2022年12月06日

【変革】、流通視察にストアアプリは必修!研修にはディズニーランドでアプリを使え?

221206スキャン&ゴー量り売り@ウォルマート
■流通コンサルタントでもある筆者は日本の流通企業にとってコロナ後では初となる流通研修を行っている。売り場などの現場でスマートフォン・アプリを使ったワークショップスタイルの視察研修だ。

クライアントは成長著しい某食品スーパー・チェーンなど様々。参加メンバーは経営者トップに役員、そして20〜30代の若い世代で構成されている小グループが多い。

米国研修ではアマゾンゴー郊外型店やハイブリッド型のアマゾン・フレッシュ、ハイテクカートを導入しているアマゾン・フレッシュなどのDX店を視察するのだ。

ウォルマート・スーパーセンターやサムズクラブ、ターゲット等でネットスーパーやモバイル決済を体験する。

朝食やランチもホテルや移動中の車内からスマートフォン・アプリを使ってモバイルオーダーに挑戦する。アマゾンゴーやゴーストキッチンでもタブレットを介した注文も行ったりするのだ。

 一方、当社以外では、依然として売り場を見て回るだけの流通視察も少なくない。コンサルタントなどグループを指導する講師となる人も商品、陳列、売り場をコロナ前と比較するだけに終始している。

アプリ決済等、DXを使った買い物などは行わない。ネットスーパーでの注文もしないし、カーブサイド・ピックアップも利用しない。ただただ売り場を見て回るだけという視察だ。

これではなんのために世界最先端となる米国流通を視察しているのかわからない。

例えばチェーンストア最大手のウォルマートでは、アップルのアプリストアで5ツ星評価で4.8となるアプリをもっている。

利用者から極めて高い評価をストアアプリで得ているだけではない。

ウォルマート・アプリは10月も9回の更新し、9月も9回のアップデート、8月も6回も更新している。

これだけアップデートしているのは、買い物でパーソナライゼーションの快適性を向上させているためだ。

 大手チェーンストアは買い物に便利なストアアプリを自分仕様にカスタマイズできるようにしているのだ。

喩えればカーシートだ。クルマのシートは運転手の背丈に合わせて、前後にスライドさせでき、高さを上下し、背もたれの角度も自由に変えられる。ヘッドレストの高さや角度も微妙に変えられる。

ハンドルの向きや高さにドライバーとの距離も細かく調整できる。正しく運転できるようにミラーの角度も自由自在だ。シートベルトも苦しくないように調整できる。

これらは標準の機能となる。最近ではシートが暖かくなったり、冷たくなったり、背もたれのサイドが膨れて包み込むようにもできる。

マッサージ機能も付きマッサージの種類も腰痛持ちに合わせて変化も自在だ。カーブに応じて身体の動きに合わせてシートが支えてくれたりもする。

バックモニターも一般化されるだけでなく、ドライバーが死角をつくらないよう「360度モニター」も定番化しつつある。一人ひとりの体重や体型に合わせてシート自体が変形する機能も装備されるかもしれない。

すでにアルゴリズムによる特殊なセンサーとカメラを使用して視線の集中度を測定でき、注意力散漫や眠気などの状態を把握することも可能だ。

買い物もカーシートのようにカスタマイズどころかニーズに現れなかったような些細なポイントもARを利用して便利になるのだ。

 しかし日本の大手チェーンストアもこれを理解していない。例えば米国から撤退したニトリは「アメリカ視察セミナーを3年ぶりに復活し来春、約600人3泊で実施する」と公言している。

40人乗りの大型バス15台で行う研修では店の売り場や陳列、商品・価格ぐらいしか視察できない。

セルフレジに40人も集まり、6インチ前後のスマートフォン・アプリを使って買い物するなど無理だ。

600人も連れてくるようでは、世界最先端の買い物の技術は視察できない。米国流通では大手企業が莫大な投資をして、買い物してもらうために便利なITを開発しているのに、売り場を見るだけでは流通DXにふれることすらできない。

 いつまでも店頭を見て回るだけでは米国流通の本質を掴むことはできない。ストアアプリを介してネットスーパー等で買い物をしてみるのだ!

トップ画像:ウォルマートのスキャン&ゴーを使った、セルフレジでの量り売り。視察研修もグループ単位を小さくすることで買い物を実践でき「生活者の一人としてDXを感じる」ことができるのだ。

2022年11月9日 - 【抵抗勢力】、600人参加のニトリ・アメリカ流通セミナーは間違い!似鳥氏が敵対勢力?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当ブログでは先日、ニトリ・アメリカ流通セミナーについての記事にアクセスが集まりました。一部にニトリの社員もご覧になっているかと思います。似鳥会長が社員600人をアメリカに連れて行くようなら担当者に教えてあげてください。アメリカ流通の最先端を学ぶのなら、店頭を見て回ってもあまり意味ないですよと。自己否定を信条にするなら、これまでのような商品構成グラフを作ったりするような研修はさっさと否定しないと。ではなぜ似鳥会長はアプリの重要性がわからないかといえば、彼自身がスマホを使わないからです。理由は明確で使い方が分からないから。しかも高齢者にとってスマホに目がついていけなかったりするのです。変革の重要性はわかっていると思いますが、いざ自分が変化しなければと思うとできないのが人間。素晴らしい実績があっても、しょせん人間なんですね。いつも言っているように変化とは阪神ファンが巨人ファンになるぐらい難しいのです。言ってできるぐらいならもう人はやっていると。
 600人を連れて店頭で視察させるより、ディズニーランドで最大限にアプリを使わせるほうが学びが多いと思います。でも「巨人ファンは阪神ファンにはなれません」。変革とは言うは易しの典型例なんですよ。