2023年01月31日

【ホールフーズ・マーケット】、自動決済で客数が増える?闇バイトが流通DXを促進!

230131ジャストウォークアウト@ホールフーズ
■アマゾンの自動決済技術「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」を導入したホールフーズ・マーケットが新装開店して1年近く経過しようとしている。

レジを素通りできるホールフーズ・マーケットはロサンゼルス郊外のシャーマンオークス(12905 Riverside Dr Sherman Oaks, CA 91423)に昨年3月にオープン。

ジャスト・ウォークアウト導入ホールフーズは昨年2月、ワシントンDCグローバー・パーク地区(2323 Wisconsin Ave NW Washington, DC 20007)に1号店がオープンしている。

ジャスト・ウォークアウト導入ホールフーズ2号店はロサンゼルス・ダウンタウンから北西に13.5マイル(約22キロメートル)にある。

LAダウンタウンから車で20分の距離で、ユニバーサル・スタジオからも4.6マイル(約7キロメートル)と車で7分程度だ。

車で1分程度の至近距離に競合店のラルフスがある他、ロサンゼルス市内や郊外に7店舗を展開する高級スーパーのエラワン・マーケット(Erewhon Market)も車で3分の近距離にあるのだ。

スマートカートの「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」を導入しているアマゾン・フレッシュ・ノースハリウッド店にも車で6分の距離。

ホールフーズ・マーケット・グローバー・パーク店が21,500平方フィート(約600坪)に対して、シャーマンオークス店は9,100平方フィート(約250坪)とさらに小型で専用の駐車スペースは60台程度だ。

 リニューアルしたホールフーズ最新店は、支払い方法が大きく分けて2つあるハイブリッド型だ。

アマゾン・アカウントに紐付いているアプリのQRコードにクレジットカード(もしくはデビットカード)、手のひらによる「アマゾン・ワン(Amazon One)」のジャスト・ウォークアウトを使う決済だ。

入り口にあるジャスト・ウォークアウト用「スキャン・ツーエンター(Scan to Enter)」ゲートで、QRコードをスキャンするか、手のひらをかざすか、クレジットカードを挿入(もしくはタップ)するのだ。

売り場から出る際もゲートで同じ方式をとることになる。

入り口のゲートはJWO用が3台で「レジでお支払い」ゲートが一つ、JWO用の出口ゲートは4台となる。

もう一つの支払い方法はキャッシュなどで支払いができる通常のレジだ。入り口はJWO専用ゲートとは異なる「レジでお支払い(Pay at Register)」のゲートから入店する。

出口近くにある有人のフルサービスレジ1台とセルフレジ3台で会計を行うのだ。ただフルサービスレジといっても10アイテムもおけば一杯となるテーブル型となる。

したがって現金を使用するフルサービスレジとセルフレジでは10アイテム以上の買い物はおけるスペースがないため買い物客には難儀だろう。

 さて破壊的イノベーションを導入したホールフーズの評判はどうなのだろうか?

顧客の生の声は、世界最大級のローカル情報向けの口コミサイト「イェルプ(Yelp)」で見ることができる。

改装オープンから10ヶ月経過してイェルプには1月末までに77件のレビューが投稿されている。

しかし顧客らが判断した新型ホールフーズの5ツ星による評価は、落第点となる2ツ星となっているのだ。

目安としてアメリカで大人気のスーパーマーケットであるウェグマンズでは4.0〜4.5となる。日本人にも人気のトレーダージョーズは4.0前後という高さだ。一般的な食品スーパーなら3ポイント台以上となる。

JWOを導入したホールフーズは1ツ星と判定した人が50人もいるのだ。2ツ星は8人となっており、合わせて58人になりレビュー投稿した75%が改悪との判断なのだ。

レビューの中には星数をゼロとしたかった人や二度と行かないとの辛辣な書き込みもある。

普通との評価の3ツ星は2人、良いとなる4ツ星も2人だけ。救いとなる5ツ星は15人と全体の20%弱になっている。

 ジャスト・ウォークアウトを導入したホールフーズのレビュー評価は芳しくないが、実際の客足はといえば異なった結果となっている。

実店舗の客足をモニタリングする調査会社プレイサーai(Placer.ai)が24日に発表したレポートによると、近くのホールフーズよりシャーマン・オークス店の1平方フィート当たりで比べると客足が多い。

7月〜12月に行った調査では1平方フィートでシャーマン・オークス店は10.6人となった。一方で他のホールフーズは7.8人と7.1人となっているのだ。

無論、客足だけでその店のパフォーマンスを測ることはできない。顧客1人が1回の買い物によって支払う客単価が異なる場合もあるからだ。

ジャスト・ウォークアウトの利用者はスピーディな買い物を利便性の最上位に挙げていることがある。

 昨年9月、ホールフーズのCEOになったジェイソン・ブッケル氏(Jason Buechel:英語の発音はジェイソン・ビークル)は今後、積極的に新規出店していくことを表明している。

ホールフーズは現在、アメリカを含め海外に534店舗を展開。43州とワシントンDCに513店、カナダに14店、そしてイギリスに7店舗を展開している。

昨年度(2022年)に11店舗をオープンしたホールフーズは今後、最大で30店舗を毎年出店すると明かしているのだ。

新規店舗にジャスト・ウォークアウトを導入したホールフーズがどの程度含まれるのかでワシントンDCグローバー・パーク店とシャーマン・オークス店の結果が浮き彫りにされることになる。

トップ画像:ジャスト・ウォークアウトのあるホールフーズ・マーケット・シャーマンオークス店で入店する研修参加者。この店の客数が他のホールフーズに比べて多いとの調査結果だ。


店舗の客足をモニタリングする調査会社プレイサーai(Placer.ai)によると、近くのホールフーズよりシャーマン・オークス店の1平方フィート当たりで比べると客足が多くなる。7月〜12月に行った調査では1平方フィート当たりでシャーマン・オークス店は10.6人となった。一方で他のホールフーズは7.8人と7.1人となっているのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本で関東を中心に多数の強盗・窃盗事件が起きていることがニュースになっています。SNS上で高収入を餌に若い人を募集し強盗をやらせる「闇バイト」です。で、この事件で目を引いたのは東京中野区の住宅で現金約3,000万円が奪わたこと。アメリカから見て、自宅に現金が20万ドル以上も置いてあることがそもそも異常です。被害者には申し訳ないですが、セキュリティが極めて脆弱となる一般住宅で本人がかなりのご高齢となれば、金のない若い人にとってはコスパがかなり良い闇バイトになります。皮肉を言えば日本版ジャスト・ウォークアウトです。で、こういったことは氷山の一角でしょう。警察に通報されていない強盗事件はかなりあると思っています。市場に出回る「高額な現金を家に保管している」リストには、脱税目的で現金を持つ人も載っているでしょう。ただこれらの事件がメディアで大きく取り上げられ、現金主義の古い昭和世代?が考えをかえれば日本のキャッシュレス化がかなり進むと思います。
 高齢者をボコってジャスト・ウォークアウトなら、日本でキャッシュレス化まっしぐらになったりして...流通DXにキャッシュレス化は欠かせませんが、闇バイトの犯罪増加に流通DXの拡大が比例したりして。