
■昭和や平成と異なり令和時代の米国流通視察は小規模となる。小規模とは参加人数が20人以下で、理想では10人前後となる。
40〜50人乗りの大型バスを3〜4台連ねたりした時代は終わったということだ。
小規模になる理由は、世界で最も最先端をいくアメリカ小売業では買い物の個人化を進めているからだ。
これまでの小売業界では、消費者のライフスタイルを豊かにするために商品を安く提供していた。
ネット販売が爆発的に増えたことによりロングテールでの買い物も行われるようになった。
3億以上の商品点数を販売しているアマゾンでは、アマゾン本体の売上が全体の32%に対して、販売機会の少ないレアな商品も扱うマーケットプレイスは2倍となる68%となっているのだ。
ロングテール化で、リアル店舗にある売り場は売り場面積の限界や物流上の制限などで相対的に最大公約数化した品揃えに映ってしまうのだ。
したがってチェーンストアはネットをエンドレスアイルとして商品を拡大する一方でリアルな売り場ではネットにはできない便利な買い物の仕方を提供し、ネット販売と融合したオムニチャネル化に急いでいる。
それが買い物のカスタマイゼーションとなる。買い物のカスタマイズで重要なツールが携帯電話だ。
今や誰もが持っているスマートフォンを使った利便性の高いショッピングを提供することがリアル店舗の差別化となる。
小売チェーンでもエンドレスアイルとなるネット販売が拡大すれば売り場では差別化できなくなる。
スマートフォンアプリを使ったモバイル・ショッピング・エクスペリエンスが差別化になるのだ。
例えば世界一の小売企業であるウォルマートではアプリにストアモードをもたせている。
利用者がウォルマートに行くとGPSによりストアアプリが、訪れた店の買い物をオプティマイズ(最適化)するモードに切り替わる。
その店のストアマップやマップ上での商品検索、その店の商品価格を表示するプライスチェッカー、ARコンパリゾンなど買い物するには便利なツールを使うことができる。
今後もアップデートを繰り返し、さらに買い物が便利になるような機能がアプリに追加されていく。
米国流通視察ではこういった最先端の買い物ツールを視察することになる。視察といってもこれまでのように「見る」から「体験」となる。
体験も実際に買い物をすることになる。買い物はアプリを使っての買い物を学習することになる。米国流通視察が小規模となるのは体験型になるためだ。
日本では爆発的にキャッシュレス決済、QRコード決済が普及している。PayPay(ペイペイ)や楽天ペイ、メルペイなどは、使ってみて初めて使い方がわかる。
同様に進化するストアアプリも実際の体験が必要なのだ。視察参加者数が30人や40人となるようなグループでは小さな画面さえ見ることも不可能だ。
支払いのレジに20人以上取り囲むことは他のお客に迷惑になる。
米国流通視察は体験型が進むことで必ず小規模となる。逆にいえば、少人数になっていない流通視察はもはや視察とはいえないのだ。
トップ画像:シアトルで定宿にしているワーウィックホテルの会議室。10人前後の参加者には18階にあるエグゼクティブ・ボードルームが最適だ。ここでスマートフォン・アプリ等を使った買い物実演を参加者に行ってもらう。
