スリランカにやってきたオクタヴィアと対面することになった正義とリチャード。貸し切り状態となった高級ホテルで、オクタヴィアの代理として現れたヴィンセントから、ふたりはそれぞれ違う内容の「なぞなぞ」を提示され、別行動をすることに。なんとかすべての問題を解き、単身オクタヴィアと対峙した正義だったが、彼女の目指す「ハッピーエンド」は、正義にはおおよそ理解の追い付かない内容だった。望みが叶えば死を選ぶというオクタヴィアを止めようと、正義はなんとか言葉を尽くすが……。
第2部完結!となる人気ジュエルミステリシリーズ、第10巻。
ラスボス登場!ということで、ようやくオクタヴィア、そして彼女の背後にいるクレアモント家執事室の狙いが明かされる今巻。ことに家の問題であることもあり、リチャードだけでなく、その兄のヘンリーやジェフリーも参戦することになるのだが、特筆すべきはやはり次期当主となるヘンリーの動向。いろいろな問題を抱え、精神的に不安定な状態だったヘンリーだが、今回は次期当主らしく、矢面に立って弟たちを守り、執事たちに対してはその威厳を、オクタヴィアに対しては優しさをもって対峙することとなる。まだ心の傷が癒えたわけではないのだろうが、それでもここまでのことをしてくれるヘンリーの姿には拍手を送りたくなる。
そして、棚上げになっていた正義の進路、そしてリチャードとの関係も今回でひと区切り。正義はしばしばリチャードに対して「綺麗だ」と伝えるのだが、出会ったばかりの頃のその言葉には、ただリチャードの美貌に対してのみ向けられていた。しかし今となっては、その一言に込められた意味があまりにも豊かであることがよくわかる。その変化こそが、ふたりの関係をより強くしていったのだろう。ラストで交わされたふたりの会話に、ようやく安心できたような気がした。
◇前巻→「宝石商リチャード氏の謎鑑定 邂逅の珊瑚」












