になります(笑)。今回も燃える展開もりだくさんなうえ、次の展開がさらにな各国入り乱れて大変そうになっています。楽しいなあもう!

天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)
小川一水「天冥の標6 宿怨 PART2」(ハヤカワ文庫/早川書房)
人類と《救世群》との軋轢はさらに深まる一方の「宿怨」編第2弾。「おめでとう、もうやめていいのです」という言葉のなんと恐ろしいことか。

サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)
紅玉いづき「サエズリ図書館のワルツさん1」(星海社FICTIONS/星海社)
「書籍」というかたちでの本が希少になってしまった世界で、たくさんの書籍を所蔵するサエズリ図書館。そこでかたちある本と、人々とのふれあいがやわらかく、時に厳しく描かれていきます。ワルツさんの過去も気になるところです。

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫) (仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚できなきゃ大戦争!?- (ビーズログ文庫)
夕鷺かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情〜離婚できたら一攫千金!?〜」
「(仮)花嫁のやんごとなき事情〜離婚できなきゃ大戦争!?〜」(ビーズログ文庫/エンターブレイン)
孤児院暮らしでお金大好き、趣味はバイトのヒロイン・フェルディアが、自分とうりふたつの姫君の身代わりとして隣国に嫁ぐという無茶振り生活がなんとも楽しい新シリーズ。身代わりなのでさっさと離婚しなければならないのに、相手がそれを許してくれないからさあ大変……というかにやにやにや。ふたりの関係がいじらしすぎます。

魔術士オーフェンはぐれ旅 魔術学校攻防【初回限定版】
秋田禎信「魔術士オーフェンはぐれ旅 魔術学校攻防」(TOブックス)
オーフェン不在の中、魔術士に対する不信感がピークに達している原大陸。そんな中、今巻でメインになっているのはオーフェンの末娘・ラチェット。彼女もやっぱりオーフェンの娘なんだなあ、としみじみしてみたり。

鳴いて血を吐く
遠田潤子「鳴いて血を吐く」(角川書店)
土地でも有数の旧家である多門の一族を崩壊せしめたのは、類稀なる歌声を持ったひとりの少女・実菓子。彼女の目的は一体何だったのか――次第に明らかにされていく事実はとても恐ろしく、けれどとても切ない。

小説神変理層夢経 猫未来託宣本 猫ダンジョン荒神
笙野頼子「小説神変理層夢経 猫未来託宣本 猫ダンジョン荒神」(河出書房新社)
今回からのテーマは荒神。そして猫と私と「あたし」。意識はずれてゆき、多層化して、そしてまたひとつになっていく。その「ずれ」こそが神の声なのかもしれない。

独創短編シリーズ 野まど劇場 (電撃文庫)
野まど「独創短編シリーズ 野まど劇場」(電撃文庫/アスキー・メディアワークス)
タイトル通り、大変独創的な短編ばかり集められていて、なんというかおなかいっぱいだけどまだ食べたいみたいな(笑)。

金星特急 (7) (ウィングス文庫)
嬉野君「金星特急7」(ウィングス文庫/新書館)
長かった旅もついに完結。完全なハッピーエンドではないのかもしれないけれど、彼女の願いは叶えられた。たったひとつの、最初で最後の恋物語。これから発表予定の番外編が楽しみです。


……以上です。
来年は読書ペースももうちょっと元に戻したいな……と思うのですが、どうだろう。がんばります。

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