2012年06月20日

「新型うつ」の真相

ここのところ、週刊誌各誌が一斉に「新型うつ」を取り上げていて、週刊文春では三号にわたってのキャンペーンを張ったのを筆頭に、今週号でも朝日新聞系列のアエラ誌、講談社の週刊現代も「新型うつ」を特集しているよう。元をたどるとNHK特集が「新型うつ」を取り上げた事が発端になったか、或いは週刊文春の執念か、そんな感じでしょうか。

で、改めて今週号となる週刊現代6/30号の問題提起レポート、「『新型うつ』これが真相です」が、なかなか上手に構成されていました。週刊文春のキャンペーンも目を通しているんですが、諸々の理由で週刊現代のレポートを軸に以下、太字部分は引用です。

まず、精神科医で筑波大学医学医療系助教の吉野聡医師が経験した事例を紹介しよう。患者は、他院でうつと診断されて、会社を休職中にセカンドオピニオンとして受診した患者B、20代後半の男性だった。

「彼も、休職中に海外へ旅行したと話したので、私が『海外へ行ける体力が出てきたなら、そろそろ職場に戻ってがんばってみたらどう?』と言ったんです。その途端、目の色を変えて

『先生、今うつ病の私に《がんばれ》って言いましたね!? 精神科医なのに、患者にそんな言葉をかけるんですか!』

とすごい責め方をされました。しまいには、

『うちの職場がどんなにつらいかわかっていないからそんなことを言うんだ! 先生は椅子に座って人の話を聞いているだけで給料をもらっているんでしょう』

と言われ、返す言葉がありませんでした」

このように患者が医師の言葉尻をあげつらうのは珍しいことではない。


うわぁ、なんだか想像以上に悲惨な現場っぽい。というか、やっぱり、そうなってるんですね…。「新型うつ」に関しては、数年前から和田秀樹さんや香山リカさんの著書で「詐病との境界線も曖昧」と綴られていただけに、この部分は表沙汰になるべくして表沙汰になった気もしますかねぇ…。

少なくとも、テレビのような性格の媒体だと「それは甘えだ」と論じられないので、どうしても、それを暴くのは活字メディアの役割であったのでしょう。高齢者医療の傍らで受験指南書も出している和田秀樹さんが、その曖昧さを指摘するのは想像がつくところですが、香山リカさんの場合は本来は弱者の味方という立場であったのですが、若年世代にばかり起こる「新型うつ」に直面すると精神科医の立場から「これはホントにうつ病なのか?」という疑義を呈し、ついには「私は若者が嫌いだ!」と著書で宣言してしまったほどの経緯がある。

いや、それぐらい理不尽なようなんですよね。精神科医に対しても、新型うつの患者は「私はうつ病なのだ!」と食ってかかることが出来てしまう。この「新型うつ」の患者というのは、一体全体、なんなのだってならなきゃ嘘ですよね。左派とされる香山さんの場合でも知人の産業医から聞いた話なども掲げて著書で「おかしい!」と実は、やってきている立場であったりする。

再び、衝撃的な症例を週刊現代から引用します。

(週刊現代取材班が出くわした九州在住の男性の証言)「公立中学の事務員をしているのですが、40代前半のDさんは、うつの診断書を持ってきては半年ほど休職し、復職したと思ったら2ヵ月後にはまた休職ということを繰り返しているんです。職場に来ると、私たち同僚に『楽しておカネを稼ぐ方法を教えてあげる』と、うつ病の診断書をもらいやすい病院情報などを嬉しそうに話すんです」

この傍証だけで、ポカーンとしてしまいますが、これも、よくよく考えると有り得ますかねぇ…。めちゃくちゃ理不尽なんですが、ちょっと、おかしな人っているんです。てっきり、こちらはこちらの価値観で物事を推し測るから、休職あけの方は、みんなに迷惑をかけたと負い目を感じているのかと思い、それは心痛であろうと察し、気を遣って接してみる。すると、こちらの対応は裏切られて、逆に権利を主張されて面食らうケースって、いつの頃からか珍しくなくなりましたよね…。

生活保護の不正受給問題に於いても、何故か、やらたらと強気な論陣を張る方たちがありました。その後に曽野綾子さん的な価値観として《人間の基本》に触れましたが、その基本そのものが180度異なる方が実際に日本には登場しているんですよね。曽野さんの言葉を厳しい言葉だと感じてしまうのが現代人でもあるのですが、よくよく直視してみれば、それぐらい厳しい自戒的な規範意識があったような気もするんです。で、ここに曽野さん的な《人間の基本》をぶつけて、はじめて説明がし易くなった気がします。

そもそも休職したり、生活保護を受給するという行為は少なくとも威張ったり、誇ったりするような事柄ではない筈なんですね。ところが、現状、それがホントに逆転してしまっている。

「プライバシーの侵害を国会議員がするなんて許せない! 不正受給の問題ではない!」

と大真面目に論点をズラした元国会議員の現タレントさんが居たし、この「新型うつ」に関しての衝撃もこれで、

「私はうつ病なんですよ! あなたは医者なのにそんな事も分からないのですか!」

という具合に、全て逆差別の構図なんですよね…。知らないうちにグレイゾーンでは病人が病気を武器に、貧乏人がビンボーを武器にして、大威張りをしている。そういう事ではないのか?

非常に厳しい物言いですが、それを誰も指摘しないからダメなのでしょう。現在、週刊誌各誌が「新型うつ」なるものの真相を暴きにかかっているよう。

勿論、これを誰にも彼にも当て嵌めるのはリスクが大きすぎますが、放置しておくのも社会リスクが大きい。変な話、こんな事が放置されている時点で現代の日本社会はおかしく、財政だっておかしくなるに決まっているじゃないかという気もします。あまりにも良識を欠いているというか、曽野さんのいう「人間の基本」という部分が崩れすぎてしまっている…。

モンスターペアレントであるとか、モンスターペイシェントであるとか、キレる人たち、自分は反省しないが相手に対しては土下座を迫る群集心理など、社会全体の狂気の総括としても、そういう逆差別現象と無縁ではい気がしますかねぇ…。あまりにも曖昧な領域であるのを好い事に、野放しにされ過ぎている。

なんでも週刊現代によると或る医療情報サイトで1091人の医師に「新型うつを病気として対処しますか?」というアンケートを実施したところ、

病気として治療をすべき→3割

単純に病気として対処できない→4割

どちらともいえない→3割

ぐらいの割合だそうな。医学的には「新型うつ」というのは病名ですらなく、医療側としてのコンセンサスさえとれていない新しいジャンルの精神症状であるという。

また、スポーツ新聞の片隅には、詐病を見破る為のセロトニンが多いか少ないかを見極めることが可能な技術が確立されたなんて報道もありましたが、これらは裏を返すと、全て自己申告が通っていたという事ですよね。「私はうつ病なのであーる! 休ませていただくのであーる! これは基本的に保障された私の権利なのであーる!」という具合に自己申告しさえすれば、なにもかも通ってしまっていたという事にもなる。(本格的な精神疾患がある一方で、これぐらい曖昧さを残した領域を、病気だから可哀想であるとし、手厚く面倒をみていたら制度も財政も持たないに決まっていますよね…。)

しかも、診療報酬の話になると精神科の場合は患者の話を5分以上聞くと診療報酬330点と計算されるのだそうな。これは現ナマに換算すれば3300円になるの意。仮に30分以上、患者の長話に付き合っても診療報酬は400点だから、基本点に繁盛している精神科は一人の患者に時間を割くのではなく、一人5分程度で、ばんばん回転させて医療報酬ポイントを稼げる仕組みになっているという。

勿論、医療者は医療倫理に従って医療を施しているのであろうという性善説で眺めるワケですが、それさえも怪しい。というのは、そういう制度なのであれば必ず、その性善説を逆手にとって、なんでもかんでも病気と認定して5分だけ話を聞いて、3〜7千円程度の診断書を書けば、控えめに10分1患者で個人開業医が医院を回せば一時間あたりの売上は33000円となり、それに+アルファとして診断書の発行代を売上にできてしまう。今の時代に羨ましいボロ儲けが出来そう。医療を商売であると割り切れば繁盛してしまうの意。そういう医療機関はホントにないだろうか? いつぞやの市川海老蔵殴打騒動のときに元暴走族リーダーは逃げ回っていながら「全治一週間」という診断書を持っていたと報道されましたが、そもそも逃亡中だった人物なのであり、果たして医師の発行する診断書って、そんなに信用できるものなのかどうか…。 

悪徳医師ではないとしても迷える医師が多いことも説明されている。というのは、どんな下らない自己申告でも、それを却下して、「君はうつ病ではありません!」と断言するだけのリスクを医師は負えないという現実についても語られていました。もし仮に荒療治をした後に自傷行為をされて訴訟を起こされるというリスクがあるから、つまり、その分野では自己申告に頼らざるを得ないという。中にはモラルの低い医師だっていると考えるべきで、金儲けに走って診断書を乱発して、一財産を築いているような輩も放置されているのではないか? 

確かに「人にやさしくしてあげたい」という無垢な善意が在る。ですが、その善意のウラをかくようなチートも蔓延ってしまうのが実社会なのかも知れませんよね…。「ほほぅ、そういう制度なのであれば、こうすればいいのだ」と知恵をめぐらせる者が実在してしまうのが実社会。また、このタダ乗り行為的なチートが横行する事によって、生活保護の問題と同じように、本当に休養を必要とされている方、ホントに心を病んでいる方なんてのが、十把ひとからげに語られて自責を迫られてしまうナーバスな問題が付き纏っている。


先に九州の例で、長い休職の後に復職、また休職を繰り返しているという40代の男性が同僚らに

「楽してカネを稼げる方法を教えようか?」

と言ったケースに触れました。この「空気の読めなさ」には戦慄さえおぼえますかねぇ…。いやいや表情なんてものが分からないから、自虐的なオヤジギャグのつもりなのかも知れませんが、どう考えても職場の人間関係を読めていませんよね。「その空気を読めていないのだから、正当な精神疾患である」という言い回しも可能ですが、それにしてもギャップが大き過ぎる。

週刊現代では企業が社員の休職によって負う経済的な損失についても触れられています。年収500万円の社員が1年間休職をしたとする。休職期間中も給料が満額で補償されている場合なら企業の損失は500万円と考えたいところですが、そうではないという。傷病手当金やら福利費、更には同僚が仕事をカバーする為の残業代なんてものも発生するという。

実にイヤらしい指摘もされていますが、「新型うつ」は大企業と公務員に多いと証言されているという。週刊現代でも推測として、つまりは給与が満額で補償されている等の条件と密接に関係しているのではないかという声を拾っている。仮に同じ「新型うつ」であっても中小企業であれば、その負担に耐えられず、クビに踏み切っているというだけではないのか。ウラを返すと、善意で容易されている疾病時の給与の満額保障など、それら手厚い福利厚生の逆手を取れてしまうのは問題ではないのか。

それについても引用します。

取材を進めると、こんな事実が明らかになってきた。「新型うつの患者は大企業と公務員に多い」と、専門医たちが口をそろえるのだ。それはなぜか。都内で産業医を務める精神科医が、公務員の実情を明かす。

「大きな会社や公務員、つまり療養の制度が整っている職場ほど、新型うつが多いのです。たとえば、休職しても数ヶ月は100%の給料が出る。その後も数年間に及び、給与の8割程度が何らかの形で支給される。また、復職して一定期間が経過すると休職実績が一度クリアされて、また長期間休むことができる場合も多く、ほとんど働かずに給料がもらえる実態もあるのです」


確かに、随分、手厚い環境が用意されているんですね。ひょっとしたら、その手厚い環境があるから、それに依存してしまうものなのではないのか? 

いやいや、結構、気になる問題で、私のようなケチな性分であれば、先の「楽にカネを稼げる方法を教えてあげようか?」なんて理屈で、ヤル気を削がれるのは必至。更には、そうした価値観が周辺の人たちに伝染してしまったりするような気もしますかねぇ…。

俗に「うつは伝染する」と言ったりしますが、余りにも理不尽な状況が放置されてしまうと、確かに伝染するような気がするんですよね、正直に申せば…。近隣ではバカで有名だった高校に通っていた私なんて、その高校生のときに、自ら流行性結膜炎になるように細工をし、実際に2週間の出席停止処分を勝ち取った経験があるんです。「先公も医者も、ちょろいもんだぜ」って、みんなで言いながら、それをやっていました。これは意外と巧妙で欠席扱いになるのではなく、出席停止を学校側が命じているという処分だから内申書も傷まない。それを見越して長期休暇を獲得しようと、みんなで、やっていたんです。

人間なんてものは基本的に自堕落な生き物だというのがホントかも知れず、そのあたり、性善説では通用しないのは確かのような気もしますかねぇ。

ussyassya at 11:59│Comments(10)TrackBack(0)世相・社会 

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この記事へのコメント

1. Posted by 精神病とは……   2012年09月11日 22:24
近年の“うつ病”の症例の多さはもはや伝染病でしかあり得ない(つまり、意図するか否かに関わらず、詐病)とまで言われていますね。
2. Posted by メロンぱんち   2012年09月12日 00:13
特別な攻撃意図ではなくて、誰しもが自我や自己を完全に掌握できていないので「心の傷」の影響というのも客観ではホントに推し測ることが不可能な領域ですよね…。混乱を避けるには「うつ症状」とは「うつ症状」を指していると理解しないと、どこかで収拾不能になってしまう気がします。ですが「新型うつ病」と語るとニュアンスが違ってしまい、ホントに収拾不能になってしまうところがありそうですね。

気分がすぐれないことでホントに体調に異変をきたしてしまうのも事実ですからヘビーな話ですが、ひょっとしたらヒトというものをヒトという名前の人格、霊性なのだと再定義をしない限り、泥沼になってしまう話なのかも知れませんね。
3. Posted by xxx   2013年07月12日 13:18
せっかく認知されてきた従来のうつ病と混同されないよう、新しい病名をつけよう。
4. Posted by おじさん   2013年07月12日 13:38
私は従来のうつをやったけれど…あれはやっぱり「過労病」の一種で、私の場合には、4日連続徹夜勤務の後、一気にきて動けなくなった。「頭の中の回線が切れた」ってのが自分でもよくわかった。もうこうなったらどうしようもない。のらりくらりのアルバイト生活で数年かけて何とか治したが、これとは全く違うので、「新型うつ」って言い方、やめてほしいよな…。
5. Posted by メロンぱんち   2013年07月12日 13:54
呼びようがないから「新型うつ」と呼ばれているようなのですが、紛らわしいかも知れませんね。
6. Posted by たぬ   2013年07月12日 14:46
>詐病
>あれはやっぱり「過労病」の一種

 アーア・・・この類が一番困るんですよね。思い込みが激しく、論理的な指摘も受け入れない。幸い好転したようですから、今後ぶり返さなければよいのですが・・・
 原因は大きく分けて、心因性、外因性、内因性に分けられますが、典型的な症状が出ない、特に精神症状が現れない場合もあります。

 また、詐病と呼ぶべき状態なら、該当人はうつではなくとも治療が必要な、反社会性人格障害があると考えなければいけません。

 病気と健康の中間部分は、明確な区分で仕切られているわけではありません。その人の仕事や家族の位置関係により、社会生活に大きな支障があるか否かは変動します。

 医者も単なる人に過ぎませんから、頭の中身を直接知る事は出来ません。とすれば、コミュニケーションの容易な患者からは良い情報が取れますが、相性が悪いとまともな診断など取れるわけがない。ましてや、軽症の場合など非常に難しい。之は決して精神性の疾患に限ったお話しではありません。
7. Posted by 呆れた。   2013年07月12日 15:03
少なくとも、ここに述べられた人達は
鬱病どころか詐病でしかない。新型の
うつ病などと、とんでもない!

身近に長年鬱病で苦しむ知人がいるが
季節毎に起こる自殺願望が辛いという。
季節毎の喜怒哀楽も酷い。

しかし日々働いている彼が言うには
「働かない人は、働く必要の無い程の
収入を何処からか貰えるからだ」と。

大企業や公務員は休職中も手当てが
貰える。だから休職なんて悠長な手段
が取れるのだろう。

一般企業でこれをやれば即座に頸だ。
新型うつ病など俺は絶対に認めない。
どう考えても彼らの例はサボリだ。
8. Posted by あかねこ   2013年07月12日 15:36
5 私は悪くない、私が正しい、相手が悪い、周りが悪い、私は一生懸命していると考える人は、他人の意見を全く聞き入れず、自分の言動を振り返りもせず、自問自答もせず、義務は果たさず、権利を主張し、解決能力もないので最終的に自分は悪くないと思いながら、どうせ私が悪いんでしょう!それでいいじゃないですか!って言われるのですが、驚きのあまり、空いた口が塞がらず、こちらの思考能力を著しく減退させられ、それでも何とかたどり着くのが、うつなのかな?って病名です。もしかしたら本人は辛いのかなと思いますが、理解するにも相当な根性が必要です。
9. Posted by (´ヘ`;)ウーム…   2013年07月12日 15:54
自己愛性人格障害とかそのあたりのパーソナリティ障害が密接に絡んでいる気がしますね。
本当のうつの人がかわいそうです。
10. Posted by たぬ   2013年07月13日 00:54
>また、詐病と呼ぶべき状態なら、該当人はうつではなくとも治療が必要な、反社会性人格障害があると考えなければいけません。

 読んでないのでしょ・・・

 あっ・・・不自由なのか・・・

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