2008年02月26日

一曲鑑賞〜アンダルシアに憧れて/真島昌利

音楽に時代なんて関係ないという主義なので、気に入ったものは何でもダボハゼのように食いつきます。極私的な好みが許されるものですからねぇ。数年前にはオーストラリアのアボリジニの言語を使用しているCDなんてのを捜し歩いていたり、フランスギャルや、映画「未来世紀ブラジル」のサントラ盤を捜したりと散財三昧。

国内アーチストでは、何故か加藤和彦作曲の曲に佳作っぽい魅力を感じてみたり支離滅裂です。どうやら基本的に耳に新しいものが好みなのかな。

で、真島昌利の「アンダルシアに憧れて」が現在、お気に入り。聴いてると体温が上がる感じ。こんな曲だったんですね。オリジナルを今頃、耳にして驚いてます。

この大上段に構えた名曲っぽさではなく、佳作っぽい感じが堪りません。完成度も高いんでしょうけど、完成度よりも圧倒的な情感が見事です。曲調を自分の言葉で説明するなら、これはラテンっぽいポップスなのかなぁ…。

終始、曲を彩るバイオリンが間奏で狂おしいまでに揺れます。これは何ギターなんでしょか、タンゴの演奏に使うようなギターが情感をくすぐります。

で、真島昌利の蒼く掠れたヴォーカル。それも狂犬が吼えるような無鉄砲さが妙に色っぽく聴こえます。

歌詞は戯曲とでもいうべき代物です。ドラマのワンシーンを切り取っただけという非常に珍しいもの。マフィア映画のチンピラのドラマを、思いっきりカタカナを使って繋いだものなんですが、これが実に見事と感じます。如何にも稚拙そうで、その実、稚拙じゃない。


今夜、酒場のカルメンと地下鉄に乗ってアンダルシアへ逃避行の約束をしている。小粋に服装を整えているところへ、ボスから電話。電話口では震えながらボスが云うには、トニーのヤツがしくじった。スタッガーリーと立ち入り禁止の波止場の第三倉庫で決闘だ、と。

《誰かカルメンに伝えてくれよ。ちょっと遅れるかもしれないけれど、必ず行くからそこで待ってろよ》

額縁の後ろに隠した金庫から黒いコルトを取り出し、震えながらも強がってみせる。「スタッガーリーのコメカミにコイツをぶち込んでやるさ」と。タクシーで乗り付けると、ボスが蒼ざめている。怪しい気配に気づくと囲まれており、マシンガンがあざけるように火を吹いた。

《誰かカルメンに伝えてくれよ。ちょっと遅れるかもしれないけれど、必ず行くからそこで待ってろよ》


完全に戯曲になってます。描かれているのは、はかないくもあっけないチンピラの最期のワンシーン、それもベタな筋書きです。が、これが「ちょっと遅れるかも知れないけれど、必ず行くからそこで待ってろよ」という強烈な呼び掛けにより、おそろしく活きてくるんです。愚かであれば愚かであるほど、ダテを気取れば気取るほど、そのチンピラの秘めた純粋性が浮き立つんですよね...。

ここまでやってしまうと、バラを咥えたカルメン、ボルサリーノ、波止場の第三倉庫、「コルトがオレのパスポート」、アンダルシアの青い空、グラナダの詩、赤い血、かなりコテコテな筈のアイテムですが、その何もかもかもが一遍の戯曲に収まってしまうというのが奇跡的と感じます。



ホントは真島昌利ワールドと、甲斐よしひろワールドとの共通点などを挙げようと思ってたんですが、そちらに触れている暇がなくなってしまったという感じす。

先ず、チンピラが題材とする曲が甲斐よしひろにもある。松居直美がカバーした「ちんぴら」。

また、甲斐よしひろは映画のシーンを歌うような戯曲的な歌詞があって、完成度はイマサンぐらいですがハードボイルドをやってます。「完全犯罪」は、もろに進行型の戯曲です。

真島はアルバムの中で小林旭の「ダイナマイトが150屯」をカバーしてるんですが、このカバーは甲斐もやってます。また「サンフランシスコの夜明け」真島がありますが、甲斐には「シスコ・ナイト」というサンフランシスコの夜を歌った曲があります。更に、真島はキース・リチャードを尊敬していると公言しており、一方の甲斐は楽曲中にローリングストーンズの影響が垣間見えていた気がします。

年代的には甲斐バンドがずっと昔なので、真島昌利が影響を受けていた可能性があるのかなぁ、と共通項を見つけているんですが、これらの共通項のホントのところはよく判りません。

あ。そうそう。甲斐バンドの「風が唄った日」という曲は、甲斐よしひろのセクシーなヴォーカルを引き立てる目的で、バイオリンが効果的に使用されていた事があったかも。

ussyassya at 00:38│Comments(0)TrackBack(0)書籍・音楽 

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