
■全米小売業協会(NRF)によると、返品条件が若干厳格化していることで返品率は昨年、小売総額の10%となっている(前年は11%)。
一般的に返品率は販売チャネルにより大きな幅があり、実店舗の返品率はオンラインストアより低くなる傾向だ。オンラインストアの返品率は10%〜15%で、ネット販売でもアパレルや靴など一部のカテゴリーは30%を超える。Eコマース売上は毎年増加しているが、返品も増えているということになる。
オンラインストアにとって返品にかかるコストは頭を抱える問題だ。店舗を構えていればそこに返品してもらえればコストは少なくて済む。
経営コンサルティング企業のアリックスパートナーズによると店舗への返品コストは1件当たり3ドル。こういった返品を店ではなく、郵送などを使って送り返すようにすると最大6ドルのコスト負担となる。返品の道筋となるリバース・ロジスティクスを外部業者を任せると8ドルのコストだ。
したがってアマゾンなどオンラインストアでは、リアル店舗を使った返品処理を行おうとする。
コールズは今年7月、アマゾン専用の返品カウンター等を全店となる1,150店に設置し、アマゾンで購入した商品の返品処理を開始した。アマゾンのメリットは返品コストを最小化でき、コールズは返品にやってくる客を当てにするのだ。
アマゾンはまた、大学キャンパス内や学生街に展開するピックアップ拠点でも返品を受け付けている。ネットスーパーの受け取り拠点となる「アマゾンフレッシュ・ピックアップ(AmazonFresh Pickup)」はシアトル市内に2ヶ所あるが、そこでも返品投函用の窓口を設けている。
最近ではリアル書店の「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」でも、ピックアップ用のロッカーと返品窓口を併設した店舗を一部に展開している。ロサンゼルス国際空港近くとなるマリナ・デル・レイ地区に昨年10月にオープンしたアマゾン・ブックスでは店の奥にピックアップと返品用に70坪の専用スペースを持っている。アマゾン・ブックス・マリナ・デル・レイ店では本を物色するお客よりもピックアップや返品にやってくるお客のほうが圧倒的に多い。
ここにきてレジなしコンビニエンスストアのアマゾンゴーでも返品を受けつけるテストを開始した。サンフランシスコとニューヨークにある一部のアマゾンゴーでは梱包することなく返品が可能と、ビジネス・インサイダー誌が報じたのだ。利用者は返品先となるアマゾンゴーを選択すると、QRコードが送られてくる。アマゾンゴーではスタッフにQRコードをスキャンしてもらい、返品する商品を渡すだけで返品が完了となるのだ。
アマゾンゴーは、アマゾン・ブックス・マリナ・デル・レイ店のピックアップ&返品の専用スペース70坪にも満たない。レジなしコンビニエンスストアも返品用の保管スペースがそれほどとれない。
アマゾンにとってリアル店舗展開は商品販売・ピックアップ以上に重要な返品用の戦略的拠点となるのだ。
トップ画像:シアトル市内にあるアマゾンフレッシュ・ピックアップで返品を投函しようとする利用者。ピックアップ以上に返品しにやってくるのだ。