2005年10月06日
もうひとつのドナルド(後編)
「ギンザドオリ…」人種不明な通行人が発したその言葉通りギンザ通りに入り、細心の注意を払いつつ歩いていると…。
見つけてしまった、これがドナルド!?
「キッチンドナルド」中野区東中野3-8-5
定休日:月
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜21:15
売りはステーキの肉かと思ってたら、カテゴリはとんかつなのか、まぁここの揚げ物は全体的に旨い。
3年前フジ系で放送してた月9の『ランチの女王』のキッチンマカロニの舞台となった店に、よく似た雰囲気を醸し出す歴史を感じさせる外観。
>開業:1972/10/01
歴史ある店構えだな〜とは昔から思っていたが、自分が生まれる前から存在していたなんて!33年近くも同じ場所で、チェーン店展開するでもなく、細いが異様に長い、東中野の商店街にひっそりと営業していた店。店の中は狭いが、こだわりのある味は口の中で無限の広がりを見せてくれる。さすがドナルド、伊達にドナルドとは名乗ってないってことか。
アルバイト募集中だってさ、18:00〜22:00。結構忙しい時間帯だろうけど、近場で時間が余ってる大学生辺りがターゲットか。失笑ついでにバイトも発見出来ちゃう、恐ろしいblogになっちゃいましたね、そこ右も。窓ガラスに貼り出された手書きのメニュー表が、本気っぷりを感じさせてくるいい目安だ。CGや印刷された文字では伝わらなくても、手書きなら書き手の思いがダイレクトに文字へ反映されて、そこから何かを感じ取れるはず。
自分が行った時は土曜の夕方で夕方の開店直後だったからか、おばちゃんとその息子なのか二人だけで切り盛りしていた。え〜と店内は狭いです。人がすれ違うスペースがありません。が、カウンターに5席、3人用の席が3組、4人用の席が4組。狭いなりにテーブルを壁にキッチリと寄せてたりしていて、客を抱えるキャパは大きかったりする。前回訪れた時から2年近くが経過してるせいか、さすがに顔は覚えられてはいなかった。というか、激写しまくってる姿を怪訝そうな目で見られたりした。メニューは店に一冊しかなく、文房具屋で普通に買えそうな水色のクリアファイル。ひとつひとつのメニューの写真と手書きのメニューが透明なケースに入っている。デジタル化がいくら進んでも、ここだけはアナログの手作り感覚。何かを追加注文したい場合は、壁にも手書きのメニューが貼られているので、そこから選べば問題無し。
Aステーキセット、店側の一番のおすすめ品。1730円で160g。50g増で+580円。消費税込みの値段表示なので2310円ジャスト。なんだかんだで、Aステーキセットは一度も食べた事がないような…。サイコロステーキセットなんかは、前に食べた覚えがあるが。それなりの値段だけにステーキ系は、ミディアムで焼きあがっており噛むと肉汁が出て柔らかく、旨かった印象がある。
画像上:Bコンビセット(890円)カレーとハンバーグという、子供から大人までを幅広くカバーするセットメニュー。カレーが入ってるランプ型の容器を擦ると、煙と共にヒゲのオッサンが出てきそうで怖い。
画像下:Cコンビセット(1000円)
右折さんおすすめのCコンビセットは、エビピラフとポークカツとみそ汁。
御飯もののエビピラフと揚げ物のポークカツ、大満足のボリュームにKO。昔ながらの店なので、水はセルフサービスで注ぐような機械はなく、水の御代わりは店内を縦横無尽にいそいそと駆け回る、おばちゃんに一声掛けなければならないという掟もあったりする。初心者は水がなくったからと言って、ビールやジュースが入っているケースに見えている水のボトルを勝手にドアを開け使ってはならない。その場合、おばちゃんがマクドナルドのドナルドのように顔に赤と白のペイントを施して扮装し、裏声で「ヤァ!僕、ドナルドだよ!」と素のまま、ここが東中野であることを忘れる位ショッキングな、未知のワンダーランドへ御招待されてしまうかもしれない。くれぐれも初心者は危険なマネはしないのが無難だ。命あっての物種。
メニューには写真付きのものが多く、初めての来店でも迷う事はない。おもしろおかしなネーミングで実際に頼んでみたら、普通のカルボナーラパスタだったという子供騙しを客に強要する店ではない。本能の赴くまま食べたいと思ったものを目で確認し、ビシっと男らしくおばちゃんに告げてみろ。惚れられる事、間違いなし。そしてドナルドの血を守り、末永く営業を続けてくれたまえ。
ドナルドがよくある洋食屋との違いを見せるひとつが、照明である。中世の城の廊下を思わせるような壁の照明。是非とも重厚な鎧を装備した人形なども置いて欲しい気分。もしかしてバイト募集の中身は、鎧を着て店内に立ってるだけの人募集だったり、なわけないか。忙しい時には、おばちゃんの代わりに水の御代わりを配ったりして、鎧が動いた!と客のサプライズにも期待出来る。
天井には小さな電球が一定のスペースを置き、一直線に店内に設置されている。入口付近がそれだと暗すぎるからか、これまたモダンな照明が天井からぶら下がっている。タクトが80年代なら、ドナルドは70年代。60年代の雰囲気の店があったら情報をくれたまえ、ないだろうけど。Cコンビセットを注文して、何枚か店内の雰囲気を掴む為に激写していると60代近くの老夫婦が入店。格の違いをまざまざと見せ付けるのか、Aステーキセットを目の前で頼まれちまった。爺さん、やってくれるな。「バカは一番高いものから頼むの法則」を俺よりも先にィィッ!
畜生。
店内のあちこちを見渡して待つこと10分、Cコンビセットが運ばれてくる。
揚げたてのカツが鉄板の上で音を立てつつ登場。
照明が暗めなせいか、ポークカツが暗すぎた。店内でフラッシュを使うのもどうかと思い、無理矢理加工してみた。これでなんとか判別出来るようになる、元画像だと3つの皿のようなものが、ぼんやりと闇の中に浮かんでいるだけだった。ホラー体験まで付いてくるのか、サービス良すぎだって。
薄い塩味でサラっと食べやすい、カツより先にピラフから行くのをおすすめする。一口サイズのタマネギとエビが柔らかく噛むとよく味が染みている。強火で一気に仕上げるので、油でベタつく感じもない。家でも、これくらいパリっとしたピラフやチャーハンが作りたい…。
オリジナルの濃厚なソース。カツはサクっとした食感の外側の衣と、柔らかい中の豚肉が洋食屋の見本のような長年の技術を感じさせてくれる。画像では具が沈んで見えないみそ汁は、油揚げとわかめのスタンダードなもの。やたらと熱いので、少し待ってから飲むといい。この組み合わせだとコンソメのスープの方が似合いそうだけど。昔からの店なので、小さい事にはいちいち拘らないスタイルを貫いているとしか。和と洋が絡み合ったCコンビか。エビピラフとポークカツが口の中で旨さを競う、味覚の大運動会を開催中。
って、彦麻呂みたいな適当な言葉選びをしてしまった。迂闊なり。
止めは味のないようで、ほんのり味があるパスタ。残っているソースを使って食べるも良し、そのまま締めに食べるもよし。コーンやグリーンピース、ニンジンのサラダの味はイマイチだったりする。一部硬いものもあり、業務用の冷凍ものの予感が。
やたらとこってりしていた印象があったメニューだけど、昼を抜いて行ったからか特にもたれずに完食。と言っても今回は量と勝負してるわけじゃないんだけど。水がなくなり御代わりを頼もうとした所、長年の貫禄からかジャストタイミングでおばちゃん接近。「お冷、失礼します」と空のグラスに水を注がれる。見抜かれている、なにもかも…。
前々から気になっていたんだが、キッチンドナルドがネットではどれ位知られているのかという疑問をGoogle先生に聞いてみた。結果は97件、ヒット数こそ少なかったが俺の心にはヒットしまくってるぜ、ドナルド。
もうひとつのドナルドとは、東中野に70年代から営業を続ける
昔ながらの洋食屋なり。
謎が解けた所で撤収。
さらば東中野。
そして、もうひとつのドナルド。
