2021年12月09日

【マーク・ローリー】、ウォルマートDX立役者が新ビジネス!ゴーストキッチン・カー?


■立ち上げたネット事業をネット通販最大手とチェーンストア最大手に莫大な金額で売却した、稀代な起業家がついに動き出した。

ウォルマートeコマース部門の元CEO、マーク・ローリー氏は7日、オンデマンド・フード・デリバリー・トラック事業などを統括する「ワンダーグループ(Wonder Group)」の会長兼CEOに正式に就任したことを発表した。

ワンダーグループはワンダー(Wonder)と宅配サービスのエンボイ(Envoy)の2つの事業をもつ。ワンダーは2018年、ローリー氏がウォルマートでEC事業のトップを務めている時に密かにローンチしたビジネス。

当初は弟であるチャド・ローリー氏が事業を率い2019年にはダイパーズ・コム(Diapers.com)時代の部下であったスコット・ハミルトン氏がCEOに代わった。ローリー氏はその間、ワンダーのアドバイザーという立場にあった。

ワンダーのビジネスモデルは、自宅訪問型の移動式ゴーストキッチンだ。

 「ゴーストレストラン」「クラウドキッチン」「クラウドレストラン」「バーチャルレストラン」等とも呼ばれているゴーストキッチンはイートインスペースを持たずデリバリーやテイクアウトに特化したシェア型厨房のことだ。

一つのキッチンでピザや寿司、中華にサンドイッチなど複数のレストランブランドのメニューを調理するのが特徴だ。非接触の出前やツーゴー需要が急増し、ゴースト・キッチンが飲食業界のトレンドとなっている。

訪問型で移動式のゴーストキッチンは、アプリを介して利用者から料理の注文を受ける。

メルセデス・ベンツ商用車のスプリンターを改造したキッチン仕様のバンが利用者宅まで赴き、専任シェフが自宅前で調理をし料理を提供する。

注文から30〜40分間でアツアツの料理を振る舞われることになるのだ。

調理から時間が経って冷めてしまう宅配サービスではなく、家の前でプロが調理することで自宅にいながら新鮮でホカホカのグルメ料理を楽しめるというプラス価値を提供するのだ。

また別事業のエンボイのビジネスモデルは、キッチンカーからの宅配サービスとなっている。

ワンダーは現在、60台のバンを展開しており、下ごしらえなどを行うセントラル・キッチンにフードトラックの後方支援となるハブも複数の都市に拡大しながら来年には1,300台に増やす。

ワンダーと提携しているのはステーキハウスのボビー・フレイ・ステーキ(Bobby Flay Steak)やナンシー・シルバートンズ・ピッツェリア・モッツァ(Nancy Silverton’s Pizzeria Mozza)など有名セレブ・シェフを含む17のレストランだ。

ワンダーはすでに世界最大級のベンチャーキャピタルのNEA(New Enterprise Associates)やアクセル・パートナーズ、そしてアルファベットのグーグルベンチャーから5億ドル(約570億円)を得ているという。

 ローリー氏はウォルマートに入社する2年前の2014年4月、会員制ネット通販のジェット・コム(Jet.com)を創業。

ウォルマートが2016年8月にジェット・コムを33億ドル(約3,700億円)で買収後、ローリー氏がグローバルeコマース事業部CEOに就任した。

ウォルマートはローリー氏を事実上、33億ドルの現金と株式でヘッドハントしたのだ。

ウォルマートの傘下となったジェット・コムはその後、靴のオンラインショップの「シューバイ(ShoeBuy)」、アウトドア用品販売の「ムースジョー(Moosejaw)」、ビンテージ&レトロ風レディース・ファッションブランドの「モドクロス(Modcloth)」、オンライン・メンズアパレル・ブランドの「ボノボス(Bonobos)」、プラスサイズブランドの「エロクイ(Eloquii)」等のネット企業の買収を行った。

ローリー氏はまたウォルマートのホームページからストアアプリまで改革しながら、マーケットプレイスも強化しオンライン商品数を約8倍に拡大した。

ローリー氏はネット通販の2日間配送や翌日配送、ネットスーパー対応等のサプライチェーンの改善も積極的に行った。

特にカーブサイド・ピックアップや宅配サービスのネットスーパー展開の拡大により、ウォルマートの売上成長を支えることになった。最近でもウォルマートはネットスーパーにサブスクリプションを導入している。

調査会社のeマーケッターによるとローリー氏の4年半におよぶ在職期間でウォルマートのECシェアは2倍以上となった。ウォルマートの株価も2016年の入社当時から現在までに80%以上も増加した。

一方、ローリー氏が立ち上げた富裕層向けパーソナル・ショッピング・サービス「ジェット・ブラック(Jet Black)」は昨年2月、撤退に追い込まれている。ジェット・コムも昨年5月に廃止となったのだ。

 ジェット・コムを創業する前となる2005年、ローリー氏はダイパーズ・コムを傘下にするクィッジー(Quidsi)を起業しており、2011年にはアマゾンに5億ドル(約570億円)で売却した。

ローリー氏はアマゾンを2年で退社したが、ロボット物流のキバ・システムズなど、クィッジーの物流ノウハウはアマゾンに大きな影響を与えた。

 ウォルマートのデジタル・トランスフォーメーション(DX)で立役者となったローリー氏の次なるビジネスに全米の投資家が注目している。

トップ動画:CNBCで新ビジネスについてインタビューを受けるマーク・ローリー氏。ワンダー(Wonder)のビジネスとは、移動式のゴーストキッチンだ。宅配サービスとの差別化はアツアツにある?


移動式ゴーストキッチン「ワンダー」のレビュー動画。ホカホカで価格に比べて量も多く利用者の期待を大きく上回った好サービスにより全米展開で大人気になると予想している。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。超がつく億万長者でビリオネアのマーク・ローリー氏がついに動き出しました。ローリー氏は今年1月にウォルマートからの退社を発表した際、退職後のプランとしてスタートアップ企業のアドバイザーや慈善事業の他、「未来の都市」の建設を挙げていました。それらも良いのですが、ウォルマートECを大成功に導いた手腕から、彼が構想する新たなビジネスモデルを見てみたいと思っていたので今回の発表は嬉しい驚きとなりました。で、今回はフードデリバリーサービス大手のドアダッシュなど、ライバルがひしめくフィールドでの戦いです。が、宅配サービスとの差別化はアッパーミドルから富裕層をターゲットに移動式のゴーストキッチンであることです。有名セレブ・シェフがプロデュースするレストラのグルメをゴーストキッチンカーで移動しながら提供すると。利用者の自宅前の路肩に、キッチン用に改造したバンを停めて、ハンバーガーやステーキなどをジュージューと焼くと。アツアツのピザも提供するのです。
 ローリー氏のビジネスを日本で応用するなら、ライセンシングのサイゼリアのミラノ風ドリアやモスバーガーのテリヤキバーガー、富士そばのカツ丼、スシローのポテロー?などを利用者の自宅前でキッチンカーで調理して出すみたいな...もしくは二郎や一風堂など色々なラーメンから、有名な焼き肉屋の肉を焼いてだすみたいな?