
■セーフウェイが25日に発表した第1四半期(1月〜3月期)決算は、傘下のスーパーの売却やガソリン売上が伸び悩んだことで売上はほぼ横ばいとなった。売上は99.9億ドルで前年同期の100.0億ドルから0.1%の微減。純利益は1.19億ドルと前年同期の7,290万ドルから63.1%の増加。既存店・売上高前年同期比は1.5%の増加となった。来月に引退を予定している同社CEOのスティーブ・バード氏は、第2四半期が今期と同様な結果になるとしながらも後半期は「ジャスト・フォー・ユー(just for U)」プログラムで売上が伸びると指摘している。ジャスト・フォー・ユーは、顧客が自分の買物に合わせてオンライン上でクーポンや販促をカスタマイズできるプログラム。同プログラムは毎週、2万人が登録しており、このペースが続けば今年末までには600万人以上が登録するとみている。
トップ画像:スーパーマーケットニュース誌に掲載されたロサンゼルス地区の2013年マーケットシェア予想。各スーパーの店舗数と2013年、2012年のマーケットシェアが記されている。この表を見て、以下にあるサクラメント地区、ヒューストン地区のスーパーマーケットシェアと比べてほしい。

左がサクラメント、右がヒューストン地区のシェア予想。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。スーパーマーケットの業界誌「スーパーマーケットニュース」では15日、ボストンやロサンゼルスなど10の地区のスーパーマーケットシェア予想を掲載しました。後藤は以前からロサンゼルス市場のスーパーマーケットは競争が特に激しいと指摘していました。それを裏付けるようにロサンゼルス地区ではシェアが20%を超えるスーパーがありません。クローガー傘下のラルフス、セーフウェイ傘下のボンズ、アルバートソンズ(数か月前までスーパーバリュ傘下)が10%を超えていますが、トップとなるラルフスも約16%のシェアにすぎません。この競争に加えてロサンゼルスでは外部環境も厳しいのです。ロサンゼルス郡の失業率は3月、9.9%です。例えば、よく視察先となるテキサス州ヒューストン地区では、20%前後のシェアを持つチェーンは3社あります。ちなみにヒューストン地区の失業率は6%です。
⇒カリフォルニアでもロサンゼルス地区がいかにスーパーマーケットの競争が激しいかがわかっていただけると思います。で、もう一つわかるのが、10地区中8地区でウォルマートがシェアを伸ばすと予想されていることです。ロサンゼルス(20店)では1.5%→3.0%となっていて、同じくカリフォルニア州サクラメント(13店)では5.8%→9.8%に伸ばしています。ウォルマートはカリフォルニア州で、ディスカウントストアを増床してスーパーセンターに業態変更したり、既存のディスカウントストアに一部生鮮品を導入したり、さらにネイバーフッドマーケットを徐々に増やしていることで、シェアが少しづつ伸びると予想されているのです。で、北カリフォルニアにはセーフウェイの本部がありますが、ボンズ(南カリフォルニア)で展開するロサンゼルスも、セーフウェイのサクラメントでもそれぞれシェアが落ちています。
⇒EDLPのウォルマートに、毎週セールを行うハイローのスーパーが食われるとの予想です。で、大手スーパーではセールだけでなくFSPカードで顧客を囲いこんだのですが、セーフウェイが究極的な囲い策で行っているのが「ジャスト・フォー・ユー(just for U)」プログラムです。来月引退となるセーフウェイCEOスティーブ・バード氏の置き土産的?なプログラムの特徴は、デジタルクーポンです。で、スマートフォンの普及が、このプログラムの登録者数を後押ししているのですね。当ブログでも先日、お伝えしましたが、ロサンゼルスを中心に展開するローカルスーパーのステーターブラザースもデジタルクーポンを始めています。ローカルのスーパーでさえ、クーポンをデジタル化しているのですね。で、スーパーマーケットニュース誌の予想では、セーフウェイのシェアが落ちていますが、それを阻止するためにもジャスト・フォー・ユーをプッシュしているのです。
予想に反してジャスト・フォー・ユーでセーフウェイのシェアが伸びるかもしれません。
Posted by usretail at 03:55│
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