2018年10月03日

【クローガー&ウォルグリーン】、アマゾンエフェクトでクロスオムニチャネルを実験!?

181003クリックリスト@クローガー
■食品スーパー最大手のクローガーとドラッグストア大手チェーンのウォルグリーンは共同で2日、業種・業態の垣根を超えたオムニチャネル戦略のテストを始めることを発表した。スーパーマーケットとドラッグストアが手を結ぶことでアマゾンに対抗する新たな手段を模索する。

クロス・オムニチャネル・リテーリングは、クローガーの「グローサリー・ピックアップ」で注文した生鮮品などをウォルグリーンの店舗で渡すというもの。

グローサリー・ピックアップ(旧サービス名はクリックリスト)はネットで注文した商品を店の駐車場で受け取れるサービス。「カーブサイド・ピックアップ(Curbside Pickup)」や「クリック&コレクト(Click & Collect)」とも呼ばれ、小売最大手のウォルマートからテキサス州で展開するHEB、中西部のハイビーなど、大手チェーンから地方の中小スーパーまで行っている。

今回のテストはケンタッキー州北部にあるウォルグリーン13店舗で行うという。同店舗ではクローガーのプライベートブランド「シンプル・ツルース(Simple Truth)」も扱う。2012年に発表されたシンプル・ツルースは20億ドル近くを売り上げ、ナチュラル&オーガニック・ブランドでは全米最大となっている。

クローガーCEOのロドニー・マクマレン氏は「クローガーとウォルグリーンのコラボレーションのテストは食品の買い物の仕方の利便性を改め、再定義するものです」と語っている。一方のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスCEOのステファノ・ペッシーナ氏も「変化する顧客ニーズに対応し、買い物体験で差別化することで進化し続けていきます」と述べている。

 なおクローガー・グローサリー・ピックアップで対象となる商品は生鮮品など約4万品目。利用者は翌日の午前8時〜午後9時まで1時毎のピックアップ時間を指定して受け取ることになる。ピックアップは指定されたパーキングスポットに車を停め、そこに記載されている電話番号に連絡すれば、スタッフが商品をもってきてトランクに詰めてくれるのだ。

グローサリー・ピックアップの注文手数料は4.95〜6.95ドル。初回から3回までの注文手数料は無料となっている。グローサリー・ピックアップはクローガー傘下のスーパーなど1,300店以上で展開している。

ウォルグリーンでピックアップできるクローガーのグローサリー・ピックアップでは手数料などの詳細は明らかにされていない。

 ネット通販最大手のアマゾンが自然食品スーパー大手のホールフーズを買収し1年以上経過した。宅配やカーブサイド・ピックアップなどオムニチャネル化を進める食品スーパーが急増しているが、今後は異業種とのコラボも増えてくる可能性がある。アマゾンエフェクトは競合店の戦略にも大きなインパクトを及ぼしているのだ。

トップ画像:グローサリー・ピックアップ(旧サービス名はクリックリスト)で商品をピッキングするピッカー。ウォルグリーンと戦略的アライアンスを組むクローガーはグローサリー・ピックアップで注文した生鮮品などをウォルグリーンの店舗で渡すというもの。クロス・オムニチャネルもアマゾンエフェクトの産物だ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。タイトルやエントリー記事にあるクロス・オムニチャネルとは後藤が作ったワードです。造語ですが、食品スーパー最大手のクローガーとドラッグストア大手チェーンのウォルグリーンが行うコラボレーション戦略では、これ以上の表現が見つからないほどしっくりきます。オムニチャネルとはネットショップから実在の店舗など様々なチャネル(販売経路)を組み合わせ、いつでもどこでも顧客が好きな時に注文ができて、自由に決済方法を選び、都合のよい時に都合のよい場所で受け取ることができるシームレスな買い物です。都合のよい場所とは、店もしくは系列店にかぎりません。企業や店の論理ではなく、お客の利便性が最優先されます。クロス・オムニチャネルでは異業種・異業態の垣根を超えるだけでなく、異業界や異分野も視野に入るのです。例えば日本ではネットで購入した注文品を交番でピックアップ!?なんてことにもなるかもしれません(笑)。
 クロス・オムニチャネルという考えが出てきていることで、100店より500店、500店より1,000店をよしとする多店舗展開を原則としたチェーンストア理論の陳腐化が一層進みます。