【ニューリー】、衣料レンタル・サブスクの新覇者！レンタ・ザ・ランウェイは50セント？

■「どんなに素晴らしい店や売り場を創造しても今の時代はそれほど集客に貢献しない」と筆者はクライアントに説いている。

手のひらの上にあるスマートフォンで買い物ができるのにわざわざ外出するのは時間や手間がかかりすぎるのだ。

よく喩えに使う「テレビリモコン」がある。テレビのチャンネルを変えるなどコントロールする際、誰もテレビのところまで行く人はいない。テレビリモコンで操作する。

今ではテレビリモコンにネットフリックスやプライムビデオのボタンがシレッと入っていたりする。ワンプッシュでネットフリックス等のサブスクチャンネルに簡単にアクセスさせるためだ。

買い物も同様にわざわざお店や売り場には来ないのだ。スマートフォン・アプリを介して買い物をさせる。

売り場には来なくても買い物できるのはファッションにも当てはまる。

いまでは衣料品は買い物するのではなく、レンタルするものになりつつあるのだ。

なぜならミレニアル世代やＺ世代など若い消費者を中心に買い物の仕方が大きく変化しているからだ。

むしろ今はモノを使い倒して「消費」し「廃棄」することにためらいを感じている。環境への配慮からファッションもレンタルに思考が向いている。

大手ファッションチェーンは2018〜2019年、モールなどへのリアル店舗展開より｢サブスクリプション（定額課金）サービス｣に舵を切り始めた。

女性服の月極レンタルを手がける老舗｢レント・ザ・ランウェイ（Rent the Runway）｣に倣い、大手チェーンがオンライン・レンタル・サブスクリプションに続々と参入したのだ。

その中でも現在、飛び抜けているのがアーバン・アウトフィッターズが2019年夏に開始したサブスクリプション型の女性衣料レンタルサービス｢ニューリー（Nuuly）｣だ。

ニューリーではアーバン・アウトフィッターズ以外にも同社が展開する｢アンソロポロジー（Anthropologie）｣や｢フリー・ピープル（Free People）｣に加えて、リーボック（Reebok）やリーバイス（Levi's）、ラングラー（Wrangler）といった100を超えるブランドから月額98ドルで６アイテムを借りることができる。

カテゴリーもワンピースにトップス、ボトムス、さらにジャンプスーツまで様々あり、ライフスタイルのジャンルでもバケーションに合いそうなものから、オフィスカジュアルまで色々だ。

一方でサングラスやバッグ等のアクセサリーや水着はレンタルにはない。

平均で800ドルの価値となる６着の中で気に入ったものがあればディスカウント価格で購入できる。

衣料レンタル・サブスクを利用することでファッショニスタにとっては普段は着用しない服やブランドの挑戦できるメリットがある。

選択に失敗してもレンタルなので諦めもつくし、仮に汚したり傷ついても（提供側が洗濯し補修するので）問題もない。

また短い季節の服を買う必要がなく、パーティーやバケーションなど特別なイベントのためにドレス等を新調する必要もない。結果、クローゼットの場所も大いに確保できることになる。

　1.3億ドル以上の売上高となったニューリーがローンチからわずか４年で黒字化を達成するというのだ。

CNBCによると直近でアクティブユーザーが19.8万人にもなり、今年度の目標である20万人には目前となっている。

アーバン・アウトフィッターズはニューリーの開発等に１億ドルをすでに投入。2024年１月にはミズーリ州カンザスシティに総工費6,000万ドルをかけたニューリーの物流倉庫が完成する。

新倉庫などをフル稼働することでアクティブユーザー60万人を賄うことができるという。つまり３年〜５年で現在のユーザー数を３倍にまで伸ばそうとしているのだ。

ニューリーの強気の背景には、競合で老舗のレント・ザ・ランウェイの不振がある。

2009年に創業したレント・ザ・ランウェイは2021年10月に上場した。17.25ドルだった株価は現在までに97％暴落して50セントとなっている。

コロナによるユーザー数の激減に加え全４店のスクラップ、さらにサブスクプランの見直しも失敗となりサブスクライバー離れが顕著となった。

現在までにサブスクライバーは回復基調となっているものの第２四半期で18万人となったニューリーと比べるとユーザー数は14万弱なのだ（CNBC）。

ニューリーのサブスクライバー数が７月、１年前に比べて85％も増加したのにレント・ザ・ランウェイは11％しか増えていない。

再建策も不十分でこのままでは勢いづくニューリーには勝てないと判断され、市場がレント・ザ・ランウェイにノーを突きつけている。

またエクスプレスやヴィンス・カムート（Vince Camuto）、バナナリパブリックもファッション・レンタル・サブスクを行っているがどれも上手くいっていない。

理由は選択できるブランドが少ないことにある。

　ディスラプター（破壊者）とされるファッション・レンタル・サブスクリプションも下剋上の状態にあり戦国時代なのだ。コロナの暗闇から明けたらニューリーだけだったということになるのかもしれない。

トップ画像：ニューリーは月額98ドルのファッション・レンタル・サブスクで６着が送られてくる。  続きを読む

【Amazon Style】、初のアパレル店がいきなり撤退！破壊的イノベーションも選択と集中？

■ネット通販最大手のアマゾンは２日、同社が開発したアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」を閉鎖すると発表した。

アマゾン・スタイルは来週９日（木）までに閉店となり、破壊的イノベーションをもつアパレル店は２年もたなかったことになる。

アマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション（ＤＸ）で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップ。

アマゾン・スタイル１号店は昨年の５月29日、ロサンゼルス近郊グレンデール地区のライフスタイルセンター「アメリカーナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」内にオープンした。１号店は２階建てで約３万平方フィート（840坪）。

２号店は昨年10月18日、オハイオ州コロンバス北東部にあるモール「イーストン・タウンセンター（Easton Town Center）」内に28,000平方フィート（780坪）の店舗面積で出店した。

　アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイル１号店には40部屋、２号店には36部屋とそれぞれ試着室があり、試着に順番待ちが生じてしまうことはありえないようになっている。

仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。

試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。

　アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが170センチ以上ありかなり広い。

正面には扉のついたマジック・クロゼットとオープン・クロゼットとなる洋服ダンスがある。どちらも奥行きは60センチメートルほど。

試着室の片側には20インチのタッチパネルとライトのついた鏡が備え付けられている。

スクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム（Welcome to your room）」に利用者の名前が映し出されている。

「始める（Get Started）」ボタンをタッチすると試着室に用意された洋服に「ご用意中（On the way）」で囲まれた商品を映し出している。

画面下にはオススメ商品を紹介するパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー（Just for You）」商品が並んでいる。

ＰＢの「アマゾン・エッセンシャル（Amazon Essentials）」等に値引き商品の「セールス＆ディールズ」から「ジャスト・フォー・ユー」商品も閲覧できるようになっているのだ。

利用者は事前にアマゾン・アプリにあるスタイル・サーベイ（サイズや好みなどのファッションチェックの質問）に答えることで、アルゴリズムによりタッチパネルがパーソナルなルックブック（商品カタログ）となっているのだ。

タッチパネル注文により、他のカラーやサイズにレコメンデーションの商品を試着室にデリバリーできるようになっているのもアマゾン・スタイルの強みだ。

マジック・クロゼットは試着室側と商品補充スタッフがいる両方向から開閉が可能となっている。

注文した試着品をスタッフがクローゼットに用意している最中はドアにある赤ランプが点灯して試着室側からドアを開けることができない。逆に試着室側のドアを開けている時、スタッフ側の扉が開くことはない。

試着品の用意が整えば赤ランプが消え、タッチスパネルを通じて知らせが来る。試着品のデリバリーで利用者とスタッフが直接目を合わせないようデザインされ、プライバシーに配慮している。

試着が終わると利用者は不要な商品をそのまま残して、購入したい商品をレジに持っていくだけ。

レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いもある。

アマゾン・スタイルではアプリやタッチパネルを介して試着を試せるため、売り場の販売員へのストレスがほとんどない。

　アマゾン・スタイルではほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。

デリバリーの間は何着か（何度か）試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。

アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。

　これほどのイノベーションをもっているものの１号店はオープンから１年と168日、２号店は１年と22日間の営業で２年持たなかったのだ。

アマゾンは閉鎖理由を明かしていない。ただ筆者が最近訪れた際、お客がいないことに加えてスタッフも大幅に減少していたことが気になっていた。

トップ画像：昨年５月にオープンしたアマゾン・スタイル１号店。アマゾンにとって初のアパレルショップだが、オープンからわずか１年と半年程度で撤退となる。  続きを読む

【アバクロ】、性加害で訴訟沙汰！ホームレス御用達ブランドからジャニーズブランドへ？

■ティーンブランドのアバークロンビー＆フィッチが性加害によって訴訟を起こされた。

ニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に27日提出された訴状によると、同社前ＣＥＯのマイク・ジェフリーズ氏（79）はモデルの仕事を餌に複数の若い男性をパーティに誘い出し、同氏や他の人物との性行為を強要し性的虐待を行ったのだ。

アバクロは1992年から2014年までＣＥＯを務めていたジェフリーズ氏の性的搾取を容認していたというのだ。

被告にはアバクロにジェフリーズ氏、長年のパートナーであるマシュー・スミス氏（60）に仲介役でアテンダーの人物も含まれている。

原告の男性はアバクロが前ＣＥＯのモデル探しに対し金銭的報酬を与えることで性的搾取を助長していたと訴え、複数の男性を犠牲にしたと主張。

「数十人、おそらく100人以上の若いモデル」が被害に遭ったとみて集団訴訟にすることを目指しているのだ。

この訴訟に先立ちＢＢＣが独自調査としてジェフリーズ氏による性加害を報じている。

ＢＢＣは性被害者となる８人の男性を取材し、同氏とパートナーのスミス氏は彼らが主催した性的イベントにアテンダーを介して若い男性を勧誘し性的搾取をおこなったと２日報道じたのだ。

これらのイベントはニューヨークにあるジェフリーズ氏の当時の自宅のほか、ロンドンやパリ、ヴェネツィア、マラケシュなどの高級ホテルで開催されていた。

モデルとして雇われる際、イベント内容についてミスリードされていたり、性行為が関係するとは聞かされていなかったと主張。

被害者の中には性的なパーティがあると理解はしていたが、自分に何が期待されているかは正確には分からなかったという人もいた。

また被害者全員は秘密保持契約書に署名するよう要求され、報酬を受け取っていた。

被害者男性は「ジェフリーズ氏は（経済的に困窮するなど）脆弱な時期を狙って弱っている人を利用した」とし「特に田舎から大都会にやってきた苦境に陥っている人に対して、自分がいなければ世界がないと言わんばかりの人物だった」としている。

ジェフリーズ氏宅に勤務していた元スタッフは、こうしたパーティは定期的に週末に行われていたとＢＢＣに証言。

何年にもわたって毎週土曜日の午後は敷地から出るよう指示されていたというスタッフもいた。一部のスタッフによると何かおかしなことがパーティで開催されていると思っていたという。

別のスタッフはジェフリーズ氏の「プレータイム」と了解していた人もいた。

　ジェフリーズ氏は1990年代中頃から2000年代初めにかけ、当時経営難にあったアバクロを高い利益を生み出すティーンの定番ブランドに成長させた立役者だ。

若い白人男性を上半身裸にした、挑発的な広告を行うなどセックス・アピールを多用するマーケティング戦略で人気となったのだ。

一方でジェフリーズ氏は最高の報酬を得るＣＥＯとなったものの何かと評判が悪いことでも有名だった。

人種差別を疑われる人事から、ぜいたくなライフスタイルによる浪費、パートナーによる社内への影響力など問題が相次いでいたのだ。

ジェフリーズ氏は2002年のインタビューで「私たちの中心顧客は、たくさんの友達がいて素晴らしく魅力的な態度で、いかにもアメリカ的なティーンです。多くの人たちは私たちの服に馴染まないですし、馴染むこともできないのです。排他的だと思いますか？でも、その通りなのです」と失言。

女性用のプラスサイズを当時まったくないことから、太ったティーンを差別していると非難が殺到した。この非難は、謝罪等を要求する署名活動となり、不買運動にまで発展した。

リサイクルショップでアバクロの服を買いこみ、ホームレスに配っている動画をアップし「ホームレスにアバクロを渡して、世界ＮＯ１のホームレス御用達ブランドにしよう！」と呼びかけている動画もアップされたのだ（現在は削除）。

短期間で800万回以上の再生数となりメディアも大きく取り上げることになったほど大きな話題になったのだ。

その後アバクロのロゴ入りＴシャツ等が売れなくなり、ロゴ入り衣料の販売をやめるとまで発表した。

経営不振を理由にジェフリーズ氏は2014年、退職金2,500万ドル（約37億円）を受け取りＣＥＯを辞任した。

　前ＣＥＯの性加害疑惑によりアバクロも日本のジャニーズのような毀損ブランドになってしまう可能性がある。

伊藤園が最近、テレビコマーシャルでＡＩモデルを起用した。トップや役員による職権乱用が起きないようＡＩを採用する企業が増えそうだ。


BBCの「アバクロの男たち：クールさのダークサイド（The Abercrombie Guys: The Dark Side of Cool ）」のティーザー。アバクロ前CEOが仕事（アバクロのモデル）を餌に、経済的に困窮する、脆弱な若い男性に性的虐待を行うというもの。一人の男性は涙ながらに「彼らの前で自分は単にボディだった」と性的虐待を証言している。  続きを読む

【アマゾン】、９割のアパレルＰＢをスクラップ！いよいよDay１文化からアップデート？

■ネット通販最大手のアマゾンには社員が意識して姿勢としてもつ「デイワン（Day 1）」がある。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が作り出したとされるアマゾンの原則であり社風は、長期的な集中を保ちながら顧客とそのニーズに執着し大胆にイノベーションを進めることだ。

スタートアップ精神となる「毎日がはじまりの日」がコア・バリューとなり機敏かつ挑戦的である態度を保持し続けるのだ。

アマゾンにとってデイワンの反語として「デイツー（Day 2）」があり、顧客の課題より企業内部の課題が中心となり大企業病のように俊敏性を失うことを意味する。

確かにデイツーには企業としてデメリットもあるのだが大企業ともなれば実際にはスタートアップにできない対応もしていかなければならない。

アマゾンは現在、前ＣＥＯのジェフ・ベゾスが掲げたデイワンをマイナーチャンジしているのかもしれない。

コストカッターとも呼ばれるアマゾン現ＣＥＯのアンディ・ジャシー氏はスタートアップにありがちな無駄を整理している。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたところによるとアマゾンはコスト削減と独占禁止法への対応からプライベートブランド（ＰＢ）衣料品をスクラップしている。

アマゾンにはアパレルＰＢとして紳士靴の「フランクリン＆フリーマン（Franklin & Freeman）」、メンズとアクセサリー類の「フランクリン・テイラード（Franklin Tailored）」、レディースの「ジェームズ＆エリン（James & Erin）」がある。

またレディースカジュアルの「ラーク＆ロウ（Lark & Ro）」、スカーフやポンチョなどレディース・アクセサリーの「ノースイレブン（North Eleven）」、キッズの「スカウト＋ロウ（Scout + Ro）」、ドレスやバッグの「ソサエティ・ニューヨーク（Society New York）」などもあるのだ。

これらのブランドに加えアスレジャーの「デイリーリチュアル（Daily Ritual）」にカジュアル衣料の「グッドスレッズ（Goodthreads）」など合計で27のブランドを廃止するというのだ。

関係者の話によるとアパレルは「アマゾン・エッセンシャルズ（Amazon Essentials）」「アマゾン・コレクションズ（Amazon Collections）」「アマゾン・アウェア（Amazon Aware）」に絞られ、スクラップＰＢでも人気アイテムはこの３つのブランドのどれかに統合されるのだ。

家具のプライベートブランドである「リベット（Rivet）」「ストーン＆ビーム（Stone & Beam）」も在庫がなくなり次第、撤退するという。

　ウォールストリート・ジャーナル紙によると数年前、ＣＥＯだったベゾス氏が会議にて「コストコのＰＢ『カークランド』を見てみろ。コストコの売上全体の25％以上をたたき出しているではないか。なぜ、うちではそれができないのか。なぜわが社ではＰＢ売上が全体の1％しかないのか」と檄を飛ばしたのだ。

これによりアマゾンは2022年までに、ＰＢを売上全体の10％にする目標を立てたのだ。アマゾンＰＢは45ブランドにまで拡大し、2020年の資料によると合計で24万3,000アイテムにもなっていたのだ。

しかしＰＢ売上が期待ほど伸びていないのだ。

さらにアマゾンはマーケットプレイスの人気商品をコピーするやり方でしばしば批判されてもいた。

アマゾンのマーケットプレイスに出品したり提携すれば、非常に貴重で重要な販売データすべてが競合になる大手ＩＴ企業に筒抜けとなる。

販売数量や平均販売価格、利益率などがアマゾンの前で裸になる。どの商品がどの顧客に売れており、トレンドから売れ筋、さらに死ぬ筋までアマゾンがすべてを把握できてしまう。

ギャップのような大手ファッションブランドから得た販売データを活用して自社のプライベートブランドに活かせてしまうのだ。

アマゾンのコンピューター上で覗き見できることで人気商品を片っ端からコピーしプライベートブランドのラベルを貼ればいいだけだ。

サンフランシスコにあるカメラ・アクセサリー・ブランドが数年前、アマゾンにコピーされた事例がある。

スタイリッシュで機能的なデザインで知られるピークデザイン（Peak Design）の人気カメラバッグがパクられアマゾンＰＢで発売されたのだ。

ピークデザインはアマゾンのマーケットプレイスで販売しているのだが、2017年から販売を開始した69.99ドルのバッグ「ピークデザイン・エブリデー・スリング（Peak Design Everyday Sling）」に怪しいほど激似の35.14ドルの「アマゾン・ベーシック・エブリデー・スリング（Amazon Basic Everyday Sling）」が2020年から発売された。

人気商品の売上が落ち、これに怒ったピークデザイン側は告発動画をYouTubeにアップした。ピークデザインの人気商品をまんまパクるアマゾンを皮肉的に描いたものだ。

大騒ぎとなったことでアマゾンはすぐに同商品を商品ページから削除しているが、数億以上の商品を扱うアマゾンでは同じようなことは日常茶飯事になっている。

こういったことを問題視する議員などから批判を受けたことも要因となりＰＢを縮小しだしたのだ。

　超がつくほどの大企業になったアマゾンがいつまでも「毎日がはじまりの日」を続けるには無理がある。社会的な責任を担う企業にはデイ２のメリットも模索しなければならないのだ。

トップ画像：アマゾンの初のアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Sytle）」にあるＰＢ「アマゾン・アウェア（Amazon Aware）」。  続きを読む

【Amazon Style】、アマゾン初のアパレルショップが高評価！食品スーパー関係者も視察？

■ネット通販最大手のアマゾンが開発したアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」の評判が良い。

約１年前にオープンしたアマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション（ＤＸ）で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップ。

世界最大級のローカル情報向けの口コミサイト「イェルプ（Yelp）」でアマゾン初のアパレルショップをみると高評価となっている。

ロサンゼルス近郊グレンデール地区のライフスタイルセンター「アメリカーナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」内に５月29日にオープンしたアマゾン・スタイルは５ツ星評価で４ツ星を獲得しているのだ。

イェルプに投稿されたレビューワーは44人おり、その多くが顔画像に名前（一部にニックネーム）まで晒している。

レビューワーの内訳は５ツ星が21人に４ツ星も12人となり、４人に３人の割合で高く評価しているのだ。

レビュー投稿が2,300件以上となるSteven W.さんは「試着室が広くてクールで素晴らしい、コンセプトも最高」と高く評価しており、レビュー投稿数が700を超えるNikki Oさんも「天国！！！」と絶賛しているのだ。

一方で最悪の評価となる１ツ星は６人、悪い評価の２ツ星も３人となっている。興味深い点は批判的なレビューワーの大半が、投稿したレビュー数が二桁と少ないことだ。

またレビュー文も短文となっており、個人的な悪体験によるレビューが占めているのだ。不満点は品揃えに加え、スキャニングするといった新しい体験に慣れないことが目についた。

　アマゾン・スタイル１号店は２階建てで約３万平方フィート（840坪）と広く、メンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売。

カジュアルファッションが中心の売り場には１着１点のサンプルのみの展示となっている。

アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイル１号店には１階に18部屋、２階に23部屋の試着室もあり、試着に順番待ちが生じてしまうことはほぼありえないのだ。仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。

40もある試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。

　アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが170センチほどでかなり広い。

正面には扉のついたクロゼットタイプの洋服ダンスとオープン・クロゼットがある。

どちらも奥行きは60センチメートルほど。試着室の片側には20インチのタッチパネルとライトのついた鏡が備え付けられている。

スクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム（Welcome to your room）」に利用者の名前が映し出されている。

「始める（Get Started）」ボタンをタッチすると試着室に用意された洋服に「ご用意中（On the way）」で囲まれた商品を映し出している。

画面下にはオススメ商品を紹介するパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー（Just for You）」商品が並んでいる

。ＰＢの「アマゾン・エッセンシャル（Amazon Essentials）」等に値引き商品の「セールス＆ディールズ」から「ジャスト・フォー・ユー」商品も閲覧できるようになっているのだ。

利用者は事前にアマゾン・アプリにあるスタイル・サーベイ（サイズや好みなどのファッションチェックの質問）に答えることで、アルゴリズムによりタッチパネルがパーソナルなルックブック（商品カタログ）となっているのだ。

タッチパネル注文により、他のカラーやサイズにレコメンデーションの商品を試着室にデリバリーできるようになっているのもアマゾン・スタイルの強みだ。

ドアのついたマジック・クローゼットは試着室と商品補充スタッフがいる両方向から開閉が可能となっている。

注文した試着品をスタッフがクローゼットに用意している最中はドアにある赤ランプが点灯して試着室側からドアを開けることができない。逆に試着室側のドアを開けている時、スタッフ側の扉が開くことはない。

試着品の用意が整えば赤ランプが消え、タッチスパネルを通じて知らせが来る。試着品のデリバリーで利用者とスタッフが直接目を合わせないようデザインされ、プライバシーに配慮している。

試着品のオンデマンド・デリバリーは２階にある倉庫から搬送されることになる。売り場がない２階には試着室以外はすべて倉庫となっているのだ。

試着が終わると利用者は不要な商品をそのまま残して、購入したい商品をレジに持っていくだけ。

レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いもある。

アマゾン・スタイルではアプリやタッチパネルを介して試着を試せるため、売り場の販売員へのストレスがほとんどない。

　ほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。

デリバリーの間は何着か（何度か）試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。

アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。

　アマゾン・スタイル２号店は昨年10月、オハイオ州コロンバス北東部にあるモール「イーストン・タウンセンター（Easton Town Center）」内にオープンした。  続きを読む

【Amazon Style】、1.8万人リストラも対象にならない！アンディのパーソナルカラーは？

■ネット通販最大手のアマゾンが４日、事業計画の見直しで従業員の解雇規模が1万8,000人以上に及ぶことを発表した。

昨年11月に一部メディアによって報じられた人員削減計画ではレイオフ対象者数が約１万人となっていた。

記録的なインフレに相次ぐ金利上昇で景気後退が懸念されているなか、アマゾンは厳しい環境に備え大規模なリストラを敢行するのだ。

アマゾンＣＥＯのアンディ・ジャシー氏によるとレイオフ対象は「アマゾン・ストア（Amazon Stores）」と人事に携わる「ピープル・エクスペリエンス＆テクノロジー・ソリューション（People Experience and Technology Solutions）」部門。

気になる行方は小売り事業だろう。アマゾンは昨年４月、「アマゾン・ブックス（Amazon Books）」「アマゾン４スター（Amazon 4-Star）」「アマゾン・ポップアップ（Amazon Pop-up）」の全68店舗を閉鎖している。

スクラップされた店舗にはオープンして間もないところも含まれていた。

レイオフの発表で傘下のホールフーズ・マーケットやレジなしコンビニエンスストアの「アマゾンゴー（Amazon Go）」や食品スーパー「アマゾン・フレッシュ（Amazon Fresh）」にも何らかの影響が及ぶ可能性がある。

一方、アマゾン初となるアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」は影響を免れる可能性が高い。なぜなら１号店は昨年５月にオープンしたばかりだからだ。

ロサンゼルス近郊グレンデール地区に続いてアマゾン・スタイル２号店も昨年10月にオハイオ州コロンバス北東部にオープンした。

１号店のオープンから１年も経過せずにスクラップは考えにくい上、利用者からの評判が上々ということもある。

レビューサイトのイェルプ（Yelp）で、ライフスタイルセンター「アメリカーナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」内にあるアマゾン・スタイル１号店が５ツ星評価で４ツ星と高評価されているのだ。

レビュー数は39件と多くはないが、イノベーションだけでなくアナログなカスタマーサービスを含めカスタマーエクスペリエンスに優れていると評価されているのだ。

　アマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション（ＤＸ）で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップ。

１号店は２階建てで約３万平方フィート（840坪）と広く、メンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売している。

カジュアルファッションが中心の売り場には１着１点のサンプルのみの展示となっている。

アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。

試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイル１号店には１階に18部屋、２階に23部屋の試着室もあり、試着に順番待ちが生じてしまうことはほぼありえない。

仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。40もある試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。

ほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。デリバリーの間は何着か（何度か）試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。

また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。

破壊的イノベーションに接客の良いため顧客からの評価が高くなる。

アマゾン・スタイルは先月、ハリウッドに影響力のある人気スタイリストを招きパーソナルカラー診断を無料で行っていた。

ジャスティン・ビーバーのスタイリストでもあるカーラ・ウェルチ氏が12月13日〜16日にかけて「カラー・ミー・キューレイテッド（Color Me Curated）」を行った。

ウェルチ氏が利用者と向き合って、持って生まれたボディーカラー（肌の色や瞳の色、髪の色など）を基にその人に似合うカラーを診断するサービスだ。

自分に似合うカラーのファッションで美しく見せたり、健康的に見せたりすることが可能となる。パーソナルカラーをアクセントに入れることで誠実さや清潔感など高感度のイメージアップすることもできるのだ。

　有名スタイリストを招いたイベントを直近に行っていることでアマゾン・スタイルはまだリストラの対象になりそうもなさそうだ。  続きを読む

【ＧＡＰ】、アマゾン・ファッションで販売！データを乗っとられたゾンビ・カタツムリ？

■カジュアル小売チェーン大手のギャップ（ＧＡＰ）は10日、ネット通販最大手のアマゾンと提携しアマゾン・ファッションで販売サイトを公式にローンチした。

アマゾンとの協業によりギャップ商品がプライム会員にいち早く配達されることになる。一方、ギャップにとって長年培ったブランド力を毀損する、大きな方針転換になるのだ。

アマゾン・ファッションのギャップでは取り扱い品目数などを明らかにしていないもののフーディーやＴシャツ、デニム、ソックス、下着、パジャマなどのスリープウェアが対象となる。

メンズやレディース、キッズの他、ベビー・ギャップの商品も含まれておりベビーベッド等の家具にベビーカーなども対象となる。

ギャップの姉妹ブランドになるオールドネイビーやバナナリパブリック、アスレタはいまのところ対象外だ。

ギャップがアマゾンとコラボするように、ブランド力のある企業にとってアマゾンとの協業は大きなリスクをはらんでいる。特にファッションブランドはアマゾンを警戒しているのだ。

グッチやバーバリー、コーチなどは直接の販売を避けているし、ルルレモンやＨ＆Ｍ、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズなどのアパレル製造小売チェーンもアマゾン・ファッションでは販売していない。

ナイキなどは2017年から提携を模索したが２年後にはアマゾンとの契約を白紙に戻しているのだ。

なぜアマゾンのファッションサイト等で自身のブランドを販売することで確実に売上が急増する。プライムデリバリーの対象となることで顧客の手にもすぐ届くことになる。

だがアマゾンと提携すれば、非常に貴重で重要な販売データすべてが競合になる大手ＩＴ企業に筒抜けとなるのだ。販売数量や平均販売価格、利益率などがアマゾンの前で裸になる。

どの商品がどの顧客に売れており、トレンドから売れ筋、さらに死ぬ筋までアマゾンがすべてを把握できてしまう。

アマゾンにもオリジナルのファッションブランドが多数ある。ギャップのような大手ファッションブランドから得た販売データを活用して自社のプライベートブランドに活かせてしまうのだ。

アマゾンのコンピューター上で覗き見できることで人気商品を片っ端からコピーしプライベートブランドのラベルを貼ればいいだけだ。

サンフランシスコにあるカメラ・アクセサリー・ブランドが実際、コピーされた事例がある。

スタイリッシュで機能的なデザインで知られるピークデザイン（Peak Design）の人気カメラバッグがアマゾン・ベーシックにパクられたのだ。

ピークデザインはアマゾンのマーケットプレイスで販売しているのだが、2017年から販売を開始した69.99ドルのバッグ「ピークデザイン・エブリデー・スリング（Peak Design Everyday Sling）」に怪しいほど激似の35.14ドルの「アマゾン・ベーシック・エブリデー・スリング（Amazon Basic Everyday Sling）」が2020年から発売された。

人気商品の売上が落ち、これに怒ったピークデザイン側は告発動画をYouTubeにアップした。ピークデザインの人気商品をまんまパクるアマゾンを皮肉的に描いたものだ。

大騒ぎとなったことでアマゾンはすぐに同商品を商品ページから削除しているが、３億以上の商品を扱うアマゾンでは同じようなことは日常茶飯事になっている。

　さすがにアマゾンも、ギャップの人気商品をまんまパクるようなあからさまな後出しジャンケン戦略はとれない。しかしちょっとだけデザインをイジってカスタマイズしながらアマゾンのラベルは貼れる。

アマゾンではデータの覗き見ができず競争にも使うことはできない仕組みとしているが、「信じるか信じないかはあなた次第」の都市伝説にも似ていそうだ。


アマゾンに商品をコピーされたとするピークデザインの告発動画。皮肉たっぷりにアマゾン・スタッフを演じて、面白おかしくパクりを描いている。  続きを読む

【アバークロンビー＆フィッチ】、ネット注文したファッションを薬局でピックアップ！？

■ティーンなどＺ世代は、薬局でママに頼まれたペーパータオルを購入しながら、ネット注文したトレンディなファッションもピックアップできることになる。

ティーンに人気のジャケットからおじいちゃんの処方箋までウォルグリーンでボピスできるのだ。

カジュアルファッションのアバクロンビー＆フィッチは27日、ネット注文した商品をウォルグリーンなどでピックアップできるサービスを始めたことを発表した。

売上の多くがＥコマースに移っていることでアバークロンビー＆フィッチはさらに便利な買い物を提供していく。

アバクロのピックアップ拠点はアメリカ国内に9,000店舗近くあるウォルグリーンに加え、フェデックスやオフィスデポなど1.2万店が対象となる。

ウォルグリーンを含むボピスでは注文最期の手順にあるチェックアウトで「ピックアップ・ポイント（Pickup Point）」から選択する。

アバクロによるとアバクロ・キッズにホリスター、ギリーヒックスなど国内に730店を展開しており、デジタル売上は17億ドルに達している。

ピックアップポイントを増やすことでオムニチャネル化を推進できるとしているのだ。特に生活の隅々までスマホを利用するＺ世代を取り込むにはアプリからの注文だけでなく、ピックアップポイントの多様化も重要な戦略となる。

アバークロンビー＆フィッチでは昨年10月からポストメイツやローディ、シプツ、ウーバーの４社と提携して当日宅配も開始。

カーブサイド・ピックアップやボピスとなるインストア・ピックアップまで受け取りオプションを増やす販売戦略を積極的に行っている。

　一方、ネット通販最大手のアマゾンでは傘下のホールフーズ・マーケットやアマゾン・フレッシュなどのリアル店舗をネット注文のピックアップ＆リターン拠点にしている。

筆者は今年７月のプライムデーで３足のランニング・シューズやケーブル、ＵＳＢフラッシュドライブなど12点を購入。

ピックアップはすべてアマゾン・フレッシュでおこない、靴などの一部商品は同店で返品したことがあった。

12点をまとめてピックアップする際の受け取り方と返品の手間を探ることを目的にした。実際に商品がすべて揃うまで、ほぼ１週間が必要だった。

リアル店舗で注文品を受け取るには、その前にチェックインを行う。家を出る前もしくは到着後にアプリを介して15分以内に受け取る旨をタップして知らせるのだ。

注文した12点は数回に分けられてアマゾン・フレッシュに到着していたため、回数分をタップ。アマゾン・ロッカーでの受け取りを期待していたが、記録となったセールを反映してスタッフが窓口に持ってくるスタイルとなったのだ。

つまりチェックインをしてもロッカーに入り切らないのが理由なのだ。

アプリの映したＱＲコードでピックアップはすぐに完了した。

次に行ったのがランニングシューズの返品だ。返品はアマゾン・アプリを起動し、下のタスクバーにある人のようなマークのアカウントをタップする。

項目にある「注文履歴（Your Orders）」をタップして返品する商品をタップ後、「返品もしくは交換（Return or replace items）」をタップする。

次の画面では「もう必要ありません（No longer needed）」「色や柄が期待していたものではなかった（Color/Pattern not as expected）」「他で安いところがあった（Better price availalbe）」など12の返品理由から適当な項目をタップする。

返品理由を選択した後、オプショナルとして200文字で補足説明ができるようにもなっている。

次に返金の仕方として「アマゾン・アカウントにクレジットとして返金（Refund to yourAmazon account balance）」、もしくは「オリジナルの支払い方法に直接返金（Refund to your original payment method）」から選ぶことになる。

前者のアカウントへのクレジットなら返品の受領から２〜４時間で完了すると謳っており、後者のクレカ等への直接返金では７日以内としている。

その次の画面では返品先を選択するようになっており、筆者はアマゾン・フレッシュを選択し、同ページの下にある確認ボタンをタップ。

これで返品手続きのＱＲコードを表示できるようになるのだ。あとは窓口でＱＲコードをスキャンさせ、商品をそのまま返品するだけとなる。

　ネット通販で先行するアマゾンの事例では多数のピックアップポイントが返品拠点になっており、アバークロンビー＆フィッチもいずれウォルグリーンで返品可能にしなければならない。

しかも利用者に手間や時間をかけさせないように返品サービスも進化させなければならないのだ。Ｚ世代を相手にするということはアマゾンに匹敵する武器も持つ必要となる。  続きを読む

【Amazon Style】、２号店オープン！YouTuberの動画ネタもアパレル店としてはどうなの？

■ネット通販最大手のアマゾンが開発したアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」の２号店が18日、オープンした。

アパレルのショールーム販売となる大手ＩＴ企業の新業態店は、アマゾン・ゴーやアマゾン・フレッシュに続く多店舗展開にはずみをつける。

アマゾン・スタイル２号店はオハイオ州コロンバス北東部にあるモール「イーストン・タウンセンター（Easton Town Center）」内に出店したのだ。

イーストン・タウンセンターはメーシーズやノードストローム、映画館チェーンのＡＭＣを核テナントにしたインドア・モールにコストコやホールフーズ・マーケットなど屋外エリアを含む約300のテナントをもつ。

アマゾン・スタイルはフォーエバー21があった場所にオープンし、通りを挟んで前にはシェイクシャックがある。

　アマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション（ＤＸ）で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップだ。

アマゾン・スタイル２号店は店舗面積は28,000平方フィート（780坪）。

ロサンゼルス近郊グレンデール地区のライフスタイルセンター「アメリカーナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」内に５月29日にオープンした１号店は２階建てで約３万平方フィート（840坪）だ。

若干狭くなった２号店もメンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売している。

カジュアルファッションが中心の売り場となるショールームには１着１点のサンプルのみの展示となっている。２号店のショールームの広さは13,000平方フィート（360坪）だ。

アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。

試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイル２号店には36部屋の試着室があり、試着に順番待ちが生じてしまうことはほぼありえない。

仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。

試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。

　アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが170センチ以上ありかなり広い。

また正面には扉のついたマジック・クロゼットとオープン・クロゼットとなる洋服ダンスがある。どちらも奥行きは60センチメートルほど。

試着室の片側には20インチのタッチパネルとライトのついた鏡が備え付けられている。

スクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム（Welcome to your room）」に利用者の名前が映し出されている。

「始める（Get Started）」ボタンをタッチすると試着室に用意された洋服に「ご用意中（On the way）」で囲まれた商品を映し出している。

画面下にはオススメ商品を紹介するパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー（Just for You）」商品が並んでいる。

ＰＢの「アマゾン・エッセンシャル（Amazon Essentials）」等に値引き商品の「セールス＆ディールズ」から「ジャスト・フォー・ユー」商品も閲覧できるようになっているのだ。

利用者は事前にアマゾン・アプリにあるスタイル・サーベイ（サイズや好みなどのファッションチェックの質問）に答えることで、アルゴリズムによりタッチパネルがパーソナルなルックブック（商品カタログ）となっているのだ。

タッチパネル注文により、他のカラーやサイズにレコメンデーションの商品を試着室にデリバリーできるようになっているのもアマゾン・スタイルの強みだ。

マジック・クロゼットは試着室側と商品補充スタッフがいる両方向から開閉が可能となっている。

注文した試着品をスタッフがクローゼットに用意している最中はドアにある赤ランプが点灯して試着室側からドアを開けることができない。

逆に試着室側のドアを開けている時、スタッフ側の扉が開くことはない。

試着品の用意が整えば赤ランプが消え、タッチスパネルを通じて知らせが来る。試着品のデリバリーで利用者とスタッフが直接目を合わせないようデザインされ、プライバシーに配慮している。

試着品のオンデマンド・デリバリーは２号店の場合、バックルームとなる15,000平方フィート（420坪）の倉庫から搬送されることになる。

試着が終わると利用者は不要な商品をそのまま残して、購入したい商品をレジに持っていくだけ。

レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いもある。

アマゾン・スタイルではアプリやタッチパネルを介して試着を試せるため、売り場の販売員へのストレスがほとんどない。

　アマゾン・スタイルではほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。

デリバリーの間は何着か（何度か）試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。

アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。

　アマゾン・スタイルではネット注文した商品のピックアップや返品もできるようになっており、アマゾン・フレッシュと同様に買い物ついでにピックアップ・返品拠点にもなっている。

アマゾン・スタイル２号店の営業時間は月〜土曜日が午前10時〜午後９時、日曜日は正午〜６時まで。従業員数は約100名となっている。  続きを読む

【Amazon Style】、今秋２号店オープン！ショールーム販売もプライムデーでセールする？

■ネット通販最大手のアマゾンが開発したアパレルショップ「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」の２号店が今秋にもオープンすることがわかった。

アパレルのショールーム販売となる大手ＩＴ企業の新業態店は、アマゾン・ゴーやアマゾン・フレッシュに続く多店舗展開にはずみをつける。

アマゾン・スタイル２号店はオハイオ州コロンバス北東部にあるモール「イーストン・タウンセンター（Easton Town Center）」内に出店するのだ。

メーシーズやノードストローム、映画館チェーンのＡＭＣを核テナントにしたインドア・モールにコストコやホールフーズ・マーケットなど屋外エリアを含む約300のテナントがイーストン・タウンセンターにある。

アマゾン・スタイルは、Ｈ＆Ｍも出店する巨大なモールに今秋、オープンする。

アマゾン・スタイルはアパレル業界で遅れているデジタル・トランスフォーメーション（ＤＸ）で試着室の顧客体験を大幅にカイゼンしたアパレルショップだ。

１号店は２階建てで約３万平方フィート（840坪）と広く、メンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売。

カジュアルファッションが中心の売り場には１着１点のサンプルのみの展示となっている。

アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けることにある。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。

試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい洋服を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイル１号店には１階に18部屋、２階に23部屋の試着室もあり、試着に順番待ちが生じてしまうことはほぼありえないのだ。仮りに順番待ちができても、行列に並ばなくても待機スペースで待つことも可能。

40もある試着室は常に施錠されており、アプリを操作して指定された試着室のロックを解除して中に入ることになる。

　アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが約170センチでかなり広い。

また正面には扉のついたクロゼットタイプの洋服ダンスとオープン・クロゼットがある。どちらも奥行きは60センチメートルほど。

試着室の片側には20インチのタッチパネルとライトのついた鏡が備え付けられている。スクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム（Welcome to your room）」に利用者の名前が映し出されている。

「始める（Get Started）」ボタンをタッチすると試着室に用意された洋服に「ご用意中（On the way）」で囲まれた商品を映し出す。

画面下にはオススメ商品を紹介するパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー（Just for You）」商品が並んでいる。

ＰＢの「アマゾン・エッセンシャル（Amazon Essentials）」等に値引き商品の「セールス＆ディールズ」から「ジャスト・フォー・ユー」商品も閲覧できるようになっているのだ。

利用者は事前にアマゾン・アプリにあるスタイル・サーベイ（サイズや好みなどのファッションチェックの質問）に答えることで、アルゴリズムによりタッチパネルがパーソナルなルックブック（商品カタログ）となっているのだ。

タッチパネル注文により、他のカラーやサイズにレコメンデーションの商品を試着室にデリバリーできるようになっているのもアマゾン・スタイルの強みだ。

ドアのついたクローゼットは試着室と商品補充スタッフがいる両方向から開閉が可能となっている。

注文した試着品をスタッフがクローゼットに用意している最中はドアにある赤ランプが点灯して試着室側からドアを開けることができない。逆に試着室側のドアを開けている時、スタッフ側の扉が開くことはない。

試着品の用意が整えば赤ランプが消え、タッチスパネルを通じて知らせが来る。試着品のデリバリーで利用者とスタッフが直接目を合わせないようデザインされ、プライバシーに配慮している。

試着品のオンデマンド・デリバリーは２階にある倉庫から搬送されることになる。売り場がない２階には試着室以外はすべて倉庫となっているのだ。

試着が終わると利用者は不要な商品をそのまま残して、購入したい商品をレジに持っていくだけ。レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いもある。

アマゾン・スタイルではアプリやタッチパネルを介して試着を試せるため、売り場の販売員へのストレスがほとんどない。

ほぼ無制限で試着でき、試着する時間を気にせずトップとボトムのコーデも自由、着替えも自分のペースだ。スタッフから急かされるようなこともない。

デリバリーの間は何着か（何度か）試着できるので、待たされるという感覚にならないのだ。また試着室では鏡に映った様々なファッションを撮影しておき、後でのんびり画像を見ながら検討というスタイルも可能になる。

アマゾン・スタイルでは試着だけおこない、自分に合うものを後日、アマゾンでネット注文もできるのだ。

　なおアマゾン・スタイルではネット注文した商品のピックアップや返品もできるようになっており、アマゾン・フレッシュと同様に買い物ついでにピックアップ・返品拠点にもなっている。

トップ画像：アマゾン・スタイル入り口近くにあるピックアップ・返品のカウンター。ショールーム販売のように落ち着いた雰囲気？だ。  続きを読む

【Ｈ＆Ｍ】、ＡＩミラーでＤＸ実験！真隣に開店したアマゾン・スタイルに刺激を受けた？

■ネット通販最大手のアマゾンがアパレル専門店をオープンしたことで、アパレルショップのＤＸ（デジタル・トランスフォーメーション）が加速している。

「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」が開店した２日後、ファストファッション大手のＨ＆Ｍは店舗内でのスマートミラーのテストを発表したのだ。

27日に発表されたプレスリリースによるとＨ＆Ｍは姉妹ブランドのコス（COS）のビバリーヒルズ店でタッチスクリーンを搭載したＡＩミラーをテストする。アパレルＤＸで試着から決済までシームレスな顧客体験を提供する。

リアル店でファッションを購入するメリットには、実際に衣類を試着して、自分に似合うかどうか確認できるという点だ。

一方で試着前に販売スタッフによる接客が十分に受けられなかったり、別のサイズや色違い等の在庫があるかどうか確かめることができなかったりと不満も残る。試着中でも必要なときに声を掛けてもらうことができなかったりする。

タッチスクリーンにもなっているスマートミラーを操作することで、スタッフを呼んだり在庫など商品について情報を得たりすることができるのだ。

パイロット版のスマートミラーでは、試着室にある鏡に商品を近づけると、ＲＦＩＤ（ＩＣチップ）タグにより商品を認識する。

試着室にある商品を鏡で映しながら、オススメの商品を紹介するレコメンデーションもオンスクリーンで提供する。他のサイズやカラーの在庫状況に支払いもできるようになるという。

スマートミラーを介してフェイスブックなどＳＮＳに商品をシェアできる機能も搭載されているのだ。

利用者が他に持ってきてほしいスタイルやカラー、サイズ、レコメンデーション商品等をスマートミラーから指定するとスタッフが試着室まで届けるサービスもある。

コス・ビバリーヒルズ店では店内でアプリを介して商品バーコードをスキャンすることで支払いまでできるＩＴも導入する。

　ロサンゼルス近郊のライルスタイルセンター「アメリカナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」にオープンしたアマゾン・スタイルにはスマートミラーはない。が、アパレルショップではこれまでにない実験的な試みがされている。

奇しくもＨ＆Ｍの隣にオープンした２階建ての約３万平方フィート（840坪）にはメンズとウィメンズのアパレルに一部シューズやアクセサリーなどを販売。

カジュアルファッションが中心の売り場には１着１点のサンプルのみの展示となっている。

アマゾン・スタイルの最大の特徴となるのは、サンプル商品のＱＲコードをアマゾン・アプリで読み取り、試着室の手配にサイズやカラーを指定して試着室に商品を届けられるにあるのだ。

利用者は試着室と商品の準備ができる間、試着する洋服を持つことなく買い物ができるのだ。

試着室に届けられる商品数も他店に比べて圧倒的に多くできることで、利用者は試したい商品を厳選したり、試着室に複数回に分けて入る必要もない。

またアマゾン・スタイルには１階に18部屋、２階に23部屋の試着室があり試着室の順番待ちが生じてしまうこともないのだ。

試着室は施錠されており、アプリを操作して指定された試着室に入ることになる。試着室には商品が届けられており、壁にあるタッチパネルのスクリーンからも追加の商品やサイズや色違いも届けてもらうことが可能となっているのだ。

商品が届くクローゼットにはスタッフと顔を合わせないようなプライバシーも配慮されている。筆者はランニングシューズを含む10着を試着したが、試着数が二桁になるのは人生初となる体験だった。

アマゾン・スタイルでは非対面の接客を進化させていることで、通常のアパレル店の試着室で億劫に感じる痛点が取り除かれているのだ。

　破壊的なイノベーションをもつアマゾン・スタイルの登場がファストファッション業界にもＤＸ化の潮流が押し寄せることになる。  続きを読む

【アマゾン】、靴もアプリでＡＲ試着！アマゾン・スタイルでフットワークが軽くなる？

■ネット通販最大手のアマゾンは９日、拡張現実（Augmented Reality:ＡＲ）を利用して、バーチャルでスニーカー等を試着できるアプリ機能「靴のバーチャル試着（Virtual Try-On for Shoes）」を発表した。

実際に試着する前に仮想空間で履いた際の見た目を確認できるため、靴の買い物ツールになりそうだ。

バーチャル試着はニューバランスやアディダス、リーボック、ピューマなど数千の商品ページで行えるとしている。

アメリカとカナダの北米でまずは展開される靴のバーチャル試着は、アプリにある靴の商品ページの「バーチャル試着（Virtual Try-On）」のボタンをタップして始める。

カメラが起動すれば、自分の足元を撮影した状態で試着したランニングシューズ等の画像をタップするだけだ。ＡＲにより仮想空間で、指定した靴を自由に履き替え試着できるようになる。

別のカラーやスタイル、他のウォーキングシューズ等をタップすれば即座にＡＲが反応し、すぐに履き替えることができるのだ。まさにシームレスな体験で次々に好きなだけ靴を試着できることになる。

またＡＲ画像は試着した足をひねるなどして様々なアングルからも確認できるため、靴を選びやすくなる。

一方で、あくまでもバーチャル上での試着なため、サイズや履き着心地等の感覚的な確認は実際に試着しなければ確認はできないのだ。

先月オープンしたアマゾンで初となるアパレル専門店「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」と組み合わせることで靴の購入がよりストレスフリーになる。

アマゾン・スタイルはアプリを介しての試着手配や試着室の用意に部屋の解錠、さらに試着室内にあるタッチスクリーンからの注文に手のひら決済をまで最新のテクノロジーを導入するなどアマゾンらしいハイテクを駆使した新しい買い物体験のアパレルショップだ。

アマゾン・スタイルの１階フロアは通常のアパレルショップと変わらないが、陳列がサンプル一着のみ１点となっているため、売り場がスッキリしている。

アプリでサンプルにあるＱＲコードを読み取り、サイズやカラーを決めて試着室に送ることができるのだ。

またアプリでファッションの好みやサイズなどを事前に登録しておくことで、試着室にあるタッチスクリーンでレコメンデーションを受けられるのもアマゾン・スタイルの強みとなっている。

試着室は１階のフロアに17部屋もある他、２階には23部屋も試着室が並んでいるのだ。売り場のない２階には試着室以外のスペースが倉庫となっており、そこから各試着室に配達されるようになってい。

アマゾン・スタイルでは売り場で試着する服を何着も持ち歩く必要がなく、スマホを持つ以外にハンズフリーになるのが嬉しい。

試着室でも追加で注文した商品が届けられる間、何着か（何度か）試着をすることができるため待たされているという印象もない。

試着室では配達スタッフとも顔を合わせる仕様となっており、何度も試着を試したり試着に時間がかかっても気まずい思いをすることがないのだ。

さらにネット購入したファッションをアマゾン・スタイルに送り、そこで試着も可能となる。

この場合、一旦は購入するものの、アマゾン・スタイルで試着してみて気に入らなければその場で返品も可能だ。

つまり店で試着し気に入らなければそのまま返すことで、これまでのように返品にかかっていた手間が省けることになる。

つまりバーチャル試着で自宅等で靴を選び、購入した何足かの靴をアマゾン・スタイルに送り、そこで履き着心地をためして合わない靴は返品にできるのだ。

　靴のバーチャル試着はまずはiOS版のアマゾン・アプリで提供されて、アンドロイド版のアプリに実装される予定となっている。

トップ画像：アマゾンの靴のバーチャル試着。ARを利用していることで様々なアングルからも確認できるため、靴を選びやすくなる。  続きを読む

【Amazon Style】、これが最新ハイテク試着室！軽いフットワークに自腹を切る覚悟も？

■ネット通販最大手アマゾンの初となるアパレル店はアクセサリー以外はサンプルのみの展示となっている。

店頭陳列で１着のみのサンプルにはすべてにＱＲコードが付いており、顧客はアマゾン・アプリで読み取ることで買い物を行うのだ。

アクセスした商品ページでバリエーションやカラー、サイズを選択でき、試着室まで手配する。

選んだ衣類はスタッフが試着室に用意してくれるため、売り場で衣類を持つ必要がないのだ。他のアパレル店やファッション売り場のように何着も持ちながら買い物する手間がなくなる。

また最大50％オフとなる「セールス＆ディールズ（Sales & Deals）」のセールも行っているが、閲覧にはアプリによるスキャニングが必要となる。

ポップにあるトップス、ボトムズ、ドレス、ジャケットのそれぞれのＱＲコードを読み取るとセール品にアクセスできるようになっている。

スマートフォン・アプリを持たない顧客やダウンロードしていない人、アプリの操作が苦手なお客にはスタッフがタブレットで接客する。スタッフがタブレットを介して試着や試着室の手配を行うことになるのだ。

スタッフがもつタブレットは顧客のアプリとの同期も可能。筆者はアンダーアーマーの30ドルのワークアウトパンツを売場スタッフに見せながら、同じでスタイル・素材（ポリエステル100％）でアマゾン・ブランドがないかと尋ねた。

スタッフはタブレットを操作しより安価なアマゾン・エッセンシャルズ（Amazon Essentials）のトレーニングパンツ（ポリエステル93％、ポリウレタン７％）を探しだした。

試着をしてみたいと申し出ると、商品ページを送るのでアプリでインストア・コードを出してほしいと言われた。

アプリに表示したＱＲコードをタブレットでスキャン。即座にアプリがアマゾン・ブランドの商品ページを映し出した。

商品ページの下にある「試着します（Try on）」のボタンをタップして他の商品と同じように試着室に送ったのだ。

アマゾン・スタイルの試着室は１階に17室、２階には23部屋ある。使われていない試着室も常に施錠されており勝手に入ることはできない。

試着される商品は２階にある倉庫からデリバリーする。１階の試着室には、売り場のほぼ中央で左側にあるガラス張りの運搬用エレベーターで運ぶのだ。商品の昇降用エレベーター２機に商品の入ったバッグを倉庫から売り場に下ろすリフトも備え付けられている。

商品と試着室が用意できるとアプリに「お客様に部屋番号〇〇をご用意できました」に「商品○点がお部屋にご用意し、10分間ホールドしておきます」と表示される。

試着室のドアの前で「試着室を解錠する（Unlock your room）」のボタンをタップすると解錠される。

アマゾン・スタイルの試着室はウォークイン・クロゼットのような印象で横幅が150センチメートル、奥行きが180センチ以上ありかなり広い。

正面には扉のついたクロゼットとオープン・クロゼットがある。どちらも奥行きは60センチメートルほどだ。

部屋の側面には20インチのタッチスクリーンとライトのついた鏡が備え付けられている。タッチスクリーンには「ウェルカム・ツー・ユア・ルーム（Welcome to your room）」に利用者の名前が表示され、「始める（Get Started）」ボタンをタッチする。

試着室にある衣類に「ご用意中（On the way）」で囲まれた商品を映し出している。

下にはパーソナライズされたレコメンデーション「ジャスト・フォー・ユー（Just for You）」商品が並び、アマゾンＰＢのアマゾン・エッセンシャル等にセールス＆ディールズもジャスト・フォー・ユー商品を閲覧できるようになっているのだ。

このタッチスクリーンにある商品ページからもカラー・サイズ違いにレコメンデーション商品を試着室にデリバリーできるようになっている。

商品が届くと扉のついたクロゼットに届けられる。クロゼットに商品を用意している間、扉はロックされる。誤って着替えている姿を見られることがない。逆にこちらが扉を開けているときは反対側は開けられない仕様なのだ。

試着が終わると、不要な商品をそのまま残し、購入したい商品をレジに持っていくだけとなる。

レジではクレジットカードやデビットカード、キャッシュ払いの他、手のひらをかざすことでアマゾン・アカウントと紐付いてお会計のできる「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いも可能。

　今日はガラス張りの昇降機や試着室内を中心に画像をアップロードする。  続きを読む

【Amazon Style】、世界最先端のアパレル店はアプリが凄い！アプリのディテールとは？

■ネット通販最大手のアマゾンは25日、同社として初となるアパレル専門店「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」をオープンした。

アマゾン・スタイルの１階フロアは通常のアパレルショップと変わらないが、陳列がサンプル一着のみ１点となっているため、売り場がスッキリした印象となっているのだ。

アマゾン・スタイルが世界最先端のハイテク仕様となっている最大の特徴は、アマゾン・アプリを介して買い物をするところにある。

アプリでサンプルにあるＱＲコードを読み取り、サイズやカラーを決めて試着室に送ることができるのだ。

またアプリでファッションの好みやサイズなどを事前に登録しておくことで、試着室にあるタッチスクリーンでレコメンデーションを受けられるのもアマゾン・スタイルの強みとなる。

アマゾン・スタイルではアマゾン・アプリの起動が求められる。商品サンプルがかかっているハンガーなどにＱＲコードに価格、サイズ等が記されている。

アプリの入力窓にあるカメラをタップし、ＱＲコードをスキャニングするのだ。

自動的にアマゾン・スタイルの商品ページにアクセスしレビューや価格（帯）、在庫にあるカラーやサイズを確認できる。

同じ画面には「試着します（Try on）」と「購入してピックアップ（Send to Pickup）」のボタンがある。

「試着します」をタップすると、車椅子等で利用しやすいよう配慮された試着室の必要を確認してくるのだ。

１点目が試着室に配達されると同時に利用者のサイズや好みを尋ねる「スタイル・サーベイ（Style Survey）」が開始される。

スタイル・サーベイの最初の画面には「スタイル（好み）を聞かせていただくことで、お客様にあったルックスをお探しします」とあり、男性・女性をタップして選択する。

次はトップス（XS〜XLなど）やボトムズ（ウエストと股下）、靴のそれぞれのサイズをフィート・インチ（もしくはセンチメートル）で入力する画面となる。

筆者の場合では次に「どのライフスタイルでレコメンデーションを受けたいですか」と「アスレジャー」「カジュアル」「ビジネス・カジュアル」「ナイトアウト」を選択する画面となっていた。

「登録と続ける（Save and Continue）」のボタンをタップすると次はアイテムから「好き（I'd wear it）」か「嫌いか（Nof for me）」を選ぶ画面となる。

15種類のルックスから好き・嫌いを判断すると、スタイル・サーベイの最後は身長と体重を入力することになるのだ。

その後は、試着室が用意できるまでの時間を示したステータスバーのある商品ページに戻る。ときに試着室のリマインダーとして「１点をご用意しており、試着室の準備もしています」とポップアップする。

試着したい商品のＱＲコードを読み込んでいくと試着室の準備完了を示す「お客様に部屋番号〇〇をご用意できました」に「１点目がお部屋にご用意し、10分間ホールドしておきます」と出てくるのだ。

「試着室を解錠する（Unlock your room）」のボタンもあることでルームキーにもなっているのだ。

　今日はアマゾン・スタイルで試着する際のアプリ画面の遷移を中心に画像をアップしていく。

トップ画像：アマゾン・スタイルが世界最先端のハイテク仕様となっている最大の特徴は、アマゾン・アプリを介して買い物をするところにある。アプリでサンプルにあるＱＲコードを読み取り、サイズやカラーを決めて試着室に送ることができるのだ。商品サンプルがかかっているハンガーなどにＱＲコードに価格、サイズ等が記されている。  続きを読む

【Amazon Style】、初のアパレル店で撮影に試着に買い物も！予想以上の快適さのワケは？

■ネット通販最大手のアマゾンは25日、同社として初となるアパレル専門店「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」をオープンした。

アプリを介しての試着手配や試着室の用意に解錠、タッチスクリーンからの注文に手のひら決済をまで最新のテクノロジーを導入するなどアマゾンらしいハイテクを駆使した新しい買い物体験のアパレルショップだ。

アパレル店のＤＸ事例といってもいいほどイノベーティブで優れた買い物体験を提供している。

場所はロサンゼルスの中心地から北に10マイル（16キロメートル）にあるグレンデール地区のライフスタイルセンター「アメリカーナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」だ。

2008年にオープンしたアメリカーナ・アット・ブランドは屋外型ショッピングセンターであり、店舗の上にプール付きの高級アパートが並ぶ複合型商業施設だ。

センターの中心には緑が敷きつめられた広い芝生に噴水ショーを行うウォーター・オブ・アメリカーナ（Water of Americana）があり、それを囲む通路には路面電車の線路も施設されている。

ショップ・テナントには高い集客数を誇るアップルストア、ティファニー、テスラの御三家の他、ノードストロームやナイキ、ルルレモンなども入居している。

なお御三家を入店させることで、集客力を持たない小テナントに対してリース料を高く設定でき、必然的にハイエンドブランドが揃うことになる。

したがってレストランも台湾の名店で小籠包が人気のディンタイフォン（鼎泰豊）やアメリカで人気の外食チェーンのチーズケーキファクトリー（The Cheesecake Factory）、全米に展開しているカップケーキのスプリンクルズ（Sprinkles）が入っているのだ。

アマゾン・スタイルはアメリカーナの西側に位置し、Ｈ＆Ｍを隣に反対側はセントラル・アベニューに面している。

向かい側にはスーパーリージョナル・ショッピングセンターの「グレンデール・ギャラリア」があり、隣のモールからも徒歩圏となっている。

約３万平方フィート（840坪）の広さとなるアマゾン・スタイルをグレンデール・ギャラリア側からみると奥に細長いことがわかるのだ。

エントランスから入っていくと婦人服から２階の試着室の階段・エレベーターを抜け、紳士服コーナーさらに奥にある試着室まで通路が一直線でかなり長い距離となる。

入り口の右側には返品を受け付けるカスタマーサービスに隣は婦人服側のチェックアウト・レジが並ぶ。

売り場の商品カテゴリーはメンズとウィメンズのアパレルにシューズ、アクセサリーなど。

売り場はサンプルのみの扱いだ。衣類がかかっているハンガーにはＱＲコードと価格（もしくは価格帯）、利用可能なサイズが記されている。

価格帯は10ドルのベーシックアイテムからカルバン・クライン（Calvin Klein）」「リーバイス（Levi's）」「ラコステ（Lacoste）」等、さらにプレミアムブランドの「ヴィンス（Vince）」「セオリー（Theory）」「エキプモン（Equipment）」「レベッカ・テイラー（Rebecca Taylor）」なども含まれている。

ただアマゾンには婦人服を中心にした「エッセンシャル（Essential）」や紳士服の「フランクリン・テイラード（Franklin Tailored）」、婦人服の「ジェームズ＆エリン（James & Erin）」などのプライベートブランドがあるが、アマゾン・スタイルでは取り扱いは少数に絞られる。

また有名インフルエンサーによるキュレーションもディスプレイされていた。

売り場にかかっている案内には「スキャンして、試着室に送るか、ピックアップしてください」と掲げられている。

最大50％オフとなる「セールス＆ディールズ」のポップにはトップス、ボトムズ、ドレス、ジャケットのＱＲコードがあり、それぞれをスキャンするとセール品を閲覧できるようになっているのだ。

アマゾン・スタイルでは試着室が１階に17部屋、２階にも23部屋で合計で40室もあるのだ。

　今日から数回に分けてアマゾン・スタイルの記事を掲載する。今日はトップにある店内動画に外観等の画像を掲載する。

トップ動画：アマゾン・スタイルの入り口から奥にかけて撮影しながら歩いてみた。婦人服から２階の試着室の階段・エレベーターを抜け、紳士服コーナーさらに奥にある試着室まで通路が一直線でかなり長い距離となる。ガラス張りの業務用？のエレベーターでは、試着用の衣類をウェアハウスから上下に運搬する。  続きを読む

【アマゾン】、初のアパレル店「アマゾン・スタイル」がオープン！試着体験が成功の要？

■ネット通販最大手のアマゾンは25日、同社として初となるアパレル専門店をオープンした。

アプリや手のひら決済を採用し、試着室には最新のテクノロジーを導入するなどハイテクを駆使した新しい買い物体験を提供する。

全米トップのファッション小売企業となっているアマゾンがアパレルのＤＸ店舗を展開することでさらなるシェア獲得を狙うことになる。

ロサンゼルス近郊のライルスタイルセンター「アメリカナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」にオープンした「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」は２階建ての約３万平方フィート（840坪）の売り場をもつ。

取り扱う商品カテゴリーはメンズとウィメンズのアパレルにシューズ、アクセサリーなどで、売り場にはサンプルのみでそろえている。

価格帯は10ドルのベーシックアイテムからカルバン・クライン（Calvin Klein）」「リーバイス（Levi's）」「ラコステ（Lacoste）」等、さらにプレミアムブランドの「ヴィンス（Vince）」「セオリー（Theory）」「エキプモン（Equipment）」「レベッカ・テイラー（Rebecca Taylor）」なども含まれている。

有名インフルエンサーによるキュレーションのセクションもあるという。

ただアマゾンには婦人服を中心にした「エッセンシャル（Essential）」や紳士服の「フランクリン・テイラード（Franklin Tailored）」、婦人服の「ジェームズ＆エリン（James & Erin）」、キッズの「スカウト＋ロウ（Scout + Ro）」などのプライベートブランドがあるが、アマゾン・スタイルでは取り扱いは少数に絞られるとしている。

営業時間は月曜日〜木曜日が午前10時〜午後９時まで、金・土曜日が午前10時〜午後10時、日曜日は午前11時〜午後８時までとなっている。

　注目されるのはアマゾンのアパレルショップがハイテクを利用したＤＸ店であるということだ。

ニューヨーク・マンハッタンに2018年11月にオープンしたナイキ旗艦店「ナイキ・ハウス・オブ・イノベーション000（Nike House of Innovaiton 000）」のように利用者は主にアマゾン・アプリを介して買い物することになる。

利用者は売り場にある好みのファッション・サンプルについたバーコードをアプリでスキャンする。商品のＱＲコードを読み込むとサイズやカラー、レビューなどの詳細情報を確認することができるのだ。

商品スキャニングは履歴として残るようになっており、後の購入でも参考にできる。試着不要の場合はその場でチェックアウトのボタンを押すだけで決済が完了する。

試着したい時は商品ページにある「試着します（Try On）」のボタンをタップすることで、利用者専用の試着室が自動的に予約状態となる。

試着室の用意ができるとプッシュ通知で「試着室○○番の用意ができました」と告知され、試着室には「ドアの解錠（Unlock）」を押して入ることになる。

試着室には25インチ前後のタッチパネルがあり、リクエストしたアイテムのサイズや色違いを選べるほか、アルゴリズムを活用して利用者の好みに基づきレコメンデーションを表示する。

アマゾン・スタイルはレジなしコンビニエンスストアのアマゾンゴーと同様にスタッフがいないわけではなく、アプリ利用をしないお客に商品の受け渡しやチェックアウト時の確認などアナログな接客で行うようになっている。

アプリ上での決済の他、レジでは手のひら決済の「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いも可能となっており、現金の利用も可能だ。

お店で買い物時間を取りたくないお客には、アマゾンで購入したファッションをアマゾン・スタイルに送り、そこで試着して気に入らなければそのまま返品もできる。

ネットで商品を選択し時間のあるときにお店で試着し、気に入ったものだけ購入するスタイルだ。

アマゾン・スタイルが他のアパレル店と異質なのは今年１月に公開された映像からも確認できる。アマゾン・スタイルの試着室が40ヶ所もあるのだ。

動画では上階にある大半のスペースを試着室にあてられている。また試着室はかなり広く取られていることもわかる。

試着用にラックも広く取られていることで、試着数が数着のみと限定されることもない。アマゾンのリアル店舗展開では顧客にとって問題となる痛点を取り除こうとしている。

　ウェルズ・ファーゴによるとアマゾンの年間アパレル販売は410億ドル（約5.2兆円）規模に達する。破壊的イノベーションをもつアパレル店の展開でファッションでもアマゾンの躍進は続きそうだ。


アマゾンのファッションストア「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」のイメージ動画。売り場にあるサンプルのＱＲコードを読み込んだり、試着室のタッチスクリーンのレコメンデーション等は珍しくはない。が、40室もある広い試着室はアパレル店ではかなりの異彩を放っている。  続きを読む

【アマゾン】、試着室が40もあるアパレルＤＸ店を発表！ユニクロがケチくさく見える？

■ネット通販最大手のアマゾンは20日、アパレル専門店をオープンすることを発表した。

アプリや手のひら決済を採用し、試着室には最新のテクノロジーを導入するなど新しい買い物体験を提供する。

全米トップのファッション小売企業となっているアマゾンがアパレルのＤＸ店舗を展開することでさらなるシェア獲得を狙うのだ。

リアル店舗展開では７番目となる「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」は今年後半、ロサンゼルス近郊のライルスタイルセンター「アメリカナ・アット・ブランド（Americana at Brand）」に出店を計画している。

約３万平方フィート（840坪）の売り場にはサンプルのみを展示するという。取り扱う商品カテゴリーはメンズとウィメンズのアパレルにシューズ、アクセサリーなど。

詳細については明らかにされていないが価格帯は10ドルのベーシックアイテムから400ドルのデザイナージーンズとある。

　利用者はアマゾン・アプリを介して、売り場にある好みのファッションをスキャンする。商品のＱＲコードを読み込むとサイズやカラー、レビューなどの詳細情報を確認することができるのだ。

商品スキャンは履歴として残るようになっており、後の購入でも参考にできる。試着不要の場合はその場でチェックアウトのボタンを押すだけで決済が完了する。

試着したい時は商品ページにある「試着します（Try On）」のボタンをタップすることで、利用者専用の試着室が自動的に予約状態となる。

試着室の用意ができるとプッシュ通知で「試着室○○番の用意ができました」と告知され、試着室には「ドアの解錠（Unlock）」を押して入ることになる。

試着室には25インチ前後のタッチパネルがあり、リクエストしたアイテムのサイズや色違いを選べるほか、アルゴリズムを活用して利用者の好みに基づきレコメンデーションを表示する。

試着室に商品を届ける際にはアマゾンが物流で長年培ったデリバリーシステムを店内オペレーションに用いるのだ。

バックルームにある在庫から試着室までフルフィルメントセンターにあるシステムを導入することで、利用者を待たせることなくリクエストしたファッションを次々と試着できるようになるのだ。

実際に試着してみて気に入らなければそのまま置いて帰ることも可能になり、利用者の手間をかけさせない配慮になっている。

アマゾン・スタイルはレジなしコンビニエンスストアのアマゾンゴーと同様にスタッフがいないわけではなく、商品の受け渡しやチェックアウト時の確認は接客で行うようになっている。

また手のひら決済の「アマゾン・ワン（Amazon One）」での支払いも可能だ。

売り場のサンプルにあるＱＲコードをスキャンして試着室の持ってきてもらうことは珍しくない。

例えばニューヨーク・マンハッタンに2018年11月にオープンしたナイキ旗艦店「ナイキ・ハウス・オブ・イノベーション000（Nike House of Innovaiton 000）」は売り場のサンプル商品のＱＲコードを読み取って試着室に持ってきてもらうシステムだ。

ただアマゾン・スタイルが他のアパレル店と異質なのは発表と同時にアップされた映像から確認できる。

アマゾン・スタイルのイメージ動画ではあるものの、なんと試着室が40ヶ所もあるのだ。動画では上階にある大半のスペースを試着室にあてられているように見える。

また試着室はかなり広く取られていることもわかる。試着用にラックも広く取られていることで、試着数が数着のみと限定されることもないようだ。

アマゾンのリアル店舗展開では顧客にとって問題となる痛点を取り除こうとしている。

最も象徴的なのはレジ行列の待ち時間をなくしたジャスト・ウォークアウトだ。

ジャスト・ウォークアウトを導入したアマゾンゴーやアマゾンの食品スーパー「アマゾン・フレッシュ（Amazon Fresh）」ではレジを素通りして買い物が可能となっている。

翻ってアマゾン・スタイルでは、アパレルショップの痛点となる試着体験がイノベーションとなる。

40室もあり十分に広い試着室では、レコメンデーション以上にリクエストしたアイテムで顧客を待たせない工夫がされているのだ。

　なたアマゾン・スタイルの店内にもネット注文品を受け取ったり返品できる専用カウンターも付属される。

ネット購入した電化製品をピックアップするついでにアマゾン・スタイルでファッションを試着することも可能となる。


アマゾンのファッションストア「アマゾン・スタイル（Amazon Style）」のイメージ動画。売り場にあるサンプルのＱＲコードを読み込んだり、試着室のタッチスクリーンのレコメンデーション等は珍しくはない。が、40室もある広い試着室はアパレル店ではかなりの異彩を放っている。  続きを読む

【ウォルマート】、ＧＡＰと専売ブランド！アマゾンエフェクトは昨日の敵を今日の友に？

■チェーンストア最大手のウォルマートは26日、カジュアル小売チェーン大手のギャップ（ＧＡＰ）と提携し、ホームデコレーションやインテリア雑貨等、ホームブランドを専売することを発表した。

衣料販売でライバル関係にあったチェーンが、お互いの強みを生かして協業することで新たな顧客を創造する。

巣ごもり需要で拡大したホームグッズ市場にウォルマートはＧＡＰの名前を冠した専売ブランドでシェアを取るのだ。

ＧＡＰがデザインしたホームデコレーションや食器などのテーブルトップ、ベッディング等のリネンを扱う「ＧＡＰホーム（GAP Home）」は約400アイテム。

デニム生地やカンブリック（薄手で軽量の綿または亜麻織物）、オーガニックコットン、ポリエステル繊維と混紡したリサイクル生地などを使ったカーテンやクッション、タオルなどがウォルマート・コムで６月24日から販売される。

15.88ドルのデニム柄の枕から64.98ドルのリバーシブルなキングサイズ・コンフォーター（掛け布団）など、９月からの「バック・ツー・カレッジ（Back to College）」で手頃な価格で提供する。

ウォルマートではＧＡＰホームをネット販売から開始し、徐々に店舗にも広げていく考えだ。ＧＡＰも一部店舗で取り扱うという。

数年契約となる両社の提携についての詳細は明かされていない。

　ネット販売が拡大するに伴い、新たにプライベートブランドをローンチしたり、他社と提携した専売ブランドを発表するチェーンが増えている。

ターゲットは過去５年間で30以上のプライベートブランドをローンチしており、他のブランドと提携した専売ブランドまで合わせると現在までに50以上のブランドがある。

すでに10ブランドが10億ドル以上のビジネスに成長しているのだ。

１年前にローンチしたばかりのアスレジェー・ブランドの「オール・イン・モーション（All in Motion）」も10億ドル（約1,100億円）ビジネスに成長したことを今年２月に発表した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自宅でのエクササイズやトレーニングへの関心が高まったことを背景に、機能性や低価格等の理由でターゲットのアスレジャーブランドが急成長した。

そのほかターゲットの人気ＰＢには子供服ブランドの「キャット＆ジャック（Cat & Jack）」や食品ブランドの「グッド＆ギャザー（Good & Gather）」、パーソナルケア＆ビューティ・ブランドの「アップ＆アップ（Up&Up）」、家具を含むホームファーニッシング・ブランドの「スレスホールド（Threshold）」があり、これらは年間20億ドル以上を稼ぎ出すビッグビジネスになっている。

また今年２月にはアパレルメーカーのリーバイスと提携したライフスタイル専売ブランド「リーバイス・フォー・ターゲット（Levi's for Target）」を期間限定でローンチした実績がある。

　再建途中にあるホームファーニッシング最大手チェーンのベッドバス＆ビヨンドもプライベートブランドを現行の10％から30％に大幅に拡大する計画を明かしている。

ベッドバス＆ビヨンドは今月10日、室内装飾や収納、キッチン＆ダイニングなど1,200アイテム以上に及ぶ戦略的ブランド「シンプリー・エッセンシャル（Simply Essential）」を発表。

リストラを進めるベッドバス＆ビヨンドは１年間で３分の１となる32％（約500店）も店舗数を減らしつつ、広範囲なカテゴリーに及ぶプライベートブランドをローンチしたのだ。

ベッドバス＆ビヨンドに2019年11月にＣＥＯに就任したマーク・トリットン氏はその前までターゲットのチーフ・マーチャンダイジング・オフィサー（商品開発の主任）であった。

　スイスのＵＢＳ銀行は今年３月、アマゾンが昨年にファッション販売の売上高でウォルマートを抜き去り全米トップに立ったことを発表した。

アマゾンの存在感が増すなか今後も大手チェーンストアによる新たなブランドが生まれることになるのだ。  続きを読む

【ファッション販売】、アマゾンがウォルマートを抜き覇者！有名デザイナーでテコ入れ？

■パンデミックはファッション販売のトレンドにも大きな影響をもたらしている。スイスのＵＢＳ銀行が17日に発表した調査結果によるとアマゾンが昨年、ファッション販売の売上高でウォルマートを抜き去り全米トップに立った。

巣ごもり消費でインターネット通販が加速、ファッションもＥコマース売上高が伸びているのが要因。

ファッション販売で覇者となったアマゾンのアパレルとフットウェアの売上高は2020年、前年から15％も増加し410億ドル（約4.5兆円）だった。

ＵＢＳの試算ではウォルマートに比べて20〜25％も売り上げているのだ。

アマゾンのファッション販売のシェアはアパレル全体の11〜12％になり、オンライン販売に限れば34〜35％にも達する。

また2021年のアマゾンのアパレル売上高は450億ドル（約4.9兆円）を超えるとの予想だ。

全米に4,700店以上を展開するウォルマートもファッション販売のテコ入れに熱心だ。

消費者の多くがネット通販でアパレルブランドを購入するようになりファッションブランドに対する意識も変化している。

ウォルマートにはアップスケールまでいかないまでも高品質でハイファッションのプライベートブランド（ＰＢ）がある。

小売売上高で全米トップのチェーンは立ち上げたばかりのエレベイテッド自社ブランドに有名デザイナーを起用したのだ。

ウォルマートは16日、レディ・ガガのスタイリストでファッション・デザイナーとして人気のブランドン・マクスウェル（Brandon Maxwell）氏をエレベイテッドＰＢ「フリー・アッセンブリー（Free Assembly）」と「スクープ（Scoop）」のクリエイティブ・デザイナーとして起用したことを発表。

2022年春からマクスウェル氏が携わったブランドとして生まれ変わるのだ。

ウォルマートは４年前、ボノボス（Bonobos）やモドクロス（Modcloth）といったデジタルネイティブなブランドを買収し、ファッション販売で間口を広げようとしていた。

しかしオンラインオンリー・ブランドが予想に反して低迷したことで、ウォルマートはファッション戦略の軌道修正を余儀なくされたのだ。

買収から２年後にモドクロスを売却し同じ頃、ボノボスの売却も検討していると報じられた。

その後、ウォルマートは女優のソフィア・ベルガラ氏と提携したジーンズブランド「ソフィア・ジーンズ（Sofia Jeans）」や2018年10月に買収したプラスサイズブランド「エロクイ（Eloquii）」と立ち上げた「エロクイ・エレメンツ（Eloquii Elements）」をローンチ。

2019年には閉店してしまったセレクトショップのスクープを専売ブランドとしてリローンチし、ベーシックなファッションアイテムのフリー・アッセンブリーを発表した。

ウォルマートは昨年12月、ティックトックで視聴中に買い物もできるライブストリーム・イベントを開催した時、インフルエンサーでティックトック・クリエーターがこれらのブランドを販売した。

若いクリエーターらとコラボしたショッパブル・コンテンツではエレベイテッドＰＢが若い世代にリーチし話題となった。

36歳のマクスウェル氏を起用することにより、新ＰＢをミレニアムやジェネレーションＺの世代にも浸透させたいのだ。

　ファッション販売でもウォルマートとアマゾンの激しいバトルが今後も繰り広げられることになるのだ。

トップ画像：レディ・ガガのスタイリストでファッション・デザイナーとして人気のブランドン・マクスウェル（Brandon Maxwell）氏。  続きを読む

【レント・ザ・ランウェイ】、全リアル店を恒久的閉鎖！店展開の見直しだけですまない？

■新型コロナウイルス感染拡大の影響による倒産や店舗閉鎖はいまだに後をたたない。

直近ではアパレル・ディスカウンターのステインマート（Stein Mart）が12日、連邦破産法11条の適用申請を行い倒産した。以前から経営不振となっていたステインマートは全279店舗を閉鎖することを発表しており、再建を目指すことなく事業清算となるようだ。

紳士服チェーンの「メンズウェアハウス（Men's Wearhouse）」や「ジョスＡバンク（Jos. A. Bank）」を展開するテーラード・ブランズ（Tailored Brands）も今月初め連邦破産法11条の適用申請を行い倒産した。

モールを中心に1,450店を展開しているテイラード・ブランズは先月、本部スタッフの20％に当たる人員のレイオフや最大500店舗を閉鎖することを発表していた。

アメリカ最古のデパートメントストアのロード＆テイラーも２日、連邦破産法11条の適用を申請して破たんだ。ロード＆テイラーはすでに19店舗で閉店セールを開始し、残りの19店舗の経営も危ぶまれている。

婦人服チェーンの「アン・テイラー」やプラスサイズの「レーン・ブライアント」などを傘下にするアシナ・リテール・グループは先月、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを連邦破産裁判所に申請し倒産した。こちらは国内にある約3,000店舗のうち最大1,600店舗を閉鎖する大量閉店だ。

　閉鎖店舗が３桁や４桁には行かないもののリアル店舗展開から撤退するオンラインストアもある。

高級ブランドのドレスやアクセサリーを安価な価格で無制限にレンタルできるサービスを提供するレント・ザ・ランウェイ（Rent The Runway）は12日、ニューヨークにあるフラッグシップストアを含め全５店舗を恒久的に閉鎖することを発表した。

パンデミックにより外出の機会が減っただけでなく、ウェディングやパーティなどイベントで着用されるフォーマルウェアの需要がほぼなくなったことが要因だ。レンタルウェアに対する衛生面についても消費者の意識が変化していることも背景にはある。

ファッション・レンタル・サブスクリプションサービスのレント・ザ・ランウェイはニューヨークやロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコ、ワシントンＤＣにリアル店をもち、コンシェルジュな接客などオムニチャネルの物理拠点として展開していた。

外出禁止令が発動された３月には全５店を臨時閉店し、全店舗スタッフをレイオフしていた。レント・ザ・ランウェイはリストラしたスタッフ人数について発表していない。

全５店を恒久的に閉鎖するもニューヨークのフラッグシップストアはドロップボックス（返却受付）としてのみ機能するという。

なおレント・ザ・ランウェイではコワーキングスペースのウィワーク（We Work）やノードストローム、家具販売のウエストエルム（West Elm）にある返却拠点はそのまま継続する。

　エア・クローゼットやクローゼットのクラウドサービスとも呼ばれていたレント・ザ・ランウェイのビジネスモデルはもともとリアル店舗に依存したものではない。

しかしドレスウェアを着る機会がそもそもなくなったコロナ禍ではオンラインのみでも経営の舵取りは難しくなるのだ。  続きを読む

【ウォルマート】、オンライン古着ショップのスレッドアップと提携！本当の豊かさとは？

■ウォルマートは27日、オンライン古着ショップのスレッドアップ（ThredUP）と提携してオンラインで婦人服や子供服などの中古販売を始めたことを発表した。新型コロナウイルスの影響により失業者の急増が予想されており、中古品市場の急拡大に対応する。

米国ではアクセサリー類を含む中古のアパレル品をセコンドハンド（Secondhand）と呼んでおり、ウォルマートのサイトにある「スレッドアップ・ショップ（Thredup Shop／Walmart.com）」にて展開している。

扱っている商品は婦人服や子供服、バッグやシューズ等のアクセサリー類で4.5万種類のブランドにアイテム数は75万アイテムにも上っている。

中古を意味する「プレオウンド（Pre-owned）」と表示された衣料品の状態は「新品（New）」もしくは「ほぼ新品（Like New）」となっており、ハンドバッグやシューズなどのアクセサリー類は新品やほぼ新品の他に「タグ付きの新品（New with Tags）」「若干の使用感（Gently Used）」と表示されている。

価格帯はドレスなどが15ドル〜40ドル未満となっており、ハイヒールやシューズも30ドル以下に抑えられている。

送料は35ドル以上で送料無料となる。スレッドアップのセコンドハンド販売はウォルマートの実店舗では行わずオンラインのみとなっている。一方、返品は実店舗でも受け付けるという。

　中古アパレルの販売に乗り出したチェーンはウォルマートにとどまらない。高級デパートメントストアのノードストロームは今年１月、中古品を販売する部門を立ち上げたことを発表。

低迷が続くデパートメントストアに高額ブランドのセカンドハンド販売を持ち込み、新たな顧客層を開拓している。

ノードストロームのセカンドハンド販売は特設サイトの「シー・ユー・トモロー（See You Tomorrow）」とニューヨーク市内にある旗艦店の一部門として開始。

シー・ユー・トモローが扱う商品は婦人服や紳士服、子供服、靴、ハンドバッグ、アクセサリー、時計を含むジェリーなど。

ノードストロームでは「ノードストローム・クオリティ・センター（Nordstrom Quality Center）」部門にある返品を検品し修理やクリーニングの後に専任の担当者が選んで、ノードストロームＮＹＣの専用売り場やオンラインストアに出品する。

これまではノードストロームのオフプライスストアのノードストローム・ラックが販売していた。

シー・ユー・トモローでは専任の目利きから高額ブランドなどを扱うとしている。

なおノードストロームＮＹＣではノードストロームで購入された中古品を対象に買い戻しも開始し、払い戻しはギフトカードで対処する。またオンラインストアでは郵送での中古品の受け付けも開始される。

　中古品販売でスレッドアップと提携しているチェーンではメイシーズやＧＡＰの他、倒産したＪＣペニーや破綻したＪクルー傘下のメイドウェルなどがある。

メイシーズでは昨年８月から40店舗でセコンドハンド・アパレルのテスト販売を開始した。ＪＣペニーも８月、30店舗で500〜1,000平方フィート（約14〜28坪）のスペースを使って中古の婦人服やハンドバックの販売を始めていた。

ＧＡＰもバナナリパブリックやアスレタ、子供服のジェニー＆ジャック等、一部の店舗でスレッドアップの中古ハンドバッグなどを販売しているのだ。

　スレッドアップによるとミレニアル層など若い世代が中心になり、中古アパレル市場を押し上げると予想している。ウォルマートはチェーンストアに囚われずパンデミック後も見据えた新たな動きを開始したことになる。

トップ画像：ウォルマートのサイトにある「スレッドアップ・ショップ（Thredup Shop／Walmart.com）」のスクショ。  続きを読む

【Ｊクルー】、コロナ禍で大手チェーンとして初の破綻！先延ばしのツケが回ってくる？

■大手ファッション・アパレル・チェーンのＪクルーは４日、バージニア州の裁判所に連邦破産法11条の適用を申請し倒産した。新型コロナウイルスに伴う経済活動の停滞が引き金となり、全米規模の小売チェーンが経営破綻するのは初のケースとなる。

Ｊクルーはアンカレッジ・キャピタル・グループやＧＳＯキャピタル・グループなど債権者から４億ドルのＤＩＰファイナンス（法的整理下にある企業向けの短期融資）枠を確保しており当面の事業は継続可能となり、業務を続けながら経営再建を目指すとしている。

オバマ前大統領のミシェル夫人の愛用ブランドとして知られるＪクルーはショッピングセンターなどモールに店舗を展開。パンデミック前からアマゾンなどネット通販との競争激化で経営が悪化していた。新型コロナウイルスの感染防止策の外出規制に休業で売上が途絶え、破綻を余儀なくされた。

Ｊクルーはブランドの前身である「ポピュラークラブプラン（Popular Club Plan）」として1947年に創業。1983年には通信販売カタログ事業を始めたことを機にＪクルーと名所を変更し、1989年からチェーン展開を開始した。

Ｊクルーでは本体のＪクルーを181店、姉妹ブランドでデニム製品を手掛けるメイドウェルが140店に加え、ファクトリーストア170店の計491店を展開している。

なお新型コロナウイルスの感染拡大による外出禁止令で売り上げが低迷し倒産にいたった小売企業にはイギリスのローラ・アシュレイがあり、米国内でも約100店を展開する高級デニムのトゥルー・リリジョンが先月、倒産している。

他に破綻まで秒読みと見られている高級デパートメントストアのニーマンマーカス、破産申請を検討中といわれるデパートメントストアのＪＣペニーにロード＆テイラー、120店以上を展開するクックウェア・チェーンのサーラ・テーブル等、破綻間近との報道だ。

約200年前に創業し250店を展開する紳士服のブルックス・ブラザーズも身売りや倒産を模索と報じられている。

　調査会社のコアサイト・リサーチによると今年、最大で15,000店が閉店するとの予測だ。昨年に発表されたアメリカ国内の閉鎖店舗数はトータルで9,300店。今年は新型コロナウイルスの影響で売上がまったく立たず、昨年より60％以上多く閉店に追い込まれるとしている。

コアサイト・リサーチ創業者でＣＥＯのデボラ・ウェインスウィグ氏は「（新型コロナウイルス感染が）長引けば長引くほど店が大量に閉店する」と指摘している。

スイスの金融グループＵＢＳは昨年、Ｅコマースのシェアが伸びることで2026年までにアメリカ国内の7.5万店が閉店するとの試算を発表した。しかし最近になってＵＢＳは新型コロナウイルスの影響もあり2025年までに10万店が閉店となると予測を修正したのだ。

ＵＢＳでは小売全体に占めるオンライン売上高が現在の15％から５年後には25％に成長するとの見通しだ。昨年はオンライン支出が世帯平均で5,800ドルだった。今年は外出禁止令によりオンライン支出が大幅にアップすると予想されている。

自宅待機が延長されアウトブレイクの終息宣言が遅れれば遅れるほどオンラインへの支出が増え、モールにある店での支出は減ることになる。ネットショッピングが買い物行動として習慣化し、終息後も定着することになるのだ。

　Ｊクルーを含めファッションチェーンはオンライン販売以外の営業再開は見通せない状況にあり、今後も再開前に大量閉店を行うなど厳しい状況が続くことになる。  続きを読む

【フォーエバー21】、破綻・最大350店を閉鎖！豊かさの価値感が変化しチェーンは苦境？

■ファストファッション大手のフォーエバー21は29日、連邦破産法11条の適用申請を行い倒産した。ネット通販やファッションサブスクリプションの台頭で多くのアパレルチェーンが閉鎖に追い込まる中、客足が落ちたモールに展開するフォーエバー21も経営状態が悪化していた。

1984年に創業したフォーエバー21はアメリカ国内の549店舗を含め、全体で815店舗を展開している。

10月末で日本から完全撤退を表明している同社はアジアと欧州にある大半の店舗を閉鎖する。一方、メキシコと中南米地域では事業を継続する方針。

アメリカでは178店舗を閉鎖する計画で、全体では300〜350店舗の大量閉鎖となる。

フォエーバー21はリストクチャリングに、ＪＰモルガン・チェース銀行を仲介役に既存の債権者から2.75億ドルの資金を調達。また投資機関のＴＰＧシックス・ストリート・パートナーズとその関連企業から7,500万ドルの出資を得たとも明らかにした。

フォエバー21の売上高は2016年の44億ドル（約4,800億円）から昨年には33億ドル（約3,600億円）に落ち込み、従業員数もピーク時の4.3万人から3.28万人となっていた。

　８月に倒産したバーニーズ・ニューヨークを含め、今年は大手チェーンストアによる大量閉店が後を絶たない。

大手チェーンではペイレス・シューソースやジンボリー、シャロットルッセ、チャーミングチャリーなどが破産し、企業精算・廃業となっている。多くのチェーン店でも３桁になる店舗の大量スクラップを余儀なくされているのだ。

調査会社のコアサイト・リサーチによると、９月27日までに発表されたアメリカ国内の閉鎖店舗数はトータルで8,567店舗に上った。昨年１年間で閉鎖となった5,864店を超えただけでなく、2017年の店舗閉鎖8,139店をはるかに凌ぐペースで大量閉店が起きているのだ。

コアサイト・リサーチでは今年の店舗閉鎖数が1.2万店との予想をしている。

全米77都市のショッピングセンターをモニターしている不動産調査会社レイス社によると、第２四半期（４月〜６月期）のモール空室率は9.3％だった。9.3％の空室率は前年同期の8.6％から0.7ポイントも上昇、リーマンショック後の高水準となっているのだ。

　フォーエバー21の大量店舗閉鎖により、サイモン・プロパティー・グループやブルックフィールド・プロパティ−・パートナーズなどショッピンセンター大手所有者にとって歯抜け問題がさらに増えることになる。

フォエバー21の平均リース面積は38,000平方フィート（約1,100坪）。大半のファッションチェーンにとっては大きすぎ、逆に大手チェーンストアには小さすぎる売場となる。そのためフォエーバー21に代わるテナントを見つけるのが容易ではない。

　フォーエバー21の閉鎖で客足が一層落ちることでモール業者からテナント店までショッピングセンターはさらに難しい状況に追い込まれることになる。  続きを読む

【フォーエバー21】、破産を検討！チェーンストアの陳腐化・不良資産化に抗う人達には？

■ファストファッション大手のフォーエバー21が連邦破産法11条の適用申請の検討をしている。ニュースサイトのブルームバーグが28日、複数の関係者の話として伝えた。

ネット通販の台頭で多くのアパレルチェーンが閉鎖に追い込まる中、客足が落ちたモールを中心に展開するフォーエバー21も経営状態が悪化していた。

報道によるとフォーエバー21は債務再編のためアドバイザーチームを組み、経営立て直しに必要な融資で新たな債権先を模索。いくつか追加融資が可能なところがあったものの交渉は頓挫しているという。

破産回避に向けて土壇場で合意する可能性はあるものの、現在は連邦破産法11条に基づく会社更生手続き申請に向けたつなぎ融資（ＤＩＰファイナンス）の確保に移っている。また破産法の適用申請後、フォーエバー21は不採算店舗の大量閉鎖に乗り出すとの見方もでている。

1984年創業のフォーエバー21は郊外のショッピングセンターなどを中心に出店しており、広い賃貸スペールをリースしているモールテナントの主力チェーンの一つとなっている。

フォーエバー21が大量閉鎖に踏み切ればさらにモールから客足が遠のくことになる。

　先に倒産したバーニーズ・ニューヨークを含め、今年は大手チェーンストアによる大量閉店が後を絶たない。調査会社のコアサイト・リサーチによると、７月31日までに発表されたアメリカ国内の閉鎖店舗数はトータルで7,567店舗に上った。今年は上半期だけでも、昨年１年間で閉鎖となった5,864店を超えるペースで店舗閉鎖が起きている。

コアサイト・リサーチでは今年の店舗閉鎖数が2017年の8,139店を上回る、1.2万店との予想をしているのだ。

全米77都市のショッピングセンターをモニターしている不動産調査会社レイス社によると、第２四半期（４月〜６月期）のモール空室率は9.3％だった。9.3％の空室率は前年同期の8.6％から0.7ポイントも上昇、リーマンショック後の高水準となっているのだ。

　フォーエバー21が破産し、大量閉店となればさらにモールの客数は減少、また別のアパレルチェーンが苦境に追い込まれることになるのだ。

⇒こんにちは！アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社のコンサルティング・セミナーの日程には、ウォルマートやターゲット、ホームデポなどの視察先にＩＴ＆オムニチャネルワークショップのカリキュラムメニューをあげています。例えばウォルマートであれば「グローサリー・ピックアップ」や「ピックアップタワー」さらにアプリ機能の「ストアモード（ＡＲスキャナー、プライスチェッカー、ストアマップ）」や「ウォルマートペイ」「イージーリターン」など。大手チェーンストアがどんどん便利な買い物を提供しているに従って、新メニューが増えていきます。こういったカリキュラム・メニューに混じって視察先の解説テーマもポイントとして表記しています。リージョナル・ショッピングセンターなどに訪れる予定にはモール名の下に「チェーンストア理論の崩壊」と記しています。チェーンストア理論で成功してきたチェーンストア経営者や幹部に「チェーンストアの陳腐化・不良資産化」を説明しても、一部に半笑いで話を聞かない人もいます。  続きを読む

【サブスク】、大手アパレルチェーンがレンタル市場に続々参入！若者のホニャララ離れ？

■ペイレス・シューソースやジンボリー、ドレスバーンなど大手チェーンストアによる大量閉店のニュースが今年続いている。特にアパレルチェーンによる店舗スクラップが深刻だ。

アマゾンなどのネット販売によりチェーンストアのビジネスモデルが以前ほどの集客力を持たなくなっているのだ。

若い消費者を中心に買い物の仕方が変化している。むしろ今はモノを使い倒す「消費」や所有する「買い物」に変化があるのでなない。消費や買い物より、モノは借りる「レンタル」の時代になっているのだ。

大手ファッションチェーンもモールなどへのリアル店舗展開より｢サブスクリプション（定額課金）サービス｣に舵を切り始めている。

女性服の月極レンタルを手がける｢レント・ザ・ランウェイ（Rent the Runway）｣に倣い、大手チェーンがオンライン・レンタル・サブスクリプションに続々と参入している。

　ファッションブランドのアーバン・アウトフィッターズが今夏、サブスクリプション型の女性衣料レンタルサービス｢ニューリー（Nuuly）｣を開始する。

アーバン・アウトフィッターズ以外にも同社が展開する｢アンソロポロジー（Anthropologie）｣や｢フリー・ピープル（Free People）｣に加えて、リーボック（Reebok）やリーバイス（Levi's）、ラングラー（Wrangler）といった100を超えるブランドから月額88ドルで６着までアイテムを借りることができる。レンタル対象の中には、ビンテージアイテムも含まれるという。

今年始めには同じくファッションブランドのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズもレンタルサービス「アメリカン・イーグル・スタイル・ドロップ（American Eagle Style Drop）」を月額49.95ドルで開始。

カジュアルブランドのエクスプレスも月額69.95ドルの「エクスプレス・スタイル・トライアル（Express Style Trial）」でローンチしている。

アンテイラーも月額95ドルの「インフィニット・スタイル・バイ・アンテイラー（Infinite Style by Ann Taylor）」で展開中だ。

　アパレルチェーンだけでなくデパートメントストアもオンライン・レンタル・サブスクリプションを開始する。

メイシーズは先週、傘下で高級デパートメントストアのブルーミングデールズで「マイリスト・アット・ブルーミングデールズ（My List at Bloomingdale's）」を開始することを発表した。月額149ドルとなるレンタル・サブスクリプションは９月中旬からのローンチを予定しており、60以上のブランドから集めた100点以上の限定コレクションを用意している。

直近ではＧＡＰもサブスクリプション・サービスを発表。傘下のバナナ・リパブリックはファッション・サブスクリプションを手掛けるキャッスル（Caastle）と提携し９月末から女性向けに月額85ドル（３着）「スタイル・パスポート（Style Passport）」を始める。

なおレンタル・サブスクリプションの物流から洗濯・ドライクリーニングサービスまで提供するキャッスルはアン・テイラーやブルーミングデールズもサポートしている。

　調査会社グローバルデータ・リテールではファッションレンタルの2018年の市場規模を10億ドルと試算しており、年20％の急成長により2023年には25億ドルに達すると予想している。

　大手アパレルチェーンによる大量閉店が相次ぐ一方で、レンタル市場への参入を果たしながら新たなビジネスモデルを模索するチェーンが増えるのだ。

トップ画像：老舗デパートのロード＆テイラー。サブスク企業からの買収話が持ち上がっているのだ。  続きを読む

【ノードストローム】、在庫ゼロの高級デパート「ローカル」がＬＡに２店追加オープン！

■高級デパートメントストアのノードストロームは10月３日、在庫を持たない新コンセプトストア「ノードストローム・ローカル（Nordstrom Local）」をさらに２店舗オープンする計画を発表した。ノードストローム共同社長のブレイク・ノードストローム氏が29日の株主総会で公表したことによると、今年中にノードストローム・ローカルをロサンゼルスに２店舗追加オープンし、昨年オープンしたメルローズ店と合わせ３店舗展開にする。上手くいけばマンハッタンにもオープンしていくとしている。ロサンゼルスの出店先など、詳細は明かしていない。

　昨年10月にオープンしたノードストローム・ローカル（8401 Melrose Place, Los Angeles, CA 90069）は、標準サイズ3,900坪のフルライン・デパートメントストアとは異なり、100坪にも満たない約80坪（3,000平方フィート）の面積。

ノードストローム・ローカルはオムニチャネルやパーソナルサービスを重視する一方、商品在庫を持たず商品サンプルさえ置いていない店舗となっている。ノードストローム・ローカルには８つの試着室があり、パーソナル・スタイリスト（Personal Stylist）からのアドバイスなどで、ノードストローム・コムで取り寄せたドレスやジャケット、シャツなどを試着しながら購入・返品することになる。ノードストローム・ローカルでは最寄りのノードストロームなどから取り寄せた注文品を届けるバンが１日に３回立ち寄るという。

パーソナル・スタイリストはモバイルのアプリ機能「スタイル・ボード（Style Boards）」を使ってフィッティング・アドバイスを行うほか、ノードストロームのオンラインストアもしくは商品手配も行う。午後２時までの注文では当日に宅配やピックアップもでき、ストアピックアップでは降車せずに店の前で受け取れるカーブサイド・ピックアップも提供する。店内では修繕やテーラーなどの仕立てのサービスにネイルサービスもあり、ノードストロームが2014年に買収したＥＣ系ショップのトランククラブのサービスも提供されるという。

店内にはインストアバーもあり、ワインや地ビール、コーヒーやジュースを飲みながらの接客も可能となっている。

ノードストローム・ローカル・メルローズ店から10分程度（約３キロメートル）の距離にライフスタイルセンターの「ザ・グローブ（The Grove）」にあるノードストローム・ザ・グローブ店（189 The Grove Dr, Los Angeles, CA 90036）があり、15分程度（約５キロメートル）のところには最近リノベーションが終わったノードストローム・ウエストフィールド・センチュリーシティ店（10250 Santa Monica Blvd, Los Angeles, CA 90067）がある。

　在庫ゼロとなるノードストローム・ローカルの成功のカギは、パーソナライゼーションと商品が顧客に届くまでのラスト・ワン・マイル（スピード）だ。ネットにできない、顧客のもてなしもキーポイントになるのだ。  続きを読む

【ユニクロ】、アメリカ国内の空港やＳＣで自販機展開！も失敗します、なぜなら．．．？

■ファストファッションのユニクロはアメリカ国内の空港やショッピングセンターに自動販売機「ユニクロ・ツー・ゴー（Uniqlo To Go）」を展開する。タッチパネルで操作するユニクロ・ツー・ゴーは同社の主力製品である「ヒートテック・シャツ」と「ウルトラ・ダウンジャケット」を扱う。自販機販売では14.90ドルのヒートテックと69.90ドルのダウンジャケットのみに商品を絞ることで、それぞれのサイズとカラーバリエーションを豊富にする。決済はクレジットカードもしくはデビットカードとなる。決済後は、缶に入ったヒートテック（もしくは箱に入ったダウンジャケット）を、ケースが動いて受け取り口まで運ぶようになっている。ユニクロ・ツー・ゴー１号機は８月２日、カリフォルニア州オークランド空港に設置された。８月10日にはロサンゼルス近郊にあるショッピングセンター「ハリウッド＆ハイランド（Hollywood Highlnad）」、続いて17日にテキサス州のヒューストン空港、22日にはニューヨーク市クィーンズのエルムハーストのモール「クィーンズ・センター（Queens Center）」に設置予定となっている。ユニクロ・ツー・ゴーは２ヵ月間でさらに空港やモールなど６ヵ所に置かれる計画としている。
　全米最大の家電チェーンのベストバイは、ヘッドフォンやチャージャーを販売する自販機「ベストバイ・エキスプレス（Best Buy Express）」を空港やモール、基地に200台以上を展開している。なおベストバイ・エキスプレスは、自販機展開を行っているズーム・システムズ（Zoom systems）が運営している。
　10年前にはメイシーズやスーパーのセーフウェイがテステ展開を行ったが、失敗に終わっている。

トップ画像：ユニクロの自販機「ユニクロ・ツー・ゴー（Uniqlo To Go）」。  続きを読む

【アマゾン】、自宅を試着室にするサービス！通販最大手の自由返品で柳井さんも真っ青？

■ネット通販最大手のアマゾンは20日、プライム会員向けに衣料品などを試着して購入できる「アマゾン・プライム・ワードローブ（Amazon Prime Wardrobe）」を発表した。新サービスはアメリカ小売業界で古くからある返品制度を生かしたサービス。対象となるファッションアイテムは婦人服や紳士服、子供服、靴、アクセサリーなど100万点以上で、カルバン・クラインやリーバイス、アディダス、ヒューゴボスなどブランド商品も含まれる。利用者はこれらのファッションアイテムから３アイテム以上を注文する。受け取りから７日以内に返品すればお金がかからない。配送料や返品時にかかる送料も無料となる。注文した商品の中から３〜４アイテムを購入すると合計額から10％が引かれ、５点以上の購入では20％オフとなるディスカウントが適用される。決済は実際に購入する商品を選んだ後に行われ、プライム会員であれば追加料金なしでサービスを何度でも利用することが可能。なお返品は送られてきた箱に詰めて返送する。プライム・ワードローブでは返送しやすいようにプリペイドラベル（送料前払い済みの発送ラベル）が同封されており、また梱包しやすいダンボールにもなっている。現在はテスト段階となっており、登録しておけばサービス開始時に通知を受けることができる。
　試着から販売するＥコマースの事例ではメガネ販売のワービー・パーカー（Warby Parker）や靴のザッポス（Zappos）、ファッションではスティッチフィックス（StitchFix）やノードストローム傘下でメンズカジュアルウエアのトランククラブ（TrunkClub）などがある。これらの企業では送料・返品がすべて無料であり、自宅で気軽に試着して選べることから売上を伸ばしている。一方で返品率は高くなり、商品によっては返品率が40％近くに達する。
　プライム・ワードローブの拡大でファッションを販売する小売チェーンやデパートメントストアへの影響はさらに大きなものになる。メイシーズなど大手チェーンストアは再び大量閉店に追い込まれるのだ。

トップ動画：アマゾンが発表した新サービスの「アマゾン・プライム・ワードローブ（Amazon Prime Wardrobe）」。プライム会員の利用者はファッションアイテムから３アイテム以上を注文する。受け取りから７日以内に返品すればお金がかからない。配送料や返品時にかかる送料も無料なのだ。これでは益々、お店に行かなくなる。返品に厳しいユニクロは苦戦するのだ。

⇒こんにちは！アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。コンサルティング・セミナーで最初に学んでいただくのがアメリカ小売業の返品制度です。返品制度とは「100％満足度保証」です。「気に入らない（I don't like it）」という理由だけで（理由さえ問われないことも）、購入した商品を使い倒していても返品できるのです。これまで私は500ドル以上のコピー機からアイフォン５、アイパッドプロ（9.7インチ）、ミールキットなど高額品から食べ残し、賞味期限切れ食品まで様々な商品を返品してきました。返品時にスタッフに怒られたことも嫌味を言われたこともありません。返品の話をすると、多くのクライアントはショックを受けます。商人としてやりきれない気持ちになり、怒りというか苛立ちを後藤にぶつけてくる人もいます（笑）。気持ちは理解できます。が、「アメリカの返品制度は良いか、悪いか」ということ論じても意味はありません。100年前のシアーズ・カタログには「100％満足度保証」のミシンがありますし．．．  続きを読む

【Ｊクルー】、本社スタッフ150人のリストラ！本社スタッフ縮小の次はお店の大量閉鎖？

■消費者の行動変化でデパートメントストやチェーンストアが大量閉鎖やリストラに見舞われている中、また大手アパレルチェーンがリストラを発表した。大手ファッションチェーンのＪクルーは25日、コスト削減策として本部社員150人のリストラを発表した。現在欠員となっている本部職100人分のポジションについても補充しない方針を明らかにした。今回のリストラにより退職金など1,000万ドルを超すと計上するものの年間3,000万ドルを節約できるとしている。Ｊクルーが先月発表した第４四半期（11月〜１月期）決算では、本体Ｊクルーと傘下で姉妹ブランドのメイドウェルの連結売上高が6.94億ドルと前年同期比２％の減少だった。純利益は約100万ドルだった。前年同期は約700万ドルの赤字だった。既存店・売上高前年同期比は５％の減少。これにより同社の既存店ベースは10四半期連続で前年を下回った。既存店の内訳は売上全体の15％程度となるメイドウェルが６％の増加となったものの、Ｊクルーが７％減と落ち込んだ。通年では売上高が24.3億ドルと前年から３％の減少だった。純損益は2,400万ドルの赤字だった。既存店・売上高前年比は７％の減少だった。前年は同８％の減少だった。Ｊクルーはモールなどに278店を展開しており、メイドウェル（Madewel）は115店、39店のJ.クルー・マーカンタイルを含むＪクルー・ファクトリーは179店を展開している。
　Ｊクルーは今月初め、26年間Ｊクルーに在籍したクリエイティブ・ディレクター兼社長のジェナ・ライオンズ氏の退任を発表している。ライオンズ氏はＪクルーの躍進を率いた同社の顔としてだけでなく、ファッション業界の敏腕＆カリスマデザイナーとしても知られていた。  続きを読む

【大量閉鎖】、Ｂｅｂｅは全店閉鎖にルー21は400店の閉鎖！チェーンストア経営は終焉？

■レディースファッションチェーンのＢｅＢｅは21日、アウトレットストアを含むすべての店舗を閉鎖し企業清算を行うと発表した。Ｂｅｂｅには過大な負債がないものの過去４年で２億ドルもの赤字を計上しており、Ｈ＆ＭなどＺａｒａなどファストファッションにアマゾンなどオンラインストアからの攻勢にリアル店舗では戦えないと判断したようだ。同社は国内やカナダなどのモールに134店舗、アウトレットストアを34店舗を展開している（３月22日時点）。またオンラインストアの他、海外にはライセンス契約で21ヶ国71ヵ所で販売している。全店スクラップに伴う解雇人数など詳細は明らかにされていないが、昨年の７月時点のスタッフ数から2,600人が影響を受けるとみられている。Ｂｅｂｅはすでに企業清算を専門にするタイガーキャピタル社と提携しており、５月末までには国内店の清算を終える予定。店舗閉鎖ではティーン向けファッションチェーンのルー21も大量閉鎖を発表している。全米48州に1,218店を展開している同社は15日、不採算店を中心に約400店の店舗閉鎖を行うことを発表した。店舗スクラップはルー21のフェイスブックで明らかにされているが、閉鎖店舗のスタッフ・リストラについては発表していない。数百店規模となる店舗閉鎖ではディスカウントシューズチェーンのペイレスショーソースが今月初め、400店近くの閉鎖を発表した。リージョナル家電チェーンのｈｈグレッグも先に発表した店舗閉鎖88店を含む全店220店のスクラップを発表した。なお１月に150店の閉鎖を発表したシアーズは計画以上に店舗閉鎖を行っていると報じられている。いつ破綻してもおかしくないと言われるシアーズが連邦破産法第11条の申請を行えば傘下のＫマートを含めて大量閉鎖に踏み込むことになる。
　破産法の申請に大量の店舗閉鎖、さらに追いかけ店舗スクラップと消費者の買い物行動の変化からチェーンストアの環境はますます厳しくなるばかりだ。  続きを読む