2019年12月01日

【ウェグマンズ】、食品スーパーでモバイルオーダーしてみた!使いやすいITデザイン?

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■ニューヨーク州など7州に101店舗を展開するウェグマンズはデリセクションでのモバイルオーダーを拡大している。

事前注文のモバイル・オーダーを導入すると、レジ待ち行列を緩和し、注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避できる。その結果クレームが減少、顧客ロイヤリティが高まる効果がある。

モバイルオーダーはスターバックスやマクドナルドの他、3大宅配ピザチェーン(ドミノピザ、ピザハット、パパジョンズ)や大手ファストフード等の外食チェーンが導入し、ディズニーやユニバーサル・スタジオなどのテーマパーク内のレストランに拡大している。

大手映画館チェーンの売店にも導入され、最近ではNBA(プロバスケットボールリーグ)、MLB(メジャーリーグベースボール)、MLS(メジャーリーグサッカー)などのスポーツ観戦のアリーナやスタジアムでも続々とスマートフォンによる事前注文を採用している。

先に全店に導入を済ませている外食チェーンでは売上の一部がモバイルオーダー経由になっている。

例えばスターバックスではすでに16%がモバイルからの注文だ。チックフィレも約20%がモバイルアプリからの注文になっている。

ウェグマンズは食品スーパーでありながら、いち早くモバイルオーダーを導入し、旗艦店となるピッツフォード店など多くに拡大中なのだ。

ウェグマンズでは同社の専用アプリ「ウェグマンズ・ミールズ2ゴー(Wegmans Meals 2Go)」から事前注文を行うことになる。

メニューはピザやチキン、サンドウィッチ、ラップ、サラダ、寿司など。場所によって受け取りは「デリバリー(Delivery)」「カーブサイド・ピックアップ(Curbside Pickup)」「店内ピックアップ(Carryout)」がある。

デリバリーはオンデマンド宅配業者のドアダッシュが行う。デリバリー対象エリアは対象店から5マイル(8キロメートル)圏内。店頭価格からのマークアップはないが、デリバリーの場合は20ドル以上の注文が必要だ。出前による手数料は一律10ドル(地域によって異なる)となっている。

ピックアップは店内の場合、デリセクションのミールズ2ゴー専用エリアで受け取る。またテキスト入力することによるカーブサイドピックアップでの受け取りも可能だ。両オプションとも手数料は無料で最低注文金額などの条件はない。

利用者はミールズ2ゴー・アプリをダウンロード後、クレジットカード等を登録しておく。デリバリーもしくは店内でのピックアップ(もしくはカーブサイド・ピックアップ)を指定し、メニューやトッピング等を選択後、宅配や受け取り時間を指定して決済を行う。

 ミールズ2ゴーを拡大中のウェグマンズは導入店でPOPなどを使ってモバイルオーダーの訴求に懸命だ。外食チェーンから拡大したモバイルによる事前注文は、スーパーマーケットにも定着する。

トップ画像:ウェグマンズ・ハンノーバー店ではカーブサイド・ピックアップの「ウェグマンズ・ミールズ2ゴー(Wegmans Meals 2Go)」を行っている。「お好きなお食事が指先で(The Food You Love at Your Fingertips)」がキャッチフレーズだ。ウェグマンズはどのスーパーよりも早くモバイルオーダーを導入し、テレビコマーシャルなども使って訴求している。
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メニューはピザやチキン、サンドウィッチ、ラップ、サラダ、寿司など。場所によって受け取りは「デリバリー(Delivery)」「カーブサイド・ピックアップ(Curbside Pickup)」「店内ピックアップ(Carryout)」がある。

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店内ピックアップでは受け取り場所を迷わないようにミールズ2ゴーのステッカーを足跡のようにフロアに付けている。ネット注文による店内受け取りではピックアップ場所を知らせることは意外に盲点となっている。

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モバイルオーダーのツーゴーで寿司を注文。指定された時間に行くとツーゴー用(Carryout)のラックの「G−K」に置いてあった。紙袋に貼られた注文用紙には名前と注文番号、品名、箸やスプーン等のツール(utensil)の有無、担当スタッフ名(イニシャル)などが記載されている。

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ウェグマンズ・ミールズ2ゴーではカーブサイド・ピックアップでも注文してみた。指定された時間に行きメッセージアプリを起動。テキスト番号と駐車番号を入力すると「ありがとうございます!注文品は只今お持ちします。これは自動メッセージです」と表示。

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1分間もしないうちに注文したサンドイッチをスタッフが持ってきてくれた。この日はとても寒い日だったが外に出る必要もなく便利で快適だ。なおモバイルオーダーでの確認メールは2回。注文直後と用意ができたときだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤はよくクライアントより先に現地に入って調査を行うことがあります。ニューヨークでおこなった先日のコンサルティングも前の日に入りレンタカーしてフィールド・リサーチを行いました。ウェグマンズのハンノーバー店ではツーゴーとカーブサイド・ピックアップのモバイルオーダーを行ったのです。ウェグマンズのミールズ2ゴーでは何が優れており、逆に改善点等も知るためです。ITを導入している小売店で卓越しているところはほぼ例外なくカスタマーサービス、カスタマー・エクスペリエンスをよく考えています。これもリテール・イズ・ディテールでわかりやすいプロセスから細かい工夫まで巧妙に練られているのです。顧客視点が乏しいIT系企業は、これをマネしない手はないということですね。後藤はよくIT系企業やコンサルタントにコンサルティングしているとき「4Kや8Kの番組を作るのではなく、視聴者にとって面白い番組を作らなければならない」と助言します。

⇒日本人エンジニアは技術に走りすぎる傾向があり、本来の目的から逸れてしまうことが往々にしてあるのです。見方を変えればアメリカ小売業から陥りがちな盲点を学ぶことで簡単に競合他者より優位に立てるのです。特にカスタマーファーストで秀逸なウェグマンズはモバイルオーダーについてもまさに学びの宝庫となっています。例えばネット注文したデリをツーゴーする場合、店内のどこで受け取るのかを絶対に迷わないように足跡のようにして工夫しています。店内ピックアップだけでも、優れている企業ほどカスタマー視点で対応しているのです。またカーブサイド・ピックアップも少しでも利用者に手間を取らせないようデザインされています。今後、小売業界にITは拡大していき、顧客はアプリなどを使った買い物が増えていきます。使いにくさ等のクレームとなる部分はデザインで容易に解決できるものです。しかも日本より5〜10年先をいく優れたアメリカ小売業がケーススタディで無料で教えてくれているのです。
 売り場を見て回ったり店長から売上や客数を聞いてもムダ。これからは自分が顧客になり買い物体験を通じて事例を分析をすることが肝要となります。