
■グーグルの親会社アルファベットの関連企業であるドローン開発のウイング(Wing)は20日、テキサス州ダラス郊外の住宅地でドローン宅配を開始することを発表した。
主要な大都市圏内でのドローンを使った空輸が初となり、家庭向けの商用宅配の拡大に大きな弾みがつきそうだ。
ドローン宅配を開始する地域はダラスから北に約30マイル(約50キロメートル)のところにあるフリスコ市とリトル・エルム地区。
フリスコ市はダラス・フォートワース都市圏で働く専門職階層のベッドタウンとして急成長し約20万人が住んでいる。
フリスコ市長によると市民からの最も多いクレームが交通渋滞と挙げている。ドローン宅配で渋滞による配達の遅延を解消し、一部に宅配トラックの減少にもつながると見ている。
フリスコ市から西に6マイル(約10キロメートル)にあるリトル・エルムも約5万人が住んでいる。
ウイングでは来週中にもリトル・エルムにあるウォルグリーン(2774 E. Eldorado Parkway, Little Elm TX 75068)でドローン宅配を始めるのだ。
ドローン宅配の対象地域はウォルグリーン・リトル・エルム店から4マイル(約6キロメートル)圏内の住民。
対象商品はウォルグリーンが店頭で取り扱っている約100品目で市販薬やスナック、食品などに新型コロナウイルス検査キットも含まれている。
ウイングではドローン宅配のスピードが決済からパッケージが届くまで10分以内としているのだ。
ウイングのドローン宅配では6マイル(約9.6キロメートル)の範囲を往復可能としており、時速は最大70マイル(約112キロメートル)に達する。運搬可能重量は3.3ポンド(約1.5キログラム)まで。
ドローン宅配の利用はウイング専用アプリから注文することになる。
利用者から注文を受け取ると、近くのサービスセンターからドローンが離陸する。ウォルグリーンが指定したゾーンの上空23フィート(約7メートル)でホバリングしながら、ドローンが降ろしたケーブルに取っ手のついた注文品を入れる専用パッケージをスタッフが引っ掛けるのだ。
ドローンはケーブルを引き上げ、機体の下に注文品を収納する。その後は150フィート(45メートル)まで上昇し、時速65マイル(時速100キロメートル)で利用者宅まで届けるのだ。
利用者宅では、バックヤード(裏庭)もしくはフロントパスウェイ(玄関前の通路脇)の上空に留まりながら、ケーブルを地面まで降ろして注文品を届ける。
ドローン宅配では決済から注文品が届くまで最短で2分47秒という記録がある。コロナ禍で多くの店が影響をうける中、ドローン宅配であらたな機会も広がっている。
アメリカ国内で最初に家庭向けのドローン宅配で成功したのが、バージニア州クリスチャンズバーグ地区。
ウイングが開発したドローンが2019年10月18日、約2.2万人の街でウォルグリーンから咳止め風邪パックを届けたのだ。これが全米で初のドローン宅配事例となったのだ。
その後もウォルグリーン以外の地元のお店にも空輸が拡大し、ローカルのベーカリーショップやコーヒーショップからの宅配も開始した。ローカルショップにとってコロナ禍でドローン宅配が思いがけずライフラインになっていた。
ドローン宅配により、お客が店に入ってくることがなく、接触する機会もなくなる。配達員が運んだり直接の手渡しもないので感染リスクもなく安心なのだ。
自治体が手数料を負担していることもあり、宅配手数料が現在も無料となっているのも注文が絶えない要因だ。
地元の飲食店以外でも、子どもたちのために図書館から絵本等を宅配するサービスも開始。今年4月には地元のガールスカウトがクッキー販売でドローンを利用した。
バージニア工科大学がクリスチャンズバーグの住民に昨年秋実施した調査によると、ドローン宅配を87%が好意的に見ていることがわかっている。
すでに利用した人を含めて9割となる89%の住民がドローン宅配を使ってみたいとも回答しているのだ。
騒音の問題があるものの人口密度の高い地域でもドローン宅配が拡大すれば、アメリカ国内での空輸の拡大が加速する。
ウイングは今年8月、オーストラリアのローガンシティ等で行っているドローン宅配を含め宅配実績が10万件に上ったことを発表した。
自治体の協力があればアメリカ国内だけでも即座に100万件の空輸実績を見ることになるだろう。
トップ画像:ドローンが降ろしたケーブルに注文品が入った専用パッケージ取り付けるウォグリーン・スタッフ。ダラス郊外のベッドタウンでもドローン宅配が始まる。大都市圏にある住宅街では初となる家庭向け空輸サービスだ。ウォルグリーンの近くにはウォルマートがあり、ホバリングするドローンが多くの人の目にとまることになる。これで注文が殺到する?