2017年09月25日

【ターゲット】、アプリ機能に店内GPSでナビ!アプリ開発は早いもの「価値」となる?

170925ターゲットアプリ
■人気アプリ機能のカートウィールを本体のアプリに統合中のターゲットは20日、屋内位置情報をアプリに搭載することを発表した。年末商戦までに半数の店舗で利用できる店内の位置情報機能は、ビーコン(Beacon)とブルートゥース(Bluetooth)技術を応用したもの。クーポンアプリのカートウィールで、商品を店内で探すときに役立てる。店内GPSとも呼べる機能は、利用者と目当ての商品の位置を店内マップに表示する。カートウィールだけでなくショッピングリストにある商品からも店内位置情報を利用可能とする。また、店内マップでセール情報等も表示するとしている。最高情報&デジタル責任者(Chief Information and Digital Officer)のマイク・マクナマラ氏が示した動画では最後に商品バーコードのスキャニングを映しており、ウォルマートのスキャン&ゴー(Scan & Go)のようにモバイル・チェックアウトもしくはモバイル・ペイメント機能の搭載も示唆している。スキャン&ゴーはスマートフォンにダウンロードしたアプリでお客が商品バーコードをスキャンしながら買い物を行うシステム。アプリ内で決済するため、レジを通らず買い物を済ませることができる。
 ターゲット本体のアプリに統合中のカートウィール機能とはターゲットが提供する500〜700アイテムのディスカウントを受けることができるクーポンアプリだ。値引き対象となる多くの商品が「アーチャーファーム(Archer Farms)」「アップ&アップ(Up & Up)」などターゲットのプライベートブランド(PB)商品で、多くが5%〜10%の値引きとなっている。2年まえの年末商戦からは毎日、玩具1アイテムが50%オフとなる販促も行っている。値引き期間も短いものでは「当日1日のみ」から、最大1ヶ月以上にも及ぶ長期間のものもある。ユーザーは購入したい商品をタップしてリストに加え、購入時にお店のレジでバーコード(スマートフォンもしくはプリントアウトで提示)をスキャンし値引きを受ける仕組みとなる。カートウィールは期限内であれば同一商品の値引きを何度も受けられ、ターゲットが提供するクーポンやメーカー・クーポン、さらにターゲット・レッドカード利用の5%引きも受けられる節約主婦の間では大人気なのだ。4年前から始めたカートウィールはこれまでに約4,000万回ダウンロードされ、10億ドル以上のディスカウントを提供したという。
 ターゲットはアプリ機能を進化させることで、出遅れているオムニチャネル化を加速したい考えだ。

トップ画像:ターゲット・アプリの屋内位置情報機能のケーススタディ動画スクリーンショット。ビーコン(Beacon)とブルートゥース(Bluetooth)技術を応用し利用者と目当ての商品の位置を店内マップに表示する。

170925ターゲットアプリ01
ケーススタディ動画では商品バーコードのスキャニングを映しだしており、ウォルマートのスキャン&ゴー(Scan & Go)のようにモバイル・チェックアウト(もしくはモバイル・ペイメント)機能の搭載も示唆している。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社の「最新!ネットとリアルが融合するオムニチャネル戦略コンサルティング・セミナー」では小売アプリの最先端機能を使ったワークショップを行っています。今、小売アプリを使わずしてアメリカ小売業を語ることはできません。小売アプリは「ポケットに入る小さなお店」であり、伸びている小売チェーンは早くからアプリ開発に着手しています。例を挙げるとウォルマートでは「ショッピングリスト」「リオーダーナウ」「セービングキャッチャー」「ウォルマートペイ」、ホームデポは「イメージ検索」「リアルタイム在庫」「3Dマッピング」「ボピスからボドフス:受け取り選択」、ウォルグリーンでは「処方箋補充スキャンニング」「eクーポン」、外食でもチックフィレやスターバックスでは「モバイルオーダー&ペイ」、パネラブレッドでは「オーダー・フロム・マイ・テーブル」などあります。アプリを使いながら、利用者から店側のメリットまで考えてもらうのです。
⇒当社のコンサルティング・セミナーではお店で店内を回る視察よりも、アプリを使ったワークショップに多くの時間を割いているほどです。参加人数を20名以内にしている人員制限も、実際にアプリ機能を使って買い物を行うためです。口で説明するよりも参加者一人一人に、チックフィレでモバイルオーダーをいれてもらうことでオムニチャネル化の最先端事例を肌感覚で体験してもらうのです。知っていると、使ったことがあるとでは大違い。文字通り百聞は一見にしかずです。腹に落ちると人に話したくなります。コンサルティングを行った某チェーンの経営者は成長ビジョンが描けたと同時に、決算発表時の金融機関への説明でも成長戦略を上手く説明できたと喜んでいいました。また(競争上)有難いことに、日本の大半の小売業者は小売アプリやアプリ機能の重要性にほとんど気づいていません。原因として、日本のメディア記者が、記事として取り上げようにもアプリを使って買い物をしていない(できない)ことがあります。

⇒日本のスマートフォンではアメリカ小売業のアプリをダウンロードできなかったり機能が制限されてしまうのです。現地に来ても大手チェーンストアアプリを使えないのです。サムズクラブの革新的アプリのスキャン&ゴーも、アマゾン・ゴーほど日本では伝わっていません。アメリカ小売業のアプリ開発競争が加速しているにもかかわらずです。したがって小売の地殻変動がいつまでも見えてきません。アメリカの消費者はお店に行っても「ポケットに入る小さなお店」で買い物をしているのです。アプリ経由で買い物しなくても、お店での買い物にアプリが大きな影響力をもってきているのです。エントリー記事にあるようにターゲットは独立したアプリであったカートウィールをターゲット本体のアプリに統合しています。そしてカートウィールで値引きされる商品を店内マップを使い、お客をナビしようとしています。店舗開発と同じようにポケットに入る小さなお店も、開発に終わりはありません。
 アプリは早い者「勝ち」で、後々には「価値」にもなります。開発中に必ず何度も失敗をするからです。失敗するなら早いほうがいい。エジソン曰く「失敗はしていない。上手くいかない1万の方法を発見したのだ(I have not failed. I've just found 10,000 ways that won't work)」もアプリに当てはまります。