2023年03月27日

【クローガー】、CFC8ヶ所目!顧客にアーミッシュスタイルを強いることはできない?

230327ブースト訴求@ラルフス
■スーパーマーケット最大手チェーンのクローガーは21日、ネットスーパー用の物流センターが完成したことを発表した。

8ヶ所目となるネットスーパー専用物流倉庫「カスタマー・フルフィルメント・センター(CFC:Customer Fulfillment Center)」はコロラド州オーロラ地区(6125 N Jackson Gap Way, Aurora, CO 80019)に30万平方フィート(8,400坪)の面積で稼働する。

従業員数200人を採用しながら最大では400人まで雇用を増やす計画なのだ。

最大で40万平方フィート(1.12万坪)にもなるクローガーのCFCは生鮮品から日用品まで3.5万品目の在庫を保管・処理する能力を持ち、最新の人工知能(AI)やロボティクスの技術を活用しながら24時間稼働している。

「オカド・シェド(Ocado Shed)」とも呼ばれるCFCは50アイテムを最短で3分でピッキングする1,000台以上のロボットが動くのだ。

配送準備を完了するまでに掛かる時間は5分程度。

冷蔵や冷凍などの温度管理の可能なバンやトラックが最大で400台が稼働しながらCFCから90マイル(140キロメートル)圏内にある店や利用客に届けるようになっている。注文の当日もしくは翌日の宅配となるのだ。

現在までに稼働しているCFCはオハイオ州モンローCFC(2021年3月)、フロリダ州グローブランドCFC(2021年6月)、ジョージア州フォレストパーク(2022年2月)がある。

昨春にオープンした35万平方フィート(9,800坪)のテキサス州ダラスCFCに加え、5ヶ所目で34万平方フィート(9,800坪)のウィスコンシン州プレザント・プレイリーCFC、35万平方フィート(9,800坪)のミシガン州ロムルスCFCもすでに稼働している。

7ヶ所目となったCFCは35万平方フィートのメリーランド州フレデリック地区(7106 Geoffrey Way Frederick, MD 21704)にあるCFCで21日から動きだしている。

建設中などを含め地域が明らかになっているCFCはほかにも10ヶ所近くある。

アリゾナ州フェニックスCFCやオハイオ州クリーブランドCFCにノースカロライナ州シャーロットCFC、さらにカリフォルニア州の中型と小型のCFC、フロリダ州南部2ヶ所のCFCも計画されている。

他にも地域名は明らかになっていないが、アメリカ北東部やアメリカ太平洋岸北西部も候補地となっている。

なお8ヶ所目となるCFCではデンバーにあるクローガー傘下のキングスーパーズ(King Soopers)やシティマーケット(City Market)のネットスーパーに対応するのだ。

 キングスーパーズなどすでに傘下のスーパーではクローガーのサブスクリプション「ブースト(Boost)」の展開を行っている。

メンバーシッププログラムのブーストは年会費59ドルと99ドルの2段方式。

35ドル以上の買い物で59ドル会員は24時間以内の宅配サービスの手数料が無料となり、99ドル会員は最短2時間の宅配手数料が無料となる。

2つのサブスクリプションには食品スーパーに併設されている約1,600ヶ所のガソリンスタンドでのディスカウント特典もある。

また入会者にはミールキットのホームシェフやクローガーPB、マレーズ・チーズなど100ドル相当の商品が進呈されるのだ。

南カリフォルニアにはCFCはないもののロサンゼルス周辺に200店舗を展開するクローガー傘下のラルフスでもブーストを訴求している。

 クローガーは15日、中長距離向けに自動運転トラックを開発するガティック(Gatik)と提携しネットスーパー物流のミドルマイルに無人輸送をテスト導入することを発表した。

物流センターと店舗を結ぶ輸送を「ミドルマイル」と呼ばれ、お店と消費者を結ぶ「ラストマイル」と同様に自動運転車やドローンを用いた空輸など効率化が求められている。

クローガーがガティックのドライバーレス・トラックを使うのは、テキサス州にあるダラスCFC。

20フィート(約6メートル)のドライバーレス・トラックがダラスCFCと平均で60マイル(約96キロメートル)離れたクローガーの3ヶ所の食品スーパーを週7日、1日12時間、最低でも4回は往復する。

最初の実験フェーズではドライバーをつけさせ5月までに実証実験を開始しながら順次ドライバーレスにしていく。

CFCとスーパーのミドルマイルにドライバーレス・トラックを導入することで、ネットスーパー・ピックアップ&デリバリー枠の制限増加に締め切り時間の延長などメリットをもたらす。またゆくゆくは人件費の大幅な節約にもつなげる狙いだ。

トップ画像:クローガー傘下のラルフスでもサブスクリプション「ブースト(Boost)」の展開を行っている。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。スーパーマーケットによるネットスーパー展開は不可逆的です。つまりコスト高になってもネットスーパーのない時代に戻らないし、戻れません。この流れに対して頑なに拒んでいるのがトレーダージョーズ。電気も車もない昔ながらの生活をおこなうアーミッシュのように、トレーダージョーズはオンデマンド買い物代行&宅配サービスのインスタカートの業者さえ買い物をさせない徹底ぶりです。後藤はいずれネットスーパーに関してトレーダージョーズは岐路に立たされると思っています。他では手に入らないプライベートブランドに競争力のある価格がトレーダージョーズの武器になっています。しかしいずれクローガーなど大手の競合のスーパーにトレーダージョーズがもつ商品力を模倣されると思っているからです。ネットスーパー展開のマネはすぐにはできません。が、商品は簡単にパクられます。ロボット物流を構築できるのに商品開発はできないとは考えられませんから。したがっていつまでも他の店では手に入らないを武器にはできないと思うのです。
 そういえばトレーダージョーズにはセルフチェックアウトレジもありません。アーミッシュは宗教集団ですが、食品スーパーが顧客に自分たちの主義主張をいつまでも押し付けるわけにはいかないと思います。