
■ネット通販最大手のアマゾンは独自に開発した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」の出店を続けている。
最新店は今月17日にオープンしたロサンゼルス郊外ラハブラ地区にオープンした40,000平方フィート(約1120坪)のお店だ。
23店舗目のアマゾン・フレッシュはキャッシャーフリー「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」にフルサービスレジをあわせもつハイブリッド型だ。
ジャスト・ウォークアウトは、南カリフォルニアでは先月18日にオープンしたセリトス店に続いて2店舗目となる。
またジャスト・ウォークアウトを導入したアマゾン・フレッシュでは6店舗目となる。
ハイブリッド型のアマゾン・フレッシュは、売り場へのエントランスゲートが2つある。
フルサービスのレジを通って従来どおりの買い物を行う「トラディショナル・ショッピング(Traditional Shoppingu)」用のゲートと「スキャンして入店(Scan to Enter)」と掲げられたジャスト・ウォークアウト用ののゲートだ。
トラディショナル・ショッピング用ゲートではそのまま入店できる一方、ジャスト・ウォークアウト用ゲートではアプリにクレジットカード(デビットカード)、手のひらの3種類で入店する。
アプリはアマゾン・ゴーの入店と同様にアマゾン・アプリから利用者アカウントと紐付いたQRコードを表示させ、スキャンして入店する。
カード入店はゲートでカード挿入して入店する。生体認証デバイス「アマゾン・ワン(Amazon One)」による入店は、事前にクレジットカードと手のひらを登録しておくことで、入店用QRコードの代わりに手のひらでゲートがオープンするのだ。
ジャスト・ウォークアウトを導入しているハイブリッド型には他のアマゾン・フレッシュにあるスマートカートの「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」は置いていない。
アマゾン・フレッシュ・セリトス店がオープンして1ヶ月以上経過した。
ジャスト・ウォークアウトを導入した最先端の食品スーパーが、スーパーマーケット激戦区である南カリフォルニアでどのように受け止められているのだろうか?
世界最大級のローカル情報向けの口コミサイト「イェルプ(Yelp)」でストアレビューを読むと、利用者による生の声が溢れている。
アマゾン・フレッシュ・セリトス店はオープンして間もないが注目の高さからすでに31件のレビューが投稿されている。
彼らが下したハイブリッド型のスーパーの5ツ星評価は、ほぼ落第点となる2ツ星となっているのだ。
目安としてアメリカで大人気のスーパーマーケットであるウェグマンズでは4.0〜4.5となる。日本人にも人気のトレーダージョーズは4.0前後という高さだ。
一般的な食品スーパーなら3ポイント台以上となる。アマゾン・フレッシュ・セリトス店がレビューが低い理由は2つポイントがある。
一つはジャスト・ウォークアウトを利用した場合、レシートがメールで送られてくるまで時間がかかりすぎるという点だ。
ゲートを出てからすぐ届くことはなく、30分や3時間、6時間、中には8時間という人もいた。
即座に何を購入したのかがわからないのでは、手探りの買い物である「ブラインド・ショッピング」と表現する利用者もいた。
もう一つは他のアマゾン・フレッシュにも共通する、欠品の多さだ。アマゾン・フレッシュのネットスーパー用にピッカーが売り場でピッキングするため、どうしても品薄になりやすいのだ。
商品が無ければ買い物ができないので、評価はどうしても低くなる。
またアマゾン・フレッシュの品揃えに特徴がないとする人に価格競争力がないと見る人もいる。
接客ではトレーニングが不十分なことから対面販売ではとくにカスタマーサービスの悪さを嘆いている投稿も見られた。
その割に入口と出口のアシストには必要以上の人員が割り当てられているとも指摘されている。
ジャスト・ウォークアウトではカメラやセンサーの多さを気味悪く思う人もいるのだ。
コンピュータービジョンの精度では概ね良好としているものの一部にエラーとなった人もいた。
ロスリーダーとなる1.79ドルのスライスピザ等を評価する向きもあるにはあるが毎日の買い物を行うスーパーとしては信頼がおけないといったところだ。
武器となるはずのジャスト・ウォークアウトがブラインド・ショッピングになるようでは、スーパー激戦区では十分には戦えない。
利用者からの生の声を見る限りジャスト・ウォークアウトを撤去する日が来る可能性は高い。
買い物直後にレシートをださないスーパーは生き残れないのだ。
トップ画像:アマゾン・フレッシュ・セリトス店のグランド・オープニング。期待の高さから当日はテレビ局も取材に訪れていた。実際には期待以下だったようだ。