
■アメリカ流通業を視察する上で、参加者を指導する講師の役割がかつてないほどに重要になってきている。
個人の買い物の仕方に合わせる買い物のパーソナライゼーションがアメリカ小売業のトレンドになっているからだ。
これまでのように売り場を見て回る観察では、アメリカ流通の潮流から乖離してしまっている。
買い物のパーナライゼーションとはスマートフォンを買い物ツールとして使った買い物、モバイル・ショッピング・エクスペリエンスを最適化することを指す。
買い物は個々のニーズに合うばかりでなく、ネットとリアルの継ぎ接ぎのないシームレスな行為にアップデートされているのだ。
アメリカ小売業が強化している買い物のパーソナライゼーションを学ぶには、流通ITに精通したエキスパートが必要となるのだ。
単に流通ITに熟知しているだけでは不十分だ。魚は鮮度が重要のように情報技術も鮮度が重要となる。つまり専門家は、頻繁に更新されている流通ITをフォローしておく必要があるからだ。
ネットで拡散される二次・三次情報を追いかけるだけではフォローにはならない。
何がどう変化し便利な買い物になっているのかと自分で実際に調査を行い、一次情報となる現場の情報を得ておかなければならないのだ。
ウォルマートの事例を紹介しよう。アップルのアプリストアにあるウォルマート・アプリにアクセスし「バージョン・ヒストリー(Version History)」を見るとアップデートの更新数が多いことに気づくはずだ。
多くがマイナーバグの修正なのだが、ときに買い物に便利な新たなアプリ機能を追加している。
変化の激しいアメリカ小売業では流通ITの変化はさらに加速している。
流通ITの専門家は常に知識のアップデートを行い、自分が実際に買い物して体験したITの一次情報も新しいものに書き換えておくのだ。
流通視察では体験から得た洞察を伝える以上に、参加者にも同じ体験をしてもらうように準備をしておかなければならない。
講師が参加者に解説するだけでなく、実体験から腹に落ちるようなカリキュラムにする必要があるのだ。
視察参加者がアマゾンロッカーで注文品をピックアップするのと、ウォルマートのピックアップタワーで受け取るのとでは何がどう違うのかを体験から学んでもらう。
ネット注文を行うため事前の仕込みが不可欠となる。
これまでのような売り場を見て回る軸にモバイル・アプリを使ったIT体験の軸が加わるのだ。
ITの熟知に加えて洞察を得ながら、アップデートのフォロー、さらに視察に向けた準備まで行うことが流通視察の講師の役割となっている。
カリスマ性を演出した年配のコンサルタントが、流通視察の講師となる時代ではないのだ。
トップ画像:アマゾン・ロッカーでネット注文品をピックアップするIT&オムニチャネル・ワークショップの参加者。
