2019年10月20日

【チックフィレ】、スマホ注文でテーブルまで食事を運ぶ!人手不足に悩む外食業は必見?


■47州に約2,400店を展開するチキン・サンドウィッチ・チェーンのチックフィレは17日、モバイルオーダーしたメニューをテーブルに運ぶサービスを開始したことを発表した。一部の店舗でテストをおこなっていたモバイルオーダーを利用した「イートイン(Dine In)」サービスを本格展開する。

チックフィレの「ダイン・イン・モバイル・オーダリング(Dine-In Mobile Ordering)」は専用アプリの「チックフィレ・ワン(Chick-Fil-A One)」からメニューを事前注文し、店舗内のテーブルにある番号でテーブルサービスを行う。

注文の仕方はアプリを起動後、モバイルオーダーを行い受け取りオプションにある「ダイン・イン(dine-in)」を選択する。店に到着したらスマートフォンでテーブルにある番号札を軽くタッチする。専用アプリがテーブル番号を認識して、事前注文した料理が運ばれてくる仕組みだ。

同サービスは昨年、フロリダ州タンパやワシントン州シアトルなど5都市にあるチックフィレ約80店舗でイートインの名称でテスト展開されており、テーブル番号をマニュアル入力する必要があった。

ダイン・インではテーブル番号をスマホでタップするだけでよく、入力間違いがなくなり、ストレスフリーに改善されたことになる。

モバイルオーダーの注文でテーブルまで運んでくれるサービスはパネラ・ブレッドが「オーダー・フロム・マイ・テーブル(Oder From My Table)」というサービス名で3年前から行っている。

なおチックフィレのダイン・インはオプションとなっているため全店での展開にはならない。

 チックフィレのモバイルオーダーは2018年初め、全体の6%だけだった。現在までに20%にまで増加している。

ダインイン以外にもアプリのアップデートは継続的に行っており、利用者が注文した店とは異なる店に行った場合でも、注文を取り消すことなく場所の変更が可能となった。この機能は導入後3週間で3万回利用されたという。

チックフィレ・ワンは昨年もロイヤリティプログラムが大幅にアップデートした。それまで円グラフに似た図形によるリワード訴求からポイントに変換されたのだ。

リワード商品は150ポイントで無料となるチョコレートクッキーやソフトクリーム等のデザートから、1,500ポイントで無料となるスパイシー・サウスウエスト・サラダの食事まで、32種類も用意されている。

獲得ポイントに応じて「レギュラー会員(Chick-fil-A One)」「シルバー会員(Chick-fil-A One Silver)」「レッド会員(Chick-fil-A One Red)」と3種類のランクに分けている。1,000ポイントでシルバー会員になれ、レッド会員は5,000ポイント以上となっている。

また1ドル毎にレギュラー会員は10ポイント、シルバー会員は11ポイント、レッド会員は12ポイントと、ランクが上がるごとにポイントが貯まるスピードが早くなる。

 チックフィレ・ワンではメニュー選択で「乳製品(Dairy)」や「小麦(Wheat)」などアレルギーフィルターが当初から備わっていることも特徴だ。アレルギーを持つ子供の母親も安心して注文ができるのだ。

チックフィレのモバイルオーダーはジオフェンシング技術を搭載していることで作り立てのアツアツのメニューを提供できる。

ジオフェンシングとはモバイルオーダーで注文しても利用者が店のエリア内にいなければ注文や決済ができないようになっている機能だ。言い換えれば利用者が店内もしくは近くにいて、初めて注文・決済ができ、調理が開始するようになっているのだ。

ジオフェンシング技術ではハンバーガーチェーンのバーガーキングが競合店のマクドナルドにいるお客を狙って自社のバーガーを1セント(約1円)で購入できるキャンペーンを展開した事例もある。

 ダインインを拡大することでチックフィレではカスタマイズ注文から食後のデザートなどのアドオン注文まで客単価が伸びそうだ。

トップ動画:チックフィレ「ダイン・イン・モバイル・オーダリング(Dine-In Mobile Ordering)」のPR動画。モバイルオーダーしたメニューをテーブルにまで運んでくれるサービスだ。スマホでテーブル番号をタップすることで手入力ミスもなく、ストレスフリーとなる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本人はよく働き従順な人が多いのでサービス業では逆にIT化が遅れていると思います。接客などカスタマーサービスの評判が良い企業だと経営側も従業員研修にはお金を出すけれど、ITに投資しようとは思わないでしょう。素直な現場の人間にあれもこれもとやらせていたらブラック化していったというのが本当のところ。アナログな高付加価値サービスも高齢化や少子化で人手不足に陥って初めて慌てているのです。馬を速く走らせるように訓練しても馬車は自動車にはなりません。それでもアメリカに最先端の流通を学びにくる方は「もっと速い馬が欲しい」と馬や馬車ばかり見に来る人たちが後を絶ちません。エントリー記事にあるようなモバイルオーダーを使わず参加者に長い行列を作らせてイン&アウトバーガーを食べさせるアナログなことを未だにやっていたります。外食業から拡大したモバイルオーダーは食品スーパーのデリでも増えつつあるのです。
 客単価が上がり、ミスが減り、利便性が増すIT化をどんどん取り入れていきましょう!