2010年08月22日

女子アナとロリコンにみるネオテニーな現代日本

フジテレビ21日「僕らの時代」では、岸恵子、姜尚中、安藤優子という三人組の対談でした。岸恵子さんが「私は若返りたいと考えていないし、若作りをしようと思っていません」という発言を端緒にして、姜尚中さんが面白い発言をしていました。

「お父さんは会社から帰ってきて、何故、若い女の子が読むニュース番組を視たがるのでしょう? ジャーナリズムが老成していないんじゃないでしょうか。アイドルにニュースを読ませたり、選挙特番にお笑いタレントを起用する国なんて世界中どこにもありません。韓国でも、そういう事はありませんよ。これは日本のメディアが視聴者をバカにしているんじゃないですか? もし、裏を返すと、安藤優子さんをお笑い番組に出演させるようなものですし」

まぁね…。いつ頃から、そうなってしまったのか分からないんですが、女子アナ文化なるものが日本には根付いてしまったし、最近では、お笑いタレントを選挙特番に呼んだりするのもフツウになってますよね。

女子アナ文化というか、「可愛くなければ女子アナじゃない!」というノリになってしまったのは、どのあたりだったんでしょう。メインを張っていた女性キャスターとなると、井田由美であるとか、田丸美寿々であるとか、櫻井よし子であるとか、限定的な気もしますし、それなりにジャーナリストっぽさを感じますが、年々、奇妙なことになっている。

「女性アナウンサー」ではなく、「女子アナウンサー」と呼んだりするのだから、日本のテレビ文化の何たるかが関連しているっぽい。ずーっと以前から天気予報の「お天気お姉さん」がアイドル的な人気を集めたりする現象があり、それに味をしめて局アナをアイドルにしてしまおうという商業主義的な体質があったんじゃないでしょうか。確かに、《報道》という看板には硬派な、高い敷居があり、いわゆるアイドルアナウンサーが登板する機会は稀ですが、例えば今春のTBSが猛プッシュしていたゴールデンタイム枠のニュースは、同局出身で現在はフリーだというキュートな笑顔がチャームポイントのアイドルアナがメインキャスターでしたよね…。あーいうの、失敗して当然なのかもって。だって、ジャーナリズムの基本が崩れてるもんなぁ…。日本テレビもサブとして男性アイドルを起用していますが、あれに視聴率を除いて、何かの意図を見い出すのは難しい気がする。

要は、今の日本人は、どうしようもなくロリコンなんじゃないだろか。「いや、オレは断じてロリコンではない。熟女マニアなぐらいだ」という人も居るかと思いますが、そういう性的嗜好だけではなく、総じて日本の文化がロリコンで、しかもオトナもジジババも「若さ信仰」があるからロリコン文化と相性が良いんじゃないかって気がする。

つまり、直線的に世のオジサン族が「やっぱり若いコは堪らんね、ムフフフ」というオジサン的なエロ目線ばかりがクローズアップしてきましたが、さにあらず。現代日本は文化として「若いことこそ素晴らしい」であり、「若さは尊い」であり、「誰しもが若返りたい」であり、「老兵は去れ」であり、「えー、うっそー、わからなーい」という、若者信仰が根強く、それに中高年世代などの若者に媚びる態度、若者に理解ある大人を演じる事で、自分を是とする若者迎合主義みたいなものがあるんじゃなかろか。故に、冒頭で掲げた姜尚中や岸恵子の文言にあったように、《老成されもの》や《熟成されたもの》という最終形の境地の価値に辿り付けないのではないか?

竹内久美子さんは、総じてヒトというサルはネオテニーであり、更にアジア人はネオテニーであるという話を紹介していました。

【ネオテニー(neoteny)】とは、動物において、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のこと。幼形成熟、幼態成熟ともいう。

幼い特徴を有したまま、性的に成熟する。それがヒトという名前のサルの特徴であり、しかもアジア地域に住むアジア人に顕著な特徴だという。

「童顔に巨乳」がモテるとか「少年のような青年」がモテる文化となれば、それはそのまま、現代日本を席巻しているロリコン文化に直結しますやね。実際、「童顔に巨乳」という組み合わせはグラビアアイドルなどを眺めていれば伝わってくるでしょう。男性タレントにしても、昔は本当に山崎努やら藤竜也らが雑誌アンアンの「抱かれたい男性有名人」の上位にランキングされていた事に対して、現在のジャニーズ系タレントが連座するランキングというのは女性目線で起こったロリコン化のような気もする。読者も加齢している訳ですしから、より若いところにカッコいいアイドルを見つけているの意で、ワイルドな男性よりも、フェミニンな美形男子が好まれている傾向がある…。

で、《童顔》というのは童顔であって、これには明確な特徴がある。顔全体に対して目が大きい。これは現在でも重要なポイントで、プリクラ写真など殊更に目を見開き、それが「カワイイ」という解釈になっている気がしますやね。で、性格的にも《無邪気》を是として解釈している。絶対的価値としての【若さ】を信仰する余り、そこに知識や経験、思考力や判断力といった熟成からなるテイストを加味しようとしない。つまり、フツウの容姿の女性が適度なレベルで成熟しているよりも、若くて可愛ければそれでヨシのような安易な価値観があり、全体的には、そちらの価値観に日本人は依存している。

岡田尊司さんの話だったと思いますが、初歩のアニメは、美少女にメカの組み合わせでオタク人気を勝ち取っていったという。メカというのは機械のことで、理科系男子は総じてこれが好き。そこにプラスして若い娘の裸同然なコスチュームを組み合わせ、アニメオタクというオタクの原型ができたという。で、現在ともなると、オタク文化は広く定着し、それこそ漫画に顕著ですが、嘗ての「あしたのジョー」や「天才バカボン」の時代に美少女キャラクターは無かったものが、現在では少年漫画誌でも美少女だらけだし、かなりセクシャルなネタが多いんですよね。

国民的人気だというアイドルグループは下着姿でセクシーにプロモーションしているし、私にして韓国系のアイドルユニットの腰振りダンスなんてのは、明らかにセックスを連想させる、かなりストレートにセックスを連想させるものだったりしますが、世の趨勢というのは「若者だってセックスなんてしてますよ。風紀がどうのこうのなんて、時代遅れな事を云わないように」という若者迎合主義だったりする。

上辺では、どのように展開しているのかは分かりませんが、内心では「若いコじゃなきゃダメだ!」と、際限なくセクシャルなものを要求し、容認している。これが、日本のロリコン文化の正体でしょう。つまり、ロリコン趣味ではないにしても、それを容認するのだから、やはりロリコン文化なのでしょう。

アジア人にネオテニーの傾向が強いというのは、遺伝子的な話で進化のプロセスだという。裏を返すと、非アジア人は老けるのが早い。いわゆる白人は早熟で、幼児の特徴を残すこともなく、十代後半で美貌も生殖機能を完成させてしまうのに対して、アジア人は幼さを残したまま生殖機能を獲得するという。殆ど、異論を挟む余地はないのですが、更に日本の場合、文化として、そこに若さ信仰が加味されている気がします。

実際、エロビデオなどでも、欧米でいうロリータものって日本人の感覚からするとロリータものではないんですよね。日本人の認識するロリータものは、より生々しい幼さを残した描き方であったりするし、実際に女優さんもそうした幼さを残しながらセクシーであるという魅力を持っている。

思えば、今、世界を席巻している【カワイイ】というフレーズは、元々は「小さなもの」や「幼いもの」に対して使用する言葉だったんですよね。小さな靴があったら、「可愛らしい靴だね」だし、小さな手だったら「可愛らしい手だね」とか、そうした小さいものが対象。それが80年代頃でしょうが、年長者、或いはおばあちゃんに対しても「カワイイ」を連発するという奇妙なことが起こった。当時、かなり違和感があったし、使用する場合に反論されたり、或いは「年長者に対して失礼なのですが、可愛らしい」なんて言い回しをしていた訳です。とこが、現在ともなると、少年少女から「カワイイ」と呼ばれて、喜んでいるオトナが居る。

クルマのテレビCMで、

「ケンタ、きゅんきゅん、ママにキュン!」

なんてセリフがありました。安田成美さんが母親という設定で、ケンタというのが息子なんでしょうけど、なんで息子にまでキュンとされたいママなのか、その辺りが判然としない。息子からもカワイイ女だと認知されたいという心情が女性なのでしょうが、そうした部分も含めて、日本は幼形を崇拝するロリコン文化の国なんだろうって思います。個人の価値観や嗜好にはバラツキがありますが、大勢が容認しているし、メディアがそうである。

乱暴に言えば「とにかく若けりゃいいんだ」という心理が日本人には強いのではないでしょうか。故に、老成や熟成を望まない。若いことは体感的にも生物学的にも素晴らしいのですが、一辺倒になってしまうと、やはりデメリットもあるんじゃないでしょうか。

冒頭の「何故、ジャーナリストまで若さが求められてしまうのか?」といったような、どうしても完成形まで時間のかかる「知る」や「経験則」に由来するものまでもを否定して「若い感性に賭けるべきだ」のような論調が強いんですよね。

子供は無限の可能性を秘めている。それはいいとして、子供を受験地獄から解放する事に意義があるというのは媚びるオトナのような気がします。子供からみた場合の「理解のある大人」というのは、子供目線からしてみれば「都合のいい大人」であるだけかも知れない。

やはり、日教組?

若者文化に理解のある事が文化的ステイタスになってしまっていますが、その一つが、「ゆとり教育」ではなかったか。いつの時代にも人間は悩みを抱えているもので、なのに、とりわけ少年少女を神聖視するがあまりに先進国諸国と比較しても明らかに授業時数を削減するという方法を取ってしまっていたワケです。山谷えり子さんが教育再生会議の際に調べあげたところでは、幾つかの疑問点を掲げていました。小学校6年間の授業時数総計が安倍政権時に一割、増やされて現在は合計3872時間だという。ところが、アメリカ、カナダ、フランスは5000時間を超えているから話にならないのだそうな。

全国学力テスト(全国学力調査)が日教組の反対により43年間も中断されていた事、また日教組が強いとされる北海道、沖縄、高知、三重、大阪のランキングを、日本人は直視すべきなのかも。

ussyassya at 10:54│Comments(6)TrackBack(2)世相・社会 

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1. 「若い」ってそんなにいいものか?  [ Coffee, Cigarettes & Music ]   2016年04月07日 22:06
皆さんこんばんは。東京は雨です。今回は「若さ信仰」に対する疑問について。ダイヤモンドオンラインの記事(老けて見える人の姿勢には、4つの特徴があった!)を読んで、日ごろ思っていたことをまた考えたのだが、「おっさん」になって何が悪いんだ?
2. 「若さ信仰」はみっともない  [ Coffee, Cigarettes & Music ]   2017年03月25日 21:02
皆さんこんばんは。今回は、以前に書いた記事「『若い』ってそんなにいいものか?」の続編ということで、「若さ信仰」についてもう少し書いてみたいと思います。今回主に参考にした記事は「若さの意味」という記事です。要旨としては、日本の若さ信仰の根源は高度経済成長期

この記事へのコメント

1. Posted by 三四郎   2010年08月22日 11:17
かなり以前から、世の中が若者に媚びているように感じています。

それは年齢的なものはもちろんですが、「我儘」「未完成」と言った「若さ(というより幼さ?)」観念がメディアや教育の分野で肯定的に捉えられ過ぎているように思います。

ここに「ファッション」「遊び」等の商機を見出している企業が絡んで、何か立ち止まれない状況ができてしまっているような気がしますね。

>「ケンタ、きゅんきゅん、ママにキュン!」

これは正直、気色悪い。鳥肌が立ちました。本当に世の中に受け入れられているんでしょうかね。それともあえてこういう「文化」を企業がしかけているのか・・。
2. Posted by かせっち   2010年08月22日 12:49
頷ける点はあるものの、いくつか指摘を。

アイドルユニットの腰振りダンス云々については、アメリカのヒットチャートに上がるPV(例えばかなり前ならマドンナ、ちょっと前ならブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラ、今ならレディ・ガガとか)でも見られるので、別段アジアとか日本に限った話ではないように思います。

今回の話はTV番組から受ける印象から引き出されたように思いますが、「視聴者はこういう番組が見たいに違いない」という番組製作者の脳内妄想と、実際の視聴者の嗜好の乖離が鮮明になりつつある今、そのような結論が正しいのか、議論の余地があるように思います。

あるコラムで「今の地上波のTV番組でヤンキードラマが多いのは、ヤンキーみたいな層しかTVを見ていないからだ」旨の指摘がありました。つまりTVを見ている人は日本人の多くではなく、日本人の一部でしかないということ。そしてその一部の人達の嗜好に合わせてTV番組が作られている。

だとしたら、女子アナ人気その他諸々はその一部の人達の嗜好に過ぎないのかもしれません。
3. Posted by メロンぱんち   2010年08月22日 14:03
三四郎さん>
未完成の魅力、可能性の魅力もあるのですが、ニュースキャスターに色気や癒しといった性的魅力を求めているのだとしたら、或いはメディアが視聴者なんてそんなものだと考えているのだとしたら、やはり、おかしな事なのかもなぁ…と。

4. Posted by メロンぱんち   2010年08月22日 14:30
かせっちさん>
主観という訳ではないと思うのですが、アジア人以外のセクシーダンスはセクシーダンスとして成立するのに対して、アジア人はネオテニーの強さから、幼さを残しながらセクシーダンスをしている気がしませんかね。

韓国のKARAというアイドルユニットの腰振りダンスは、マドンナやガガのようなセクシーパフォーマンスというよりも、幼さを残した少女のセクシーダンスを、プロモーションにしているんだろうなぁ…と。成熟美、完成美としてのエロではないといいますか…。

テレビ局は、「視聴者ニーズに沿ったものをした結果に…」と、かつて偏向報道を問われた際にも抗弁していたのですが仕掛けているのは、大衆迎合というか視聴率に媚びてしまった製作者サイドのように思うんですよね。
5. Posted by オハイオより   2010年08月23日 23:35
オハイオでは小学校1年から授業時間はフルです。日本のように、低学年は時間が短いというのはありません。土曜日は休み、夏休みも長いので、アメリカの総授業時間が長いのは、1日の時間が長いせいでしょう。
これにアメリカの大学生は1日平均6−7時間勉強しないと卒業できませんから、結構な差になっていると感じます。
学力テストも州単位であって、市別はもちろん、学校別に全部公表されてます。
大阪に1年いましたが、運動会では国旗掲揚もなく、かけっこもなし、昼は親子別々、ここでは子供は育てたくないと真面目に思いました。
6. Posted by メロンぱんち   2010年08月24日 00:22
オハイオよりさん>
授業時数に関しては、「日本では塾などに通っているだろうのが実情だから…」という理屈になるようなのですが、それこそ教育格差、階層の固定化になってしまっているようなんですよね。

学力テストのランキングでは、ワーストが沖縄、北海道、大阪で、上位は秋田に福井。実は日教組の強いとされる地域で苦戦が起きていて、秋田や福井というのは何か感じとっても良さそうですよね。日本海側なのか、と。

やはり、ホントに国旗掲揚とかおこなわない学校とかってあるんですね…。

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