2016年10月27日

【ターゲット】、年末商戦向け3つの戦略発表!異例販促でコーポレートカラーも別意味?

161027ターゲット
■ターゲットは25日、今年の年末商戦に向けた新商品やプロモーション、メディアキャンペーンの3つの戦略を発表した。ウォルマートやアマゾンの攻勢で落ち込む客数を回復させる。新商品展開では、今夏に発表したばかりの専売の子供服ブランド「キャット&ジャック(Cat & Jack)」で1,000アイテム以上を投入する。12歳以下を対象にした同ブランドの商品価格は30ドル以下となっている。オモチャでは「スターウォーズ」やディズニー映画「モアナと伝説の海」から、新商品や専売商品、コレクター品など1,800アイテムを用意する。人気のVRではソニーのプレーステーションVRやドイツのカール・ツァイスのVRワンプラスも展開していくという。音楽ではカントリーシンガーのガース・ブルックスのCD10枚組を他社に先駆けて11月11日に30ドルで発売する。
 年末商戦に向けたプロモーション展開では、11月中旬からアパレルや食品など商品カテゴリーで週ごとに50ドル以上の買い物をすると10ドルの値引き販促を行う。12月には同販促を拡大して、100ドル以上の買い物で25ドルの値引き販促を行う計画だ。昨年の年末商戦で人気だった販促「10日間セール(10 Days of Deals)」も復活する。11月22日から10日間に渡った昨年の同セールでは100ドルの買い物で50%オフとなる販促からブラックフライデーのドアバスターなどを毎日行っていた。ターゲット・コムのオンラインストアでは昨年と同様に10月25日〜来年1月1日まで、ネット注文の送料を最低購入額(25ドル)の条件を撤廃しすべて無料にする。なお昨年の同販促は11月1日〜12月25日だった。ターゲットでは同社の人気アプリ「カートウィール(Cartwheel)」を使った販促も11月1日から始める。カートウィールは昨年と同様、24日まで毎日オモチャ1品50%引きとなるクーポン販促となる。カートウィールでは12月4日、ターゲットのギフトカードが10%オフとなる販促も行うという。11月1日〜12月24日(感謝祭日〜翌週のサイバーウィーク除く)まで競合店と価格を合わせるプライス・マッチ保証も行う。
 メディアキャンペーンでは地上波で初となるアニメ映画「アナと雪の女王」の放送で、異例の4分間コマーシャルを行う。ブロードウェイスタイルで物語風の「トーイクラッカー(The Toycracker)」は2本報じられる予定となっている。
 ターゲットが8月に発表した第2四半期(5月〜7月期)決算では売上高が前年同期比7.2%減となる161.7億ドルだった。純利益は6.80億ドルと前年同期の7.53億ドルから9.7%減と10%近い減少となった。既存店・売上高前年同期比は客数が2.2%減少したことで1.1%の減少だった。ターゲットの既存店ベースが前年を下回ったのは、0.3%減となった2014年第1四半期(2月〜4月期)以来。
161027ウォルマートとターゲットの既存店客数の推移グラフ
ウォルマートとターゲットの既存店・客数(traffic)の推移。ターゲットは直近で客数を落としている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ターゲットの年末商戦に向けた3つの戦略は異例且つ内容盛りだくさんという感じです。これは第2四半期決算で客数が前年同期比で2.2%も減少していることが理由です。来客数を増やすために、ターゲットはお客をワクワクさせる気分になるよう販促やキャンペーンを強化しているのです。そういえばターゲットは8月25日、同社至上初となる1日限りの10%ディスカウントセールを行っていました。チェーンストアは通常、9月の第1月曜日となる祝日「労働の日(Labor Day:今年は9月5日)」にセールを行いますが、1週間以上前に1日限りのセールを行うのは異例です。で、エントリー記事にある戦略以外にもターゲットは年末商戦中に異例となるプロモーション(オムニチャネル化)は行うと思います。異例のプロモーションがなければ、アマゾン・プライム会員と顧客が重なるターゲットは、わざわざお店に来てもらうだけの理由がありません。
 最大50%オフとなる販促など、年末はターゲットのコーポレートカラーとなっている赤色が、別の意味を持つようになりますね。
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