2010年04月26日

郵政民営化という怨霊

舛添新党、新党改革の船出は、まさかのバッシングでスタート。確かに「立ち上がれ日本」と同様、政党名のネーミングには首を傾げたくなりますが、土曜、日曜とテレビを観ている限り、かなり色眼鏡の報道がなされているように思うのが率直なところでしょか。

案の定、

「舛添さんと荒井広幸が組むなんて政策が一致していない! 野合だ! 理念がない!」

と、やっている。

その先は、郵政民営化に賛成したものと反対したものとの不一致を掲げるというもの。これは、「立ち上がれ日本」の結党時にも与謝野と平沼は郵政を巡って違う立場だったハズだと囁かれていたものですが、より顕在化して郵政不一致で貶されている。

さぞや、一刀両断、バッサリと離反組を斬って痛快で、多少は新橋駅を千鳥足で歩くサラリーマンにはアピールできるかも知れませんが、未だに郵政民営化論争の怨霊に振り回されている話だと思います。

未だに郵政民営化賛成か反対かで、政治判断をするんですか?

舛添さんの行動を否定したいが為に、自民党議員からも郵政賛否を無視していると声が上がっていますが、それなら野田聖子ら、郵政民営化反対の諸氏が自民党に復帰している事実はどうするのかという問題が、当然、オウム返しになる。勿論、そうした劇場型としての側面ではなく、リアルな郵政民営化問題の面からしても、それは些事に過ぎないのが現実でしょう。

今、日本の抱えている最大の問題は景気対策をはじめとする経済政策であり、それと並行して外交や安保という国際間のバランスがある。それよりも郵政民営化に賛成である事が大切なのだという人は居ないでしょう。私が説明するまでもなく、舛添さんも語っていましたが内政面で恒常的に構造改革というのを抱えており、その1つのジャンルが郵政民営化問題でしかない。何故、マスコミは取り分け郵政問題が日本の政治というシーンにとって大きな問題だと思っているのか不思議でなりません。

24日の読売テレビ「ウェイク・アップ」しかり、25日のフジテレビ「報道2001」あたりは何がどう混乱しているのか、その辺りの整理が出来ていませんでした。一般的には、読売テレビやフジテレビというメディアは自民党寄りのメディアだと位置づけられていたりしますが、未だに小泉改革の頃の強い自民党に夢を託しているのか、あるいは本当に大衆迎合をしてしまっているのか判りませんが、街頭インタビューに頼るなどのイメージ報道に終始している。

マーケッターである三浦展さんも著書の中で、右へ倣えする人たちが居るから「小泉さんが大勝したり、民主党が大勝したりするんだね…」と漏らしていましたが、そーゆー事と無縁ではなく、テレビなどの発信するイメージがイメージとして人々に伝わり、そうした良い印象・悪い印象で選挙が為されてしまうというポピュリズムに疎いのでしょう。そうしたイメージで捉える政治を是としてしまえば、一向に意思決定なんて進展しないし、ましてや郵政問題って、どれだけ理解が出来ていないんだって話でしょう。

「郵政民営化に賛成か反対か?」

という小泉純一郎元総理の言葉は、実に簡略化されていて、しかも二択として記号化されているから人々には判り易い。もしかしたら小学校低学年でも、どちらが正義の味方で、どちらが悪党なのか空気で感じ取れたかも知れない。ですが、政治や社会というのは二択化に耐えるほどシンプルじゃないのは御存知の通り。

実際のところ、小泉政権下で構造改革の本丸だとされたのが郵政民営化ですが、それは小泉さんの言説にのっとった場合の話で、現在ともなると景気対策はじめ、多くの優先課題がある事は先に触れた通り。どうしても郵政民営化にこだわりたいらしいのですが、民営化推進論も暗礁に乗り上げているのが現実だという気もします。このまま推進させるのも困難。期待していた新政権とやらは亀井静香さんによって準国営化の方向性で見直しをしているし、一方では小泉路線を何が何でも踏襲するかぐらいの話でしかない。ホントに、こんなのが現在の日本の《論点》と云えるんでしょうか。

この数年間をざっと順序だてて遡ります。

4事業で1つの持ち株会社という形態ですが、言われているように金融に係る2事業、「ゆうちょ」と「かんぽ」だけが大きな黒字を抱えており、郵便事業と窓口委託事業とが人員が多い割には黒字が少ないというアンバランスが発覚してしまった。小泉竹中案では2017年までに株式を売却して完全民営化を為すというプランだったのですが4事業間での収益や人員配置でアンバランスが起こったり、宅配業種との間でゆうパックを巡る民業圧迫の問題が起こっていたりする。どうやら4分社化では進めるのが難しいのではないかという具合になってきたのが小泉政権後の自公政権での事。3分社化、2分社化だと麻生前総理が言いだしたり、鳩山邦夫さんがオリックスの落札の待ったを掛けたりし始めると、最初は「そうだ!」と郵政見直しに賛成しておきながら、やがて世論は「小泉路線からブレた!」と攻撃しだし、ブレたかブレないかが焦点となり始めて、郵政民営化問題という問題そのものは棚上げに。

そして政権交代が起こり、現在ともなると亀井金融大臣が大暴れをしている。小泉路線はけしからんとし、見直しどころか国有化せんという勢いで、日本郵政株式会社の社長を交代させた。民間から登用した西川社長を追い出して、元大蔵事務次官の斉藤社長とした。そして、最近になって「限度額の上限を引き上げる」と言い出している。国債を買う受け皿とすべく、そのように発言しているのであり、亀井大臣は或るテレビ番組では「(そうして集めた金を指し)これをね、公共事業に使う」と語っていたりする。

デタラメもデタラメなんです。

元々は、森政権の頃に郵政の抱える財政投融資が418兆円規模に膨らんでおり、森政権下の頃から危険視されだして当事の大蔵省から権限を切り離し、以下の自公政権で2008年3月までには207兆円にまで圧縮していた。ところが、政権交代をしたら再び郵政の金融部門を利用してバンバン、使おうじゃねぇかって話になってる。

亀井大臣は、ユニバーサルサービスの話をする。ユニバーサルサービスといえば、我々も携帯電話の請求書をみればユニバーサルサービス料として8円ほど請求されていますが、僻地、地方の部分のサービスの事で、つまりは、僻地にかかるコストを、一般の人に広く手数料を徴収してユニバーサルサービスを成立させている。最初から都市部と僻地とが結ばれていなければ成立しないのが通信のようなもので、そういう性質のものなんですが、郵便配達のような性格だと、それが担保されていない。僻地に郵便局を置くのは採算性が合わないという考え方が起きてしまう。

そこに付けこみ、亀井大臣は「地方のお年寄りは不便している」と展開する。確かに、僻地に於いては不便が生じているんですが、それは郵便事業とか窓口(委託)業務の不便の話で、ゆうちょ銀行やかんぽ生命という金融二事業の話ではない。ですが、実際にデタラメによって、そうなってしまっている。これが現状でしょう。

もう、郵政選挙の頃とは状況が変わってしまっているし、これらの流れを理解していれば、簡単に郵政民営化に賛成か反対かなんていう二択で論理を構築できる訳がないんですよね…。

国営化に近い現行政府案は論外として、民営化推進論者にしたって、行き詰まっている筈で、何が何でも株式売却を済ませて民営化するべきか? ゆうちょ銀行・かんぽ生命にはカネはあっても運用する技術がないがどうするのか? これまでに持っている国債をどうするのか? 都市部では不要であっても地方では重宝される郵便局をどうするのか? 小泉竹中路線では人員整理が出来なかったが人員整理をしないままでいいのか? 結局、4分社化で押し通すのか? などなど問題は山積です。

それと、もう1つ重要なものがあって、小泉シンパは「官から民へ」という流れとして捉え、それが国鉄民営化や電信電話公社の民営化と、郵政民営化を同一視しているという指摘がある。前二例が民営化可能な性質を最初から持っていて、民業圧迫などを招かない性質だったのに比べると、郵政民営化は最初からハードルが高かったという指摘がクレディスイス証券のチーフエコノミストから出ている。これは単に、郵便配達と宅配業者がバッティングするという話ではなく、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が普通に金融機関になれるかどうかという問題で、民営化してしまえば、民間の銀行を圧倒してしまうスケールがある事に気付いていない、と。

簡単に説明すると、郵政の金融2部門は預貯金として約200兆円という巨額を有しており、民間銀行日本最大手の三菱UFJ銀行の預貯金量のざっと倍。保険部門にしても日本生命、第一生命に次いで国内第三位となる137兆円(2008年度)という契約高を誇っているという。これだけの怪物を民営化させ、混乱なく地面に着地させるのは簡単ではないでしょう。単純化された「官から民へ」という《流れ》として把握していたら大間違いをしてしまう代物。

「完全民営化すべきだ!」と唱えるのは簡単なんですが一筋縄ではいかない話であり、まして小泉竹中路線の踏襲だけでは行き詰まっているのが現実です。この期に及んで、「誰が本流で、誰が傍流だ」というテレビ的な政治観で政治を語ろうとしているのはイメージに毒された政治観のように思います。テレビの中には何を勘違いしているのか、「荒井広幸とか平沼赳夫なんて郵政民営化に反対していた人じゃないかっ!」なんて言ってる論客も登場していましたが、それでは、その人は郵政民営化をどうすべきなのか方向性を語れるんでしょうか。新党結成という事象と、郵政民営化に賛成だったか反対だったかという過去の怨念を持ち出して政治を語っている時点で、その人は政治を政局というレベルで眺めているのを明かしてしまっているようなものでしょう。

現政権下では郵政国営化に近い方向性で、ばんばん国債を買い支える郵政会社の枠組にされてしまっている訳です。そうやって、いつまでも過去の怨念と戦い続けている場合じゃない気がしますが…。



石原都知事の「シルバー新党なんていうけど、若い連中が…」という言い分には棘がありましたが、あれには一理あって、ごちゃごちゃと内部批判をやってるんじゃなくて、行動で示して欲しいって気も個人的にはします。自民党の中堅や若手が《自由民主党》なんていう古くさい御旗の権威に縋り付き、脱党者を批判している方が、よっぽど不健全でしょうに…。

誰も止めないから河野太郎新党でも後藤田新党でも作って、正々堂々、戦ってくれた方が日本の為だって気もしますけど、そうしてくれない…。きっと、このまま、谷垣体制で選挙に臨んで思うような結果が得られなければ、不満を執行部にぶるけるという子供みたいな事を繰り返すのでしょう。そんな事をするぐらいだったら事前に自分で新しい組織を作るなり、脱党するなり対応すればいいのに、そうしない。

古き良き自由民主党というブランドに縋りつき、あーだこーだと文句を言って自分自身をメディアの中で弁護するだけの政治家なら要らないでしょう。いわば自分の為の政治家でしかない。自分が当選して政治家という職業を失わないように振る舞うだけの職業政治家なら、要らないし、税金を食いつぶされるだけムダなんです。

彼等は

「自民党を内部から変えていくのだ」

なんていう。詭弁中の詭弁で、各候補の選挙の勝ち負けなんてのはすべからく自己責任で、その者自身に決断力のない証拠でもある。

「オレが負けたんじゃない。政党のせいで負けたのだ」

なんていう奴には、ロクな人間が居ないのが現実社会というものでしょう。

担いだ神輿は最後まで担いで責任を果たすか、文句があるのなら去ればいい。内部でごちゃごちゃやっているような自助協力の精神が無い、ぶら下がり人間には、意思決定が必要となる政治判断なんてのを任せられる訳がない。そんなんだったら民主党みたいなサークルでも作ってワイワイやってればいいんで。

「民主党」と「みんなの党」とが連立与党になるなんてシナリオも週刊文春が取り上げていましたが、それは同じ事の繰り返しになりますやね。人気取りのイメージ選挙の結果、なんだか判らない政治になってしまう可能性が高い。両党は批判はすれど、外交政策や景気対策に関しては、あんまり情報を出してくれていませんよ。ホントに、これ以上、イメージによるポピュリズム政治を続けて日本は大丈夫なんだろか。それこそ、重箱の隅をつつくような政策の不一致を挙げ出せば、社民党と国民新党、民主党の連立政権なんて水と油みたいなものだって沢山あるし、外交や安全保障という大問題でさえ摺り合わせのないまま、暴走してしまっているんですから。

ussyassya at 07:00│Comments(0)TrackBack(1)辛口評論 

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1. 役立つブログまとめ(ブログ意見集): 郵政三事業の一体的サービス提供 by Good↑or Bad↓  [ 役立つブログまとめ(ブログ意見集)(投稿募集中)by Good↑or Bad↓ ]   2010年07月06日 07:01
「郵政三事業の一体的サービス提供」に関するブロガーの意見で、みんなの参考になりそうなブログ記事を集めています。自薦による投稿も受け付けているので、オリジナルな意見のブログ記事があったら、どしどし投稿してください。

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