2016年12月07日

【アマゾン】、アマゾンゴーにマルチフォーマット展開!レジなしもハッキングを考えろ?

161207アマゾン・ブックス
■アマゾンは5日、レジ清算のないまったく新しいコンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」を来年から展開することを発表した。アマゾンゴーは入店時のアプリ認証後は面倒なレジ会計がなく、商品を手に取るだけで買物の決済が完了する。逆に商品を棚に戻せばその買い物がキャンセルとなる。コンピュータービジョン(画像解析システム)やセンサーフュージョン、ディープラーニングなど自動運転車と同じAI技術を使うことで、自動購入システムによりレジが必要なくなるのだ。アマゾンゴーは50坪程度であり、サンドウィッチやサラダ、コーヒーなどの飲み物、さらにアマゾン独自のミールキットを販売するコンビニエンスストアだ。
 アマゾンはアマゾンゴー以外にもマルチフォーマットで実店舗を展開している。アマゾンの実店舗展開で最も店舗数が多いのは10坪前後でリージョナルショッピングセンターやスーパーリージョナルショッピングセンターなど大規模モール内に展開する「アマゾン・ポップアップストア(Amazon Pop-Up store)」だ。アマゾン・ポップアップストアは2年前、サンフランシスコ市内のウエストフィールド・サンフランシスコセンター(Westfield San Francisco Centre)に1号店をオープンした。通常、ポップアップストアは期間限定の仮店舗のことであり、一般的にはモールなどショッピングセンターの通路や広間にカウンターやショーケースなどで仕切って出店するブース型のキオスクを指す。アマゾンのポップアップストアは同社が開発した電子書籍用リーダーのキンドルやタブレットのファイア、ファイアTV、人工機能(AI)を搭載した音声アシスタント端末「エコー(Echo)」など、各種デバイスを展示・販売している。また一部にボーズ社(BOSE)のヘッドフォンなどサードパーティによる周辺機器の販売も行っている。アマゾン・ポップアップストアは現在、32店舗を展開しており、来年末には最大100店舗以上の展開を予定している。
 アマゾンが1年前にオープンした実店舗はリアル書店の「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」だ。アマゾンブックスは、顧客からの評価の高い書籍に絞り込み、表紙を正面に向けて陳列する「面陳(面陳列)」や「面展(面展示)」で陳列している。すべての書籍には星数評価やカスタマーレビューを記載したカードも添えられている。一方で書籍価格はアマゾンストアと同一となっており、プライスカードによる価格提示は行っていない。本が気に入らなかった場合など購入から30日以内に返品すれば返金する返品制度もある。アマゾンブックスには書籍のほか、アマゾンが手がける電子書籍用リーダーのキンドルなど各種デバイス、アクセサリー類も並べられ販売されている。アマゾンブックスはワシントン州シアトル地区のユニバーシティ・ビレッジ(University Village)の1号店に、9月にサンディエゴ郊外のウエストフィールドUTCモール(Westfield University Towne Center Mall)にオープンした2号店、10月にオレゴン州タイガード地区のワシントン・スクエア(Washington Square)内にオープンした3号店がある。アマゾンブックス4号店はシカゴ市内で、地元レストランなどが集まる商店街「サウスポート・コリドー(Southport Corridor)」に来年オープン予定だ。
 アマゾンゴーより早くオープンするイノベーティブなスーパーもある。数週間以内にワシントン州シアトル郊外にオープン予定となっているのはドライブスルー専用スーパー。「ドライブアップ・ストア」「クリック&コレクト」と呼ばれるドライブスルー専用スーパーは、利用者がネットで注文した生鮮食品などを、車から降りずに商品を受け取るサービスストアだ。店の中で買い物ができるインストア・ショッピングではなく、倉庫となる300坪弱の「ブラックストア」に専用の駐車スペースがついた生鮮食料品等の受け渡し専用拠点だ。一方で当局に提出された同店の申請書概要には「ネットから注文した商品を2時間枠内で受け取る」とあり「敷地内にある駐車場の混雑を避けるため、同じ時間にピックアップできる客数を限定」とし、さらに「指定された8つの駐車スペースで車をとめ、スタッフが車のところまで運んでくるか、利用者が建物内のピックアップエリアで商品を受け取る」と記されている。また「建物内にあるタブレットから注文して、その場で受け取ることもできる」とある。ドライブスルー専用スーパーは近い将来、最低でも2ヵ所の展開が現在、予定されている。
 アマゾンはまたスーパー最大手クローガーのクリックリストやウォルマートのピックアップグローサリーのようなインストアショッピングにカーブサイドピックアップを付けたスーパーも出店計画に入っている。同計画に詳しい関係者の話によると、店舗面積840坪〜1,120坪となるアマゾンのスーパーは通常のスーパーと異なりアルディのようにアイテム数が限定されたリミテッド・アソートメントストアとなる。店内にあるタッチスクリーン・タブレットから店内在庫にないものも注文でき、のちほど宅配させるオプションも考えられているという。カーブサイドピックアップ・サービスをもつアマゾンのスーパーは未だ計画段階であり実際の出店は来年末ごろと目されている。
 アマゾンのマルチフォーマット展開は単なる業態の拡散ではなく、イノベーティブなITを使った革新的なリアルストア展開となるのだ。

トップ画像:サンディエゴ郊外のウエストフィールドUTCモール(Westfield University Towne Center Mall)にオープンしたアマゾンブックス2号店。
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アマゾンは5日、レジ清算のないまったく新しいコンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」を来年から展開することを発表した。アマゾンゴーは入店時のアプリ認証後は面倒なレジ会計がなく、商品を手に取るだけで買物の決済が完了する。

16年12月6日 - 【アマゾン】、レジフリーなアマゾン・ゴー!万引き犯もびっくりなレジなしコンビニ?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。革新的なアマゾンゴーのニュースは全米ネットワーク局のニュース番組あど、ほぼすべてのメディアが取り上げていました。デジャブー(既視感)を覚えました。無人飛行機ドローンを使い30分以内の爆速で配達する「アマゾン・プライムエア(Amazon Prime Air)」の発表時と同じ注目のされ方です。プライムエアは発表からちょうど3年経過しましたが、まだ実用化されていません。アマゾンもオオカミ少年にならないようレジいらずのアマゾンゴーの実用化のめどがたったので発表したのだと思います。いまのところ実務課題として「レジのないアマゾンゴーが自動運転技術を使ったITでどれほど正確に決済をできるのか?」という精度があります。これまでの発表では商品にコンピュータービジョン(画像解析システム)やセンサーフュージョン、ディープラーニングなどの人工知能(AI)で顧客の動作から買い物を分析して決済するようです。でも、手にとって中身を抜いてタナ戻す、は?

⇒アマゾン発表を見る限り、アマゾンゴーはRFID(radio frequency identifier)のように商品に無線(IC)タグをつけて行うような決済方法ではないように見えます。RFIDでないのなら、アマゾンゴーはアナログ的にハッキングされる可能性がありますね。例えば、客Aが5歳ぐらいの子供を抱っこして入店後、子供に商品をピックアップさせて自分のカゴに入れさせる「鵜飼い方式(AIは子供の動きまで認識できるのか?)」、もしくは子供にグルの客Bのカゴにいれさせる「はじめてのおつかい方式(バレてもハンカチ涙目で子供のせいにできる)」、マジックハンドを使って商品をピックしてカゴに入れる「マジックハンド方式(ディープラーニングのセンシング技術はマジックハンドを認識できるのか?)」、マナカナや阿佐ヶ谷姉妹のような双子やそっくり100人ぐらいで入店し、同時に凄い速さで同じ商品を取ったり戻したりする「フラッシュ・モブ・スピード方式(AIは一度にどれほどの客の動作をトラッキングできるのか?)」...(笑)

⇒さらに100人が一列にならんで商品を次々に他の人に渡す「バケツリレー方式(最後尾は商品を元の棚に戻すという手の込んだ迷惑行為)」...カメラに「円周率は?」のボードを見せてAIが計算している間に万引きとか(笑)...そういえば「悪いマジシャンに本気出されたら、万引きGメンでも見抜けない説」を検証したバラエティ番組「水曜日のダウンタウン」の事例であったように、精巧に作られた義手を使い、ジャケットやコートの内側から手を伸ばして万引きする方式もあります。万引きGメンさえ見抜けなかった「義手方式(4本の手)」をネットワークに接続された人工知能の知識量がどう認識・分析できるのか知りたいです。Mr.マリックのハンドパワーまで持ち出しリスクを怖がり、必要以上にAIの可能性を否定するのはよくありませんね。日本の家電メーカーがルンバのような自動掃除機の試作品を作っていたにもかかわらず、仏壇のろうそくが落ちて火事になったりするのが怖くて売り出せなかったことと同じです。

16年11月9日 - 【サムズクラブ】、地味にスゴイ!レジ素通りできるスキャン&ゴーがショッピング革命?

⇒アマゾンゴーに似ているシステムにサムズクラブのスキャン&ゴーがあります。レジに並ぶ必要はありませんが、スマートフォン・アプリで商品のバーコードをスキャンして決済(チェックアウト)する必要があります。このシステムも完璧ではありません。なぜなら、鮭の切り身を購入する場合、最も軽い切り身(つまり安い)のパッケージをスキャンしながら、カートに乗せるのは最も重いもの(つまり高額)にすり替えるのです。出口にいるチェッカーはeレシートと実際の商品数は確認しても、価格までは確認しませんから。完璧ではないのですが、アメリカ小売業の考え方は「リスク上等」「失敗は正義」。アマゾンもファイアフォンで手痛い失敗をしました。日本でもスキャン&ゴーのような技術はでき、会社に提案もできるでしょう。ただ完璧を期するあまり、失敗した時の責任を取ることを考えて誰もやろうとしないのですね。アマゾンは小売りの経験がないからこそ、ゲームチェンジャーとなる思い切った発想ができるのでしょう。
 アメリカ小売業が凄いのは徹底した顧客本位だからです。顧客のためなら大きな失敗もいとわないぐらいの覚悟を持たないと日本でもこれからはやっていけません。
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