2019年09月11日

【ウォルマート】、ECvs店舗で役員間不和!生粋の阪神ファンが巨人ファンになること?

190911マーク・ローリィ
■ウォルマートが先月発表した四半期決算ではスーパーセンターやネイバーフッドマーケットを含むウォルマートUSの既存店ベースが前年同期比2.8%の増加となった。

これにより2014年8月〜10月期から20四半期連続で前年を上回ったのだ。内訳は客数が19四半期連続となる0.6%の増加で、客単価は2.2%の増加だった。

カーブサイド・ピックアップが2,700店にまで拡大し宅配サービスも1,100店からデリバリーできるようになったことでEコマース売上は前年同期から37%の増加となった。ネットスーパーついてウォルマートの役員は客単価が2倍になっていることを明かしたのだ。

ウォルマートCMOでエグゼクティブ・バイス・プレジデントのスティーブ・ブラットスパイズ氏は4日、ゴールドマン・サックスがボストンで開催した会議で「(カーブサイド・ピックアップやデリバリー)で食品を購入する客単価が通常の約2倍」と発言した。これによりウォルマートはできるだけネットスーパーの拡大を急いでいるのだ。

店舗運営にとっては集客効果はあるもののネットスーパー展開は痛みを伴うものだ。既存のビジネスにとってイノベーションや変革は経済的な痛みだけでなく、人間関係の軋轢をも生んでしまう。これまで語られることがなかったウォルマート社内の役員間の摩擦が明らかになった。

ウォルマートeコマースCEOのマーク・ローリィ氏は9日、ウォルマートUSのCEOであるグレッグ・フォーラン氏との間に「不満と緊張(frustration and tension)」があることを認めた。

ニューヨークで開催されたカンファレンスでローリィ氏は「グレッグは素晴らしい運営者であり、彼ら(リアル店舗側)は多くのキャッシュを生み出しています」とし「Eコマースは未来に投資しながらお金を失っています。お互いに上手く噛み合わないことも多いのです」と述べたのだ。

ローリィ氏はグレッグとともに(店舗運営などから)多くを学びながら多様性に感謝もしているとし、軋轢は良いことであり非健全ではないとしている。一方、在任期間を尋ねられたとき、ローリィ氏は同社CEOのダグ・マクミラン氏と交わした約束や契約により、2021年9月までは全うすると述べている。

 ウォルマートは2016年、ネット企業のジェット(Jet.com)を3.3億ドルで買収し創業者でCEOのローリィ氏をウォルマート・グローバルEコマースのトップに就任させた。

フォーラン氏は2011年にウォルマート・インターナショナルに入社し、2014年にウォルマートUSのCEOに就任した。ウォルマート以前はオーストラリアやニュージーランドで展開しているウールワースでのキャリアがある。

トップ画像:ニューヨークで9日に開催されたカンファレンスで発言するウォルマートEコマースCEOのマーク・ローリィ氏。ウォルマートUSのCEOであるグレッグ・フォーラン氏との間に「不満と緊張(frustration and tension)」があることを認めた。変革が進むウォルマートで役員間の摩擦が明らかになったのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「チェンジ」や「チャレンジ」「変革」「ゲームチェンジャー」などはとても耳ざわりのいい言葉です。リーダーやコンサルタントにとっては「原理原則」と同様、使いやすいワードでもあります。実際問題として現場での変革は大変な痛みになります。喩えるなら「変化・変革とは生粋の阪神ファンが巨人ファンになること(またはその逆)」と言っています。相手の立場や理屈はわかっていても、感情が追いつかないのです。世界一の小売企業であるウォルマートでさえ、こういったギャップが生じているのですね。ウォルマートはカーブサイド・ピックアップやデリバリーなどのネットスーパー展開を急拡大していますが、そこにはEコマース側と店側の摩擦が生じています。エントリー記事にあるマーク・ローリィ氏の発言から部門トップ間で相当な言い争いもあったはず。ただEコマースなしではリアルは成立しないことから不協和音はまだ続きます。
 「なんで赤字部門なのに発言権が多いんだ!」との不満が日本の小売りチェーンでもでてくるでしょうね。