2019年07月25日

【スパークシティ】、ウォルマート訓練シュミレーターに家電部門!部下の育成がKPI?

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■ウォルマートは先月20日、従業員用のトレーニング・シュミレーター「スパークシティ(Spark City)」のアップデートを行った。

スパークシティはプレーヤーが部門マネージャーとなり売り場などでルーチンワークや接客を行いながら、緊急事態に対処してポイントを得るというもの。

スパークシティはバックルームでの在庫管理まで含まれており、ウォルマートの部門マネージャーが毎日行っている業務をゲームにしたのだ。

昨年10月に公開されたスパークシティはウォルマートがもつ200ヶ所のトレーニングセンター「ウォルマート・アカデミー(Walmart Academy)」で使用されている。

スパークシティ開発担当者は「店舗スタッフにベータ版を試してもらいフィードバックを得てスパークシティを開発しました」と胸を張る。

VRヘッドセット「オキュラス・ゴー(Oculsu Go)」とともにリアルなシュミレーターは新人に向けたトレーニング・カリキュラムの一つとなっている。

 スパークシティは在庫指標の「OSCA(on shelf customer availability)」にカスタマーサービス指標の「CFF(clean fast friendly)」、売上の「セールス(Sales)」の3つのKPIを向上させ、維持することが目標となる。

なおOSCAは91%、CFFは95%、セールスは-10%からスタートする。KPIの最高ポイントはOSCAが98%、CFFが102%、セールスは+10%となっている。

接客などを行いポイントを得ると「+OSCA」「+CFF」「+セールス」と表示され、ガッツポーズを決めるキャラクターの頭上に紙吹雪が舞い、短いファンファーレが鳴る。

逆にポイントが減ると各KPIにマイナスがついての表示だ。さらに大きなマイナスKPIの場合、左側に赤いマークで「スピル対応を見逃す」「万引き犯が(商品を盗んで)店を出る」、10フットルールを怠った「客を無視」などの理由が画面左に現れる。

1日の就業時間は午前7時〜午後4時まで。午前11時から1時間のランチタイムをはさんだ8時間となる。

 頭の上にウォルマートの黄色いコーポレートロゴが回っているのがキャラクターだ。キャラクターの動かし方はフロアをタップするとウォルマート・ロゴ(オレンジ色)が表示され、その方向に向かうことになる。

タスクのアイコンをタップするとキャラクターがその業務に従事する。また画面をピンチイン・ピンチアウトでバックルームや売り場を拡大・縮小し、2本の指を動かすことで3Dとなる売り場のアングルの変更も可能となる。

ゲームはキャラクターの「性別」や「ヘアスタイル」「スキンカラーや顔」「シャツ」「ズボン」の選択から始める。

最初に担当として任されるのは加工食品などを扱う「ドライ・グローサリー・グッズ(Dry Grocery Goods)」。ある程度のポイントを維持できるようになると「園芸部門(Lawn & Garden)」で部門マネージャーを務めることになる。

今回のアップデートでは家電などを販売する「エンターテイメント(Entertainment)」が加わった

 ドライ・グローサリー・グッズではバックルームと売り場の在庫管理に売り場管理、アシスタント・マネージャーから指示されるタスクワーク、接客までがルーチンワークとなる。

園芸部門ではこれらのルーチンに加えて、部下(3人〜4人)にタスクの一部を任せながら、トラック搬入による商品の積み下ろしから重量のある大型商品をお客の車まで運ぶサービスヘルプも随時行う。

高額品を扱うエンターテイメント部門では、ゲームソフトや家電品等に適切な防犯装置(Merchandise Protection Plan)が施されているかの確認や人材育成のメンタリング・タスクが追加されている。

エンターテイメント部門では不意に家電品等で問い合わせてくるお客に対応するのも他の部門にはない特徴となっている。

エンターテイメント部門のタスクで特徴となるのが防犯装置だ。

商品カテゴリーによって透明のプラスティックボックスに入れるキーパーボックス(Keeper Box)、商品パッケージの四面をケーブルで包み込むように取付けるスパイダーラップ(Spider Wrap)、商品をぶら下げて陳列する陳列棒のペグフックをロックするロッキング・ペグ・フック(Locking Peg Hook)の3種類がある。

カテゴリーリストから適切な防犯装置がついているかを確認するのがエンターテイメント部門での部門マネージャーの仕事になる。

 部下をトレーニングしながら接客などのスキルレベルを上げてタスクを任せることで部門マネージャーの仕事もはかどることになる。

エンターテイメント部門は他の部門に比べタスクが複雑になるものの、よりリアルに近いため上達スピードも速くなるのも特徴なのだ。

トップ画像:ウォルマートの新人用トレーニング・シュミレーター「スパークシティ(Spark City)」のアップデートで新たに追加されたエンターテイメント部門。「ドライ・グローサリー・グッズ(Dry Grocery Goods)」と「園芸部門(Lawn & Garden)」である程度のポイントを維持できるようになるとテレビなどを扱うエンターテイメント部門でマネージャーを行うことができるのだ。
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高額品を扱うエンターテイメント部門では、ゲームソフトや家電品等に適切な防犯装置(Merchandise Protection Plan)が施されているかの確認や人材育成のメンタリング・タスクが追加されている。

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エンターテイメント部門のタスクで特徴となるのが防犯装置だ。製品によって透明のプラスティックボックスに入れるキーパーボックス(Keeper Box)、商品パッケージの四面をケーブルで包み込むように取付けるスパイダーラップ(Spider Wrap)、商品をぶら下げて陳列する陳列棒のペグフックをロックするロッキング・ペグ・フック(Locking Peg Hook)の3種類がある。ブルーツース・スピーカーはリストにあるデパートメントでは72のワイヤレス・スピーカーとなり、適切な防犯装置はスパイダーラップとなる。

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商品パッケージの四面をケーブルで包み込むように取付けるスパイダーラップ(Spider Wrap)

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商品をぶら下げて陳列する陳列棒のペグフックに透明のプラスティックボックスのキーパーボックス(Keeper Box)がかかっている。ロッキング・ペグ・フック(Locking Peg Hook)はペグフックにロックがかかり、自由に取り出せない仕様だ。

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スクリーン右下にある端末で毎朝、デイリー・ルーチンを確認してタスクの順番を決めておくのがポイントだ。部門マネージャーの自分にしかできないタスクと部下に振り分けることができるタスクを確認し、部下のスキルレベルが低い場合は忙しくない時間帯でトレーニングを行っておく。

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エンターテイメント部門では部下の育成もKPIに入っている。時折、部下に「いいね!」アイコンがつくことで、部下をメンタリングしていく。メンタリングしなければ部下にタスクを割り振ることができなくなっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。どんなゲームでもそうですが、スパークシティをやりこんでいると、ポイントをあげていくコツがわかるようになります。一つにはスクリーン右下にある端末で毎朝、デイリー・ルーチンを確認してタスクの順番を決めておくことです。二つ目には売り場全体を見渡してどこにどんなタスクがあるのかを俯瞰しておくこと。3つ目は部門マネージャーの自分にしかできないタスクと部下に振り分けることができるタスクを確認しておくことになります。4つ目はお客が少ない朝時間や全タスク完了後の余った時間で部下のスキルレベルをあげておくようにトレーニングを怠らないこと。5つ目にタスク間は2倍速、4倍速(速すぎるため10フットルールでお客に挨拶できないことがある)で移動することです。特に部下(エンターテイメント部門では二人のみ)のスキルレベル(3ツ星表示)を上げておくと、タスクスピードが速くなり2週目にはKPIで最高ポイントを得ることができるようになります。
 ウォルマート・アカデミーで使われているシュミレーターは、人材育成のメンタリング・タスクも追加され、仕事を素早くこなすこと以上にチームワークの大切さも教えている