2017年01月06日

【メイシーズ】、68店閉鎖に1万人リストラ!オムニチャネル成功と勘違いした理由とは?

170106メイシーズ
■老舗デパートメントストアのメイシーズは4日、昨年8月に発表した本体デパートメントストア100店舗閉鎖で、68ヵ所の店舗を明らかにした。好調なオンラインストアに投資を向け、オムニチャネル戦略をさらに集中する。メイシーズが今春中にも閉鎖を予定しているのは1957年オープンのミシガン州ハーパーウッズ店(従業員数121名)や2006年にオープンしたカリフォルニア州シミバレーにあるメンズ・ホーム・キッズ店(105名)の65店舗。カリフォルニア州ノースハリウッド店(105名)など3店舗は昨年中に閉鎖しているという。店舗閉鎖でメイシーズ本体の店舗数は660店となる。人事では店舗スクラップに伴い販売スタッフなど約5,300人が影響をうけ、そのうち3,900人がリストラ対象となる。また店舗閉鎖によるリストラとは別に、メイシーズはマネジメントの合理化で中間管理職など6,200人を解雇する。63店舗の閉鎖で売上高5.75億ドルが減少、第4四半期(11月〜1月期)中の店舗スクラップによるコスト負担を2.5億ドル計上する。メイシーズは不採算店の閉鎖で年間5.5億ドルのコストを節約できるとしており、2.5億ドルはオンラインストアなどIT投資に向ける。メイシーズはまた年末商戦となる11月と12月期の既存店・売上高前年同期比が2.7%の減少だったことを発表した。サングラスハットなど店舗内店舗のライセンス事業を含めた既存店ベースは2.1%減だった。第4四半期(11月〜1月期)の既存店ベースが前年を下回れば8四半期連続の減少となる。
 一方、メイシーズは2年前に買収した高級美容・スキンケア用品スパチェーンのブルーマーキュリーの展開を急ぎ、新たに50店舗を追加出店する。ブルーマーキュリーはスタンドアローン展開の他にメイシーズで店舗内店舗の出店も行っている。同社はまた処分品や返品などを扱うオフプライス業態「メイシーズ・バックステージ(Macy's Backstage)」も50店舗を新規出店する。平均店舗面積が840坪となるメイシーズ・バックステージは婦人服や紳士服、子供服、下着、靴、アクセサリー、ジュエリー、ホームファーニッシング(小型家具や室内装飾品)などを扱い通常価格の20%〜80%オフで提供する業態。

トップ画像:メイシーズ旗艦店のNYヘラルドスクエア店。メイシーズのオンラインストアは二桁成長しているが、店舗売上は低迷している。メイシーズではO2Oなどオムニチャネル戦略が上手くいっていない。オムニチャネル化が失敗している理由はメイシーズの旗艦店を見てもわかるのだ。
170106メイシーズ既存店推移グラフ
メイシーズの既存店・売上高前年同期比推移グラフ(メイシーズ店内で展開する提携業者からのコミッション売上除く)。年末商戦となる11月と12月の既存店ベースは2.7%の減少だった。第4四半期(11月〜1月期)の既存店ベースが前年を下回れば8四半期連続の減少となる。リーマンショック時に記録した11四半期連続前年割れに迫っている。メイシーズ・コムとブルーミングデールズ・コムのEコマース売上は二桁成長を維持しているが、11ヶ月間でも既存店ベースは3.8%の減少となる。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社の「最新!ネットとリアルが融合するオムニチャネル戦略セミナー」で失敗事例となっているのがメイシーズです。「メイシーズ」「オムニチャネル」の2ワードで検索すれば、メイシーズがオムニチャネルで成功しているような記事や解説を数多く目にします。なぜ誤ったことが流布されるのかというとコンサルタントやアナリストなど執筆者の多くが実際に現場となる売り場を訪れていないからです。さらに言えば彼らの多くはECやEC物流には詳しくても店舗オペレーションを理解できていないからです。メイシーズは今から5年前となる2012年3月、2011年度の年次報告書で初めてオムニチャネル戦略を発表しました。当時の既存店ベースは3%〜5%増の推移でしたから、こういったことも多くの日本人が「メイシーズはオムニチャネル化」で成功していると勘違いした要因です。セミナーでも重ねて強調していますが、オムニチャネル化で成功するには数年以上かかります。

⇒なぜならばオムニチャネル化には6つの基本プラットフォーム化が必要だからです。6つのプラットフォームとは「ボッシュ(BOSH)」「ボロス(BOROS)」「ボリス(BORIS)」「ボピス(BOPIS)」「ボス(BOSS)」「ボドフス(BODFS)」です。これらのプラットフォーム化では物流が複雑になるため、ワンステップ毎に慎重に行う必要があるのです。ボッシュとボロスの物流インフラだけでもフルフィルメントセンターの展開が急務なんですね。これにオンラインで購入して宅配してもらった商品を店に返品するボリスになると物流やITを含め、店スタッフのオムニチャネル教育にも投資しなければなりません。さらにオンラインで注文したものを受け取りはお店となるボピスでは、店の販売スタッフはピッキングも兼任しなければなりません。入社からずーっと接客販売で実績を積み上げてきたスタッフが、注文品を店在庫からピックする仕事を積極的にやるとは思えません。でもメイシーズにはそんなキャリアスタッフが大勢います。

⇒「最新!ネットとリアルが融合するオムニチャネル戦略セミナー」ではメイシーズのオムニチャネル失敗要因を店舗視察で確認してもらっています。現場を見ればオムニチャネル化に積極的かどうかわかります。昨年12月にも視察しましたが、ネットで注文した商品を店で受け取れるような体制にはなっていないのです、メイシーズは。自分がボピス客になって現場に行けばすぐに分かります。比較対象はオムニチャネルで成功しているホームデポ。ホームデポは入り口の自動ドアでボピスを訴求していますし、店に入ったらすぐにカスタマーサービスがありそこでもボピスを訴求しています。注文品を店に受け取りにいっても迷わないのですね。一方、メイシーズは入り口のドアにも何もなく、店にはいってもどこで受け取れるかまったくわかりません。なぜなら案内でさえPOP表示していないからです。小売業は細部の積み重ねが大切という「リテール・イズ・ディテール(Retail is detail)」です。
 メイシーズの売り場を見れば店舗閉鎖に1万人のリストラもオムニチャネルによる成功はまだ先だと読み取れます。
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