
■アマゾンは5日、レジ清算のないまったく新しいコンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」を来年から展開することを発表した。アマゾンゴーは入店時のアプリ認証後は面倒なレジ会計がなく、商品を手に取るだけで買物の決済が完了する。逆に商品を棚に戻せばその買い物がキャンセルとなる。コンピュータービジョン(画像解析システム)やセンサーフュージョン、ディープラーニングなど自動運転車と同じAI技術を使うことで、自動購入システムによりレジが必要なくなるのだ。アマゾンゴーは50坪程度であり、サンドウィッチやサラダ、コーヒーなどの飲み物、さらにアマゾン独自のミールキットを販売するコンビニエンスストアだ。
アマゾンはアマゾンゴー以外にもマルチフォーマットで実店舗を展開している。アマゾンの実店舗展開で最も店舗数が多いのは10坪前後でリージョナルショッピングセンターやスーパーリージョナルショッピングセンターなど大規模モール内に展開する「アマゾン・ポップアップストア(Amazon Pop-Up store)」だ。アマゾン・ポップアップストアは2年前、サンフランシスコ市内のウエストフィールド・サンフランシスコセンター(Westfield San Francisco Centre)に1号店をオープンした。通常、ポップアップストアは期間限定の仮店舗のことであり、一般的にはモールなどショッピングセンターの通路や広間にカウンターやショーケースなどで仕切って出店するブース型のキオスクを指す。アマゾンのポップアップストアは同社が開発した電子書籍用リーダーのキンドルやタブレットのファイア、ファイアTV、人工機能(AI)を搭載した音声アシスタント端末「エコー(Echo)」など、各種デバイスを展示・販売している。また一部にボーズ社(BOSE)のヘッドフォンなどサードパーティによる周辺機器の販売も行っている。アマゾン・ポップアップストアは現在、32店舗を展開しており、来年末には最大100店舗以上の展開を予定している。
アマゾンが1年前にオープンした実店舗はリアル書店の「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」だ。アマゾンブックスは、顧客からの評価の高い書籍に絞り込み、表紙を正面に向けて陳列する「面陳(面陳列)」や「面展(面展示)」で陳列している。すべての書籍には星数評価やカスタマーレビューを記載したカードも添えられている。一方で書籍価格はアマゾンストアと同一となっており、プライスカードによる価格提示は行っていない。本が気に入らなかった場合など購入から30日以内に返品すれば返金する返品制度もある。アマゾンブックスには書籍のほか、アマゾンが手がける電子書籍用リーダーのキンドルなど各種デバイス、アクセサリー類も並べられ販売されている。アマゾンブックスはワシントン州シアトル地区のユニバーシティ・ビレッジ(University Village)の1号店に、9月にサンディエゴ郊外のウエストフィールドUTCモール(Westfield University Towne Center Mall)にオープンした2号店、10月にオレゴン州タイガード地区のワシントン・スクエア(Washington Square)内にオープンした3号店がある。アマゾンブックス4号店はシカゴ市内で、地元レストランなどが集まる商店街「サウスポート・コリドー(Southport Corridor)」に来年オープン予定だ。
アマゾンゴーより早くオープンするイノベーティブなスーパーもある。数週間以内にワシントン州シアトル郊外にオープン予定となっているのはドライブスルー専用スーパー。「ドライブアップ・ストア」「クリック&コレクト」と呼ばれるドライブスルー専用スーパーは、利用者がネットで注文した生鮮食品などを、車から降りずに商品を受け取るサービスストアだ。店の中で買い物ができるインストア・ショッピングではなく、倉庫となる300坪弱の「ブラックストア」に専用の駐車スペースがついた生鮮食料品等の受け渡し専用拠点だ。一方で当局に提出された同店の申請書概要には「ネットから注文した商品を2時間枠内で受け取る」とあり「敷地内にある駐車場の混雑を避けるため、同じ時間にピックアップできる客数を限定」とし、さらに「指定された8つの駐車スペースで車をとめ、スタッフが車のところまで運んでくるか、利用者が建物内のピックアップエリアで商品を受け取る」と記されている。また「建物内にあるタブレットから注文して、その場で受け取ることもできる」とある。ドライブスルー専用スーパーは近い将来、最低でも2ヵ所の展開が現在、予定されている。
アマゾンはまたスーパー最大手クローガーのクリックリストやウォルマートのピックアップグローサリーのようなインストアショッピングにカーブサイドピックアップを付けたスーパーも出店計画に入っている。同計画に詳しい関係者の話によると、店舗面積840坪〜1,120坪となるアマゾンのスーパーは通常のスーパーと異なりアルディのようにアイテム数が限定されたリミテッド・アソートメントストアとなる。店内にあるタッチスクリーン・タブレットから店内在庫にないものも注文でき、のちほど宅配させるオプションも考えられているという。カーブサイドピックアップ・サービスをもつアマゾンのスーパーは未だ計画段階であり実際の出店は来年末ごろと目されている。
アマゾンのマルチフォーマット展開は単なる業態の拡散ではなく、イノベーティブなITを使った革新的なリアルストア展開となるのだ。
トップ画像:サンディエゴ郊外のウエストフィールドUTCモール(Westfield University Towne Center Mall)にオープンしたアマゾンブックス2号店。
