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読んだ本のこと、それ以上に買った本のこと、ときどきライブのことを書き散らかしてみたりする。

カテゴリ: 秋永真琴

怪物館の管理人 なくした恋の記憶さがします! (ビーズログ文庫)怪物館の管理人 なくした恋の記憶さがします! (ビーズログ文庫)
秋永 真琴

KADOKAWA/エンターブレイン 2015-03-14
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ラトルの失われた記憶を探すため、ユニはラトルと共に街を歩き回る日々。そんなある日、館にヴィーゴの弟・ギャレが現れる。ヴィーゴを連れ戻し、実家・クドラ家の当主に据えたいギャレは、ユニをはじめとする館の面々を見下し、侮蔑する態度を隠さないのだった。一方、国史の授業をきっかけに、突然ラトルの過去の記憶が戻り始める。歴史上有名な争乱のさなか、叛乱組織に属していたというラトルだが、そこで彼がフィロという娘と仲良くしていたことを知ったユニは戸惑いを隠せず……。

問題だらけの「怪物館」での日々を描くシリーズ2巻では、ふたつの事件が同時進行。ひとつはヴィーゴの弟だという傲岸不遜な吸血鬼・ギャレの来訪、そしてもうひとつはラトルの記憶喪失問題の進展。どちらもユニにとっては心労のタネだが、ことに後者の中で、ユニはラトルへの想いを自覚することになるからさあ大変。

これまで役人になるためだけに勉強し続けてきたユニにとって、色恋沙汰とはおそらく無縁なシロモノ。しかしラトルの存在はあっと言う間にユニの中で大きくなっていて、なのに本人はそれに気付いていないという状況。だからラトルがかつてひとりの少女を大切にしていた、ということが判明した途端、その事実に動揺してしまう。さらにはラトルが記憶を取り戻し、〈観察者〉――神に自身の心臓を預けた、世界の終わりを見届けるための存在――という自分の役割を果たすためにどこかにいってしまうのではないか、という危惧がそれに拍車をかける。まあどこからどう見たってそれは恋する少女の想いなわけで、それに戸惑ってしまうユニがなんとも初々しいしほほえましい。でもってそんなユニに対するラトルの反応もまたなんというかごちそうさまでしたー!ということで。

ちなみにギャレの問題については、そんな感じでぐるぐるしている鬱憤を晴らすかのように(?)、ユニが大説教をかますという展開にすっきりさせられた。誰に対しても歯に衣着せず、正しいと思ったことをまっすぐに伝えるユニだからこそ、管理人としてやっていけるのだろう。そしてどこかつかみどころのないラトルとの関係も。


◇前巻→「怪物館の管理人 秘密の同居生活はじめます!」

怪物館の管理人 秘密の同居生活はじめます! (ビーズログ文庫)怪物館の管理人 秘密の同居生活はじめます! (ビーズログ文庫)
秋永 真琴

KADOKAWA/エンターブレイン 2014-10-14
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下宿で火災が発生してしまい、帰る場所を失ってしまった天涯孤独の女学生・ユニ。そんな彼女の前に、同級生で貴族であるラトルが現れた。顔見知り程度の関係にも関わらず、なぜかラトルはユニを自宅へと連れ帰る。実はユニを呼んでいたのはラトルの兄である、メイスフィールド伯爵ヴィーゴ。実はヴィーゴやラトルの住む屋敷はヒトならざるモノ――いわゆる怪物の「居留地」であり、ユニは占いによってこの屋敷の管理人として選ばれたのだという。よくわからぬまま、とりあえず屋敷に留まることにしたユニだったが、翌日から校内でもラトルに付きまとわれるようになり……。

作者久々のオリジナル新作は、堅実派少女・ユニがひょんなことから同級生男子と同居生活(ただし奇妙な仲間たちつき)という、微妙にラブコメチックなファンタジー作。

孤児院育ちという境遇もあってか、地に足のついた堅実な将来を望むユニ。そんな彼女の前に現れた同級生のラトルは、いわゆる貴族さまではあるものの、その美しくも青白すぎる容貌と覇気のなさ、そして人付き合いに乏しいという状態から、周囲から「死体」などとあだ名される奇妙な男子。ただでさえ吸血鬼や雪男などといった「怪物」たちに遭遇するわ、しかもそれがあまりまっとうではないというか、どこか抜けた面々ばかりだったりするわで戸惑うユニだったが、その中で一番彼女を戸惑わせるのがラトルの存在。カテゴリーとしては「ゾンビ」だと本人は言うが、そもそも記憶喪失で自分がなんなのかはっきりわかっていないという無駄にふわっとしたキャラで、ユニを(本人にはそのつもりはなかろうが)翻弄してゆく。最初は遠巻きに呆れていたユニも、次第にラトルという人物そのものに踏み込み始めたり、ラトルの方もユニのことをなにかと気にかけるようになったりと、その微妙過ぎる関係がたまらない。

今巻はどうしてもイントロダクション的な内容になってしまっているので、ラトル以外の館の面々については広く浅くといった描写に留められている。今後どうなるのかはわからないのだが、続刊があればユニとラトルの関係だけでなく、館に住む面々――特に謎めいた吸血鬼・ヴィーゴの過去なんかも気になるところ。

ワンド オブ フォーチュン -すべての色を纏う者- (ビーズログ文庫)ワンド オブ フォーチュン -すべての色を纏う者- (ビーズログ文庫)
秋永真琴

エンターブレイン 2012-12-15
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魔法使いが持つべき「属性」を持たない15歳の少女・ルルは、ミルス・クレア魔法院に転入することになり、魔法都市ラティウムに向かう。だが到着早々、市内で火事が発生。何か出来ることはないかと現場に向かったルルに、魔法院の制服を着た青年は手助けを頼んでくる。だがその「属性なし」という状態ゆえに、ルルは魔法を暴発させてしまう。結果的に火事は収められたものの落胆するルルに対し、青年――ユリウスは面白い!と大喜びで……。

同名ゲームのノベライズ(ただしゲームは未プレイ)。今回はオリジナルストーリーということで、特定のキャラクターとのルートというわけではなさそう。主人公のルルは素直で前向きだが、そこはヒロインだけあって難題を引き寄せやすいというか、奇妙な事件に自ら首をつっこんでは右往左往しながらも、持ち前の性格で周囲の力を借り、彼らの仲を取り持ち、そして大きな事件を解決していくという展開。1巻完結ということで王道かつシンプルな展開の話ではあったけれど、ゲームのイントロダクションとしてはとてもわかりやすかった。あと、ユリウスとの流れ星のエピソードだとか、たまに可愛らしいエピソードが挟まるのもいい。個人的には黙ってればイケメンだろうに喋れば魔法オタク丸出しの残念なクラスメイト(笑)・ユリウスと、ノリは軽いけれど何かしら隠し持っていそうなアルバロが気になるということで。

ノエルの方舟 ある日、悪い旅人がやってきた。 (B's-LOG文庫)ノエルの方舟 ある日、悪い旅人がやってきた。 (B's-LOG文庫)
秋永 真琴

エンターブレイン 2011-05-14
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紫色の髪と瞳がコンプレックスの少女・ノエルは、亡き両親が遺した酒場をひとり切り盛りしていた。そんなある日、彼女の店に現れたのは、自称「旅の楽士」の青年ライカと、その従者のロン。顔はいいが不法侵入に無銭飲食、さらに気にしている容姿のことをからかってくるライカに対して、ノエルの印象は最悪の一言だった。しかしそんなノエルにお構いなしに、ライカは彼女がかつて栄えていた古代王朝エイダの「聖賢姫」の末裔であると断言。自分の旅についてくるよう言い始めて……。

「眠り王子」シリーズの作者の新作は、箱入りの村娘と正体不明の青年とのでこぼこ道中を描くファンタジー作。
珍しい髪色と瞳の色を持つものの、自身の――ひいては両親の――詳しい出自も知らず、ただその「他人とは違うモノ」をコンプレックスとして、小さな村に暮らし続けていたノエル。そんな彼女の日常を壊したのは怪しげな青年と、彼が差し出した古代文字の文章。
何の予備知識もないノエルがそれをすらすらと読むことができたのは、彼女の裡に流れる「エイダの聖賢姫」の血のせいだった。高度な文明を持っていたというエイダが遺した遺跡――〈方舟〉と呼ばれるそれを巡る旅が、ここから始まる。

怪しいを通り越して傍若無人、初対面のノエルに対してもずけずけとものを言うライカも謎だが、そんな彼に付き従う気のいい青年・ロンの正体もまた謎。遺跡の封印を解くため……とノエルを連れ出したライカだが、どうも理由はそれだけではなさそう。無意識のうちにノエルに抱くようになった想いが、今後どう育っていくのか――そしてライカと出会い、旅に出たことで物事の考え方がいろいろと変わり始めたノエルも、今後どうなっていくのか。エイダの謎も含め、いろいろと楽しみな要素も多いので、ぜひ続編希望、ということで。

眠り王子と永遠の都 (B’s‐LOG文庫)眠り王子と永遠の都 (B’s‐LOG文庫)
秋永 真琴

エンターブレイン 2010-04-15
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卒業式を迎えたゲオルギウス学院。「変革のときがきた」という、来賓として現れた若き総理大臣・ヒロトの祝辞の言葉に、マーヤはなぜかひっかかりを覚える。その夜、学院の時計塔に光の柱が発生。翌日には消えたものの、その柱は学院以外の都内4か所でも発生していた。柱が現れていた場所が〈大戦〉前に魔術的な要所となっていたことを知ったマーヤとエイジは、何らかの情報を握っているムカイのもとを訪れるが、そこにはヒロトの姿もあり……。

ラブコメ風味の学園魔術ファンタジー、この3巻にてついに完結。
冒頭にバレンタインを迎えたふたりのへっぽこかつあまあまなエピソードが置かれていて、思わず頬を緩めたのも束の間、トーキョーの存亡に関わる大事件が勃発。文字通りの怒涛の展開が繰り広げられる。

ズレまくりに見えてわりと的を射ている発言を繰り返すエイジと、それに慌てふためくマーヤと、そんなマーヤにつっかかるレンのいつもの掛け合いが、ちょこちょこ挟まってくるのは救い。けれど、事態は容赦なくマーヤの前に立ち塞がる。魔術師としてはまだ半人前のマーヤだが、それでもエイジに護られるだけではなく、エイジを護りたいのだと立ち上がる。その前向きさがまぶしくて、でもとても健気でかわいい。

今巻は展開がちょっと急過ぎて(もしかして、打ち切り……?)、最終決戦がわりと駆け足な感じは否めないが、キャラも立っているし設定も難しすぎず単純すぎずで、個人的にはかなり好みなシリーズだった。ここで終わるのは残念だけど、作者の次回作にも期待。


◇前巻→「眠り王子と妖精の棺」

眠り王子と妖精の棺 (ビーズログ文庫 あ 3-2)眠り王子と妖精の棺 (ビーズログ文庫 あ 3-2)
秋永 真琴

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先の事件を経て、晴れてゲオルギウス図書館の新人局員となったマーヤは、業務をこなしつつも、失われた「旧魔術」の訓練にいそしむ日々。そんなある日、マーヤは突然エイジから「初めてのデート」に誘われてしまう。緊張で浮足立つマーヤに、図書局長のアキラが命じた仕事は、未返却本の督促。しかも相手はエイジに片思いするアングラード財閥のご令嬢にしてマーヤとは犬猿の仲のナナミ。だが彼女は、帳簿上は貸出中となっている詩集をそもそも借りてはいないと言っていて……。

祝・シリーズ化の学園ラブコメファンタジー第2弾。
幻生物を召喚する力を秘めた「門の書」の継承者である少女・マーヤと、「禁書の管理人」である「眠り王子」エイジのうれしはずかし初デート……はさておき、「妖精の棺」と呼ばれる過去の遺産をめぐって起こる事件。
学園祭のさなか遭遇する謎の男・ムカイは何者なのか? ナナミの記憶欠落の理由と、消えた詩集の行方は? 兵器として利用された過去を持ち、人間を憎む「妖精」の心残りを解消するためマーヤは奔走する。

……という緊迫した話のはずだが、やっぱり面白いのは世間ズレしまくった王子さま・エイジの恋愛観。どこで仕入れてきたのか、デートの作法を滔々と語り、実践するその姿は微笑ましく、楽しい。ムカイと対峙した時のズレっぷりもすさまじく、そしてそのズレ具合がなんとも「あまい!」感じ。マーヤとの関係も少しずつ前進しているようなのでなにより。

眠り王子と幻書の乙女 (B’s‐LOG文庫)眠り王子と幻書の乙女 (B’s‐LOG文庫)
秋永 真琴

エンターブレイン 2009-04-15
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晴れて名門・ゲオルギウス学院に入学した読書好きな少女・マーヤは入学式早々、学院内で迷子になってしまう。そんな時出会ったのが、立ったままいきなり眠り始める白皙の美少年だった。愛書家で冒険家の祖母から、旧時代の遺産である〈ナユタズ・ロスト〉なる稀書のひとつを託されていたマーヤは図書館に鑑定を依頼するため向かうのだが、そこで先日の美少年――エイジと再会して……。

作者デビュー作は、過去の遺産たる魔術をめぐる陰謀渦巻く学園ファンタジー。
ゲオルギウス学院の司書であり、稀代の魔術師でもあった那由他=クチガミなる女性が残した大いなる謎――それが〈ナユタズ・ロスト〉。かつて科学と魔術において隆盛を極めたトーキョーが侵攻を受けた際、焚書を恐れた彼女は、書物から記述のみを分離させ散逸させた。マーヤが持っていたのは白紙となった書物の方だったのだが、その内容ゆえに狙われる羽目に。

そんな陰謀話や舞台設定もさることながら、面白いのは図書館に集う面々。
図書館を運営する局長のアキラはあくまでも飄々とした自己中心的人物だし、図書館にある塔に住まう美少年――エイジは、その顔に似合わず甘いもの大好きなうえ大食漢、そしてどこででもすぐ寝る。そんなエイジの従者をしているレンは、もちろんエイジ第一でマーヤを厄介者扱い。そんな気ままなメンツの中で右往左往しつつも、しっかり自己主張するマーヤがかわいらしい。今後、エイジとの関係がどうなっていくのか気になるので、ぜひ続編を希望。

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