2017年01月01日

【2017年】、アメリカ小売業の新展開予想!グローサラントで視察ついでの食事が増える?

170101メンドシーノ・ファームズ@ホールフーズ
■2017年(平成29年)を迎えた。昨年のアメリカ小売業はモバイルショッピングやオムニチャネル化が進み、見えにくいところで大きな変化となった。「地殻変動」による歪が、地形に「隆起」や「沈降」をもたらすように見えない変化が今年、小売の現場にさらに大きな影響を与えると予想されている。その一つがネット通販最大手アマゾンのリアル店舗展開だ。アマゾンは現在、スーパーリージョナルショッピングセンターなど大規模モールに10坪前後で展開する「アマゾン・ポップアップストア(Amazon Pop-Up store)」を32ヵ所(15州)まで拡大し、リアル書店の「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」を3州に3店舗展開している。両店舗では自社開発のキンドルなどを販売しているのだが、年末商戦で売切れとなるほど音声アシスタント端末の「エコー」が売れていたこともあり、自社店舗の出店をさらに急ぐことも考えられる。最大で100店舗以上の拡大が予定しているポップアップストアでリアルにプレゼンスを増すことは確実なのだ。小売業以外からも注目を集めているのがアマゾン・ゴーだ。センサー技術を応用したコンビニエンスストアのアマゾン・ゴーは、お客がどの商品を選んだかを自動的に認識することで、レジ会計なく店を出られる画期的な店舗だ。早ければ今月中にもにアマゾン・ゴー1号店をオープンさせる予定だ。アマゾンはまた近日中にもドライブスルー専用スーパーもオープンする。「ドライブアップ・ストア」「クリック&コレクト」と呼ばれるドライブスルー専用スーパーは、利用者がネットで注文した生鮮食品などを車から降りずに商品を受け取るサービスストアだ。店の中で買い物ができるインストア・ショッピングはなく、倉庫となる300坪弱の「ブラックストア」に専用の駐車スペースがついた受け渡し専用拠点だ。このドライブスルー専用スーパーは最低でも2ヵ所の展開が予定されている。さらにアマゾンはクローガーやウォルマートのようなインストア・ショッピングにカーブサイドピックアップを付けたスーパーの出店も計画している。関係者の話によると、店舗面積840坪〜1,120坪となるアマゾンのスーパーは通常のスーパーと異なり、トレーダージョーズやアルディのようにアイテム数が限定されたリミテッド・アソートメントストアとなる。店内にあるタブレットから在庫にないものも注文できるスーパーはまだ計画段階だが、早ければ今年の末にはオープンとなる。
 アマゾンの出店に神経をとがらせているのが大手チェーンストアだ。特に食品スーパー最大手のクローガーとウォルマートは、既存店舗にカーブサイド・ピックアップ・サービスの拡大を急ピッチで進めている。クローガーは「クリックリスト(Cliklist)」を最大1,200店まで増やす計画を立てている。同社は傘下の店を含めるとスーパーマーケットを35州に2,700店以上保有。約4割の店舗でクリックリストを行う計画なのだ。一方、ウォルマートは昨年末までに「グローサリー・ピックアップ」を600店まで拡大していた。なお、クローガーのクリックリストは扱い品目数が生鮮品を含め約4万品目で1回の手数料が4.95ドル〜6.95ドル(初回3回までは手数料免除)。約3万品目となるウォルマートのグローサリー・ピックアップは手数料は無料だが、1回の注文金額は30ドル以上となっている。アマゾンのスーパー出店を阻止するため、両社とも今年はさらにカーブサイドピックアップを拡大する。
 アマゾンなどのネットスーパーが増えると消費行動も変わり、リアル店での購入行動が少なくなることが予想される。食料品のピックアップで終わらせず、お客をスーパー店内まで誘導することが求められているのだ。ここ数年、スーパーマーケット業界で増えてきているのがグローサラント業態だ。グローサラントとはスーパーマーケットを意味するグローサリー(grocery)とレストラン(restaurant)を合わせた造語でスーパー業界の新用語となっている。レストランのような高品質のプリペアドミールを販売しながらも、スーパー店内でも食事を提供する業態であり、レストランやファーストフードから奪われたお客を戻し、同業他社との差別化を明確にし、ネットスーパーの台頭でも来客を促す。スーパーが新鮮な食材の料理と心地よい第3の居場所「サードプレイス」を提案するのだ。東部で92店舗を展開するウェグマンズのフルサービス・レストラン「パブ(The Pub)」やカジュアル・レストランの「バーガーバー(Burger Bar)」、アイオワなど中西部8州に240店を展開するハイヴィーの「マーケットグリル(Market Grille)」、テキサス州など370店をもつHEBの「オークス・クロッシング(Oaks Crossing Restaurant & Bar)」「スリー・ダブル・オゥ・ナイン(3 Double-O Nine Bar & Restaurant)」「テーブル57(Table 57 Dining & Drinks)」、ホールフーズの「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」「コギ(Kogi)」「チェゴ!(Chego!)」、365バイ・ホールフーズ・マーケットの「バイ・クロエ(By Chole)」「ネクスト・レベル・バーガー(Next Level Burger)」「ワイルド・ジンジャー・キッチン(Wild Ginger Kitchen)」など店内に続々とオープンしている。地元レストランや有名シェフを導入・採用したグローサラント業態は今年もスーパーマーケット内で拡大するだろう。
 外食チェーンのモバイルオーダーも小売業界に影響を与えることは確実だ。モバイルオーダーはスターバックスやチックフィレ、チポトレ、パネラブレッド、ダンキンドーナツ、タコベル、ウェンディーズなどの大手チェーンで採用されている他、新興バーガーチェーンのシェイクシャックも昨年末に全店展開を始めた。外食最大手チェーンのマクドナルドも今年、テスト展開を行うという。レジに並ばずメニューを受けとれるオプションが外食チェーンに拡大すれば、消費者は小売りにも便利な買い物を求めるようになる。スーパー内で提供されているサンドイッチやピザなどのデリ注文にもモバイル化が求められるようになるのだ。ホールフーズなど一部スーパーでは店内に注文用の専用端末を導入しているが、外食チェーンに倣いスマートフォンからの注文も可能となるだろう。
 2017年はアマゾン・リアル店のマルチフォーマット化、カーブサイドピックアップ、グローサラント、モバイルオーダーで大きな進展を見ることになる。

トップ画像:ホールフーズ・アーバイン店内にオープンした「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」。
16年12月2日 - 【ホールフーズ】、メンドシーノファームズとコギが開店!攻めのグローサラント化進む?

⇒2017年、あけましておめでとうございます!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。今年もよろしくお願いいたします。2016年も驚くほど速く進んだように2017年も様々な新展開で時間の長さを忘れるぐらいのスピードになりそうです。台風の目はアマゾン・ゴー。アマゾン・ゴーの買い物がどれぐらい未来的で便利なのか?センサーやコンピューター、AIなどを駆使した店舗はコスト的にどうなのか?会計不要もどれほどの精度なのか?今一番、期待されているところです。個人的にはロサンゼルスにイータリーが今年、オープンするのがツボです。ニューヨークやシカゴにあるイータリーは今回、ビバリーヒルズ近くのウエストフィールド・センチュリーシティSCにオープン予定です。イータリーがニューヨークやニュージャージーにある近隣スーパーにグローサラントで影響を与えたようにロサンゼルスでもグローサラント業態化が活発になると思います。ホールフーズの「メンドシーノ・ファームズ」のように店内レストランが増えてくるのです。
 スーパーマーケット視察で、ついでのランチや夕食を手っ取り早く行えれば一石二鳥でいいなぁと思っています(笑)。もしくは近くの外食チェーンでモバイルオーダー!
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