2017年02月19日

【グローサラント】、米国スーパーマーケット業界のブルーオーシャン戦略に最新事例は!

170219HEBコンビニ+ワラバーガー
■アメリカのスーパーマーケット業界では店内にレストランを導入するグローサラント業態に注目が集まっている。日本ではほとんど知られていないが、英語で「grocerant(グローサラント)」と検索すると4万件近くの英文記事が上がってくるほど海外では知られた言葉なのだ。特にアメリカではグローサラント研究が著しい。グローサラントとはスーパーマーケットを意味するグローサリー(grocery)とレストラン(restaurant)を合わせた造語であり、レストランのような高品質のプリペアドミールを販売しながらも、スーパーマーケットの店内でも食事を提供する業態だ。スーパーマーケットが新鮮な食材を活かしたこだわりのメニューで、競合店やオンラインストアより先に顧客の胃袋を奪ってしまう戦略でもある。グローサラントのイートインは、スーパー内の一角にテーブルとイスを並べたお座なりのスペースではなく、レストランと同等のくつろぎの場となっている。外食と内食(家庭料理)の間にある中食に、スーパーがレストランでも家庭でもない第三の食事場所「サードプレイス」まで提供するのだ。
 グローサラント業態もスーパーによって3つの戦略に分けられている。一つ目が自店の人気デリを活かして延長線上として店内レストランを作る戦略がある。ニューヨークで90店以上を展開するウェグマンズや中西部で240店以上で展開するハイビーが早くからこの戦略を店内に導入している。ウェグマンズはスーパーマーケット店内に「マーケットカフェ(Market Cafe)」の他、「バーガーバー(The Bugar Bar)」や「パブ(The Pub)」「アモーレ・イタリアン・レストラン&ワインバー(Amore Italian Restaurant & Wine Bar)」「シーフードバー(Seafood Bar)」の5つのブランドを展開し、スタンドアローン・レストラン「ネクストドア・バイ・ウェグマンズ(Next Door by Wegmans)」を持っている。ハイビーは101ヵ所の店内に「マーケットグリル(Market Grille)」を展開している。クローガー傘下となったラウンディーズのマリアノスやプライス・チョッパーのマーケット・ビストロ、ショップライトも同戦略で展開している。
 二つ目は地元などで人気のレストランを店内に誘致する戦略がある。この戦略に長けているのはホールフーズ・マーケットだ。先月オープンしたニューヨーク・マンハッタンのブライアントパーク店では地元で人気のカジュアルイタリアン「フランキーズ・スプンティーノ(Frankies Spuntino)」を誘致、その隣には有名フレンチ・シェフのダニエル・ブルー氏がプロデュースした「ハーバーバー(Harbor Bar)」が入っておりオクトパスやロブスターロールなどシーフードメニューを提供している。ロサンゼルス郊外にあるタスティン店では昨年末、オーガニックでグルテンフリーなサンドウィッチ&サラダチェーン「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」を改装時に導入している。ロサンゼルス国際空港近くのホールフーズでも、フードトラックブームの火付け役となったロイ・チョイ氏のアジア系メキシカン・フュージョン「コギ(Kogi)」を導入した。新フォーマットの365バイ・ホールフーズ・マーケットも人気レストランで展開しているのだ。
 三つ目が有名レストラン等で活躍するシェフをヘッドハントして、こだわり食材や人気デリから新たなメニューを創作し店内レストランで提供する戦略だ。テキサス州とメキシコに370店を展開するHEBがその戦略の代表例だろう。HEBはヒューストン地区にあった人気レストラン「ヘブン(Haven)」のシェフ、ランディ・エヴァンス氏を2015年にチーフ・エグゼティブ・シェフとして招き入れた。彼が開発したテキサスBBQを中心のメニューでHEB内にレストランを導入している。エヴァンス氏がプロデュースした料理をサンアントニオのザ・マーケット・アット・ストーンオーク(The Market at Stone Oak)にあるオークス・クロッシング(Oaks Crossing Restaurant & Bar)や同じくサンアントニオ郊外のHEBにあるスリー・ダブル・オゥ・ナイン(3 Double-O Nine Bar & Restaurant)、さらにヒューストンのHEB内にあるテーブル57(Table 57 Dining & Drinks)等で提供している。
 米国スーパーマーケット業界のブルーオーシャン戦略となるグローサラントに、最新動向が伝えられている。ハイビーでは、マーケットグリルの人気メニューを新グローサラント業態「マーケット・グリル・エクスプレス(The Market Grille Express)」 でより早くツー・ゴーできるようになっている。また同業態のカーブサイド・ピックアップでもメニューピックアップが可能だ。一方、HEBでは同社が推進するコンビニエンスストアにテキサスで人気のハンバーガーチェーン「ワッタバーガー(Whataburger)」を併設している。オースティン郊外に先月オープンしたガソリンスタンド&カーウォッシュ併設型コンビニの「HEBフュール(HEB Fuel)」では、ワッタバーガーを24時間ドライブスルーで提供している。HEBはコンビニ事業で、グローサラントのハイブリッド戦略から、地元などで人気のレストランを店内に誘致する戦略にも手を広げているともいえるのだ。グローサラント業態にはまだ開発の余地があり、スーパーマーケットはさらなるテスト展開を繰り広げることになるだろう。

トップ画像:HEBのガソリンスタンド&カーウォッシュ併設型コンビニ「HEBフュール(HEB Fuel)」では、ワッタバーガーを24時間ドライブスルーで提供している。
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ハイビーでは、マーケットグリルの人気メニューを新グローサラント業態「マーケット・グリル・エクスプレス(The Market Grille Express)」 でより早くツー・ゴーできるようになっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社では様々なスーパーマーケットの実地調査から得た知見から体系化し「米国スーパーマーケット業界のブルーオーシャン!最新業態グローサラント戦略セミナー」を開発、外食チェーンやスーパーマーケットチェーンにコンサルティングを行っています。アメリカのスーパーマーケットは現在、食品デフレに喘いでいます。また、スーパーマーケットの食品売上の多くがオンラインストアに奪われるという調査結果も最近、発表されました。食品マーケティング協会(FMI)と調査会社ニールセンが発表した調査レポートによると、2025年には食品支出の20%がオンライン経由となり1,000億ドルのマーケットになるのです。こういったことから、競合店やオンラインストアからの競争で優位に立てるグローサラント業態がこれまでにないほど注目されているのです。パブリクスでさえスターバックスを店内にテスト導入すると、ニュースで取り上げられていましたから。
 ところで気になるのがHEBフュールとワッタバーガー(Whataburger:発音はワラバーガー)の展開です。外食チェーンはモバイルオーダーも始めるでしょう。グローサラントもモバイルオーダーの時代となりますね。
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