
機体に「Meals on six wheels(6つの車輪に乗った食事)」と掲げ、キャンパスの歩道を駆け巡るスターシップ・テクノロジーズの自律型配送ロボット。全米の学生から絶大な支持を集め、累計配送件数1,000万件突破という驚異的な実績を牽引している。
1,000万件突破と驚異的な自律走行データ
自律走行型配送ロボットを開発するスターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)は、累計配送件数1,000万件を突破した。
同社は現在、アメリカを含む世界8カ国、300以上の拠点で3,000台以上のロボットを運用しており、物理的なAI(Physical AI)を大規模に実証している唯一の企業としての地位を確固たるものにしている。
これまでの累計自律走行距離は1,400万マイル(2,200万キロメートル)に達し、1日あたり12万5,000回(毎秒約2回)の道路横断をこなしている。
人間のアクティブな監視を必要としないレベル4の完全自律走行として、密集した都市環境やあらゆる天候条件下で圧倒的な稼働実績を誇る。
アメリカの大学キャンパスで進む社会実装と絶大な支持
特筆すべきは、アメリカ国内の大学キャンパスにおける急速な普及と高い受容性である。
同社は現在、アメリカ国内の65以上の大学キャンパスでサービスを展開しており、累計走行距離はアメリカのキャンパス内だけで800万マイルに達している。
全米65キャンパスの学生5,000人を対象とした最新の調査では、95%の学生が配送ロボットを「好き(like)」または「大好き(love)」と回答し、97%という驚異的な支持率を獲得した。
さらに、72%がロボットを「フレンドリーで可愛い」と表現し、65%が「実際に見てからより肯定的な印象を持った」と回答している。
キャンパス内での配送実績は凄まじく、オレゴン州立大学(Oregon State University)だけでも2025年に26万5,000件、サービス開始以来累計120万件の注文を処理した。
また、カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)では67番目の展開先として新たに導入され、2026年秋からは従来のグラブハブ(Grubhub)に代わって同校の主要なモバイル注文システムとして機能する予定である。
テネシー工科大学(Tennessee Tech)でも最近13台のロボットが導入され、2.99ドル(約450円)の配送料と10%のサービス料で稼働を開始している。
これらのデータは、ロボット配送が単なる目新しさから、現代の学生生活に不可欠なインフラへと完全に定着していることを如実に示している。
配送コストの大幅削減とウーバーイーツとの提携
同社が市場を牽引する最大の理由は、ラストマイル物流における優れた経済性にある。
自律型ロボット配送は、従来の配達員による配送と比較して、すでに1回の配達あたり3〜4ドル(約450円〜600円)のコスト削減を実現している。
同社は長期的な目標として、1回の配達コストを1ドル(約150円)まで引き下げることを目指している。
ロイターが引用したバークレイズ(Barclays)の調査によると、このロボット配送への移行により、世界のデリバリープラットフォームにおいて年間160億ドル(約2兆4,000億円)もの利益がもたらされる可能性があると予測されている。
こうした経済性と技術的な優位性を背景に、アメリカ国内での事業拡大もさらに加速している。
アメリカの都市部での展開を視野に入れ、フードデリバリー大手のウーバーイーツとのパートナーシップによる自律型配送も開始した。
かつてキャンパス内を走る「歩く自販機」と呼ばれた小さなロボットは、単なる利便性の提供にとどまらず、アメリカのラストマイル物流の収益性を根本から変革する強力なインフラへと進化を遂げているのだ。
