2012年04月17日

【NRF】、動画コンテストのトップ5!ブロードバンド時代は情報発信も重要な商行為?


■全米小売業協会(NRF)は16日、小売業界の認知度を高めることを目的とした動画コンテスト「これが小売だ!(This is retail)」のファイナルに選ばれた5作品を発表した。優勝賞金2.5万ドルのコンテストは、店のスタッフやオーナーが自ら出演して語る2分間の動画だ。動画内容は、お客様や地域コミュニティーとの感動ストーリー、自分たちで創った革新的な商品の紹介や裏話、雇用創出についてなどとなっている。3月5日から3月16日まで募集され、受賞者は5月、ワシントンDCの本部で行われるる授賞式に招かれることになっている。優勝者には2.5万ドル、2位には1.5万ドル、3位には1万ドルの賞金が授与される。
 サウスカロライナ州の中央部に位置するコロンビアで、5年前から眼鏡店「フレーム・オブ・マインド(Frame of Mind)」を営むマーク・プレッシンガーさんのお店はユニークだ。眼鏡店にもかかわらず、ローカルアーティストによる絵画品を数多く展示しているギャラリーでもあるのだ。これが評判となりアーティスト・コミュニティーのプラットフォームにもなっているのだ。プレッシンガーさんは「私が誇りにしていることは、自分の街と商店街(中心街:メインストリート)にインパクトを与えていることです」と語っている。
 フロリダー州タラハシーでステーショナリー店「ポルカ・ドット・プレス(The Polka Dot Press)」を経営するキム・ウィリアムズさんは7年前、自宅のキッチンをオフィスにしてオンライン販売から起業した方だ。現在では街の中心にお店を構えるウィリアムズさんは「オンラインショッピングは飛躍的に増加しましたが、人と人との交流の側面をもつ買物は決してなくなりません。お客様は触れたり、感じたり、話したりすることがすきなのです」と語る。地域に住むお客様から、全米のお客様にも対応しているのだ。一生懸命に働き、思い出に残るようなイベントを開催、コミュニティに還元もしている。
 コミュニティ還元ではハワイ州ホノルルでタンナ・ダンさんが営むブティック「エデン・イン・ラブ(Eden In Love)」が際立っている。彼女のお店では毎月、コミュニティ還元イベントを開催している。たとえば、10ドル分を非営利団体に寄付するとすべての商品が20%値引きとなったり、衣類1袋分を寄付すると10%オフ(2袋分で20%オフ)、フードバンクに缶詰5缶を寄付すると20%オフとなる具合だ。さらに昨年末には、癌治療を続けているティーンの女の子を招きプロによる化粧&スタイリングのフォトイベントを開催した。最近ではスカーフが売れるたびにスカーフを病院に寄付している活動も行っている。抗がん剤の副作用で髪が抜け落ちる女性に贈るためだ。一貫したコミュニティ還元でエデン・イン・ラブ(Eden In Love)」は、地域住民から大きな支持を得ているお店となっているのだ。

トップ動画:眼鏡店「フレーム・オブ・マインド(Frame of Mind)」を営むマーク・プレッシンガーさんのコンテスト動画。彼のお店は地域に住むアーティストのギャラリーにもなっているのだ。
12年1月31日 - 【NRFとFMI】、小売業界の大手2団体がコンテスト!後藤は別れの曲でコンテスト?


フロリダー州タラハシーで文具店「ポルカ・ドット・プレス」を経営するキム・ウィリアムズさんのコンテスト動画。オンラインストアからビジネスを始めた彼女も「お客様は触れたり、感じたり、話したりすることが大好きなのです」と実店舗の重要性を強調している。


ハワイ州ホノルルでタンナ・ダンさんが営むブティック「エデン・イン・ラブ」では、慈善活動が盛んだ。様々な活動により彼女のお店は住民から大きな支持を得ているという。癌治療のティーンの笑顔を見ているだけで感動する。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ブロードバンドの時代、企業や個人にとって情報発信はきわめて重要な商行為のひとつとなります。中でもYouTube動画での情報発信は大切です。誰がどんな思いでお店を経営しているのか、経営者やそこで働くスタッフの姿勢までも、お客にとっては商品情報のひとつとなるのです。モノやサービスはすでに溢れている状態ですから、販売する舞台裏まで見せる立体的なプレゼンテーションが必要となってきます。自分たちのストーリーや信念、価値、存在意義、地域社会とのかかわりなど、自分たちの口で熱く語れなければならないのです。あえていえば、個人が情報発信する時代となると、日本人の奥ゆかしさが通じなくなってきます。安くて良い商品をお客の利便性にあってそろえておけば(業態をしっかり作りこんでいれば)、黙っていてても売れる時代ではないのです。
 世界最大の小売業団体「全米小売業協会(NRF)」が動画コンテストを行う意義を考えれば、「ウチにはそんなん必要ない」とはいえないはずです。


イリノイ州マンモスにあるワイン店「マーケット・アレイ・ワイン(Market Alley Wines)」のスーザン・カーフマンさんのコンテスト動画。小さなお店で小回りが利くため、常に新しいワインをそろえているという。リラックスできる空間はローカル客の支持を集めている。


メリーランド州にある小さな靴屋「フォールズ・ロード・ランニングストア(Falls Road Running Store)」のオーナー、ジム・アダムス氏による動画。小さなお店でも地域の雇用そして経済までも守っていることを強調している。
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