平凡な高校生・深井平太は、ひょんなことから「Q10」と刻印された少女型のロボットを起動させてしまう。「キュート」と名付けられたそのロボットは、平太を管理者とみなしてついてくるように。このロボットの拾い主である校長・岸井のはからいで、キュートは平太のトクラスに「編入」してくることに。一般常識も気にせず自由に振る舞うキュートの姿に、平太はいつしか惹かれ始めて……。
2010年に放送された同名ドラマのシナリオ集。全9話分のシナリオに加え、ドラマDVDのブックレットに収録された後日談「Q10 #2015」と、書き下ろしとなる短編「八十年後、丘の上で」も収録されている。
このあらすじだけ見ると、よくある「ロボットの美少女と平凡な男子高生のラブコメもの」のように見える。しかし平太は一時大病を患って生死の境をさまよったことがあるし、クラスメイトたちも様々な問題を抱えながら高校生活を送っている。びっくりするような大きな事件は起こらず、ただ平太たちの日常が続いていく。そんな中でくじけそうになったり、諦めたくなったり……というような後ろ向きな想いを抱いたり、あるいは生きることそのものに絶望したりするのだが、そんな中にキュートはほんの少し、ささやかな風穴を開けていき、そこから吹き込むわずかな風が、平太たちを少しずつ変えていくのだ。
そうやって現実のままならなさと向き合い、乗り越えたり回り道しながら前に進んでいく平太たちだが、そこに現れたのは引きこもりのクラスメイト・月子。彼女はキュートの正体を知っており、意味深な発言や行動で平太を翻弄していく。次第に物語は青春群像劇から少しずつ逸脱し、SFめいた展開になっていくのだが、その底に流れているのはやはり「愛」なのだろう。ロボットであるキュートに惹かれ始めた平太は、しかし相手がロボットであるという事実に尻込みし、自身の想いから目を背けようとする。そんな彼がいつしか自分の想いを素直に認め、そして月子の突き付ける問題についても逃げずにきちんと考え、結論を出していく姿にはぐっとくるものがある。何もかも、なかったことにはならない。きっといつかまた、どこかで会える。そんなラストが印象に残った。













