2020年01月08日

【モール】、ショッピングセンターは過去最悪の空洞化!試練の時はイノベーション萌芽?

200108モール
■空前の空室率となりショッピングセンターがついに冬の時代に入った。

全米77都市のショッピングセンターをモニターしている不動産調査会社レイス社によると、昨年の第4四半期(10月〜12月期)のモール空室率は前期から0.3ポイント上昇し9.7%となった。

9.7%となるモール空室率は前年同期の9.1%から0.6ポイントも上昇したことになる。

モール空室率はリーマン・ショック後となる2011年第3四半期(7月〜9月期)に9.4%を記録。

それ以降は緩慢な回復基調にあったものの、アマゾン・エフェクトでモールの集客が伸び悩み空室率が上昇することになった。

モール空室率は昨年の第3四半期、9.4%と8年前の記録と肩を並べた。さらに大量閉店が相次いだことで記録を塗り替えてしまったのだ。

20年前からショッピングセンターのデータを収集するレイスでは、モール空室率が過去20年で最悪となっている。

調査会社コアサイト・リサーチによると、昨年に発表されたアメリカ国内の閉鎖店舗数はトータルで9,300店となった。2018年の閉鎖となった5,864店を超え、約60%も増えたことになる。

店舗閉鎖8,139店となった2017年をはるかに凌ぐペースで大量閉店が起きたのだ。コアサイト・リサーチでは2012年から統計を開始して閉店数が最多となった。

閉店数で最多となったのは靴チェーンでかつて全米ナンバーワンだったペイレス・シューソースだ。ペイレスでは昨年2月に企業清算を行い約2,100店を閉鎖した。

婦人服小売チェーンのドレスバーンも事業終了に向けて全米にある650店舗をすべて閉鎖したことで、親会社のアシナ・リテール・グループではドレスバーンを含む800店近くの閉鎖と報告されている。

また子供服チェーンのジンボリーも昨年1月、2度目の破産法を申請し全750店をスクラップした。

この3社の閉店数だけで閉鎖店舗数の3分の1を占めたことになる。

他に中西部や南部に展開するディスカウントチェーンのフレッズ(Fred's)の564店、ティーンや若い女性向けのファッションを扱うシャーロット・ルッセの512店、デパートメントストアのショップコの371店、ダラーストアのファミリーダラーの359店、スポーツ栄養補助食品やダイエット商品の販売を手掛けるGNCの332店、ファッション雑貨を展開するチャーミング・チャーリーの261店の閉店だ。

閉鎖となる店舗数が3桁に及ぶチェーンストアはアベニューやシアーズ、ディスティネーション・マタニティ、ウォルグリーンなどまだまだ続く。

昨年8月に経営破綻した高級ファッションのバーニーズ・ニューヨークも国内に残す予定だった店舗すべてが閉鎖となり、9月に倒産したフォーエバー21も100店舗以上の閉鎖だ。

 2020年は始まったばかりだがすでに大量閉店のニュースが報じられている。

家具・インテリアのピア1インポーツは6日、北米に展開する全942店舗のうち約半分となる450店舗を閉鎖する計画を発表したのだ。

同日に公表したピア1インポーツの第3四半期決算では既存店・売上高前年同期比が11.4%減となった。

ブルームバーグでは事情に詳しい人物の話として同社は倒産の可能性も示唆しているという。連邦破産法11条の申請により半数以上の店舗の閉鎖もありえるのだ。

 アマゾン・エフェクトで集客に苦慮するショッピングセンターは今年も地盤沈下する。これまでにない発想でテナントを誘致できなければさらなる空洞化を招き、廃墟モールとなるのだ。
200108ショッピングセンター空室率推移
ショッピングセンター空室率の推移グラフ。昨年の第4四半期(10月〜12月期)のモール(グラフではRSC)空室率は9.7%となった。前期の9.4%から0.3ポイント増加し、前年同期の9.1%からは0.6ポイントの上昇となっている。約20年前からショッピングセンターデータを取り始めたレイスでは過去最悪の空室率だ。なおネイバーフッドSCとコミュニティSCなどを含めたストリップセンター(グラフではNSC)の空室率はのちに公開する。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ショッピングセンターはまさに冬の時代...9.7%の空室率(英語ではvacancy rateといいます)はまだ地盤沈下の途中の状態です。モールでは撤退した場所に新たなテナントを埋めなければなりません。元気なチェーンストアもそれほど多くはなく、外食で埋めるのも限界があります。空洞化でますます集客が難しくなり大量閉店に結びつく負の連鎖でモール空室率は10%超えもありえます。日本では某有名チェーンストア経営者が最近「お客さまは何に集まるかというと商品。商品の魅力は安さ、品質、機能、コーディネート。それがないと生き残っていけない」と話しました。流通先進国のアメリカではそういったことだけでは生き残っていけません。商品の前に買い物の利便性がくるのです。なぜなら商品以前にお金を払う、買い物をする「お客」が主役だからです。モノがない時代に育った消費者なら利便性よりモノがスター。モノあまりの時代に育った世代は買い物の仕方、つまり利便性に重きを置きます。
 試練の時こそイノベーションの萌芽の時。廃墟となるか新たなイノベーションが創出されるのか、アメリカはいつも我々に新たな時代を見せてくれます。