
■ネット通販最大手のアマゾンは1日、遠隔医療サービス「アマゾン・クリニック(Amazon Clinic)」でビデオ通話によるオンライン診療を全米に展開することを発表した。
アマゾン・アプリを介して24時間いつでもどこでも医師とビデオ通話できることで、外出する必要がないため患者の負担を軽減する。
遠隔地で通院に時間がかかる人から、仕事等で忙しく病院まで行く時間がない人でも気軽に診察を受けられる。
アマゾン・アプリでの遠隔医療サービスなのでネット上で会計まで完結し、支払いもスムーズに終えられるメリットもある。
ワシントンDCを含む全米50州に展開するアマゾン・クリニックのビデオ診療はアレルギーや皮膚病、鼻炎や偏頭痛など比較的軽度な症状、30種類以上に対応する。
保険適用ができないもののアマゾンによるとビデオ通話による診療の平均価格は75ドルとなる。処方箋薬については保険が適用でき、アマゾン・ファーマシーでも購入可能となっている。
昨年11月にローンチしたアマゾン・クリニックでは医師とのチャットによる診療を34州で提供。一部に州法による制限を受けているものの勃起不全等のチャット診療の価格は平均で35ドルとなっている。
ビデオ診療の利用はアマゾン・アプリを起動し、アマゾン・クリニックを選択して始める。
アマゾン・クリニックではコロナ感染の疑いや喘息などの症状を選択すると、待ち時間が表示された「チャットオンリー(Message Only)」もしくは「ビデオ診療(Video)」のボタンがでる。
ビデオ診療後にはアマゾンと提携する、遠隔診療のスタートアップのステディーMD(SteadyMD)やヘルスタップ(HealthTap)を選択して開始。
その後はチャット機能で症状について簡単な質問に答えていくとビデオ通話時間が示されるのだ。診察後には医師から治療計画のメッセージに薬も処方される。
チャットによる医師との相談も最大2週間無料となっている。
アマゾンは長年、医療分野での事業拡大を目指しており2018年にはオンラインファーマシーを手掛けるピルパック(Pillpack)を買収。
処方箋薬の購入や価格比較が可能なオンライン薬局「アマゾン・ファーマシー」の立ち上げにつなげた。
またアマゾンは昨年7月に、オンラインと対面を組み合わせた診療プラットフォーム「ワン・メディカル(One Medical)」を39億ドルで買収している。
一方、大手チェーンストアでも大手ドラッグストアチェーンは早くからビデオ診療を提供している。
ウォルグリーンは2018年、医療サービスのマーケットプレイスとなる「ファインド・ケア・ナウ(Find Care Now)」をアプリ機能に追加した。
地域の医療サービスの検索を提供することで処方箋販売の市場に参入するアマゾンなど競合に対抗するためだ。
アプリだけでなくネット上で特設サイトにもなっているファインド・ケア・ナウは、症状のフィルタリング機能を通じて利用者近くの様々な医療サービスを的確に提供している。
ウォルグリーンでは17の医療機関と提携しており、往信のアポサービスや電話やネットのビデオ通話を使って医者に相談するテレヘルス(遠隔医療サービス)、皮膚科医との医療相談、鬱のようなメンタルヘルスの診察も対応した心理医療、セカンドオピニオン・サービスまで提供している。
診療のアポには軽度の症状などを診察する近隣のクリニックなどから緊急を要するアージェントケアまで含まれている。一部地域では眼や耳などのケアサービスも提供している。
フィルタリングは患者の地域から「腹部」「痛みや熱」「耳・鼻・喉」等にあるプルダウンメニューから症状を選んでいくとテレヘルスなど提供されるサービスが示される仕組みだ。
数年前からはメンタルケアサービスも遠隔医療で提供しているのだ。
チェーンストア最大手のウォルマートは2021年5月、同社傘下で医療サービスを提供するウォルマート・ヘルスが遠隔医療サービスを手掛ける「ミーMD(MeMD)」を買収したのだ。
ウォルマート・アプリを介してビデオ通話を利用した、医師によるオンデマンド・オンライン診療を顧客に提供等、医療サービスのオムニチャネル化を進めるのが狙いとなる。
買収金額等の詳細は不明。2010年創業のミーMDではコンピューターからスマートフォンの専用アプリを介したビデオ通話にテキストメッセージによる医療相談が可能で新型コロナウイルスやインフルエンザの検査、ワクチン接種、病気やけがの治療、予防ケア、メンタルヘルスなどに関する相談を幅広く対応している。
医療専門家による訪問診療サービスや、処方箋サービスなど、バーチャルと対面ケア双方の利点を融合したサービスまで提供している。
ウォルマートはまた一部のスーパーセンター等に店舗併設型のプライマリー・ケア・クリニックで診療所の「ウォルマート・ヘルス(Walmart Health)」を展開している。
ウォルマート・ヘルスでは地元医療機関の医師や歯科医、診療看護師(ナース・プラクティショナー)、医療技師などが常駐し、健康診断や日常的な疾患や軽度の怪我の初期診療や予防接種、眼科検診までを行う。
スーパーセンターとは入り口を別にするヘルスケア・クリニックではプライマリ・ケア医師による一般診療から歯科、聴覚、視覚、栄養指導などのカウンセリングやフィットネスを含むヘルス&ウエルネス・クラスまで健康にかかわる様々なサービスを提供しているのだ。
診療では健康保険を持たない人達にも廉価で提供されている。
アマゾン・クリニックにあるビデオ通話診療のPR動画。アマゾン・アプリでの展開によりアプリが生活で重要なポジションとなっている。 続きを読む























