宇宙技術振興推進株式会社、通称「STeP」には、「竹取班」と呼ばれる特殊な課が存在する。月にまつわる民話や伝承、または器物を取り扱うこの部署に異動を命じられた待宵澄雄は、月を偏愛する同僚・桂靖久の存在も、そもそもこの部署の存在意義にも疑問を隠せないでいた。そんなある時、大手コーヒーチェーン店の創業者でもあるランプ蒐集家・斎木から「朧月夜」と名付けられたランプを預かることになった竹取班。すると時を置かずして、嘘をつくと灯した明かりが消えるというこの奇妙なランプを譲ってほしいという男・宗像が現れる。宗像とは少なからず因縁があるらしい靖久はこれを拒み、追い返す。しかし後日、澄雄の前に現れた宗像は、離れて暮らしていた息子の気持ちが知りたいがためにランプを貸してほしいのだと懇願。澄雄はこっそりランプを持ち出し、宗像へ貸すのだが……。
人が月に対して抱いた想い、それがかたちとなったモノを蒐集する「竹取班」の日々を描く、幻想的なミステリ連作集。
基本的にリアリストで生真面目な性格の澄雄と、月への憧憬が強く、飄々かつどこか浮世離れしている靖久は、この時点で相性がよさそうではない組み合わせ。しかし月にまつわる奇妙な事件が持ち込まれると、靖久は澄雄をうまく使ってたちどころに解決してしまう。
そんなふたりの関係性もいいが、やはり面白いのは「竹取班」に持ち込まれる事件。嘘をつくと火が消えるランプ、被ると突然心変わりしてしまうストール、さえない男性が急に女性たちから言い寄られるようになった秘密、そして広場に現れる遊園地「ルナパーク」の謎……導入は魔法のような不思議な出来事なのに、その真相はいやに現実的というそのギャップが面白かった。









