2017年11月15日

【スーパーマーケット】、卵1個がたった2円!全米一競争激しい地区は卵の価格で競う?

171115パブリクス00
■フロリダなどに1,100店以上を展開するパブリクス・スーパーマーケットは10月18日、バージニア州リッチモンド近郊のヘンライコ地区に新店をオープンした。リッチモンドでは6号店目となるパブリクス・ショートパンプ店はショート・パンプ・クロッシング・ショッピングセンター(Short Pump Crossing Shopping Center)にあり、ロイヤル・アホールド傘下のマーティンズ(Martin's)があったところだ。パブリクスがオープンしたことで、ショートパンプは全米で最も注目されているスーパーマーケット激戦地区になっている。5キロほどのブロード・ストリートに西からディスカウント・スーパーマーケットのアルディ(12390 W Broad St, Henrico, VA 23233)、全米でトップの人気を誇るウェグマンズ(12200 Wegmans Blvd., Henrico, VA 23233)、今年6月にアメリカに進出したドイツ資本のディスカウント・スーパーのリドル(12151 W Broad St, Henrico, VA 23233)、全米最大のスーパーマーケット・チェーンのクローガー(11895 W Broad St, Richmond, VA 23233)、パブリクス、ウォルマート・スーパーセンター(11400 W Broad St, Glen Allen, VA 23060)、トレーダージョーズ(11331 W Broad St, Glen Allen, VA 23060)、スチュー・レオナードの創業者の息子がオープンしたトム・レオナーズ・ファーマーズ・マーケット(Tom Leonard's Farmer's Market:4150 Tom Leonard Dr, Glen Allen, VA 23060)、そしてホールフーズ・マーケット(11173 W Broad St, Glen Allen, VA 23060)が並んでいる。ウォルマートに近接するターゲット(11290 W Broad St, Glen Allen, VA 23060)を含めると、ブロード・ストリート沿いの5キロ内に食をめぐって10店舗がひしめき合うように並んでいるのだ。
 特に注目されている戦いはウェグマンズとパブリクスだろう。常に人気トップを競う食品スーパーが、これだけの近距離で競うことは史上初となる。奇しくもウェグマンズの二代目で同社を大きく成長させたロバート・ウェグマン氏(1918〜2006)とパブリクスを創業したジョージ・ジェンキンス氏(1907〜1996)は親友だった。さらに注目されるのはアルディとリドルのディスカウント・スーパーマーケットにウォルマート・スーパーセンターを含めた価格戦争だ。実のところ、パブリクスのオープン前から価格戦争が始まっていた。コモディティ化しているタマゴは比較されやすいため、各店ともロスリーダーとして超がつくほどの低価格で訴求している。例えば、ラージ・サイズ(卵1個2オンス=56.7グラム)1ダースパックをクローガーが49セント、ウェグマンズは39セント、ウォルマート・スーパーセンターは38セントで販売しているのだ。ウォルマートでは卵36個(1パック18個を2パック)を1.08ドルで販売し、ウェグマンズでは36個を99セントという価格設定なのだ。卵1個辺り2.75セントという価格だ。驚くのはまだ早い。アルディとリドルでは卵1ダースを22セントという信じられない価格での販売だ。卵1個あたり2セント弱(約2円)の計算になる。
 日本では原価を著しく下回る価格で継続して販売していると独占禁止法の不当廉売にあたる可能性が高くなる。一方で、消費者を守る観点からアメリカでは競争におけるロスリーダーに関して独禁法での取り締まりは比較的緩いのだ。パブリクスが参戦したことでショートパンプ地区ではタマゴの価格をめぐる戦いはまだ続きそうだ。
171115バージニア州リッチモンド(ショートパンプ)
バージニア州リッチモンド近郊のヘンライコ地区はスーパーマーケットの激戦区となっている。ブロード・ストリート沿いに西からアルディ、ウェグマンズ、リドル、クローガー、パブリクス、ウォルマート、トレーダージョーズ、トム・レオナーズ、ホールフーズ・マーケットが並んでいる。牛乳は南カリフォルニアより10セント〜30セント安い。卵は1ダース22セントと驚くべき安さになっている。

171115タマゴ05アルディ@ショートパンプ

171115タマゴ06リドル@ショートパンプ
10月中旬、アルディ(上)もリドル(下)もラージ・サイズ(卵1個2オンス=56.7グラム)1ダースパックを22セントで販売していた。卵1個あたり2セント弱(約2円)の計算だ。

171115トム・レオナード (1)

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スチュー・レオナードの創業者の息子が2004年にオープンしたトム・レオナーズ・ファーマーズ・マーケット。ミニ・スチュー・レオナードという感じだが、中途半端なのは独立して歴史が浅いからか。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ターゲットを含め、パブリクスやウェグマンズ、アルディ、リドルなどの10店で最も劣勢にみえたのはトム・レオナーズ・ファーマーズ・マーケット(Tom Leonard's Farmer's Market)です。トム・レオナード氏はスチュー・レオナードの創業者の息子で、独立して2004年にオープンした店舗です。店名やファサードはオリジナルと全く同じデザインで、入り口には顧客志向の社訓「ルール1:お客様は常に正しい」「ルール2:もしお客様が正しくないと感じたらルール1に戻れ」を刻んだ石碑もあります。で、店内はワンウェイコントロール。ただ広さが500坪もないので、インストア・ベーカリーさえなく、全てが中途半端です。子供の目を楽しませる人形も2体しかない、トホホ感が漂うお店となっています。スチュー・レオナードのプライベートブランド商品も極めて限定的にしかなく、スチュー・レオナードでは代表的な商品となっているミルクは、全く別のブランドでした。

⇒トム・レオナーズ・ファーマーズ・マーケットには、アイスクリームショップもないし、名物のロブスター・ロールもケトル・チップスもホットデリもなし。後藤が視察に訪れたときは、数名のお客しかいませんでした。ショートパンプ地区には昨年夏、ウェグマンズがオープンし、今年6月にはリドルがオープン、そして10月にパブリクスのオープンです。エントリー記事に書いたようにスーパーマーケットの競争激化から卵がロスリーダーにされ、信じられないほど安くなっています。リドルとアルディでは22セント!卵1個が2円程度です。今回のフィールド・リサーチでは、ロサンゼルス空港からメリーランド州のボルチモア・ワシントン国際空港まで5時間のフライトでした。あまりの安さにタマゴを買いこんで(3ダース買っても66セント!)、ロサンゼルスまで持ちかえろうかと考えたほどです(坂東さんなら買っているはず)。こういった厳しい状態が続けば、独立系で頑張っているトム・レオナーズは風前の灯のようになってしまいます。
 さてウェグマンズ対パブリクスですが、ウェグマンズに勝機があると思いました。理由は...